2008年11月15日(土)掲載

◎日新中、サケ「とば」作りに挑戦
 函館日新中学校(鈴木利春校長、生徒32人)の全校生徒が14日、函館市浜町の戸井漁港荷さばき所で戸井産のサケを使った「とば」作りに挑戦した。学校長の裁量で特色ある取り組みを進める市教委の「知恵の予算」を活用した同校独自の活動。生徒らは地元漁師に“弟子入り”し、サケをさばく作業に汗を流した。

 同校では地域の資源や人材を活用しようと、7月には建築士を講師とした「あずまや」作りを実施。今回は身近な海産物加工体験として、普段できない魚1匹を丸ごとさばき、とば作りの製造過程を学ぼうと初めて企画した。

 戸井漁協(森祐組合長)が協力し、同漁協の上野強常務が組合の事業概要などを説明、漁師の佐々木巖さん(68)が日ごろの仕事について話した。

 その後、生徒たちは早速サケをさばく作業に挑戦。佐々木さんら組合員の指導を受けながら、3.5キロ前後のサケの腹を包丁で切り、内臓などを取り除いた。始めは恐る恐る魚に触っていたが、慣れると楽しみながら懸命に取り組んでいた。さばいたサケは水で丁寧に洗い、番号札を付けて塩水に付けた。開始後約1時間半で約90匹をさばいた。

 3年生の若山結奈さん(15)は「作業はどれも難しかった。普段食べている魚が苦労して作られてるのが分かった」、両親が漁業を営む1年生の石田勝春君(12)は「エラを取るのに苦労した。親はいつも大変だと思った」と話していた。サケは今後冷凍し、12月ごろに同校敷地内で寒風にさらして干す。来年2月ごろに完成する予定。(新目七恵)


◎【インサイド・木古内高存続問題】町長「断念」 戸惑う住民
 【木古内】道教委の公立高校適正配置計画で2010年度の募集停止の方針が示されている道立木古内高校(木古内町木古内)の存続問題で13日、大森伊佐緒町長が町立移管を断念する意向を示したが、住民からは「一方的な決断で、説明の順序が違うのでは」「判断材料に町民の声は反映されていたのか」と反発の声が出ている。民間で存続活動に取り組む「木古内高校の存続を求める会」の近藤攻会長は「(移管断念を伝える)新聞報道を見て驚いた。関係者を通じて文部科学省にも働き掛けていた矢先だけに…」と驚き、戸惑う。町民には唐突とも映る断念表明の波紋は広がりそうだ。(田中陽介)

 釜谷生活改善センターで13日夜に開かれた町政懇談会で、大森町長は「木古内高校の町立化は困難。苦渋の決断だが理解してほしい」と出席者20人に伝えた。出席者には受験生の保護者はいなかった。存続を求める会と町商工会、同窓会員が木古内高校の魅力を伝えて歩く「受験生個別訪問」を20日から予定していただけに、関係者は「どう説明すればいいか困った」「なぜあの場で、いきなり断念を発表したのか」と困惑する。

 ただ、11日に開かれた議員協議会で、大森町長は「断念の意向を懇談会で示す」と町議会側に伝えていた。多くの議員は理解を示したが、慎重な発言を求める声もあったという。

 中学3年生の進路決定が迫り、問題解決が急がれる中、これまで大森町長は町立化の是非について明言を避けてきた。10月9日には、町立化を視野に入れた長期運営試算を公表し、9年間で累積赤字額が約2億4000万円になることが分かった。この時点で「莫大な経費は目に見えている。町立化は無理だ」「受験生本人やその家族の気持ちを思えば、早く答え(町立化断念)を出すべきだ」と議員から意見が出ていたが、大森町長は「あくまで町民の声を聞いて答えを出す」とし、結論を先延ばしにしてきた。

 同懇談会に出席した男性(75)は「学校がなくなるのは寂しいが、仕方ない」とぽつり。懇談会を欠席したある保護者(43)は「小学校の廃校のときと流れは同じ。子どもが少なくなるのは目に見えて分かっている。問題解決は先読みして対策を打たなければだめ。寸前で慌てても遅い」と指摘する。

 野村広章教育長は「町教委としてはこれまで通り存続活動への協力を惜しまない」と話す。町は独自の支援策として、他校への通学費補助など木古内高校閉校時の対応の検討を決めたが、課題は山積している。小林敏明副町長は「道教委に考えを改めてもらうためにも、まずは来春の入学者を増やすことに努力したい」としているが、入学者増の見通しは立っていない。


◎コープさっぽろ「ひとみ店」オープン
 生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は14日、函館市人見町8に「ひとみ店」をオープンさせた。売り場面積は2日までの営業で閉店した「人見店」の約2.5倍で、コープさっぽろが道南(函館、北斗両市)で展開する計9店舗の中でも最大級。この日は開店前からセール品を目当てに大勢の近隣住民らが詰め掛けた。

 ひとみ店は北海道ジェイ・アール都市開発(札幌)が建設した商業施設「人見ショッピングセンター」にテナントとして入居。店舗面積は約2100平方メートル。老朽化した旧店舗を移転する形で、103台分の駐車場も設けた。初年度の売り上げは20億円を目指す。

 この日は午前9時の開店時に約850人が行列をつくり、午前中は入場制限が掛かった。開店セレモニーで前田育夫店長は「安心・安全の品ぞろえを充実させた。組合員の声を聞き、組合員と一緒に地域に根ざした店にしたい」とあいさつ。関係者らとテープカットし、新たな船出を祝った。

 開店前に並んだ市内乃木町の男性(67)は「付近の魚長やラルズに加え、マックスバリュもできたので、今後はチラシを見比べるのが忙しくなりそう」、人見町の女性(69)は「売り場が明るくて(旧店舗より)買い物がしやすくなった。混雑が落ち着いたらまた来たい」と話していた。営業時間は16日まで午前9時開店、通常は午前10時―午後9時45分。(森健太郎)


◎振り込め詐欺防止へ高齢者宅を訪問
 【厚沢部】全国で被害が深刻化する振り込め詐欺―。犯人から被害者への最初の接触は大半が電話で行われる。厚沢部町と江差署(芳賀政男署長)は14日、言葉巧みに送金を求める犯人からの働き掛けを電話口で断ち切ろうと、町職員と同署員が町内に住む65歳以上の高齢者1500人の自宅を1戸ずつ訪ね、居間などにある電話の前に、被害防止を呼び掛けるチラシを張り付ける「おいも豊作メークイン作戦」をスタートした。(松浦 純)

 正式の作戦名は「老いも豊かな安全まちづくり作戦」。地域の高齢者に幅広くPRしようと、通称名は「老いも」と町内特産のメークイン(おいも)の語呂を合わせて命名した。芳賀政男同署長は「全国で被害が減らない背景には、金融機関やコンビニのATM(現金自動預払機)で送金を防ぐ“水際対策”の限界がある。犯人から電話による接触があった時点で、かかわりを断ち切ることが被害抑止のポイントになる」と訴える。

 この日は、町総務政策課の職員3人とともに、同署厚沢部駐在所長の高橋篤範警部補、館駐在所長の鯨井伸男巡査部長が町役場周辺の高齢者宅を訪れ、居間などにある電話機の前に、被害防止のポイントとともに、町や警察の連絡先が書かれたチラシを張り付けた。

 ATMによる送金は警察が警戒を強化しているため、新たに郵便局の「エクスパック」が送金に悪用される手口も増えている。高橋警部補と鯨井巡査部長は、エクスパックの実物を持参して「これで現金を送ることは禁止されています。お金を詰めて送って欲しいという電話があれば間違いなく詐欺です」と丁寧に説明。訪問を受けた倉谷時夫さん(72)は「不審な電話が来たときはチラシを頼りに駐在所に連絡したい」と、真剣な表情でうなずいていた。

 同町は本年度、道の防犯活動推進地区に指定されている。不審者による子供への声掛けなどの被害防止、住宅侵入や車上狙いといった身近な犯罪の防止に取り組んでおり、振り込め詐欺の被害防止にも、町と警察が連携して取り組むことになった。


◎五稜郭公園で「雪つり」作業
 函館市の五稜郭公園で14日、晩秋の風物詩「雪つり」の作業が始まった。この日は観光客らが見守る中、同公園管理事務所の職員や市シルバー人材センターの作業員らがイチイなどに縄を掛けていった。

 雪つりは木に積もった雪の重みで、枝が折れないようにするのが目的。アカマツなどの大きな木は業者が作業を担当し、計約30本を手掛ける。

 それぞれの木に合った長さの竹を支柱に据え、頂点から円すい状に張った縄で枝をつる。毎年、立冬のころ作業を始めるが、今年は暖かく、1週間ほど開始が遅くなった。すべて終了するのに約1週間掛かり、来年4月まで冬の装いになる。(山崎純一)


◎科学人材育成講座きょう開講
 公立はこだて未来大や道教育大函館校、函館市など市内の8機関・団体で構成する「サイエンス・サポート函館」(代表・美馬のゆり公立はこだて未来大教授)は15、16の両日、科学技術と市民社会の橋渡し役となる「科学技術コミュニケーター」の育成講座を函館市亀田中野町116の同未来大で初めて行う。科学技術コミュニケーターの具体的な活動内容や実践技術を学び、今度の活動を支える地域の人材育成を目指す。主催者は多くの参加を呼び掛けている。(新目七恵)

 同サポート函館は7月に発足。2009年度から市内で大規模な科学イベント「はこだて国際科学祭」を開催しようと準備を進めており、今回はその関連企画の第1弾となる。

 当日は北大の科学技術コミュニケーター養成ユニット(通称・CoSTEP:コーステップ)の専門スタッフを講師に招く。

 15日(午後3時―同4時)は科学技術コミュニケーターの活動事例、必要なスキルについての基礎知識を学ぶレクチャーを予定。16日(午前10時―午後4時)は科学技術について分かりやすく伝える書き方や、効果的なグラフィックデザイン技術などを学ぶ実践などのワークショップを行う予定。

 この活動のコーディネーター役を務める金森晶作公立はこだて未来大研究員は「科学やまちづくりに興味のある人にぜひ参加してほしい」と話している。15日は事前の申し込み不要。16日は申し込みが必要となる。問い合わせ、申し込みはCoSTEP TEL011・706・3868。


◎棒二森屋に願いをかなえるツリー登場
 ドリームズ・カム・ツリー―。函館市若松町17の棒二森屋(井上裕司店長)本館1階正面玄関にこのほど、高さ約3メートルのクリスマスツリーがお目見えした。専用の星形カードに願い事を書くとツリーに飾られ、選考された3人の夢を実際にかなえる“サプライズ”企画だ。

 中合グループ6店のクリスマス特別企画「星に願いをキャンペーン」として、初企画だった昨年に続く2回目の実施。ツリー前に設置してあるカードにかなえてほしい願い事と住所、氏名、連絡先、などを記入して、応募箱に投函(とうかん)する。

 昨年は総勢1200通の応募があり、同店では「園児へのクリスマスプレゼント」(保育士)、「リカちゃん人形がほしい」(6歳の幼児)などが選ばれた。「当選はクリスマスに(願い事の)実行という形で発表しました」と担当者。今年は14日現在約200通が寄せられているという。

 願い事の実現可能性などを考慮した上で、12月24、25日前後に直接、“棒二サンタ”が当選者に夢や願いを送り届ける。同店営業企画部は「今年は圧倒的に『ゲーム機がほしい』が多い。できるだけ多くの人に喜んでもらえたり、心が和んだりするような願いをかなえたい」とし、広く願いを募っている。応募の締め切りは12月14日。(森健太郎)