2008年11月19日(水)掲載

◎ちんどん屋「大黒笑事」が川越のフェス出場へ
 函館市弁天町の大黒通りを中心に活動するちんどん屋グループ「遊源会社大黒笑事」(嶋崎正雄代表)が、22日に埼玉県川越市で開かれる全国規模のちんどん競演イベント「第5回素人ちんどんフェスティバル」に道内から唯一、初めて出場する。メンバーは「やる人も見る人も楽しく、まちおこしを考えるきっかけになれば」と意気込み、当日は“函館のセールスマン”として観光パンフレットも配り歩くという。(森健太郎)

 大黒笑事は市内西部地区の地域活性化を願う有志らが2006年12月に結成。現在のメンバーは9人で、個々の練習と月2回の合同練習に日々励んでいる。今回はこれまで月1回のペースで福祉施設や幼稚園などを訪れた際に受け取ったご祝儀を遠征資金に充てる。

 イベントに出場するのは親方の嶋崎代表(64)のほか、ちんどん太鼓の井上清美さん(57)、旗持の成田辰美さん(55)ら市内在住の30―60代のメンバー5人。課題曲の「川越音頭」を含む計6曲を披露しながら、派手な衣装と化粧で川越市のクレアモール新富町商店街を練り歩く。

 そもそも大黒笑事はメンバーの一人が偶然、同フェスを訪れたことが結成のきっかけ。昨年7月の「大黒通りフェスティバル」に川越市で活動するちんどん屋グループ「小江戸川越チンドン」のメンバー3人を招き、交流を深めたことも今回の出場を後押しした。

 同フェスは川越新富町商店街振興組合が商店街の目玉イベントとして04年から開催している。毎年2、3万人の見物客が詰め掛ける人気ぶりで、今回は地元・埼玉県内外から計14チームが集結。大黒笑事は会場で観光案内チラシ「はこだてガイドマップ」も計200部配布する。嶋崎代表は「真剣にふざけることで、衰退が目立つ商店街を少しでも元気にしたい。地元・函館の宣伝と他チームの技術も学ぶことができれば」と話し、本番に向けた練習に余念がない。


◎道新幹線でアクションプラン策定
 北海道新幹線開業を見据え、産業振興や地域活性化策を探る「北海道新幹線開業はこだて活性化協議会」(森川基嗣会長)は18日、ロワジールホテル函館(函館市若松町)で開いた臨時総会で、開業効果を最大限に発揮するための「アクションプラン(行動計画)」を承認した。2015年度までの新函館駅(仮称)開業に向けた26施策58項目の重点整備計画を掲げ、官民一体のまちづくりがいよいよ本格化する。(森健太郎)

 プランは(1)観光振興=「楽しめる」「行きたくなる」まちの演出(2)産業振興=「楽しそうな」「健康な」企業と市民の育成(3)交通アクセス=「楽しみやすい」「行きやすい」環境整備―の3本柱を基本戦略とし、それぞれ実現目標や実施時期、運営主体などを明記している。

 観光振興については、多彩な町歩きメニューの創出といった「新たな観光資源の整備と既存資源の磨き上げ」、観光ニーズに対応した「マーケティング強化による戦略的なPRの実施」、「道南圏周遊型広域観光ルート開発と滞在促進」などが例示され、プラン中最多の10施策28項目に上った。

 産業振興では「函館ブランドの創出・向上・販路拡大」や「新幹線を利活用した市場開拓と基盤整備」、交通アクセスではバス、タクシーなどの充実や、在来線を活用した「新函館駅と現函館駅間の鉄道アクセスの充実」など、それぞれ6施策10項目が挙げられた。各分野にまたがる計画もある。

 同協議会は函館市、函館国際観光コンベンション協会、函館商工会議所で組織。昨年6月には地元の業界団体を含めた3分野の専門部会が設置され、1年余の協議を経てプランの骨子をまとめた。市民向けにプランのウェブ上での公開やダイジェスト版の作製も進め、新年度には同協議会を主体に推進組織として改組した上で、個別的な実施スケジュールを決める。


◎定額給付金に一喜一憂
 政府、与党が追加経済対策に盛り込んだ総額2兆円の「定額給付金」。国民1人当たり1万2000円、18歳以下の子どもと65歳以上の高齢者には8000円が追加されるが、所得制限を設けるかどうかは自治体に委ねられる。給付金を受け取る一般住民の反応はさまざまで、函館市内では「生活費のたしになる」と歓迎する一方、「2兆円の無駄遣い」「消費税アップを納得させる手段では」など怒りの声も噴出している。

 北大水産学部3年の女性(21)は「一時的とはいえ生活費のたしになるからもらえるのならもらいたい」と話す。市内の自営業の男性(51)は「売り上げに良い影響があればいいと思う」と期待。市内の女性教諭(38)は「現在、妊娠していて検査などにお金が掛かる。子どもがいる家庭に多く給付してほしい」とする。市内双見の鎌田和歌子さん(78)は「選挙対策かもしれないが、国民健康保険料の負担が以前より増えているので、もらえるならありがたい」と語る。

 これに対し、市内在住の男性会社員(38)は「給付金をもらっても仕事上の付き合いで飲み代に消えてしまう。一時的な景気対策で効果があるかどうか疑問だ」とみる。市内で商店を営む古川憲治さん(56)は「店の売り上げが増えるとは思えない。税金の支払いに回してしまうのではないか」と冷ややかだ。

 2兆円という莫大な予算の使い道を疑問視する声も少なくない。北大水産学部3年の大澤弘和さん(21)は「就職活動の時期なので雇用対策に税金を使ってほしい。税金の無駄遣いが指摘される今、一層反感を招くのでは」と手厳しい。

 市内で椴法華地域振興グループの代表を務める小市光子さん(66)も「仕事がない人、病院にいけない人など困っている人を救うために使うべきお金をもらっても喜べない」と反発。市内富岡町1の無職廣瀬等さん(68)は「選挙目当てなのが見え見えで、給付金と引き換えに消費税の値上げを承諾させるつもりだろう。金を出せば国民が納得すると思っていて、なんとも無策すぎる」と憤りをあらわにしている。


◎21日から函館夢弁当販売
 地域の食材をふんだんに盛り込んだ「函館夢弁当」が21日から、函館市内や近郊のハセガワストア全14店舗で販売される。函館短大付設調理師専門学校(下野茂校長)とハセガワストア(山崎悦朗社長)、FMいるか(福本学局長)の共同企画で、今回は和食を中心とした9種類のメニューで構成した。企画・広報担当のFMいるかの佐藤はるかさん(27)は「ぜひ道南の食材を味わって」とPRしている。

 この企画は地産地消を目的に2002年から始まり、今年で7回目。メニューは同校の吉田徹教頭(58)とハセガワストアグループの製造会社「ハセガワデリカ」の三橋信雄常務取締役本部長(58)が中心となって考案した。

 ご飯は道南産米「ふっくりんこ」を使い、函館産マイカをのせた炊き込みや、桧山貝取間産の手打ち岩海苔を添えたふっくりんこの発芽玄米入りなど3種類を用意。噴火湾産の珍しいホタテ入り茶わん蒸し、道南野菜を添えた道南マルカ水産加工の一夜干し身欠きニシンの煮物など、見た目にも鮮やかな品々を詰め込んでいる。「豚挽きカツの赤ピーマンソース」を考案した吉田教頭は「ポーク100パーセントでソースがポイント。あっさりした味わいに仕上がった」と説明。三橋常務取締役本部長も「和食なので食べやすいはず」と話している。

 販売期間は30日までの10日間限定。価格は700円で、期間中は3000食を用意する。各店では購入日の2日前正午までの予約も受け付ける。(新目七恵)


◎新名称は「かもめ保育園」
 【江差】江差町は新年度の開園に向け、建設工事を進めている創設保育所(仮称、茂尻町110の3)の名称を「かもめ保育園」とすることを正式に決めた。濱谷一治町長が18日に開かれた第4回臨時町議会の一般行政報告で明らかにした。

 名称案は10月末まで町民を対象に一般公募し、195件の応募があった。町の名称選考会では応募件数が多かった上位7件の名称の中から、江差らしさや地域に親しまれやすいなどの観点で審査を行った。その結果、港町である江差の風土をイメージさせるとして「かもめ保育園」とすることを決めた。

 町は新年度、5つある町立保育所のうち、とよかわ(豊川町)、かしわぎ(新地町)、五勝手(南浜町)の3保育所を新保育園に統合。建設中の園舎は、町有林で生じた道南スギ間伐材を主要構造材に活用している。保育室、遊戯室、調理室などを備えた施設は平屋で、床面積は645平方メートル。総工費は2億3260万円。工事は年内の完成に向けて予定通り進んでいる。町は年度末までに保育園の設置許認可などの手続きを終え、来年4月の供用開始を予定している。

 また、行政報告で濱谷町長は10月11日に町内南部で発生した竜巻の被害について、住宅の屋根やガラスの破損9件、物置・車庫の破損9件、庭木や街路樹などの倒木4件、自動車の損傷が8台に上ったと報告。町有施設の被害は旧教職員住宅や町営住宅などで約100万円に達したという。

 臨時会は一般会計を7087万円増額する補正予算など2議案を可決し、同日閉会した。補正予算では8月3日に発生した集中豪雨に伴う豊部内川の護岸崩壊、愛宕町の町道斜面の崩壊の復旧費用として5087万円を計上した。本年度の一般会計総額は54億2055万円となる。(松浦 純)


◎イルミナシオン映画祭、東京の大山さんシナリオ大賞
 「函館港イルミナシオン映画祭2008」(12月5―7日、函館市内)の実行委員会(米田哲平委員長)は18日までに、本年度の「第12回シナリオ大賞」の最終審査結果を発表した。グランプリの函館市長賞(賞金300万円)には、東京都のフリーライター大山淳子さん(47)の「通夜女(つやめ)」が輝いた。(新目七恵)

 シナリオ大賞は、函館から映画や人材を発掘、発信しようと1996年から毎年実施。これまでに、04年のグランプリ作品「あたしが産卵する日」が08年制作の日活映画「うた魂♪」になるなど、9本のシナリオが映画・映像化されている。本年度は全国から175点の応募があり、作家の荒俣宏さんや映画監督の林海象さんら4人が審査に当たった。

 グランプリの「通夜女」は、通夜に集まる若い女や老女、営業マンらそれぞれの思惑をコミカルに描いている。準グランプリ(賞金10万円)は東京都の事務補佐員、灯向亮さん(27)の「春の柩(ひつぎ)」。審査員特別賞となる荒俣宏賞は京都市の猪原健太さん(26)の「エンマムシは腐乱死体の夢を見るか?」、加藤正人賞は東京都の会社員永井利明さん(38)の「期間限定彼女」、林海象賞は東京都の杉原由美子さん(35)の「銀の降る森 金の降る川」がそれぞれ選ばれた。

 授賞式は同映画祭初日の12月5日午後5時15分から、函館山ロープウェイ展望台クレモナホール(函館山山頂展望台)で行われる。


◎渡島でも国際会議を/誘致推進フォーラム
 【七飯】「国際会議等誘致推進フォーラムin渡島」(渡島支庁主催)が18日、大沼国際セミナーハウス(七飯町大沼町127)で開かれた。7月に行われた北海道洞爺湖サミットの成果や意義を振り返るとともに、渡島管内での国際会議開催の可能性や利点などについて関係者が意見を交わした。(小川俊之)

 道はサミット開催で培ったノウハウと官民協働の機運を新たな国際会議の誘致活動につなげようと、北海道国際会議等誘致推進会議を9月に設置。2009年5月には上川管内占冠町で日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議の開催が決定するなど、早くも成果が現れている。

 この日のフォーラムでは柴田達夫道サミット推進局長が基調講演し、「サミットを直接運営したのは政府だが、官民73団体協働による北海道洞爺湖サミット道民会議の活動が大きな力となったのは確か。各地で行ったクリーンアップ作戦、各国関係者に対するおもてなしの対応などによって、市民の手によるサミットのイメージが生まれた」と説明。「今後の誘致活動でも官民が一体になった取り組みが不可欠」と訴えた。

 パネルディスカッションでは国際会議誘致に向けた具体的な取り組みの方向性を議論。これまで数多くの国際会議運営に携わってきたICSコンベンションデザイン・コンベンション総合研究所の太田正隆社長は「一口に国際会議といっても国家レベルから民間の交流まで多様性があり、必ずしも立派な建物や設備が必要とは限らない。地域の特性に合った誘致活動を行うべき」と話した。

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 今回のフォーラムに合わせて、大沼国際交流プラザ(大沼町85)で18日から「北海道洞爺湖サミット展in渡島」(道、道洞爺湖サミット道民会議主催)が始まった。19日まで。サミットの様子を紹介する写真パネルが飾られるとともに、各国から贈られた記念品や記者会見場の様子を再現したコーナーなどが用意されている。入場無料。19日は午前8時半から午後6時まで。