2008年11月21日(金)掲載

◎坂田選手 西武と仮契約
 【七飯】今年のプロ野球日本一に輝いた埼玉西武ライオンズからドラフト4巡目に指名された函館大学(溝田春夫学長)野球部4年の坂田遼外野手(22、神奈川・横浜創学館高)が20日、函館大沼プリンスホテル(七飯町西大沼温泉)で契約交渉に臨み、契約金4500万円、年俸1000万円(いずれも推定)で仮契約した。坂田選手は「こんなに評価してもらえるとは思っていなかった。期待に応えたい」と意欲を燃やしている。

 坂田選手は同日午前10時半から同球団編成部の鈴木葉留彦部長(57)と、スカウトの水澤英樹さん(39)を交えて約1時間にわたり交渉。記者会見で鈴木部長は「長打力が魅力で、左の強打者はライオンズにはいない選手」と高く評価した。6月の全日本大学野球選手権で東京ドームの天井に届きそうなほどのファールを放ったパワーが印象深かったとし、「まずは打つことに磨きをかけてほしい」と期待を寄せた。

 坂田選手はチームの印象を「若い選手が活躍していて雰囲気が良さそう」とし、対戦したい投手に高校の同期で福岡ソフトバンクホークスの高橋徹投手、北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有投手を挙げ、「ダルビッシュ投手は日本で今一番すごい選手。戦ってみたい」と力を込めた。

 函大から初のプロ選手が誕生となり、同大野球部の阪内俊喜監督は「事実上の契約。ほっとしている。ここがスタートライン。頑張ってほしい」とエールを送った。

 坂田選手は1月の新人合同合宿に向けて調整を進めており、「プロ選手として実感が沸いてきている。ファンに愛され、チームに必要とされる選手になれるように一生懸命プレーしていきたい」と話した。


◎企画・函館子ども歌舞伎20年(2)…地域に根付く文化継承
 歌舞伎の歴史が浅い北海道でなぜ「函館子ども歌舞伎」が生まれたのか―。「以前は本格的な歌舞伎劇団が函館にあった。その流れが今につながっている」。指導に当たる市川団四郎さん(68)はこう説明する。

 愛知県出身の市川さんは関西地方を中心に全国を巡業する父親が率いる劇団の歌舞伎役者だった。一方、妻の市松与紫枝さん(62)の父親で初代の市川団四郎さん(故人)の劇団は函館を拠点に道内で活動していた。初代の劇団解散を惜しむ人々の声で、1973年に初代を指導者に迎えた「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」が始まった。二代目の市川さんも85年から携わるようになった。

 函館子ども歌舞伎後援会の小玉陽造会長(73)は「初春巴港賑の支持層を土台に、子ども歌舞伎のファンが加わった。こうした函館独特の土壌が子ども歌舞伎をはぐくんだのでは」と指摘する。長唄や日本舞踊など伝統芸能の師範が函館に多いことが、活動を支える大きな力になっていることも見逃せない。こうした背景から「初春巴港賑」と「子ども歌舞伎」の2大公演で歌舞伎を楽しむ文化が着実に育ち、「函館子ども歌舞伎」は函館の文化的財産として評価が高まった。

 「函館の教育を考える会」や「函館・青少年の夢と未来を育む会」の会長を兼任し、子どもの健全育成活動に取り組む小玉会長は「人と人が助け合い、いたわり合う心の美しさが歌舞伎の物語に入っている。子どもたちに教えたい素材が盛り込まれている」という。

 後援会は30日に開かれる20周年記念公演の前日に、函館巴ライオンズクラブなどの協力で市内の小学4年生から中学生までとその保護者を招待し、函館子ども歌舞伎から伝統芸能を学ぶ機会を設ける。「子どもたちには早いうちから伝統芸能に理解を深めてもらい、次世代に継承してほしい」との思いからだ。

 「函館の文化的財産となった子ども歌舞伎を育てる責任を感じる」と気を引き締める小玉会長。「函館子ども歌舞伎を巣立った元団員たちが支え手となり、さらに青年歌舞伎を作り、2段構成で一緒に芝居ができるようになって脈々と受け継がれてほしい」と願っている。(宮木佳奈美)


◎冬本番、函館降雪22cm…空と海 欠航相次ぐ
 道内は20日、冬型の気圧配置が強まり、渡島、桧山管内でも本格的な雪が降り、雪かきに追われる市民の姿が見られた。降雪の影響で航空便やフェリーの定期便が欠航したほか、乗用車が路外に逸脱する事故も相次いだ。函館市内では今季初めて除雪車が出動した。

 函館海洋気象台によると、20日午後6時までの24時間の降雪量は函館22センチ、八雲で13センチ、七飯町大沼で12センチ、福島町千軒で14センチ、厚沢部町鶉で5センチ、江差で5センチなど。最低気温は長万部で氷点下8・9度、森町で同6・6、函館と今金で同6・3度を記録するなど、各地で今季一番の冷え込みとなった。

 函館空港では除雪作業や悪天候のため、全日空(ANA)が函館と丘珠を結ぶ3往復6便、北海道エアシステム(HAC)が函館―旭川の1往復2便を欠航とし、計288人に影響があった。

 東日本フェリーはしけのため函館発2便と大間発1便の計3便が欠航し、約20人、車両13台に影響。ハートランドフェリーも江差―奥尻間の2往復4便が欠航し、約130人、車両55台に影響があった。市内西部地区の坂道(市道)は路面凍結で一部通行止めになった。

 函館市内の赤川町や亀田中野町では除雪車が早朝に出動。幹線道路では路面が滑りやすくなり、場所によっては交通渋滞が起きた。スリップによる乗用車の路外逸脱などが相次ぎ、日本自動車連盟(JAF)北海道ロードサービスセンター(本部・札幌)によると、市内、近隣市町でこの日午後5時までに33件の救援出動があったという。

 民家や店舗の前では、雪かき作業に追われる市民が目立ち、ブックオフ本通店の坂上琢哉店長(23)は「11月の段階で雪がこんなに降るとは思わなかった。駐車場のスペースを確保するため、雪が積もったら小まめに雪かきをしなければ」と話していた。(鈴木 潤)


◎生徒への指導を強化…高校生の大麻汚染 教育関係者に波紋
 大麻の不法所持や栽培などで、北見市内の高校生が9月に摘発されたのに続き、旭川市内の道立高校定時制の男子生徒らが18日、大麻取締法違反容疑で逮捕された。こうした少年たちの大麻汚染の実態は、渡島管内の教育関係者にも波紋を広げている。函館市内では早速、生徒指導に乗り出す高校も出てきた。0ァ40ィ(新目七恵)

 函館市内では2006年10月に高校の男子生徒らが同法違反で逮捕されている。この事件を契機に06、07年には渡島教育局などが生徒会対象のシンポジウムを開いたほか、各校で薬物乱用防止を訴える講演会などを開催して啓発に努めてきた。

 今回の一連の事件を受け、市立函館高校では20日朝、森武校長が「薬物の乱用はもちろん、1回でも許してはいけない」などと全教員に薬物防止の指導を徹底するよう呼び掛け、各クラスの担任が6時間目に生徒に説明した。今後、森校長が全校生徒に文書でも注意を呼び掛ける方針だ。河合宣孝教頭は「学校が率先して指導に当たるが、家庭や地域の連携も必要だ」と話す。

 道教委は今後、「薬物乱用教室」をすべての公立高校で実施するよう指導しているほか、渡島教育局では本年度の生徒向けシンポジウムの開催も検討している。19日には道高校長協会渡島支部(支部長・黒田信彦函館中部高校長)が渡島管内の公立、私立高全29校に対し、指導徹底を求める文書を出している。

 道警函館方面本部によると、管内の大麻取締法違反事件の検挙者数は06年が7件7人、07年が12件7人。08年10月末現在では5件3人。08年10月末の押収量は乾燥大麻は約17グラム、大麻草は約1200グラム。06年の事件以降、「管内で青少年の検挙事例はない」という。

 函館市内の男子大学院生(25)は「(大麻などは)今は手に入れようとすればいくらでも手に入る。最低限のルールを守れないのは個人の責任だと思う」と説明。同市内の高校3年の男子生徒(18)は「身近に感じるのが怖いけど、好奇心もある。インターネットで仕入れたいと話していた友達はいた」と明かした。

 渡島保健所によると、大麻は感覚が異常になり幻覚や妄想をが現れ、精神錯乱を引き起こす。「身体にとって大変危険で習慣性を生じる」として、乱用の危険性や野生大麻の撲滅を訴えている。


◎知事 対話姿勢打ち出す…支庁再編
 【江差】道が進める支庁制度改革の前提となる公職選挙法の年内改正が見送られ、来年4月の支庁再編実施が困難となる中、強硬姿勢を貫いてきた高橋はるみ知事が、関係自治体などとの対話姿勢を鮮明に打ち出し、江差町の関係者からは「“軟化”の兆しが見え始めた」との声もある。再編に反対する道町村会(札幌)も知事サイドとの対話再開に意欲を示すなど、袋小路に陥った再編問題の打開に向けた動きが活発化してきた。27日開会の第4回定例道議会での高橋知事の発言、議論の行方に注目が集まっている。

 高橋知事は8日、道庁で開いた「地域振興条例(仮称)」の検討懇話会で「不退転の決意で取り組んでいきたい」として、あらためて新年度の再編実施に向けた意欲を強調した。

 その一方、公選法改正を先送りした自民党の判断に触れて「市町村長、とりわけ町村会との対話をしっかりとやっていくことが何より重要」と述べ、檜山など5つの支庁廃止地域に置く振興局の組織編成について「地域の懸案や産業特性などを踏まえながら、組織編成を大胆に考えていく」との方針を明らかにした。

 また、16日に留萌市で開いた地元関係者との懇談会でも、現在の上川支庁に集約する予定の水産部門について、振興局になる留萌支庁に残すなどの柔軟な対応を検討する意向を示した。江差町の関係者は「軟化の兆しは見られる。ただ、真意は測りかねる。どこまで譲歩するのかは未知数」とし、定例道議会での発言を注視する構えだ。

 知事サイドと道町村会の対立を懸念する自民党の大島理森衆院国対委員長は、党道連(今津寛会長)に対して、道町村会の意向を踏まえながら早期の事態収拾を指示。総額2兆円の定額給付金問題をめぐり、年明けの通常国会も紛糾が必至で、道がタイムリミットとする1月下旬までの公選法改正は「物理的に不可能」とする声もある。高橋知事の“変化”について、道町村会の関係者は「(再編問題で)町村会との和解は最低限のハードル」とした上で、「一定の譲歩が無ければ町村会は妥協できない」と語る。

 一方、麻生太郎首相が国の出先機関の大幅な統廃合を進める方針を示したことで、本道では開発局の存廃問題が焦点になっている。ある道幹部は「開発局問題では知事と市町村長の共闘関係が必要。町村会との関係修復は喫緊の課題」と指摘。開発局廃止を“地方切り捨て”と批判する江差町の関係者も「行革を理由にした支庁廃止を進めながら、開発局の存続を訴えても説得力に欠ける。高橋知事は地方の目線は立ち返るべき」と訴える。(松浦 純)


◎ボジョレ・ヌーボー解禁 みんなでカンパーイ
 フランスのボジョレー地方の特産品の新酒「ボジョレ・ヌーボー」が20日、解禁になった。函館市内の飲食店などではパーティーが開かれ、参加者が“今年の味”を堪能した。

 関係者の話によると、今年のボジョレ・ヌーボーは収量が少ない分、厳選されたブドウを使っており、果実味が豊かで色も良く、スパイシーな風味も楽しめるという。

 函館山山頂のレストランジェノバでは、函館山ロープウェイが主催するボジョレ・ヌーボーのイベント「第19回きらめきナイト」が開かれた。約120人が参加し、釧路管内厚岸町産生ガキや後志管内黒松内町産クリームチーズなど多彩な料理を味わい、夜景とともに、待ちわびた味を楽しんだ。

 市内の「つな生花店」専務の綱くみ子さんは「ワインが好きで毎年参加している。フルーティーでとてもおいしい」と喜んでいた。(新目七恵)


◎マンダリン航空 台湾便運休へ「減便への対応難しい」
 台湾の航空会社「マンダリン航空」が函館―台湾間で運航する国際チャーター便を来年2月以降、当面見合わせることが20日分かった。使用機材を小型化するためで、近距離の九州を除く日本国内の空港への乗り入れは同社の親会社「中華航空」が担う。ただ、機材繰りがつくかは不透明で、台湾観光客の入り込みに少なからず影響が出そうだ。

 函館空港ビルデング(函館市高松町、木村孝男社長)が中華航空東京支店(東京)に年明け以降の運航予定などを問い合わせ、マンダリン航空が日本国内に乗り入れる大半のチャーター便を2月から見合わせる方針が判明した。使用してきた旅客機が1月末でリース契約満了となり、小型化されるのに伴う措置としている。

 観光への影響を懸念した市の鈴木敏博観光コンベンション部長らは20日、中華航空東京支店を訪問し、事情説明を求め、マンダリン航空の減便分をカバーできるかなどを確認。鈴木部長は函館新聞社の取材に対し、「函館観光の需要が減っている訳ではないようだが、機材繰りの関係で急な対応は難しいとの回答だった」と話し、今後の対応は「関係機関に報告した上で協議していきたい」とした。

 マンダリン航空は2000年に函館へのチャーター便を就航し、04年から年間200便前後で約3万人が利用。今年は9月末時点で198便、2万6702人が搭乗していて、函館に乗り入れる台湾の航空会社5社の中では最も多く、台湾からの来函客全体の約52・1%を占める。(浜田孝輔)