2008年11月22日(土)掲載

◎クリスマスファンタジーのツリーが到着
 函館市末広町の金森赤レンガ倉庫群前を主会場に12月1日から同25日まで開かれる「2008はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)でメーンツリーとなるモミの木が21日、函館市浅野町の作業場に到着した。同市と姉妹都市提携を結ぶカナダ・ハリファクス市から届けられたもので、高さは約20?。本番では枝などに取り付けられた約5万個の電球が輝く。

 苫小牧港で検疫を済ませたモミの木は、陸送でこの日午前8時ごろに到着。実行委のメンバーら約20人が小雪が舞う中、電飾作業のための足場作りなどに取り掛かった。

 24日から電球の飾り付け作業に入り、29日にはモミの木を船で会場に運び、試験点灯を実施する予定。実行委で企画運営を担当する佐藤賢治さん(44)は「ツリーの到着が当初より遅れたので急ピッチで進めなければならないが、皆で協力して本番を迎えたい」と話していた。 (鈴木 潤)


◎企画・函館子ども歌舞伎20年(3)…看板役者 褒められ成長
 「自分の演技に感動して泣いてくれるお客さんがいて、拍手をもらうのがうれしかった」。函館子ども歌舞伎の看板役者として活躍し、2002年の第5回自主公演まで在籍した函館市在住の能登詩織さん(22)はいう。能登さんも歌舞伎の世界に魅了された一人だ。

 能登さんは6歳の時、「白波五人男」で初舞台を飾った。先に函館子ども歌舞伎に入った姉の愛佳さん(23)のけいこに付いて行った際、指導者の市川団四郎さん(68)の目に留まった。当初予定していた団員が急きょ出演できなくなり、能登さんが代わりに出ることになった。

 能登さんについて「しっかりとしていて、わたしがほれ込んだ役者の一人だったよ」と市川さん。能登さんは「先生が褒めてくれたのをよく覚えている」と振り返る。

 徐々に頭角を現した能登さんは難易度の高い役柄にも挑戦。「先生が『看板娘だ』と言っていろんな役をやらせてくれた」とほほ笑む。実は練習はあまり好きではなかったというが、「本番の後の達成感がたまらない。その役になりきって一生懸命やって、満足感でいっぱいになる」と魅力の一端を明かす。

 「安珍・清姫 日高川」では人形役を演じる「人形振り」を披露、本物の人形さながらの立ち振る舞いで観客を圧倒した。「からくり人形のような不自然な動きをするのに苦労したが、公演の後で皆に『本当に人形だった』と言われ、すごくうれしかった」と思い出を語る。

 幼いころから日本舞踊や歌舞伎といった日本の伝統芸能に触れてきた能登さん。「礼儀や正しい姿勢、人前でも物怖じしない度胸が自然と身に付いた」と話す。海外に出掛けた時など、どこへ行っても歌舞伎をやっていたことが自分のアピールポイントになったという。

 「今、歌舞伎をやっている子たちもきっと歌舞伎が大好きだから続けられていると思う。これからもいろんな地方の舞台に出演し、多くの人に見てもらい続けてほしい」と後輩たちにエールを送る。(宮木佳奈美)


◎中村さん夫妻 10年越しの結婚式
 函館市在住の調理師中村大二さん(33)と小学校教諭の啓子さん(35)夫妻が24日、結婚10周年を前に市内の教会で結婚式を挙げる。花びしホテル(湯川町1)が創業60周年記念として企画した「式を挙げられなかった夫婦1組への結婚式プレゼント」に当選したためで、2人は「10年の歴史を振り返り、周囲で支えてくれた人たちに感謝の気持ちを伝える機会にしたい」と口をそろえる。あきらめていた挙式の夢―。花嫁の啓子さんの誕生日でもあるこの日、見守ってくれた両親らを前に新たな門出を誓う。きょう11月22日は「いい夫婦の日」。(宮木佳奈美)

 中村さん夫妻は10年前、大二さんの故郷で、啓子さんの初任地となった奥尻町で知り合い、半年余りで入籍。啓子さんは「両親の承諾を得る前に2人で結婚を決めてしまい、一緒になりたいという気持ちだけで、当時は結婚式や披露宴のことを考えていなかった」と振り返る。

 同ホテルの特別企画「あなたの夢が叶うなら」に応募したのは8月。新聞記事で企画を知り、挙式の指定日が啓子さんの誕生日だったことから、「誕生日に式を挙げられると思ったら感極まってきた」と啓子さん。胸の奥底にしまっていた挙式への思いが一気に芽生えた。

 啓子さんは大二さんに秘密にしたまま、これまでの10年を振り返りながら応募用紙に「2人で支え合ってきたと思っていたけど、両親やきょうだいに助けられて今があることにあらためて気づかされた」とつづった。周囲への感謝の気持ちは日ごとに増すばかりだ。

 大二さんは当選後に届いた書類で啓子さんが応募したことを知った。「11月24日は誕生日と挙式の二重の喜びが(啓子さんへの)いいプレゼントになる」と笑う。当日は身内だけを招くが、2人の両親やきょうだい全員が顔をそろえるのは初めて。市内の函館聖マリア教会で挙式後、同ホテルで食事会を開くという。

 2人は来年1月に結婚10周年を迎える。互いの仕事の都合で一時的に離れて暮らさなければならない時期もあり、心のすれ違いが生じることも。その都度けんかをしては話し合い、いくつもの障壁を乗り越えた。「言葉で表さないと気持ちは伝わらない。夫婦というより、人と人として常にコミュニケーションを大切にしている」と夫婦円満の秘けつを語る啓子さんに対し、「2人が健康で一緒にいられることが何より幸せ」と大二さん。

 「お父さんとバージンロードを歩き、ありがとうと伝えたい」と啓子さんは間近に迫った式に思いを込める。入籍当時、結婚式代わりに撮って以来、アルバムに収めっぱなしの大二さんのタキシード、啓子さんのウエディングドレス姿が、10年の時を経てよみがえる。


◎61歳女性、振り込め詐欺で150万円被害
 函館市内の無職女性(61)から21日、「おれおれ詐欺」の被害に遭い、150万円をだまし取られたと、函館西署に届け出があった。同署は振り込め詐欺事件として捜査を進めるとともに、市民にあらためて注意を呼び掛けている。

 調べによると、女性は19日午前11時ごろ、息子を名乗る男から「友人の借金の保証人になった。今日中に150万円を払わないと大変なことになる」などとする電話を受けた。女性は息子と思い込み、同日午後、同市内の金融機関のATM(現金自動預払機)から指定された千葉県内の金融機関の口座に現金150万円を振り込んだという。

 さらに、20日午前7時ごろ、女性が男の携帯電話に電話すると、男は100万円を追加して振り込むように指示。女性の夫(65)が男の声に違和感を覚え、電話を切った後、道内に住む息子に確認し、だまされたことが分かったという。現金は既に引き出されていた。

 男からは犯行前日の18日に「携帯電話の電話番号が変わった」と電話があり、巧みに女性を信じ込ませていたという。同署は典型的な「おれおれ詐欺」事件として調べを進めている。


◎鉄くず相場下落、旧ドツク跡地 値下げか
 鉄スクラップ価格が急激に下落し、大型クレーン2基がある旧函館ドック跡地の売却計画に影響を与えそうな情勢になっている。所有する函館市土地開発公社が函館どつくに売却する計画だが、市は解体手数料と解体後の売却収入を相殺した金額で売り渡す。鉄くず相場はこの4カ月程度で6分の1以下に下落しており、市は全体の売却価格を減額しなければならない雲行きだ。 (高柳 謙)

 例えばドック跡地全体(12万6000平方メートル)で土地や建物の価値が10億円あるとする。クレーン解体費が5億円、鉄くず売却益が2億円とすると、3億円を差し引き7億円で売り渡すことになる。鉄くず価格が下がれば、市は売却価格を引き下げなければならない。

 9月の定例市議会で可決された補正予算で、ドック跡地全体の売却価格は5億4100万円。市財政課は「スクラップの売却価格は、鉄くず相場下落前の価格で試算した。相場が大幅に下落しており、今後の売却価格が大幅に変動する可能性がある」と語る。

 鉄スクラップ業者と商社でつくる日本鉄リサイクル工業会(東京)によると、今年7月ごろは1トン7万円を超えていた価格が、10月末には1万1000円程度に下落したという。

 同会北海道支部によると、道内の鉄スクラップ生産は年間100―110トンほどあり、約7割が道内の製鉄所などで消費される。「鉄需要の冷え込みから、業者は高い値段で購入した鉄くずを売るに売れない状態。製鉄所が鋼材などの製品に仕上げても需要が少なく、厳しい状況」という。

 大型クレーンは2基で約4000トン。単純計算だが、鉄スクラップ相場が1トン7万円の場合は2億8000万円の価値があったが、1万1000円では6分の1以下の4400万円にしかならない。


◎「赤い靴の会」ロゴマーク決まる、24日にバザー開催
 「はこだて赤い靴の会」(宮崎衛会長)のロゴマークが21日までに決まった。24日には函館市松陰町1の函館YWCAで開催されるイベントに同会として初めて出店し、活動趣旨に賛同した首都圏の関係者から提供された菓子や染め布などを販売する。イベントの売り上げ金は活動費に充てる計画だ。

 同会は、童謡「赤い靴」(作詞・野口雨情)の女の子のモデルとされる岩崎きみちゃんが函館で母と別離し、米国人宣教師に預けられたという悲話を伝えようと発足。来年6月、函館市末広町に少女のブロンズ像を建設しようと準備を進めている。

 ロゴマークはフランスに住む宮崎会長の長女の香織さん(50)と、東京在住の二女の小島芳実さん(47)が共同で考案。函館の港や桟橋のイメージを背景に赤い円の中央に靴が描かれている。今後、同会の文書などに活用してPRに役立てる。

 24日のイベントは函館YWCA主催の「Y・わいクリスマスマーケット」(午前11時―午後2時)。同会では、世界各地のカラフルな柄が特徴的な染め布(1枚2000円前後)や画家竹久夢二の絵はがき(2枚100円)、横浜のクルーズ船運営会社ロイヤルウィング(福場政司社長)の総料理長らが監修したショコラなど17品目を並べる。

 宮崎会長は「函館では珍しい物を安く提供する。この機会に、会の活動趣旨を多くの人に理解してほしい」と話している。(新目七恵)


◎函水高海洋技術科3年チームが2年連続全国大会へ
 函館水産高校(齋藤隆校長、生徒477人)海洋技術科3年の生徒3人で構成する研究チームがこのほど、釧路管内厚岸町で開かれた道高校水産クラブ研究発表大会で2年連続の優秀賞に輝き、12月12日に小樽市で開催される全国大会に出場することが決まった。同校食品科3年生チームも優良賞を受賞し、ダブル入賞に関係者は喜びに沸いている。海洋技術科チームの吉江裕太君(18)は「とてもうれしい。全国大会でも頑張りたい」と意気込んでいる。(長内 健)

 同大会は地域の自然や水産業にスポットを当てた研究の成果を披露する場で、道内の4高校から計11チームが参加した。海洋技術科のチームは吉江君と渡邊文也君(18)、越後俊哉君(18)で、「マナマコ生産の基礎研究」とのテーマで発表。同校で飼育していた北斗沖産マナマコの成長や水槽内での清浄能力について報告した。地元の水産物に着目した内容と発表の仕方が評価された。渡邊君は「地道な取り組みが実を結んで良かった」と話した。

 食品科チームは野呂亮太君(18)と山口龍馬君(18)、木元大輝君(18)。ホッケやサンマなど実習で余った魚の内臓などを使った魚しょうゆに大豆しょうゆを混ぜ合わせ、同校オリジナルの「魚しょうゆ」を製造した研究を発表した。木元君は「自分たちの研究が評価されてうれしい」と笑顔を見せた。

 指導に当たった西川正一教諭は「生徒がよく頑張ってくれた。今回の達成感を忘れず次も1位を目指してほしい」と話していた。