2008年11月28日(金)掲載

◎知内ニラ 通年出荷目指す…生産組合
 【知内】知内町ニラ生産組合(石本顕生組合長、74戸)は知内特産野菜のニラ「北の華」の通年出荷を目指し、寒冷地に強い品種の試験栽培に取り組んでいる。寒さが増す11、12月はニラの“休眠期間”で栽培はきわめて難しいとされているが、石本組合長(55)は「一年を通して安全でおいしいニラを消費者に食べてもらうのがわれわれの夢。いつ実現できるか分からないが、冬でも元気なニラを育てたい」と意気込んでいる。

 「北の華」は幅広で柔らかくて甘みもあり、全国的に人気のブランド品。1971年春に町重内地区の農家8戸で始まったニラ栽培は品種改良を加え、73年に重内ニラ組合が6.4トンを初出荷した。

 86年には59戸に農家が増え、年間販売額も1億円を突破。以来着実に販売額を伸ばし、昨年10月には8億円の大台となり、今年は11月7日現在で8億6500万円(昨年同期比約4000万円増)を記録している。

 「本当に気を遣う」と各農家が声をそろえるように、ニラは寒さや日照状況などの自然環境の変化に敏感。冬季の試験栽培は今年、農家6戸が取り組んでおり、町重内65の大島貢さん(38)は「冬でもニラは育つが、『これが知内のニラ』と自信を持てる味までには至っていない。生産はお客さんとの信頼が命。組合員同士で情報交換をして改良に努力している」とし、ハウス2棟(約460平方メートル)で改良研究に励んでいる。

 試験はマルチシートと呼ばれる黒い保温ナイロンを土に張るなどし、自然条件に適した品種選びを進めている段階。新函館農協知内基幹支店(松岡守支店長)は「高品質なニラを育てるには精度の高い記録資料と経験が必要。農協としても全面的に協力したい」と期待を寄せる。

 同組合は生産、販売に限らず、地域貢献と商品PRにも力を入れている。15、16日には函館市民体育館で開催された日本バスケットボールリーグの公式戦に協賛企業として初参加。会場では「知内のニラでレラを応援だ!」と、ニラ束をモチーフにした応援道具(風船)1000組を来場者に配り、会場を盛り上げた。さらに、地元チームのレラカムイ北海道に「北の華」1年分(365束)も届けた。

 会場で声援した石本組合長は「『ニラ』『レラ』。呼び名が似ている分、親しみも強い。互いに努力して全国一を目指したい」という。「北の華」の年明け後の出荷は例年1月上旬。スーパーなどの店頭に並ぶのは同中旬の予定だ。(田中陽介)


◎燃油高で2億3300万円補正…函館市
 燃油高の影響を受け、函館市は本年度の一般会計と事業会計予算に計約2億3300万円を対策費として増額補正することを決めた。昨年度は既存の経費でやりくりした施設暖房などの管理施設等燃料費が、本年度はこれまでにない膨大な金額に達したため。省エネタイプの農・漁業用機械購入を促進する条件付き貸付金や、昨年度に続き緊急福祉灯油購入助成事業も併せて実施する。12月上旬に開会予定の市議会第4回定例会に、関係する補正予算案を提案する。

 施設等燃料費は、市の施設のほか指定管理者施設も含め、一般会計は約1億1209万円(当初は約5億2534万円)、温泉事業会計は約1415万円(同3100万円)増額。夏から秋にかけての値上がりの影響が大きく、特に火葬場で使用する灯油の値上がりが響いたという。合わせて約1億2623万の増額だが、予算内のやりくりで、全体の増額は抑えた。

 農・漁業用機械等購入資金貸付金の制度は従来もあったが、要望を受け緊急措置として初めて省エネタイプという条件付きで行う。希望者数などから農業者2件、漁業者32件の利用を見込み、3600万円を増額する。

 福祉灯油の予算額は約7108万円。対象は昨年度と同じ市民税が非課税で(1)75歳以上の高齢者(2)一人親(3)重度障害者―の世帯で、約1万3000世帯。1世帯当たり5000円を助成する。石油製品の価格は下がっているとはいえ、依然として高水準にあるため継続実施を決めた。市財政課は「燃料高騰が原因でこれほど多額の補正をするのは初めて。他の経費を節減して対応したが厳しい状況にある」と話している。(小泉まや)


◎正答率 全道平均下回る…全国学力テスト 結果分析
 道教委は27日までに、文部科学省が4月に実施した全国学力・学習状況調査(学力テスト)の地域、管内別の平均正答率の傾向や学力向上策などをまとめた報告書を発表した。渡島、檜山両管内の平均正答率は、全道と比べやや低い傾向だった一方、函館市を含む3都市は、規模の小さいその他の自治体より正答率が高かった。

 正答率の管内別傾向では14管内中、全道平均を上回ったのは石狩や上川、留萌の一部のみ。渡島は中学生の数学Aと国語Bが「やや低い」となり、主に国語、数学「図形」の知識・技能を活用する力の育成指導を改善する必要性が指摘された。一方、檜山は特に中学生の数学Aが「低い」結果で、主に数学の「数と式」の指導の工夫が求められるとした。

 地域規模別の平均正答率では、函館、札幌、旭川の3都市が対象となる「大都市、中核市」が、その他の市町村に比べ、すべての項目で上回った。

 こうした地域間格差の要因について、渡島教育局の嶋田聡生涯学習課長は(1)学級規模(2)教員配置(3)家庭学習―の3つを挙げた。「子どもが多ければ多様な考えを出し合えて学習の幅も広がるが、少人数ではそうでない場合もある。家庭の事情などで函館市や近郊にベテラン教員が多い傾向にあるほか、家庭学習が熱心かどうかも大きな要因の1つだ」と話す。 道教委の報告書では学力向上策として6つの提言をまとめている。具体的には@学ぶ楽しさを実感させるA授業以外の学習の機会や時間を確保するB子どものつまづきをフォローする―など。嶋田課長は「渡島教育局が主催する研修会や指導主事の学校訪問の場で紹介し、地域の要望があれば学習会にも出向くなどしてこれら提言の普及、啓発を図りたい」と話している。(新目七恵)


◎裁判員制度候補者名簿記載の通知 きょう発送
 最高裁判所は28日、来年5月21日に始まる裁判員制度の候補者名簿に記載されたことを通知する文書を全国一斉に発送する。候補者名簿は、全国市町村の選挙管理委員会が無作為に抽出し作成。全国50地裁と10地裁支部管内の29万5036人が対象で、函館地裁管内(渡島、檜山と後志支庁の一部21市町村)では1500人に通知が届く。

 通知は最高裁名義の封書で届き、名簿記載についての文書と調査票、回答票、制度の疑問についての小冊子「よくわかる裁判員制度Q&A」などが同封される。最高裁では裁判員制度を悪用した詐欺事件への懸念から、封書以外の手段(はがきやメール便、電話など)の不審な通知や問い合わせへの注意も呼び掛けている。

 同封される調査票は辞退の対象者(70歳以上の市民、学生など)や裁判員になることができない職業(司法関係者、警察官、自衛官など)の確認、1年のうち制度参加が困難な時期や理由など数項目となる。

 裁判員を交えた公判は、来年5月21日以降に起訴された殺人などの重大事件が対象となるため、早くて7月ごろから開かれる見通し。名簿記載者の中から、事件ごとに50―100人が選ばれ、裁判の約6週間前までに裁判所への呼び出し状や質問票が届き、さらに選任手続きを経て、実際に審理を行う裁判員6人と補充裁判員が選ばれる。

 同地裁は「今回の通知は裁判員に選ばれるかも知れないという心の準備をしてもらうもので、直ちに裁判所に来てもらうものではない。疑問があれば、裁判所に気軽に問い合わせをしてほしい」と話している。(今井正一)


◎特別会計を電子申告…市水道局
 函館市水道局は27日、インターネットによる国税電子申告・納税システム「e―Tax(イータックス)」を利用し、消費税の申告が必要な水道事業と公共下水道事業の特別会計2事業の中間申告を行った。函館税務署によると、特別会計を電子申告に切り替えたのは道内の自治体では3例目、道南では初めて。

 e―Taxは所得税や法人税、消費税など国税の申告・納税がインターネットで行えるシステム。移動や窓口待機などの手間が省けるほか、税務署の執務時間外でも提出できるメリットがある。同水道局は「事務手続きが効率化し、経費削減効果も見込まれる」としている。

 この日は同水道局の中林重雄局長が、事前に担当職員がパソコン上で作成した申告書を初めて送信。これまでは毎月1回、往復約1時間かけて函館税務署(市内中島町)に出向いて手続きをしていたが、今後は必要事項の入力も含め1事業5分程度で申告が完了するという。

 昨年度の同税務署管内のe―Taxの利用率は、所得税が11・0%、個人事業者の消費税が27・9%にとどまる。個人や民間法人での利用が増える一方、官公庁ではほとんど利用されていないのが現状。政府は2013年度までに利用率65%の目標を掲げていて、同税務署は「今後は他の市町村にも普及させたい」としている。(森健太郎)


◎上映作品ポスターずらり…イルミナシオン
 「函館港イルミナシオン映画祭2008」(12月5―7日)の上映作品のポスターなどを集めた展示会が、函館市若松町12のJR函館駅2階のイカすホールで行われている。30日まで。

 同映画祭は市民有志でつくる実行委(米田哲平実行委員長)が主催。1995年に「函館山ロープウェイ映画祭」として始まり、今年で14年目を迎える。「スペシャル」と銘打った今回は、函館山ロープウェイ展望台クレモナホール(函館山山頂展望台)と函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)内の十字街シアターの2会場で、近年亡くなった今村昌平ら3監督をしのぶ特集企画「栄光の日本映画」、第1回映画祭の上映3作品を振り返る「函館0年特別上映」などを含め、多彩なジャンルの26作品を上映する。

 展示会場には、今年の映画祭で上映する06年の中国映画「胡同(フートン)の理髪師」や07年に制作された熊坂出監督の「パークアンドラブホテル」のほか、95年の映画祭で上映された岩井俊二監督の「ラブレター」、森田芳光監督の「キッチン」のサイン入りポスターなど計27点が並ぶ。

 午前10時―午後5時。スタッフの古崎邦彦さんは「新旧の作品を目で楽しみ、映画祭の雰囲気を味わって」と話している。(新目七恵)


◎5日からイルミナシオン映画祭
 12月5日から函館市内の2会場で開催される「函館港イルミナシオン映画祭2008」(実行委主催)は、日本映画界を支えた巨匠の作品を振り返る特集をはじめ、若手監督の最新作や初の海外作品の上映などを盛り込んでいる。シンポジウムや恒例のパーティーも予定されており、映画の世界を満喫できる3日間となりそうだ。

 メーン会場となる函館山ロープウェイ展望台クレモナホールでは、新旧幅広い12作品を上映。特集企画「栄光の日本映画」では、初日のオープニング上映で故今村昌平監督の「豚と軍艦」(61年)、2日目に故市川崑監督の未公開作品「その木戸を通って〜FUSA」(93年)、坂本竜馬暗殺までの2日間を描いた故黒木和雄監督の「竜馬暗殺」(74年)を紹介する。

 もう一つの特集企画「函館0年特別上映」では、第1回映画祭のラインナップ「オートバイ少女」(94年、あがた森魚監督)、「草の上の仕事」(93年、篠原哲雄監督)、「裸足のピクニック」(92年、矢口史靖監督)を上映。あがた、篠原両監督のほか、08年ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞に輝いた熊坂出監督の「パーク アンド

 「ラブホテル」に出演した女優のりりィさんらゲスト20人を予定している。

 5日午後9時半からは金森ホールでオープニングパーティー「牛頭(ごず)BAR」(ドリンク、フード食べ放題3000円)、6日午後8時45分からは函館山山頂展望台レストラン・ガードで公式パーティー(同3000円)を開催。7日午後1時半からは十字街シアターでシンポジウム「映画祭ってなんだ!」(参加無料)も行う。

 入場料は十字街シアターが1回500円、クレモナホールが1回券大人1200円(当日1500円)。2会場共通1日券大人2500円(当日3000円)など。市内松柏堂プレイガイドなどで販売中。問い合わせは事務局0138・22・1037。(新目七恵)