2008年11月29日(土)掲載

◎大沼も冬準備…遊覧船、陸揚げ
 【七飯】本格的な冬を前に、七飯町大沼湖上で観光遊覧船を運航する大沼合同遊船(堀元社長)は28日、遊覧船3隻を陸上に移動した。この日は湖に薄い氷が張る早朝から作業を開始。ワイヤで引き揚げられ、丁寧に船体が磨かれた遊覧船は来春まで“冬眠”する。

 今年は4月中旬から遊覧船5隻を運航。北海道洞爺湖サミットや原油高騰によるドライブ客の減少の影響を受けながらも、昨年並みの国内外の約6万2000人が乗船した。毎年、大安に合わせて安全を祈願した後、船の陸揚げ作業に当たっている。

 この日は午前中に社員総出で3隻を陸揚げ。船台に乗せて引き揚げた船の側面の汚れを落とし、スクリューなどを取り外した。残り2隻は湖の結氷まで運航する。(笠原郁実)


◎燃油高で2億3300万円補正…函館市
 燃油高の影響を受け、函館市は本年度の一般会計と事業会計予算に計約2億3300万円を対策費として増額補正することを決めた。昨年度は既存の経費でやりくりした施設暖房などの管理施設等燃料費が、本年度はこれまでにない膨大な金額に達したため。省エネタイプの農・漁業用機械購入を促進する条件付き貸付金や、昨年度に続き緊急福祉灯油購入助成事業も併せて実施する。12月上旬に開会予定の市議会第4回定例会に、関係する補正予算案を提案する。

 施設等燃料費は、市の施設のほか指定管理者施設も含め、一般会計は約1億1209万円(当初は約5億2534万円)、温泉事業会計は約1415万円(同3100万円)増額。夏から秋にかけての値上がりの影響が大きく、特に火葬場で使用する灯油の値上がりが響いたという。合わせて約1億2623万の増額だが、予算内のやりくりで、全体の増額は抑えた。

 農・漁業用機械等購入資金貸付金の制度は従来もあったが、要望を受け緊急措置として初めて省エネタイプという条件付きで行う。希望者数などから農業者2件、漁業者32件の利用を見込み、3600万円を増額する。

 福祉灯油の予算額は約7108万円。対象は昨年度と同じ市民税が非課税で(1)75歳以上の高齢者(2)一人親(3)重度障害者―の世帯で、約1万3000世帯。1世帯当たり5000円を助成する。石油製品の価格は下がっているとはいえ、依然として高水準にあるため継続実施を決めた。市財政課は「燃料高騰が原因でこれほど多額の補正をするのは初めて。他の経費を節減して対応したが厳しい状況にある」と話している。(小泉まや)


◎函館市中期財政試算、5年間で財源不足313億円
 函館市は27日、来年度から5カ年の中期財政試算を公表した。一般会計は5年間で313億9500万円の財源不足が生じるが、行財政改革の推進と市債(借金)の発行、基金(貯金)の活用で315億2500万円を生み出し、収支を1億3000万円の黒字とする計画。財源調整用の基金は2010年度の取り崩しでなくなり、同年度からは90億円ある特定目的基金から借り入れるとしている。(高柳 謙)

 2008年度の一般会計決算見込みを基に、いずれも現行制度に基づいて試算した。職員の退職手当が高い水準で続き、生活保護などの扶助費も年々増加。一方で地方交付税や市税の増加は見込めず、非常に厳しい状況が続く。

 歳入の柱となる普通交付税は来年度、今夏の概算要求ベースなどから本年度比3・1%、約13億5000万円の減額を見込み、5年間を同額で見積もった。市税も増加する要因はなく、来年度は3年に1回の固定資産評価替えがあることなどから同4%、約10億円の減収となり、やはり5年間同額とした。

 出削減に努め、普通建設事業費は来年度105億円が見込まれるが、10年度以降は毎年80億円とした。職員給与もベアゼロでみた。

 それでも来年度から毎年64億円から51億円の財源不足が生じるため、行財政改革の徹底を図る。現在の行革新5カ年計画は12年度で終了するが、中期財政試算最終年度の13年度にも職員100人を削減する姿勢を示し、5年間で134億円を生み出す。行革効果額の中には市民負担の増加も予定している。

 さらに退職手当債と行政改革推進債の市債を133億円発行し、基金の活用は56億円。使途が限られている特定目的基金からの借り入れは34億円だが、13年度からは基金に頼らない財政運営を見込んでいる。

 市財政課は「行財政改革の効果は出ているが、追い付かない状態。交付税や市税収入が好転しない限り、特定目的基金から借り入れせざるを得ない」と話している。


◎富士海洋土木が海藻増殖ブロックでの実証実験開始へ
 港湾・水産土木工事業の富士海洋土木(江差町中歌町、須田新輔社長)は、独自に開発した海藻増殖ブロックを用いた本格的な実証実験に乗り出す。天候状況を見ながら、早ければ29日に函館市根崎町の沖合に専用ブロック「マリンスパイダー」を設置。2年間にわたり、ガゴメ(トロロコンブの仲間)の生育状況や魚礁としての効果などについて定期的な調査を進め、実用化を目指す。

 建設業者や海洋事業者などで構成する海藻増養殖技術研究会(会長・森川基嗣森川組社長)が2003年から砂浜での藻場造成に関する研究を実施。同研究会の一員である富士海洋土木がこのほど、海藻増殖ブロック開発の担当事業者として、函館地域産業振興財団(高野洋蔵理事長)の助成対象に選ばれた。

 マリンスパイダーは、3枚のプロペラ型の台座に3本の丸い支柱を取り付けた形状。高さは2メートル、重さは5トンあり、波の抵抗をできるだけ和らげ、砂に埋まりにくい構造で、ブロックの上部には樹脂製で網目状の「ネトロンパイプ」を24本装着。直径9センチ、長さ60センチの同パイプ1本には、5ミリ程度に成長したガゴメの種苗をまんべんなく植え付けたひもを6、7本巻きつける。パイプはボルトに通したピンで止めているため簡単に着脱できる。

 ブロックは1、3、6基の組み合わせで、水深8メートル、10メートル、12メートルに分けて計30基設置。これまでの実験では、水深10メートルでガゴメが無事に成長することが確認できており、作業効率を高めるため、より浅い海底でも対応できるかを見極める。ブロックの下でヒラメやカレイの稚魚が生息するか、相乗効果にも期待が掛かる。

 須田社長は「漁協の力を借りながら、2年後には製品化にこぎ着けたい。一次産業を活性化できるよう、生産者と開発者の夢をかなえられれば」と事業の成功に願いを込めている。(浜田孝輔)


◎函館児童相談所で非常勤保護指導員が中学生にけが負わす
 函館児童相談所(函館市中島町37、土渕美知子所長)の60代の非常勤の男性保護指導員が17日、一時保護所にいた男子中学生に対し、右親指の亀裂骨折など全治約1カ月のけがを負わせていたことが28日分かった。

 同相談所によると、17日午後7時すぎ、施設内で男子生徒が興奮状態となり、保護指導員が制止しようとした際に、男子生徒に親指の骨折のほか唇を切るけがを負わせた。男子生徒は病院で治療を受けたという。男子生徒の保護者からは函館中央署に被害届が出され、同署は25日に受理している。

 土渕所長は「いかなる事情があったにせよ、結果として負傷させてしまい、誠に申し訳ない。保護者にも謝罪をしている。全職員で再発防止のチームを作り、意見を集約して改善策を検討したい」と話した。保護指導員は現在、自宅謹慎中で「申し訳ないことをしてしまった」と反省しているという。

 同相談所は常勤職員23人と非常勤職員14人からなり、一時保護所の夜間は非常勤職員2人体制。一時保護所は18歳未満の子どもを家庭の事情で2カ月以内をめどに、その後の処遇が決まるまで一時的に預かる施設で、年間延べ100人ほどの利用があるという。


◎森田監督が函館で映画ロケ
 「サウスバウンド」「椿三十郎」などで知られる森田芳光映画監督が、最新作「わたし出すわ」を函館市内で撮影中だ。女優の小雪さんが主演を務め、市民も多数エキストラ参加しながら、ロケは順調に進んでいる。

 森田監督の函館ロケ作品は「ときめきに死す」(1984年)、「キッチン」(89年)、「海猫」(04年)に続いて4作目。今回は脚本も自身で手掛けている。 映画は、突然帰郷した女性山吹摩耶(小雪さん)が同級生と再会し、彼らの「夢」や「希望」の実現のため、次々に「私、出すわ」と大金を提供する…というストーリー。誰にでも必要な「お金」をモチーフに、その存在や使い方、考え方を通し人間性を描き出す。黒谷友香さん、小池栄子さんらも出演する。

 函館での撮影は16日に始まった。スタッフは約50人で、五稜郭タワー駐車場や道立水産試験場、ホテルなど市内各所でロケを行っている。

 27日には市民エキストラ20人も加わり、谷地頭電停で主人公の摩耶が市電の運転手になった高校の同級生道上(井坂俊哉さん)と出会うシーンのなどが撮影された。出演者が1シーンの動きを何度も繰り返し確認したり、本番前に森田監督から入念な演技指導を受ける場面も見られた。

 プロデューサーの三沢和子さんは「天候の変化を何とかかいくぐり、撮影は順調に進んでいる。監督含めスタッフや出演者は函館をすごく気に入っている」と話している。函館ロケは12月10日まで。都内での撮影後、2009年に全国公開の予定。(新目七恵)


◎知内で特産野菜を教材に食育
 【知内】知内町内の農家の主婦が児童に家庭料理や地域伝統料理などを紹介し、食の大切さや古里の特産品の魅力を紹介する教育事業が12月12日、知内公民館と近くの知内小学校(大澤照雄校長、児童206人)で初めて行われることになった。ニラやトマト、ジャガイモ、長ネギ、カボチャなどの特産野菜を“教材”に、農家のお母さんたちが熟練した腕でご馳走を振る舞うユニークな試み。「食育」をテーマに子どもたちの健やかな成長を願い、地域健康づくりの一層の充実を目指す。(田中陽介)

 新函館農協知内基幹支店(松岡守支店長)の女性部(笠松悦子部長、63人)が企画。毎年この時期に開催される創作料理コンテスト「農村生活工夫展」が今年で30回目の節目を迎えることから、「自分たちの経験と知恵を生かした取り組みで、地域貢献を図ろう」と部員同士でアイデアを重ねた。

 メンバーと児童が互いに料理をつくり、味見をして親ぼくを深め、専門家を招いた健康講演会も予定。26日の部会で概要を正式決定した。当日は同小調理室で6年生43人がジャガイモとデンプンで郷土料理「団子汁」をつくる。レシピは女性部が用意し、調理のこつをアドバイスする。

 公民館では過去の同展で入賞した作品の「ニラ肉巻きゴマフライ」「ニラのりまき」「カボチャプリン」「トマトジュース入り牛乳ヨーグルトケーキ」などを部員が調理する。出来上がったメニューを同館講堂に運び、バイキング形式で子どもたちと一緒に食べる。

 午後からは部員を対象に健康講演会が開かれ、町給食センター職員で栄養教諭の馬場てる子さんと保健センター栄養士の西田幸子さんが講師となり、大豆料理などの実演で栄養面と味付けの一工夫を紹介する予定だ。

 同女性部は2日に町保健センターで事前料理講習会を開き、子どもたちに振る舞う創作料理の調理の確認などを行う。笠松部長は「主婦ならではの知識と経験を伝えることは古里の発展につながるはず。児童が郷土料理を覚えて、各家庭で作れば家族との触れ合いにもなる」と話している。  


◎函館三菱ふそう、警備員手づくりのドラえもん人形登場
 函館三菱ふそう自動車販売(函館市昭和3、川島晃社長)のショールームに、同社警備員七崎隆夫さん(67)が漁業用の浮き玉などで手づくりした人気アニメキャラクター「ドラえもん」「ドラミちゃん」の人形が登場した。「交通安全」の旗を掲げ、店内からガラス越しに登下校の小学生に注意を呼び掛けている。「かわいい」と立ち止まる子どもたちもいて、七崎さんは「子どもが好きなので喜んでもらえてうれしい」と目を細める。(宮木佳奈美)

 七崎さんは元大工で、漁師の友人から浮き玉を譲り受けたのを機に、以前見掛けた浮き玉を再利用した人形を思い出して製作した。ドラえもんは「タケコプター」を含めて高さ約70センチ、ドラミちゃんは約50センチ。頭部に浮き玉、胴体にプラスチック製のバケツ、鼻と尻尾はピンポン玉を使用した。

 腕はドラえもんがシャンプーの容器、ドラミちゃんはプラスチック製の野球用バットとボールで、胴体との接合に苦労したという。イラストを参考に顔も自ら描いて、2週間程度で完成させた。

 交通量の多い国道5号に面した同社の前は、近くの函館北昭和小学校の児童が登下校の際に通り掛る。七崎さんは「子どもたちがたくさん通るので交通安全啓発になれば」と、ショールームに飾ってもらうことにした。

 子どもたちには大好評で、通るたびに窓越しに眺めていくという。同校2年の鈴木瑞萌さん(8)は「かわいいから毎日見てる」、多田緋奈乃さん(8)も「一度本物に会ってみたくなった。(ドラえもんの四次元ポケットから)欲しい物を出してほしい」と夢を膨らませていた。