2008年11月4日(火)掲載

◎函館空港にイカロボット
 函館工業高等専門学校(函館高専、長谷川淳校長)専攻科の学生らが作った観光案内用のイカロボットが、函館空港ターミナルビル1階(高松町511)にお目見えした。市電の模型に乗ったイカロボットが観光ポイントを紹介するユニークな案内システムで、早速利用者らの目を引いている。

 退職技術者と学生が企業のニーズに応じてものづくりに取り組む同高専独自事業の一環。このロボットは、函館空港ビルデングから「空港を訪れた方への函館らしいおもてなし」とのテーマで依頼を受けた。

 設置場所は国内線の到着ロビー。システムは函館山など観光地のジオラマが置かれた約3メートル四方の台の上を、市電に乗ったイカロボットが移動。各地に止まると光って上下に動き、スピーカーからその場所のガイド音声が流れる仕組み。年内中は展示する予定だ。

 長男の優生ちゃん(1)と一緒に見ていた長万部町に住む川瀬紀恵さん(32)は「子どもが電車好きで興味があるみたい。イカが光って動いたり、観光案内するのが面白い」と話していた。同高専機械工学科の浜克己教諭は「学生がマイスターと一緒にまちおこしとして作った。ぜひ一度見に来て」とPRしている。(新目七恵)


◎函館市の職員、削減計画を大幅に上回る
 函館市が市役所職員労働組合に対し、2009年度の職員削減158人を提案したことにより、旧行財政改革後期5カ年計画(2005―09年度)で掲げた職員削減目標600人に対し、計画予定人数が654人に達した。今後、市職労との交渉や水道局への削減提案などがあるが、旧計画の目標を大幅に上回る削減が実現できそうだ。 (高柳 謙)

 市の行財政改革は現在、旧計画の最終2カ年を取り込んだ新計画(08―12年度)に移行している。前市長が掲げた旧計画で見た最終年の削減計画が大筋で示されたため、達成状況を調べた。

 市行政改革課によると、旧5カ年計画で見た場合、前市長時代の05―07年度に353人を実現。現市長の08―09年度で提案中を含め301人を減らす。現時点で目標を1割近く上回る654人の削減となる。人件費の圧縮や経費節減などで生み出す累積効果額も、5年間での目標160億円を上回る見通しという。

 今回、市職労に提案した削減計画では、合併4支所の職員を組織機構の再編とともに大幅に減らす。今年4月1日に教育事務所を含めて183人いた4支所の職員を、来年4月1日には32人減の151人にする内容。5課1事務所を3課1事務所にするが、各課の業務を集約し、住民サービスの低下は招かないようにする方針。

 支所に限らず市役所全体で職員削減を進めるため、同課は「今まで以上に仕事の効率化と職場同士の連携が重要になる」と語る。厳しい財政状況が続き、西尾正範市長も行財政改革の徹底を掲げており、多様化する住民ニーズに応えながら、どう組織をスリム化するかが変わらぬ課題となっている。


◎ロシア外相きょう来函
 ロシアのラブロフ外相が4日、函館を訪問する。特別機で函館空港に到着し、旧ロシア領事館やロシア極東大函館校などを視察する。函館滞在は約6時間。来函に伴い、国道278号や元町地区で交通規制などが行われ、市や関係機関は理解を求めている。

 北海道へのロシア外相訪問は初めて。元町の極東大函館校で「ロシアセンター」開設式典に臨み、市内のレストランでは「ラブロフ外相との市民交流会」を開く。

 来函を控えた3日、元町や船見町地区、空港から西部地区を結ぶ国道278号では要人警護の演習が行われ、パトカーや白バイが往来し、随所で警官が警戒するなど物々しい雰囲気に包まれた。 ロシアセンターを開設する極東大では、ロシアの書籍など約1300点が届き、準備を終えた。ラブロフ外相、高橋はるみ知事、西尾正範市長の3人でテープカットし、センター内でロシア式の清めの儀式「成聖式」を開く予定。

 今年は函館に日本で初めてロシア領事館が開設され150年、旧領事館が建設され100年の節目で、外相訪問は節目の年を祝う最大の行事となる。西尾市長は「函館が日ロ交流の拠点となり、将来の両国関係を担う人材の育成に取り組んでいることを伝え、経済交流の推進や極東大への支援などを要請したい」と話している。(高柳 謙)


◎イルミナシオン映画祭上映作品決定
 函館山ロープウェイ展望台クレモナホール(函館山山頂展望台)、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)内の十字街シアターで12月5―7日に開かれる「函館港イルミナシオン映画祭2008」(実行委主催)の上映作品とゲストが、3日までに決まった。函館ロケの大ヒット作「ギターを持った渡り鳥」(1959年、斎藤武市監督)をはじめ、国内外の新旧幅広いジャンルの作品のほか、近年亡くなった今村昌平、市川崑、黒木和雄の3監督をしのんだ特集企画など計25作品の上映を計画。ゲストには女優の坂井真紀さんら20人を予定している。(新目七恵)

 初日の最初の上映となる「ギターを持った渡り鳥」(同ホール、5日午後零時半)は函館山ロープウェイ50周年記念とし、希望者ペア100組を招待する。初の海外作品では06年の中国映画「胡同(フートン)の理髪師」(同ホール、5日午後3時)と07年のオランダ映画「愛しのティツィア―出島の西洋婦人像」(十字街シアター、6日同2時)の上映を予定している。

 邦画界の巨匠を追悼する特集上映「栄光の日本映画」では、今村監督の61年の「豚と軍艦」(同ホール、5日午後6時半)、市川監督の日本初公開作品となる93年の「その木戸を通って〜FUSA」(同、6日午後1時15分)、黒木監督の74年の「竜馬暗殺」(同、同午後6時5分)を予定。このほか、95年の第1回の同映画祭で上映した3作品の紹介、恒例のゲストと交流するパーティーや十字街シンポジウム(十字街シアター、7日午後1時半)など、多彩なイベントも用意する。

 実行委の中野三博事務局長は「海外作品も取り入れ、原点を見つめ直す上映ラインアップを用意した」と説明している。

 入場料は両会場共通の1日券が大人2500円など。ローソンチケットなどで販売しているほか、同センターなどで6日から取り扱う。詳しい上映内容などが掲載されたチラシ約8000部が、公共機関など各所に置かれている。問い合わせは函館事務局TEL0138・22・1037。


◎8、9日に空港目指すスタンプラリーラリー
 航空関連業者など18団体で構成する「函館空港利用促進協議会」(岡山裕則会長)は8、9の両日、函館空港ターミナルビル(高松町511)を目指して市内各所をめぐる市民向けのスタンプラリーイベントを開催する。空港を身近に感じてもらおうと初めて企画。運営する公立はこだて未来大4年生の篠田一成さん(21)は「これを機に函館の良さを見つけて」と話している。(新目七恵)

 同協議会は函館空港を核とした地域振興の在り方を検討する目的で、広報活動やサービス改善などに取り組んでいる。

 今回、空港を普段利用しない市民にも足を運んでもらおうとイベントを考案。子どもにも楽しめるゲーム形式とし、将来の航空需要の拡大を図る。

 ラリーは、五稜郭タワー(五稜郭町43)や函館市中央図書館(五稜郭町26)など市内6カ所のチェックポイントすべてを2日間のうちにめぐり、各所でスタンプを集めてラリー本部のある函館空港を目指す。移動はバスや市電など公共交通を推奨しているが、自家用車でも可。完走者はアンケート記入後に抽選会に参加でき、両日とも先着約140人に図書カードや函館バスオリジナルチョロQなどが当たる。両日の参加者のうち、抽選で1人には最新ゲームの「ニンテンドーDSi」が当たる。

 両日とも午前10時―午後4時。当日は函館空港を除くポイント6カ所にラリーシートが置いてあり、どこからでも参加できる。参加無料だが、交通費は自己負担。小学生は保護者同伴。問い合わせは同協議会TEL0138・57・2416。当日はスタッフ090・8726・8308。

 同タワーと同図書館のほかのチェックポイントは▽函館市地域交流まちづくりセンター▽函館駅前バルターミナル▽長崎屋バス待合所内▽駒場車庫前。


◎箱館奉行所復元工事、特別公開に市民ら2000人
 国の特別史跡「五稜郭跡」で函館市が進める箱館奉行所庁舎復元工事の様子が3日、特別公開された。これまでの公開は抽選に当たった人に限られていたが、この日は誰もが見学できる初めての機会とあって、約2000人の市民や観光客が来場し、幕末当時の建築技法に基づいた工事に見入っていた。

 1864年にしゅん工した同奉行所は、五稜郭跡の中心にあった建物。庁舎全体の3分の1に当たる約1000平方メートル(平屋)を復元している。2006年7月に着工し、10年6月の完成、同年秋の一般公開を目指す。文化の日に合わせた特別公開は、市や設計を管理する文化財保存計画協会(東京)、復元工事共同企業体が行った。

 開場予定の10分前には約50人の見学希望者が並び、予定を繰り上げて公開。実演では木材へのかんながけや、屋根に杉板を止める「土居ぶき」などの作業が行われ、来場者は職人の技術に見入っていた。中庭に面した壁では荒壁への土塗り体験も行われ、市内本通の白井征二さん(67)は「歴史的な建物の復元に参加できるのはうれしい。完成したら見に来ます」と話していた。(小泉まや)


◎金森赤レンガ倉庫で道南オリジナルビールの試飲会
 函館市末広町の金森赤レンガ倉庫(渡邉兼一社長)BAYはこだて内の「カフェ&ダイニング かねもり」(後藤敏一総支配人)で2日、同倉庫敷地内で収穫した大麦とホップを使用したオリジナル生ビール「Oh My 金森ビール」の試飲会が行われた。自ら原材料を育てた一般市民ら約60人が、さわやかなのどごしのビールを楽しんだ。(小川俊之)

 同倉庫では開業20周年記念イベントとして、敷地内で大麦とホップを育てて道南オリジナルの生ビールを作ることを企画。5月5日に一般公募による20家族が各1メートル×2メートルの畑に種をまき、8月7日に収穫した。札幌市の札幌開拓使麦酒醸造所(征矢真一社長)に醸造を依頼し、約1000リットルのオリジナルビールが出来上がった。

 試飲会には17家族約60人が参加。征矢社長は「現在、道内で大麦やホップを生産しているのはごくわずかの地域なので、道南で育った材料でビールを作ることができるとは思っていなかった。予想以上に素晴らしいビールができたので、存分に味わってください」とあいさつ。渡邉社長の「乾杯」の発声で一斉にグラスを傾けた。

 参加者の一人、柴崎靖之さんは「自分が作った材料で出来上がったビールの味は格別。今後もこのような企画があればぜひ参加したい」と笑顔を見せていた。

 「Oh My 金森ビール」はカフェ&ダイニング かねもりと、同倉庫函館ヒストリープラザ内の函館ビヤホールで味わうことができる。小ジョッキ470円、中ジョッキ720円、在庫がなくなり次第販売終了となる。