2008年11月5日(水)掲載

◎歴史、交流の深さ強調 ロシア外相が函館訪問…「ロシアセンター」開設
 ロシアのラブロフ外相が4日、日ロ交流150年の歴史を刻む函館市を訪れ、旧ロシア領事館や函館ハリストス正教会などゆかりの地を視察した。元町14のロシア極東大函館校では「ロシアセンター」の開設式典に出席。「函館とロシアの深い歴史的な関係から、ロシア語圏以外で初めてこの地にロシアセンターを開設した」と函館を選んだ意義を述べ、交流をさらに発展させていく考えを示した。

 ロシア外相の北海道訪問は旧ソ連時代を含めて初めてで、午前10時すぎに政府専用機で函館空港に降り立った。極東大函館校では強風が吹き、時折みぞれが降る天候の中、大勢の来賓が出迎えて開設式典が行われた。

 ラブロフ外相は「ロシアセンターは通常、首都や大都市に開設されるため、この意義は大きい。函館の皆さんにロシアの文化や言語を伝え、交流促進につながることを期待する」と述べた。高橋はるみ知事も「外相の来道に心からお礼を申し上げる。ロシアセンターの開所で両国の相互理解や交流が促進される」と期待した。

 7月の北海道洞爺湖サミットでメドベージェフ大統領の来函が期待されたが実現しなかったため、西尾正範市長の喜びもひとしお。日本で初めてのロシア領事館が開設され150年の節目にロシア外相を迎えたことに謝辞を述べ、「文化、教育、経済などで交流を深めてきた。今後もさまざまな活動を通じて友情をはぐくむことができるよう、大いに貢献したい」と意欲を語った。

 外相、知事、市長と極東大のクリロフ学長の4人でテープカット。引き続き校舎内に開設したロシアセンターで、ロシアの儀式「成聖式」を行った。ロシア政府系基金が2600万円を負担して整備したセンターは、白い壁に赤を基調としたデザインで、書籍やDVD、CD、雑誌など1300点を備える。パソコンのほか、将来的にはロシアのテレビ放送を受信する大型テレビも配している。

 ラブロフ外相は同日開かれた市民との交流会で、日本の地方都市で培われてきた日ロ友好の歴史とともに「市民の心からの友好や好意的な気持ちが印象に残った」と語った。

 外相は5日、東京都内で中曽根弘文外相と会談する。


◎ロシア外相「両国友好のシンボル」…旧領事館整備の協力検討
 4日に来函したロシアのラブロフ外相は、函館市が再整備を計画している旧ロシア領事館(同市船見町)について「復元に協力する可能性を検討している」と述べ、何らかの支援を考えていることを明らかにした。西尾正範市長もロシア側と協調して旧領事館整備を進める考えを記者団に伝えた。旧領事館整備の費用は概算で3億円以上。

 ラブロフ外相は末広町の五島軒本店で開かれた「市民交流会」でスピーチ。市民の歓待を受け、長い交流の歴史が伝わるとした。1908年に建設された旧領事館については「重要な建築物というだけでなく、両国民の友好のシンボル。両国が未来志向のパートナーシップを発揮していく上でも重要」と位置付けた。

 また、「政府間交流は欠かせないが、地方や市レベルでの交流の拡大にも関心を持っている」とし、函館市が姉妹都市提携しているロシアのウラジオストク市やユジノサハリンスク市との今後の交流拡大にも期待を寄せた。

 領事館復元に向けたロシア側の姿勢について、西尾市長は「支援という言葉をいただいたが、具体的な内容は決まっていない。モスクワの方からいろいろな話が出るかもしれないが、在札幌ロシア総領事館や極東大と内容を詰めていきたい」とした。将来的には復元後の旧領事館へロシアセンターのほか、札幌総領事館函館事務所を移転する考えを示した。

 交流会に出席したロシア領事館復元活用の会の工藤玖美子代表(67)は「外相が旧領事館復元についてきちんと考えてくれていることが分かった」と安Gヒ(あんど)した様子で、「歴史を感じられる施設として活用してほしい」と望んだ。

 函館日ロ親善協会の倉崎六利会長(79)は「1989年の協会創設から歴代の会長、会員の友好への尽力、150年の歴史の積み重ねが結実し外相の訪問となった。ロシアという国が函館に目を向けていることがありがたい」と感慨深げに語った。

 市民交流会には極東大や友好団体、経済界、市議会関係者ら約60人が出席した。

 ラブロフ外相の訪問に伴い4日、函館市内は一部の道路で交通規制などが行われた。要人警護のため警察官が街角に立つなど物々しい雰囲気となり、市民や観光客が遠巻きに様子をうかがう姿が見られた。

 元町町会では市から依頼を受けて、4日に交通規制があることを知らせるチラシを事前に住民に配った。上野伊和夫会長代行(75)は「外相や一行の行列は見られなかったがたくさんの警察官を見た。何事もなくよかった」と話した。五島軒本店付近で要人警護の様子を目にした末広町の佐々タツさん(83)は「自分には関係ないと思って気にせず出掛けたが、様子が仰々しかった」と驚いていた。

 市役所周辺には政治団体の街宣車も走ったが、目立った混乱はなかった。



◎「誇り持てる町に」…森町臨時議会・佐藤新町長が所信表明
 【森】森町長選(10月19日投開票)で初当選した佐藤克男町長(58)が4日、第5回臨時町議会で所信表明し、「町民が誇りの持てる町に」として5つの政策を掲げた。この日は、町長選に出馬した前副町長の阿部真次氏の辞任後、不在となっていた副町長に町住民生活課長の増田裕司氏(55)、10月31日付で教育長を辞任した長崎一英氏に代わり、町会計管理者兼出納室長の磯邉吉隆氏(59)が教育委員に選任され、同日行われた教育委員会で教育長に互選された。(笠原郁実)

 傍聴席からあふれるほどの町民が見守る中、所信表明に立った佐藤町長は、37年間にわたり町を支えた前町長、湊美喜夫被告(競売入札妨害罪で起訴)の功績をたたえた上で、少子高齢化や公共事業の激減、商店街の疲弊といった大きな時代の“波”に対し、「いかなる変化があろうと、変化に合わせて発展、次世代へとつなげたい」と強調。(1)財政改善策(2)砂原地区の簡易水道事業の推進(3)国保病院の維持(4)介護マイレージの導入検討(5)次世代育成への支援―の5本柱を掲げ、町民、町議、職員への協力を求めた。

 その後、副町長に増田氏を選任、教育委員に磯邉氏を任命する各人事案で無記名投票が行われ、それぞれ賛成多数で同意された。増田氏は「微力を傾け、重責を果たしたい」とし、磯邉氏は「40年間培った経験を生かし、教育行政に励みたい」と決意を述べた。

 増田氏は1952年森町生まれ。森高校を卒業後、71年年森町役場入り。税務課長、保健福祉課長を歴任し、07年から住民生活課長を務めていた。磯邉氏は1949年、旧砂原町出身。森高校を卒業後、69年に旧砂原町役場入り。2005年に砂原支所収納管理課参事、07年から会計管理者兼出納室長を務めていた。


◎ガソリン価格132円…石油製品価格調査
 函館消費者協会(米田イツ会長)が4日に行った11月の石油製品価格調査によると、レギュラーガソリン(1リットル当たり)の平均価格はフルサービス式が前月比22・48円安の142・92円、セルフサービス式が同24・15円安の132・60円となり、ガソリン税の暫定税率が一時的に失効した4月以来の大幅な値下がりとなった。130円台を掲げるスタンドが現れるのは4月を除けば、昨年11月以来1年ぶり。

 調査対象は函館、北斗両市内の計25店舗。レギュラーガソリンの最高値はフルで150・15円(前月比26・85円安)、セルフで134円(同24円安)。最安値はフル、セルフとも132円(同24円安)と軒並み25円前後の大幅な下落。今年8月の最高値からはセルフで50円以上も安くなった。

 一方、ガソリンが前年同月と比べると3―5円程度安くなったのに対し、灯油は高止まりの気配もある。ホームタンク1リットル当たりの平均価格は前月比22・69円安の96・79円と大幅な値下げとなったが、前年同月比では10・74円高い。既に函館でも需要期に入り、今後の市民生活を直撃しかねない情勢だ。

 米田会長は「ガソリン価格は1年以上続いた上昇傾向にようやく歯止めが掛かった」としつつ、「灯油は命にかかわる生活基盤だけに、平均価格が80円台になるまでは動向を注視する必要がある。このままだと高かった昨年に比べても年間1万―2万円の家計への負担増が予想される」と話している。(森健太郎)

置かれている。問い合わせは函館事務局TEL0138・22・1037。


◎函館で初雪…昨年より11日早く
 函館海洋気象台は4日、函館市市内の初雪を観測したと発表した。平年より2日、昨年より11日早い観測で、同市の西部地区では午前中、時折強い風の中で雪が舞う場面もあり、身をすくめて寒さに耐える観光客の姿が見られた。

 この日は本道の上空5000メートル付近に、氷点下33・9度という12月下旬並みの強い寒気が流れ込んだ影響で各地で気温が下がり、函館は未明の雨が午前4時20分ごろにみぞれに変わった。その後、同5時すぎまで断続的に降ったほか、同9時ごろからも強風で舞うように雪が降った。最低気温も今季最低の2・5度まで下がり、西部地区の観光地では舞う雪に観光客が驚いていた。(山崎純一)


◎千代田小5年 高橋君が特別賞…道科学技術振興作品展
 函館千代田小学校5年生の高橋青玄君(11)の空き缶を使ったアイデア作品「すてたらあっ!缶」が、このほど札幌で開かれた道科学技術振興作品展(道発明工夫教育連盟主催)で、2位に当たる道経済産業局長賞(特別賞)に輝き、全国大会進出を決めた。出品総数142点中、特別賞の11人に道南で唯一選ばれた。小学2年の時から出品し全国大会は3度目。高橋君は「今度こそ入賞したい」と話している。

 高橋君は、第54回函館地方児童生徒発明くふう展で最高位の函館発明協会会長賞を受賞。全道大会には地方展で高得点だった作品が出され、審査の結果、1位の道知事賞には恵庭市の小学生の作品が選ばれた。9日には札幌で表彰式が行われる。全国大会には奨励賞以上の30点が書類審査に進み、2次審査の結果は来年1月に決まる。

 作品は、空き缶を音階順に並べて打楽器のように鳴らせるようにし、音階ごとに色も変えるなど工夫を凝らした。同連盟の松本秀明会長は「独特な発想で素晴らしい作品」と評価。特に、音譜を色で示した「カラー音譜」を添えたことが「音譜の分からない幼い子も色で音が楽しめると評判が良かった」という。

 高橋君は「飲んだジュースの缶の底を叩いたら音が違うことに気づいた」と発想のきっかけを説明。特別賞の知らせを聞いた時は「とてもうれしかった。お母さんが一番喜んでくれた」と振り返る。

 2年生の時から毎年アイデア作品を出品し、2年生で全国大会出場、4年生で全国入選を果たしている高橋君。今回は「特別賞を取りたい」と上位入賞を目指している。(新目七恵)


◎「ハコダテのうた」歌詞を募集…スウィング メン5
 来年2月に函館市末広町14の金森ホールで開催されるイベント「SWING MEN(スウィング メン)5」の実行委員会(一戸大介委員長)は、函館への思いなどをつづったオリジナル曲「ハコダテのうた」の歌詞を募集している。大賞作品には実行委メンバーが曲を付け、イベント当日に会場で演奏する。メンバーは「熱い思いを表現して」と多くの参加を呼び掛けている。

 同イベントは、函館を文化面から盛り上げようと2004年から年1回実施。毎回音楽を中心に演劇、絵画、華道など多彩なジャンルの地元アーティストがパフォーマンスを繰り広げている。

 市民参加企画として、今年は「はこだて」をテーマとした曲の歌詞を募集することにした。対象は市内在住者で年齢、性別は問わない。曲名や形式も自由で1人1作品まで。審査の結果、大賞に選ばれた人には1泊2日の湯の川温泉宿泊券をペアでプレゼントする。

 実行委メンバーの児玉絵理さん(31)は「楽器ができなくても、自分の思いをメンバーのつくる音楽にのせて表現できる良い機会」とPR。バンド「SAWNKY(スワンキー)」を主宰するサックス奏者の一戸委員長(29)も「住む街をもっと愛そうという思いが根底にある。一緒に新しい函館の歌を作りませんか」と話している。

 応募方法は作品に名前、住所、連絡先を添え、サウダージスタジオ(〒042―0941 函館市深堀町17の2)に直接提出するか郵送(「ハコダテのうた」係)する。12月15日必着。問い合わせもメールのみ受け付ける。(新目七恵)