2008年11月6日(木)掲載

◎桧山の森の香り人気です ヒバとモミで手作り石けん 建設業・能登組のネットショップで「蝦夷桧木」を発売
 【江差】江差町の建設業・能登組が運営するインターネットショップ「北風家ねっと」では、地場産のヒノキアスナロ(ヒバ)などから抽出した抗菌作用の高い精油を配合した手作り石けんの新商品「蝦夷桧木(えぞひのき)」を発売した。同ショップが取り扱っている「ガゴメ・オリーブ石けん」は全国で人気を呼んでおり、商品開発に携わる同社の能登敏専務は「檜山はヒバの伐採で栄えた地。檜山発の新商品として全国にPRしたい」と意気込んでいる。

 石けんは能登さんの妻てるみさんが経営する「手作り石けんの店ケルプ」が製造。「蝦夷桧木」には用途に応じて、洗顔、洗髪、浴用の3種類がある。厚沢部町の建設業・佐々木総業(佐々木俊司社長)が独自開発した蒸留法で抽出した、最高級のヒバとモミの精油を配合した。

 ヒバの精油は抗菌作用が高い「ヒノキチオール」の成分を豊富に含んでいる。心地よい森の香りを楽しんでもらおうとモミから抽出した精油も配合した。洗顔用はさらりとした肌触りが特長で、ニキビ予防などスキンケアには最適という。ヒノキチオールは育毛剤などにも活用される成分で、洗髪用は「しっとりとした使用感が好評で、髪の弾力やつやが増す。どの商品も年齢や性別を問わず使うことができます」と能登さん。商品は40日ほどかけて丹精を込めて手作りしているという。

 “檜山”にちなんだ新商品の発売にこぎ着けた能登さんは「ヒバの北限で知られる檜山は、寒冷地に多いモミの南限でもある。2種類の針葉樹が出会った檜山らしい商品を考えた。もっと地域の資源を生かして檜山を元気にすることができれば」と語り、従来品とともに全国に発信したい考えだ。

 ネットショップでは、ガゴメ(トロロコンブの一種)のエキスを練り込んだオリーブオイルを原料とする手作り石けんを販売している。能登さんは、アトピー性皮膚炎に苦しむ長男のためにと、防腐剤などの合成化学物質を含まない、天然素材だけで作った石けんの開発を独自に手がけた。南茅部産のガゴメをオリーブオイルに漬け込み、保湿成分を多く含んだエキスを抽出することにも成功した。

 従業員や知人に試してもらったところ評判も上々で「スキンケアに悩む多くの人に使ってほしい」と、2005年にインターネット上で販売をスタート。評判は口コミで広がり全国から注文が舞い込み、プロのエステティシャンからも高い評価を得ているという。能登さんは「わたしは化学の知識や経験はない根っからの建設屋。子供のためを思って試行錯誤を重ねました」と振り返る。

 「蝦夷桧木」は3種類ともに1個1000円。従来品のガゴメオリーブ石けんは600円から。5種類の石けんを小分けした試供品セットを無料配布している。問い合わせは北風家ねっとTEL0139・52・1139。ホームページはhttp://www.kitakazeya.net  (松浦 純)


◎旧領事館整備 ロシア側が負担へ 「ラブロフ外相も理解」
 ロシア極東大学(ウラジオストク)のクリロフ学長と在札幌ロシア総領事館函館事務所のブロワレツ所長が5日、函館市役所を訪れ、西尾正範市長にロシア側が旧ロシア領事館(船見町)の復元整備費用を負担する用意があることを伝えた。旧領事館の復元整備については4日に来函したロシアのラブロフ外相が前向きな姿勢を見せていた。

 クリロフ学長は、ラブロフ外相やロシア政府高官から聞いた話として「旧領事館の建物については完全に解決すると思う」、ブロワレツ所長も同様に「ラブロフ外相が自分の目で理解したのは、建物を復元するための予算を出しても問題にならないということだ」と西尾市長に伝えた。

 西尾市長によると、市は水面下でロシア側と旧領事館整備について、必要な金額やどのような形で支援が受けられるかを協議している。法的にロシア政府からの寄付はできず、協力するとなればロシアセンターを開設した同国の政府系基金「ロシアの世界」が負担することになるのではないかと話している。

 函館のロシア領事館は、開港前年の1858年、初代領事のゴシケビッチが仮宿舎の実行寺に開設。その後元町に建設されたが火災で焼失し、1908年に船見町に再建され、これが現在の旧領事館となっている。

 西尾市長はラブロフ外相の来函に重ねて謝辞。ロシアの文化や言語を紹介するロシアセンターが、ロシア語圏以外で初めて函館に設立されたことについて「全国からの研究者や学生が集まって活用されるよう、重大な責任を負っている」と述べた。 (高柳 謙)


◎函館市の中学生訪問団、豪 レイク・マコーリー市へ出発
 函館市の中学生海外派遣事業「レイク・マコーリー市訪問団」(団長・坂上範夫函館五稜中学校長)が5日、函館空港からオーストラリアの同市に向け出発した。同空港で行われた出発式では、現地で発表するために練習したオーストラリア第2の国歌といわれる「ウォルシングマチルダ」を、見送りの保護者や学校関係者らに披露した。

 同事業では、姉妹都市を中心に海外の都市に中学生を派遣。同市への派遣は2000年度に始まり今回で5回目となる。訪問団は同市内の中学生16人と引率の教諭ら3人の合わせて19人。5泊6日の日程で、現地ではホームステイしながら、同市では市役所や学校を、シドニー市では市内視察などを予定する。

 出発式は団員のほか約40人が参加。坂上団長は「生徒のチームワークは良い。失敗を恐れず個々の良さを発揮し、帰国時には成長した姿をお見せできると思う」と述べた。生徒はこの日まで7回集まり、歌や「函館いか踊り」、英会話などを練習してきた。代表の蛯子雄真君(函館銭亀沢中3年)は「函館の素晴らしさを伝え、レイク・マコーリーについて学んできます」と出発のあいさつをした。 (小泉まや)


◎5カ月連続「弱い動き」 日銀支店9月の金融経済動向
 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は4日、9月の道南地方の金融経済動向を発表した。雇用・所得環境の悪化から個人消費が低調に推移していることに加え、観光客の入り込みも堅調だった外国人客の落ち込みが目立ち始め、景況判断は「弱い動きとなっている」として5カ月連続で据え置いた。

 個人消費は相次ぐ価格上昇による消費者心理の慎重化から依然として低調な動き。主要小売店10社の売上高は家計の節約志向の高まりから秋物衣料の不振が響き、52億600万円(前年同月比6・7%減)と19カ月連続の前年割れとなった。新車登録台数は各メーカーの新車投入効果が薄れ、普通・小型車が2カ月連続で前年を下回った。

 観光は総括判断を「弱い動きとなっている」から「弱い動きが広がっている」と3カ月ぶりに下方修正。横ばい圏内で入り込み数を下支えしていた外国人客の落ち込みが続くため。特に函館空港乗降客数で国際便客が3カ月連続で前年を割り込み、全体では17万5700人(同9・3%減)と5カ月連続で前年を下回った。

 雇用は有効求人倍率が15カ月連続で前年割れとなり、下げ幅も拡大していることから「厳しめの動き」を「厳しい状況にある」と6カ月ぶりに下方修正。先行指標となる新規求人倍率も大幅に悪化し、拓銀破たん直後の低水準にまで落ち込んでいる。設備投資は住宅展示場の建て替え工事があり、棟数(同2・6倍)、床面積(同6・8倍)とも大幅な上昇。銀行や信金の金融情勢は預金が31カ月ぶりに前年を下回ったほか、貸出も17カ月ぶりに前年割れとなった。(森健太郎)


◎市内在住の男性が函館国際貿易センターの元専務を告発
 函館市内在住の男性が、函館地検に対し、市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)で不正経理を主導した元専務(70)を告発していたことが5日、分かった。

 告発状によると、元専務は今年6月30日に室蘭へ出張した際、食事をしたレストランで発行を受けた領収書の金額「3570円」の「3」を「8」に書き換え、同社の経理担当者から現金8570円を受け取った。男性は元専務の行為が私文書変造罪と同行使罪にあたるとし、4日付で同地検に告発状を提出している。

 書面の中で、男性は「余罪の有無を明らかにするためにも、その法的責任を明らかにして頂きたく告発致しました」としている。(浜田孝輔)