2008年11月7日(金)掲載

◎幻の「月島イカ釣り奴行列」、半世紀ぶり復活
 【松前】松前町月島地区で約50年前に数年間だけ行われた「月島イカ釣り奴(やっこ)行列」を現代に復活させ、まちおこしに生かそうという計画が地元漁師らによって進められている。大漁・安全祈願と地域発展を願い、漁具の大きな模型を担いで町内を練り歩く奴行列。イカ漁の最盛期の活気をよみがえらせようという試みで、関係者は「古くからまちを支えてきた漁業の歴史と繁栄を子どもたちにも伝え、後世に残したい」と、来年夏ごろのお披露目に向け、準備に取り組んでいる。0ァ40ィ(田中陽介)

 町内の漁業従事者25人でつくる「松前船主会」(柴田悦夫会長)と町職員らが企画。メンバーが幼いころに見た行列の様子の記憶をたどり、復活させる。

 このユニークな奴行列は松前藩政時代から続く松前家登城奴(月島奴振り)をモチーフにしたもので、1955年ごろには漁が落ち着く9月の十五夜に合わせて行われていた。

 黒の法被に屋号が記された前垂れ姿の奴たちを2匹のイカ人形が先導。挟箱(はさんばこ)は弁当箱、なぎなたはマキリ(包丁)、弓は糸巻き(とんぼ)など、イカ釣り道具を担いだ8人の奴(漁師)たちが、掛け声に合わせてゆっくり町内を練り歩く。

 民家一軒ずつに立ち寄って酒をもらい、千鳥足で歩くことから別名「だだくさ奴」と呼ばれていたという。こっけいな振る舞いで住民の笑いを誘い、月島地区の秋の風物詩として人気だったが、動力船の普及で各地へ出漁する機会が増え、行列の担い手が減ったため自然消滅した。

 今年は燃油高の影響で出漁を抑えるなど厳しい状況が続いたが、「何とか古里を盛り上げたい」と漁師たちが相談し、“現代版イカ釣り奴行列”の実現を目指すことになった。

 9月上旬には専門業者に依頼し、行列のイメージ画を制作。10月25、26の両日に開催された町民文化祭の芸能作品コーナーの一角に「イカ釣り奴行列を復活させよう!」と特別展を設けPRした。「面白い発想」「まちを練り歩く姿を見てみたい」と来場者から好評だったという。

 漁具の模型は仕事仲間の船大工が手掛けた。中には3メートルほどある大きな作品もあり、「イカ釣り奴行列」「大漁」と特製シールを張った。柴田会長(64)は「子どものころの思い出をよみがえらせながら、楽しんで準備に取り組んでいる」と話している。


◎市営函館競輪、本年度売り上げ174億円
 函館市は本年度の市営函館競輪の売上額(速報値)をまとめた。開催58日間の売上額は174億3600万円で、本年度当初予算と比較し14億3600万円(9%)上回った。普通競輪(F1、F2)の売り上げが当初見込みより23・4%上回る90億6800万円あり、全体を押し上げた。最終的な収支は2年連続の単年度黒字となる見通し。

 昨年度実績と比較すると15億9800万円(8・4%)下回った。これは本年度の開催が昨年より9日間少なかったことと、昨年は人気や売り上げが大きい「ふるさとダービー」(GU)があったことが大きい。

 本年度の特徴として、市競輪事業部の酒井哲美部長は「全国の場外販売場が増えたことと、本年度から導入した宝くじ式車券の販売が普通競輪の売り上げを伸ばす要因となった。包括委託で経費節減も図られた」と語る。

 インターネットで購入できる宝くじ式の重賞式投票と合わせてファンが普通競輪の車券を購入し、電話投票(インターネット含む)は見込みを15・5%上回る55億1400万円だった。九州などで新たに場外販売が増え、臨時場外も同4・8%増の108億600万円。電話と場外販売で売り上げ全体の9割以上を占める。

 普通競輪の1日当たりの売り上げも昨年を上回った。特に好調だったF2ナイターは1日当たり1億4600円で、昨年より6割以上多い。

 昨年度から5年間の時限付きで始まった日本自転車振興会からの交付金(負担金)の一部還付で、本年度は1億8900万円の還付が見込まれる。酒井部長は「還付金はそっくり残すことができる見通しで、現在7億7000万円ある累積赤字が5億円台に圧縮できそう」と話している。(高柳 謙)


◎市内百貨店、歳暮商戦本格化
 函館市若松町17の棒二森屋(井上裕司店長)は6日、アネックス7階催事場に「お歳暮総合ギフトセンター」を開設した。市内の他の百貨店でも特設売り場が順次オープンしており、長引く景気の低迷で個人消費が冷え込む中、各店の歳末商戦が本格化してきた。

 同店では「地産地消」をテーマに昨年より11種多い計661種類を用意。道南産の食品群16セットの中から3セットを選べる「巴(ともえ)かさね」が今年の中元に続き歳暮にも初登場したほか、昨年の売り上げ1位を記録した全20品から5品を選ぶ「選べるギフト」も人気を呼びそうだ。

 伊藤ハムの有害物質検出問題で、定番品の“ハム離れ”も懸念されるが、「函館は『カール・レイモン』ブランドに人気が集中するので影響はほとんどない」(営業企画担当)という。近年はスーパーに歳暮客が流れていることもあり、早期割引制度も拡充した。平均単価は4000円程度を見込む。

 同店では昨年よりも4日早くギフトセンターを設け、初日の開店前には従業員約200人が集結して出陣式が行われた。井上店長は「お中元は買い控えても、お歳暮は欠かさない人が多い。個人向けを中心に顧客の掘り起こしを図りたい」と強気の構えで、前年比2・1%アップの売り上げ目標を掲げている。同センターは12月28日まで。

 市内ではテーオーデパート(同市梁川町10)が1日からギフトセンターを設置していて、丸井今井函館店(同市本町32)も19日にギフトセンターを開設する。商戦のピークは12月前半と予想されている。(森健太郎)


◎乙部町ノルディックウオーキング愛好会が発足 
 【乙部】北欧生まれのノルディックウオーキングの愛好家でつくる「乙部町ノルディックウオーキング愛好会」(生田晃吉会長、会員34人)が発足した。愛好会の旗揚げは檜山管内で初めて。2本のポールを使って歩くことで体脂肪を効果的に燃焼させるほか、足腰の負担を軽くし、冬道での転倒防止にも役立つ。生田会長は「発足を契機に年齢、性別を問わずに多くの人に親しんで欲しい」と、普及に向けて意欲を燃やしている。(松浦 純)

 ノルディックウオーキングはフィンランド発祥。クロスカントリーのスキー選手が夏場のトレーニングに活用している。スキー用のストックに似た2本の専用ポールを地面に突きながら歩く。足腰に掛かる負担を軽減できるほか、背中や腕の筋肉も使うため、通常のウオーキングより消費カロリーは4割も増え、体脂肪の減少、肩凝りや腰の痛みの解消といった健康効果も期待できるという。

 肥満者の割合が全国より高い本道では、冬季の運動不足が大きな問題。道保健福祉部は高い運動効果とともに、季節や場所を問わずに楽しめるノルディックウオーキングに着目し、普及に向けた取り組みを進めている。

 乙部町でも2006年から江差保健所と協力し、講習会や健康イベントなどに合わせてPR活動を展開。講習会の受講者は3年間で100人を超え、町内では朝晩、ポールを手にウオーキングを楽しむ住民の姿が増加してきた。

 本道のノルディックウオーキングの中心地となっている伊達市大滝区(旧大滝村)でノウハウを学び、指導員資格も取得した上田裕子町民課長補佐は「季節も場所も問わずに楽しめる。“ポール人口”が増える中、住民を中心に愛好会結成の機運が高まった」と発足の背景を語る。

 このほど開かれた設立総会では、町健康づくり推進協議会副会長を務める生田さんが会長に就任。今後は月1回の予定で定例会を開き、町内の公園や海沿いの地域などを中心にウオーキングを楽しむほか、町内のイベントへの参加や町外の愛好家との交流を通じて、仲間の輪を広げていく考え。生田会長は「山坂がある場所でも2本ポールがあれば半分の力で歩くことができる。不思議なほどに足腰は楽。女性や高齢者にもすそ野を広げていきたい」と話している。


◎函館市水道局07年度温泉事業会計、資金不足比率41.5%
 函館市水道局(中林重雄局長)の2007年度温泉事業会計の決算に基づく資金不足比率が41.5%と、国の定める経営健全化基準の20%を大きく超え、厳しい経営を強いられている。温泉供給、公衆浴場、熱帯植物園の3事業の単年度収支は1億665万円の赤字で、18年度には累積赤字が15億1982万円に膨らむと試算。特に温泉供給事業は、全国有数の温泉地を有する湯川地区で温泉水位の低下に歯止めが掛からず、安定的な温泉供給を確保するためには新たな設備投資が必要となっており、厳しい財政状況をさらに圧迫する危機にひんしている。(浜田孝輔)

 湯川地区での温泉資源の枯渇化は昭和40年代から問題視され、1976(昭和51)年に道が「温泉を保護すべき地域」に指定。水道局が03―06年度に道立地質研究所(札幌)に委託して行った調査によると、同地区の水位低下を防ぐためには、温泉をくみ上げる(揚湯)量を現状の7割程度まで縮減しなければならないとの指摘を受けている。

 水道局は現在、湯川地区で22本の源泉を保有。今年3月時点でホテル・旅館や一般家庭などの126件に一日当たり4745立方メートルを供給している。同局と民間を合わせた揚湯量は約6000立方メートルとされ、同研究所の報告書では適正な揚湯量を約3200―5300立方メートルと推定し、縮減が図られない場合、9月末時点で地下13メートルだった水位がさらに低下していくと見ている。

 温泉供給事業の07年度収支は132万円と黒字を確保したものの、14年度の目標揚湯量を3200立方?に設定するため、年間5%程度の温泉供給量を減らすとし、08年度以降は赤字に転落すると試算。湯の川温泉街を基幹産業である観光の重要な拠点と位置づけており、温泉の揚湯法をこれまでのパイプを用いた空気圧縮の「エアリフト方式」から、「ポンプ揚湯方式」に移行するため、10―12年度には整備費として計2億2500万円を見込む。

 今後は、温泉資源保全の観点から、湯川地区の使用者には供給量に合った営業方法にする意識改革が求められそう。水道局は「関係機関と協議しながら、今後の具体的な取り組みや課題について検討していきたい」と話している。

 市の温泉事業については7日に開かれる市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)で報告される。


◎知内町でことしも通学合宿
 【知内】知内町内の小学5、6年生を対象に炊事や洗濯、買い物などを行い、寝食をともにしながら学校に通う通学合宿「しりうち元気っ子 学宿(がっしゅく)」(町教委主催)が今年も開催されることが決まった。11月24―28日の4泊5日の日程で、中央公民館を会場に行われる。7日には事前説明会を開き、プログラム内容を吟味。参加希望児童の保護者や運営をボランティアで支える知内高校生、町女性団体連絡協議会メンバー、町教委職員らが昨年の反省点を踏まえながら意見を交わす。(田中陽介)

 規則正しい生活の実践で社会的自立を促し、自主性や協調性、思いやりの心を身に付けさせるのが狙い。昨年の参加児童は「親がいつもしてくれる家事の大変さを実感した」「仲間と協力しながら多くのことを勉強した。家でも積極的にお母さんの手伝いをしたい」などと感想を述べていた。

 一方、「自分は何でも出来る」「もう大人だから子ども扱いはしないでくれ」と家庭では反抗的な態度をとる児童もいたという。

 事業を担当する町教委の小林亮主事(34)は「昨年はすべてが手探り状態でいろいろな課題を残した。反省点をバネに今年はさらに充実した活動にしたい」とし、「子どもはもちろん、保護者や運営スタッフらがこの教育事業の趣旨を十分理解して参加しなければならない」としている。

 通学合宿は十勝管内の本別町や清水町、空知管内沼田町、石狩市などでも行われている。知内は各地域からアドバイスを受け、昨年の同時期に初めて開催した。

 森町教委が将来の開催に向け、知内町教委に資料の提供を求めるなど、道南でも関心が高まっている。


◎初の秋季江差追分セミナーが開講
 【江差】江差追分の上達を目指す全国の愛好家を対象に、本場・江差で活躍する師匠陣がマンツーマンで歌い方などの指導を行う「秋季江差追分セミナー」(主催・江差追分会)が、江差追分会館(中歌町193の3)で開講した。(松浦 純)

 【秋季セミナーの日程は3日間。6、13、20日の3期に分かれて道内をはじめ首都圏などから約30人の受講生が参加を予定している。6日にスタートした第1期のセミナーは11人が参加。同会館では地元で活躍する浅沼和子上席師匠、渋田義幸正師匠が、江差追分独特の難しい息継ぎのコツ、歌う際の正しい姿勢、音程の取り方を熱心に指導している。3日間の“集中特訓”に参加した受講生は、真剣な表情で師匠陣のアドバイスに聞き入っていた。

 【1986年に始まったセミナーはこれまでは毎年2月に開かれていたが、より多くの受講機会を求める会員の要望に応えて、本年度からは江差追分全国大会などの主要行事が済んだ11月にも開講することになった。同会の小田島訓事務局長は「本格的な冬が訪れる前の11月にセミナーを開くことで、道外に住む愛好家が1人でも多く江差を訪れることができれば、江差追分の普及・伝承の弾みになるのでは」と話している。

 【セミナーは来年2月にも5、12、19、26日の4期の分けて開講する。いずれも3日間。期間中の昼食代や懇親会費を含む受講料は1万5000円。問い合わせは江差追分会事務局TEL0139・52・5555へ。