2008年11月9日(日)掲載

◎市民オペラ始まる
 函館市民オペラの会(金山正智会長)の第18回公演「コシ・ファン・トゥッテ」(モーツァルト作曲、全2幕)が8日夜、函館市民会館(湯川町)で始まり、大勢の市民が舞台を楽しんだ。

 同公演は函館市民文化祭の舞台芸術部門の発表作で、今回初めて3回上演する。キャストやオーケストラ、ボランティアら総勢160人が参加した。

 「コシ・ファン・トゥッテ」は、「女は皆こうしたもの」と訳され、1幕はフィオルディリージ(次藤正代さん)とドラベッラ(今井真貴さん)姉妹のそれぞれの恋人、フェルランド(前田治さん)とグリエルモ(木村映之さん)が、相手の貞節を試そうと、老哲学者のアルフォンゾ(青木靖典さん)とfイけをした。フェルランドとグリエルモは別人になって違う相手に求愛し、恋人との愛をかたくなに守っていた姉妹の心は次第に揺れ動く。2幕は劇的な結末に向け、物語がスリリングに進行。

 オーケストラの演奏に合わせて、出演者の美しいアリア(独唱)や六重唱などが展開され、観客もじっくり鑑賞していた。市立函館高1年の熊木早希子さん(16)は「次の展開が気になるような物語で見応え十分。出演者のアリアや重唱もすてきだった」と話していた。

 9日は午後1時、同6時から同会館で開かれる。当日券は指定席3000円、自由席2500円。 (鈴木 潤)


◎食品スーパー相次ぎ出店、流通戦争 過熱
 函館市内で今週、食品スーパーが相次いで開業する。魚長(西桔梗町、柳沢一弥社長)は11日、上新川町1に「夢食鮮館太(だいぼし)魚長新川店」をオープン。14日にはコープさっぽろ(札幌)が人見町8に「ひとみ店」を開く。長引く不況で消費が冷え込む中、先細りのパイを奪い合う出店攻勢で、新規参入組や既存店を巻き込んだ“流通戦争”が激化している。

 魚長の新川店は同社16店舗目(「夢の100円市場」を除く)で、函館地裁に隣接する旧国有地に新設。鉄骨平屋一部2階建ての店舗面積は約990平方メートル。同社が函館・近郊で展開する店の中では中規模だが、小売店のような対面販売を充実させた「夢食鮮館」業態を初めて採用したのが特徴だ。

 「(大手との)価格競争では消耗戦になるだけ。だからといって指をくわえて見ているわけにもいかない」と柳沢社長。新川町周辺は中島廉売もあり、大型スーパーの少ない“空白地帯”と呼ばれていたが、近くの亀田川を挟んだ対岸に10月上旬、イオングループの食品スーパー「マックスバリュ堀川店」(堀川町4)が進出したことで勢力図に異変が起きた。

 新川店の店名には屋号の「太」を付けた。鮮魚商として起業した魚長の原点回帰への意思の表れだ。近隣に多い一人暮らしの高齢者向けに総菜の小口商品を増やしたほか、素材も店に並ぶ商品を使って店員が調理法までアドバイスする。鮮魚コーナーではその場で骨抜きやカットなどの要望にも応じる。

 柳沢社長は「毎日来てもらうには細分化する顧客ニーズに応えていくしかない。付加価値で差別化を図り、庶民の台所のような店を目指したい」と話し、年商8億円を目指す強気の構えだ。魚長は現在、豊川町7の電車通沿いに「夢食鮮館」業態の2号店となる「豊川店」も建設中で、12月のオープンに向けた準備を進めている。

 一方、コープさっぽろの「ひとみ店」は2日に閉店した「人見店」(人見町25)を移転する形で開業。北海道ジェイ・アール都市開発(札幌)がJR社宅跡地約7900平方メートルに鉄骨平屋の商業施設を建設し、ひとみ店と眼鏡販売店がテナントとして入る。店舗面積は人見店の2・5倍の約2100平方メートル。

 コープさっぽろは近年、手狭で老朽化した店舗のスクラップ・アンド・ビルドを進めていて「売り場拡大に伴い品ぞろえが豊富になることで、顧客サービスの向上につながれば」(開発本部)と期待を寄せる一方、「函館は人口の減少や郊外への流出で中心市街地の購買力は低下傾向にある。何とか現在のシェアを維持したい」とし、年間20億円の売り上げ目標を掲げている。(森健太郎)


◎ハコレコが20日から市民向けイベント「レコレース」
 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)の学生らでつくる「ハコレコドットコム企業組合(ハコレコ)」(山田圭飛代表理事)は20日から12月19日に、市民参加型イベント「レコレース」を開催する。期間中、参加者が地元の協力店舗を利用してポイントを集め、多い得点順の上位20人に賞品をプレゼントする。同組合の本格事業化に向け、地場企業の活性化などを目的とした取り組みで、同大大学院2年の山田代表理事(23)は「友達を誘ってどんどん参加して」と呼び掛けている。

 同組合は2005年に設立。ITの先端知識を生かしたビジネスで観光産業を盛り上げようと、「口コミ」情報を集めたサイト運営や実証実験などに取り組んでいる。今回、会員数拡大などビジネス運営の本格化を目指して企画した。

 レース参加は、ハコレコ会員(登録無料)が対象。期間中に、旧函館市内とその近郊にある参加店舗を利用する際、携帯電話でその店のクーポン券を使い、レースポイントをためる仕組み。現在のレース参加店舗は50店。元町の茶房ひし伊や五稜郭町のシタール、美原町の函館oト工房など飲食店が中心で、現在も参加店舗を募集中だ。ポイント数は店で異なり、近く詳細をハコレコのホームページ(HP)上で紹介するほか、期間中には各店舗に案内マップを置く。 イベント終了後、たまったポイント数が多かった人には、東京ディズニーランドホテルペア宿泊券(4万円相当)やデジタル一眼カメラ(同)、ニンテンドーのゲーム機「Wii」などが当たる。

 同組合は20日から、参加店がタイムセール情報などを書き込めるブログ機能「リアルタイム情報」もHPに導入し、サービスの充実化も図る。山田代表理事は「函館のさまざまな飲食店を知る良いきかっけとし、積極的に足を運んで」とPRしている。

 会員登録はハコレコのHP(http://www.hakoreco.com/)から可能。問い合わせは山田代表理事TEL090・6999・1050。(新目七恵)


◎「函館学2008」初回講義
 「キャンパス・コンソーシアム函館」(会長・中島秀之公立はこだて未来大学長)主催の市民向け合同公開講座「函館学2008」の初回講義が8日、函館市高丘町の函館大学で行われた。同大の小林裕幸教授(69)が「幕末箱館人物伝」と題し、五稜郭の立案・設計などで知られる武田斐三郎や栗本鋤雲らの函館とのかかわり、功績などを語った。

 同函館は、市内8高等教育機関と函館市で構成。関係機関が連携し、総合大学的活動を展開する「キャンパス都市函館」構想の推進を目指し、各種事業に取り組んでいる。同講座は4年目の取り組みで、今年は29日までの計4回を予定。初回は定員を大幅に超える220人が参加した。

 小林教授は、アメリカ海軍ペリー提督やロシア使節プチャーチンとの交渉に加わった人物として武田斐三郎を紹介。箱館奉行所派遣後、日本初のストーブを作ったり、新しい教育機関「諸術調所」を建設して前島密や井上勝、新島襄らの指導に当たるなど多方面での活躍ぶりを流ちょうな語り口で力説し、「彼を超える蘭学者は当時いなかった。勉学熱心ですごい人物だった」と話した。同奉行所に派遣され、日仏交流や畜産振興に尽力した栗本鋤雲の活動についても語った後、「多くの逸材が当時多くいた函館は、今も大きな可能性を秘めている」とまとめた。

 夫婦で参加した市内の浅野悦子さん(67)は「とても分かりやすかった」と話していた。(新目七恵)


◎道立漁業研修所で海友祭、半年間の成果発表
 【鹿部】道立漁業研修所(鹿部町本別5409)で8日、第2回「海友祭〜海と僕たちの生きる道〜」が開かれた。本年度の研修生が半年間の研修成果を発表する場で、加工食品の販売やロープワーク体験など多彩なイベントが用意され、多くの来場者でにぎわった。

 同研修所は漁業後継者を目指す青年を対象に、必要な知識や技術、資格取得などを半年間にわたって指導する施設で、本年度は全道各地から44人が学んできた。海友祭は研修成果を紹介するとともに、地域住民と交流する目的で昨年から実施している。

 この日は網の修理法を実演したり、特殊なロープの結び方を来場者に指導する体験コーナーから、研修所内に掲示してある問題に答えて商品をもらう「お魚クイズ」や「スタンプラリー」など、子どもから大人まで幅広く楽しめるイベントを数多く実施。研修生手作りのサケフレークやタコやホタテの薫製類などが格安で販売され、来場者の人気を集めていた。

 同祭実行委員長で胆振管内洞爺湖町出身の荒雄大さん(26)は「研修期間中は地元の人たちと触れ合う機会が少なかったが、今日は大勢の人たちが足を運んでくれてとてもうれしい。これをきっかけに研修所や研修生の存在を身近に感じてもらいたい」と話していた。

 本年度の研修生は12日に修了式を迎え、それぞれの地元で漁業者として活躍する。(小川俊之)


◎11日に創作ダンスイベント函館初開催、教育大の久慈、竹内さん出演
 全国で展開されているコンテンポラリーダンスのイベント「踊りに行くぜ!!vol・9」(SHIMIZU Bureau主催」が11日午後7時から、函館市末広町14の金森ホールで開かれる。函館では初開催で、福岡、東京、京都のダンサーのほか、道教育大函館校モダンダンス部4年の久慈章代さん(21)と竹内光さん(21)のユニット「Devo(デヴォ)」が出演する。2人は「全国から来たダンサーに函館はダンスが盛んであることを知ってもらうためにも、大勢の人に見てほしい」と来場を呼びかけている。

 創作のさまざまな可能性を持つコンテンポラリーダンスの環境の発展を目指し、2000年から全国で開かれている。これまでは道内では札幌のみだったが、同部非常勤コーチでダンサーの清水フミヒトさん(41)の尽力で函館の開催が決まった。

 出演するのは福岡のアベカズミさん、東京の岩渕貞太さん、京都の4人組KIKIKIKIKIKIと、函館のDevo。長身の竹内さんと小柄な久慈さんのでこぼこした組み合わせが名前の由来という。

 二人は自分たちで振り付け演出する「あぁぁぁ…り」と題した作品を発表。清水さんは「自信を持って表現し、次につながるようにしてほしい」と期待を寄せる。二人は「自分たちの伝えたいことを踊りで表現し、観客の心に入るようにしたい」と意気込んでいる。

 入場料は前売りで一般2500円、学生2200円。金森ホールで発売中。問い合わせは清水さんTEL090・1549・8206。(山崎純一)