2008年12月1日(月)掲載

◎迫真の演技に拍手喝さい、子ども歌舞伎20周年特別公演
 創立20周年記念特別公演「第8回函館子ども歌舞伎」(後援会主催)が30日、函館市民会館で開かれた。園児から大学生、社会人のOB・OGの総勢42人が「白浪五人男」「釣女(つりおんな)」「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」の3演目を迫真の演技で上演し、1300人と満員の来場者に日本の伝統芸能を伝え、大いに沸かせた。

 主宰する市川団四郎さん(68)らの口上に続き、おなじみの「白浪五人男」では、今年の春に新しく加わった園児ら10人が捕り手役を務め、会場から「かわいい」と歓声が上がった。大名が釣りざおで結婚相手の姫を釣り上げる「釣女」では、まねをしようとした太郎冠者が醜女(しこめ)を釣り上げて結婚を迫られ、必死に逃げようとする演技に笑いが起こった。

 「加賀見山旧錦絵」は「女忠臣蔵」といわれるあだ討ちもの。中老「尾上」の敵を討つ召使いの「お初」役で団長の古川亜美さん(20)のプロ級の迫真の演技に観客は酔いしれ盛大な拍手を送った。来場者は約4時間もの公演を最後まで見入り、市川さんは「子どもたちを支えてくれた市民に恩返しできる演技で、100点をあげたい。30周年を迎えるのも楽しみ」と観客とともにステージを見つめていた。(山崎純一)


◎東日本フェリー最後の運航
 東日本フェリー(函館市港町3、古閑信二社長)は30日、函館―青森など道内と青森県を結ぶ3航路で最後の運航を終え、フェリー事業から完全に撤退した。1日以降、函館と青森、大間を結ぶ2航路はグループ会社の道南自動車フェリー(同、関根二夫社長)が引き継ぐが、室蘭―青森航路は廃止が決まり、41年間続いた歴史に幕を下ろした。

 30日は函館―大間間が海上の荒天で2往復のうち大間発の始発便を除く3便が欠航。函館―青森間は4往復が通常通り運航し、函館発の最終便は午後10時ごろ、車両33台、ドライバーを含む利用客41人を乗せて粛々と出港した。室蘭発は午後11時半ごろに出港し、最盛期には5航路あったフェリーがすべて姿を消した。

 1日からの道南自動車フェリーによる運航体制では、函館―青森は東日本フェリーの在来船を含む計4隻で1日8往復し、函館―大間は東日本の在来船1隻で来年12月までの1年間、1日2往復を暫定運航する。ターミナルはこれまでと変わらず、旅客運賃が大間航路が最大で約6割、青森航路が3割程度値上げされる。

 東日本フェリーは今年9月、燃料高騰による経営悪化と利用客数の伸び悩みを理由に3航路のフェリー運航事業からの撤退を表明。10月末には青函航路の高速船2隻も終航し、国際定期フェリーの金沢―釜山(韓国)航路も休止となった。今後は船舶貸渡事業に業務を特化する。(森健太郎)


◎クリスマスファンタジーのツリー試験点灯
 金森赤レンガ倉庫(函館市末広町)前を主会場に1日開幕する「2008はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)に向け、シンボルとなるメーンツリーにまとった電飾の試験点灯が30日、同会場で行われた。

 辺りが暗くなり始めた午後4時半すぎ、ツリーに施された電飾が一斉に点灯。小雪がちらつく中、赤や緑の電飾がきらびやかな光を発し、道行く市民や観光客が足を止めて記念写真を撮っていた。 

 試験点灯はトラブルなく終了し、実行委の企画運営を担当する佐藤賢治さん(44)は「まずはひと安心。たくさんの人に来てもらい楽しんでほしい」と話した。

 1日は午後5時半から、メーンツリー前でオープニングセレモニーが開かれ、同6時にツリーの点灯とともに花火が打ち上げられる。女性デュオ「Dew」や村岸かんなさんらのライブも行われる。(鈴木 潤)


◎函館市合併4年、住民サービスの維持課題
 函館市は1日、渡島東部旧4町村と合併して丸4年を迎えた。合併4支所でも行財政改革の一環で人員削減や業務の集約化が進み、来年度からは4支所の組織機構を5課1事務所から3課1事務所に再編する。地域住民からは「合併で行政が遠くなった」との声が依然として聞かれる中、住民サービスや地域の活力、安心をどう維持していくかが課題だ。

 合併当時、4支所の職員は282人いたが、今年4月には183人、来年4月には151人となる。業務の集約化は、南茅部支所へ生活保護業務を、椴法華支所に東部保健事務所を置いたほか、来年度からは同支所に水道業務を一本化する。戸井支所の伊藤修支所長は「他支所に集約された業務でも、住民が必ず訪れる。たらい回しにせず、担当部署に取り次いで話をさせるよう指導している」と語る。

 2課を統合して生まれる市民福祉課は、業務が戸籍、年金、医療、税務など多岐にわたる。限られた人員で業務に対応するため、柔軟で効率的な組織づくりが必要。恵山支所では職員の担当を細分化し、それぞれが補完し合いながら業務を担う考えだ。

 坂本幸春支所長は「季節的な繁忙期や急忙に対応するため水平的なグループを作り、担当が休みで対応できないような事態が起きないようにする。業務や住民の要望を受け止める体制は残るため、住民サービスの低下にはならない」と説明する。

 地域づくりはどうか。市全体の高齢化率は約25%だが、椴法華地域は約35%と最も高い。三輪秀悦支所長は「地域振興ももちろん大事だが、安心して生活できる地域づくりをどう進めるかが課題。消防や消防団、自主防災組織、駐在所と連携し、地域の防災・防犯体制強化を図りたい」と考えている。

 旧4町村地域は漁業が基幹産業。浜の事情は支所が理解しているが、水産振興施策は本庁の農林水産部が担当している。二重行政との見方もあるが、南茅部支所の梅田誠治支所長は「支所を通して現場の声を上げており、漁業者も本庁に直接行くよりも相談しやすい。旧町時代の施策を引き継ぎながら、漁業用機械購入の貸付金など独自の制度や水産振興策も生まれている」と指摘する。

 旧市内と比べ4地域は町会加入率が高く、人口減が進む中で地域の活力を支えるコミュニティーをどう維持していくかが課題。職員減や財政難の中で「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」で事業を選択していく時代だ。市地域振興室は「市全体で我慢することが必要。地域情報格差の是正やコミュニティーの維持、漁業振興を継続して実施していく」と話している。(高柳 謙)