2008年12月11日(木)掲載

◎早く1軍で一発打ちたい」…函大・坂田選手 西武入団発表

 【埼玉】今年のプロ野球日本一で、アジアシリーズを制した埼玉西武ライオンズの入団発表会見が10日、埼玉県所沢市の球団事務所に隣接する施設で行われ、ドラフト4巡目で指名された函館大学野球部の坂田遼外野手(22)が、入団する5人とともにプロへの意気込みを語った。坂田選手の背番号は大学時代に付けていた「31」で、「日本一、アジアチャンピオンであるライオンズの一員になれて光栄。自分の持ち味は長打力。早く一軍で一発打てるように頑張りたい」と抱負を語った。

 坂田選手はこの日午後、球団事務所で正式契約を交わし、会見に挑んだ。紹介を受けて会場に入り、渡辺久信監督(43)に一礼し、握手をした後、壇上に向かった。渡辺監督は「新人の6人は希望を持ってライオンズに来てくれた。数年は厳しい年になると思うが、必ず戦力になってくれると信じている」と話した。

 坂田選手は「チャンスでホームランが打てるようになりたい。長打力は誰にも負けたくない」と力強く語った。終始緊張した面持ちだったが、真新しいライオンズのユニホームに手を通すと笑顔に。“同期生”と肩を並べ、「すごくうれしく、プロとしての自覚を持った。自分に厳しくし、チームに貢献していきたい」と目を輝かせていた。(山崎純一)



◎中学生とケータイ…渡島管内生徒 アンケート

 渡島小中学校長会(会長・酒井充北斗上磯中学校長)はこのほど、函館市を除く渡島管内全中学校23校の中学3年生約1500人と、校長を対象にした携帯電話の使用実態に関するアンケート結果をまとめた。携帯電話を所有する生徒の半数近くが掲示板に書き込みをしたことがあり、1割が悪口を書かれて嫌な思いをした経験があることが分かった。有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」をしていない生徒は約7割に上った。同会は子どもがトラブルに巻き込まれる危険性があるとして、保護者の意識向上や関係機関と連携した教育現場での対策を課題に挙げている。

 このアンケートは、携帯電話にかかわる中学生の問題行動の増加などを背景に、実態を把握しようと同会が初めて実施。10月下旬から11月上旬に行われ、生徒1546人(男子804人、女子742人)には「携帯電話を一日どのくらい利用するか」「インターネットに自分のブログ(日記風サイト)・プロフ(自己紹介専用ページ)を開設しているか」など10項目、校長にはトラブル発生状況など6項目を質問した。

 回答結果によると、生徒の所有率は女子59%(家族らとの共有を含めると72%)、男子47%(同54%)。一日の利用時間は「1時間以上」とする回答が64%に達し、3時間超の生徒も200人を超えた。最高では10時間超の生徒もいた。

 ブログなどの開設率は全体で28%だが、女子は43%と高かった。掲示板の書き込み経験がある生徒は47%、個人情報を書き込まれるなどの嫌な経験がある生徒は10%いた。

 家族と使い方について約束事がある生徒は27%、フィルタリング契約者は29%で、生徒の7割は自分が好きなように使用することを認められていることが分かった。

 校長向けの調査の結果をみると、携帯電話に関するトラブルは管内で41件発生し、内容は「誹謗(ひぼう)中傷」が多かった。多くの学校で講演会や研修会などトラブル防止の取り組みを進めている一方、未実施の学校も2校あった。

 伊與田渉七飯中学校長は「所有、利用率の高い女子が特にトラブルに遭う可能性が高く、家庭での約束事がなく、有害サイトにアクセス可能な子どもも危険では」と分析。課題として「保護者の理解や意識向上に向けた勉強会、講演会の開催、地域・関係機関と連携し、子どもが事件、事故に巻き込まれない継続的な取り組みが必要だ」と話している。(新目七恵



◎木工の魅力 児童に伝える… 福島の「工作おじさん」熊谷さん

 【福島】福島町月崎の元酒屋経営、熊谷正春さん(69)は「工作のおじさん」の愛称で町内の児童に親しまれている。自宅に隣接する作業小屋には、放課後になると「おじさん工作を教えて」と近所の小学生らが集まってくる。のこぎりやハンマー、くぎなどの工具がびっしり並ぶ中、熊谷さんは「カッターの刃は人に向けないこと。相手にけがをさせるから」「金づちは振り回さない。ぶつかれば痛いよ」などと道具の安全な使用方法を説明しながら、子どもたちと楽しい時間を過ごしている。

 熊谷さんは1996年3月まで約30年間、町内で酒屋を経営する傍ら、和菓子職人としても活躍した。「昔から子どもたちと一緒にいることが好きだった」という。

 「幼いころに父親が木のこまを作ってくれた時の感動が忘れられない。たまらなくうれしかった」と振り返る。それがきっかけで木工細工が趣味になり、その魅力を子どもたちに伝えようと、今年8月に自宅横の庭に作業小屋を自分で建てた。外壁には「ウルトラマン」や「アンパンマン」「崖の上のポニョ」などのアニメがペンキで描かれ、近くの福島小学校の児童が登下校時に見入っている。

 熊谷さんと一緒にペンキを塗り、木工玩具づくりに取り組んだ同小2年の中塚陸朗君(8)が学校で友だちに“秘密基地”の存在を伝え、瞬く間に人気となった。放課後になるとランドセル姿の児童が「宿題終わったら遊びに来るから、待ってて」と熊谷さんに声を掛ける。

 熊谷さんは初めて作業小屋に遊びに来る子どもにカッターを握らせ、鉛筆削りを体験させる。「刃を前に動かさずに、親指を上手に使って削る」など、道具の正しい使い方を理解してもらうためだ。「多い時で10人ぐらいが小屋に来て、身動きが取れないこともある。一人一人の名前を覚えるのも大変で」と優しく笑う。

 12月からはクリスマスリースづくりを始め、一日2、3人が訪れている。10日は同小2年松組の佐々木恋さん(8)、花田瑞紀さん(8)紙谷絵美さん(8)、成田凪さん(7)がリースづくりを楽しんだ。「ここに来て遊ぶのが楽しみ。おじさんが優しいから好き」「おもちゃを作るのが面白い。冬休みの自由研究もおじさんと一緒に作る」と声を弾ませていた。

 熊谷さんは「自分でおもちゃをつくることは想像力を生み、刃物を使うことで物を大事に扱う大切さを身に付けることにもなる。元気な子どもたちから自分も元気をもらっている」と話している。(田中陽介)



◎計画見直しに含み…支庁再編で高橋知事「地域の意見 反映」

 【江差】支庁再編をめぐり、高橋はるみ知事が道議会予算特別委で、振興局に格下げとなる桧山支庁など5支庁の段階的縮小に関し、再編期間の延長に触れ、計画の見直しにも含みを持たせたことについて、江差町などは10日、「答弁の真意を見極める必要がある」とし、今後の知事サイドの出方を慎重に見守る考えを示した。

 11月27日に開会した第4回定例道議会の一般質問で、高橋知事は道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)との対話姿勢を強調する一方、再編計画の見直しについては言及を避けてきた。ところが9日の予算特別委で、公明党の横山信一氏(函館市)が「来年4月の実施はぎりぎりの段階。町村会の合意を取り付けるため、現行の方針を修正する余地はあるのか」とただしたのに対し、「改革の進め方や地域に必要な機能の確保、振興局地域の振興方策について、町村会など地方4団体や地域の意見を十分に伺い(計画への)反映に努めたい」と応じた。

 さらに、横山氏が「実施時期を見直すことも選択肢の一つ」と迫ったのに対し、高橋知事は「市町村や地域の理解は何より大切。指摘の趣旨も十分踏まえて一定の方向性を見いだせるよう最大限努力する」とし、一転して計画見直しにも含みを持たせた。

 江差町は「現時点では真意を図りかねる。答弁が具体的な動きにつながるのかは未知数」とし、情報収集を進める方針だ。

 道町村会の寺島会長は、振興局に格下げされる5支庁について、農林水産など産業部門の維持を絶対条件とし、「5支庁の“格下げ”には反対。14支庁の機能や権限を維持し、圏域ごとの広域行政を担う大規模支庁を“格上げ”する考え方が必要。機能に応じて職員数に差が生じることは否定しない」と主張。再編計画の修正も視野に、知事サイドの譲歩を促している。定例道議会は11日に閉会する。(松浦 純)


◎業務の見直し 外部評価委設置へ…函館市議会

 函館市議会の第4回定例会は10日、一般質問を継続し6人が立った。行財政改革の一環で進めている業務の見直し(事務・事業評価)について、小柏忠久理事は上要な業務や民間に委ねられる仕事の洗い出し作業を進めていることを説明、各部局の作業が終わり次第、第三者による外部評価委員会を設置、抽出した業務を評価する方針を伝えた。

 斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)の質問に答えた。

 行革による職員削減に対応し、簡素で効率的な市役所づくりを進めるために、仕事の進め方や事業そのものの見直しを進めている。対象となる事務・事業数は2000項目以上で、事業の必要性や官民どちらが担うか、仕事をどう効率化するかなどを各部局が共通のチェックシートや調書で点検をしている。外部評価委員会による評価は年度内を予定している。

 斉藤氏は「新規事業にも事業評価を実施すべき《と質問。渡辺宏身企画部長は「さまざまな分野にわたる施策や事業を一律評価するのは難しいが、厳しい財政状況の中では必要なこと。一定規模以上の事業を対象に、ふさわしい方法を見いだしたい《と、一部の事業を対象に実施する考えを示した。

 佐々木信夫氏(市民クラブ)は、課の統合で来年度から職員の業務の幅が広がる合併4支所で、どう対応するかをただした。小柏理事は「職員を業務の内容によってグループ化し、互いに補完し合いながら業務を処理する体制をつくる。職場内研修も随時実施し、行政サービスの低下を招かないようにしたい《と述べた。

 このほか、丸尾隆子氏(共産党)、出村勝彦氏(新生クラブ)、瀬尾保雄氏(公明党)、市戸ゆたか氏(共産党)が質問した。(小泉まや)



◎西尾市長「誠に残念な結果」…函館エヌ・デー・ケーでの派遣社員150人契約解除で

 電子部品製造メーカーの函館エヌ・デー・ケー(函館市鈴蘭丘町)が11月28日付で派遣社員約150人の契約を解除したことについて、西尾正範市長は10日の市議会一般質問で、「雇用の維持に努めたが受注減少に歯止めが掛からずに断腸の思いで実施したと聞いており、誠に残念な結果」と述べ、失業者に対する具体的な支援策については明言を避けた。

 市戸ゆたか氏(共産党)への答弁。同社は人工水晶メーカー、日本電波工業(東京)の子会社として1989年に函館臨空工業団地内で開設された。契約解除は世界的な景気後退の影響を受け、製品の受注が激減したため。生産体制の見直しを図ったものの、売り上げの回復が見込まれないことから、人材派遣会社から受け入れる約240人のうち約150人の契約打ち切りに踏み切った。

 市戸氏は同社が進出以来、市が過去20年間に誘致企業への融資として、総額3億6000万円を助成していることから、「社会的な責任は重い」と指摘。西尾市長は、同社のこれまでの雇用や生産面における地域経済への貢献度を評価した上で、「会社側からは、受注の回復に伴って派遣社員の正規雇用化を進めていくと聞いており、今後とも安定的な雇用の確保をお願いしていきたい」とした。

 また、市戸氏は、労働契約法に規定する「使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」の解釈に対しても言及。備前悟市経済部長は「使用者は賃金を支払う者とされ、この場合の使用者とは派遣元のことで派遣先企業には適用されない」と答えた。(浜田孝輔)



◎田名部氏が出馬表明…鹿部町長選

 【鹿部】任期満了に伴う来年2月の鹿部町長選挙(2月3日告示、同8日投開票)で、元町職員の田名部弘勝氏(63)が10日まで立候補の意向を固めた。同町長選には2期目を目指す現職の川村茂町長(58)が6月に出馬を表明。過去4回の町長選は無投票だったため、1989年以来20年ぶりの選挙戦の見通しとなった。

 田名部氏は函館新聞社の取材に対し、「20年の無投票選挙で、町民の声が行政に届きずらくなったとの話を聞き、出馬を決意した」と語り、「若者をはじめ町民が参画できる町政の実現、漁業振興、町民融和を目指す」と意欲を示した。

 田名部氏は1945年、臼尻村(現・函館市)生まれ。64年、函館商業高校を卒業後、銀行勤務を経て69年、鹿部村役場入り。水産経済課長や民生課長を経て、2007年3月まで町社会福祉協議会事務局長を務めていた。(笠原郁実)