2008年12月12日(金)掲載

◎市内デパートで福袋準備始まる

 今年も残すところわずかとなり、函館市若松町の棒二森屋(井上裕司店長)では11日、新春初売りの恒例となっている「福袋」の袋詰め作業が始まった。長引く不況風を打ち破ろうと、店員らは縁起物の商品を丁寧に袋に詰め込んでいる。作業は12月下旬まで続く。

 棒二森屋の福袋は来年の函館開港150周年にちなみ、1万500円で計150個を用意。ブランド品の毛布やシーツなど計9点で、3―4万円相当の商品が入る。「今年のテーマは『家(うち)エコ』。実用性重視で、例年より個数を減らし、中身を充実させた」と担当者。

 このほか、2万1000円の福袋も10個用意したが、早くも予約で売り切れ寸前の状態。6日から予約を受け付けていて、同店は「既に注文が販売数の3分の1に達しているため、早めの予約を」と呼び掛けている。福袋には温泉旅館ペア宿泊券や家電製品などが当たる抽選券も付く。

 一方、テーオーデパート(梁川町)は1万500円、3万1500円、21万円の3種類を計102セット用意。丸井今井函館店(本町)は昨年好評だった中身の見える福袋を数十点用意する予定だが、価格や個数は未定という。いずれのデパートも福袋の購入は予約が中心で、来年1月2日に引き渡す。(森健太郎)



◎市内、近郊でガソリン値下げ競争激化

 原油価格の下落で、レギュラーガソリンの値下げ競争が激化している。函館市内と近郊では12月初旬から、セルフ式を中心に1リットル当たり110円を切るガソリンスタンド(GS)が目立ち始めた。連日のように値が下がり、ドライバーにとっては朗報だが、出口の見えない価格競争に一部の小売業者からは「限界」との声も聞こえる。(宮木佳奈美、山田孝人)

 「他社が下げるなら下げざるを得ないが、もう限界を超えている。後は体力勝負で価格が落ち着くまで我慢するしかない」。市内のあるGS業者は苦しい胸の内を明かす。近隣にあるGSの価格に対抗し、赤字覚悟で値下げをする業者も少なくない。

 一方、市内の消費者は歓迎ムード。無職女性(36)は「以前は1000円ずつ給油していたが、今は満タンにできる」と喜ぶ。主婦(30)は「まだ下がるかもしれないのであえて満タンにはしない。90円台になるのを待つ」と期待を込める。

 毎月1日に函館・北斗市内の25店舗を対象に石油製品価格調査を実施する函館消費者協会(米田イツ会長)によると、ピークの8月にはセルフ式でレギュラーガソリン1リットル当たりの平均価格は185・40円まで上昇。10月から急落し、12月1日の調査では114円まで下落したが、その後もさらに値を下げ、毎日のように価格が変動している。110円を切るのは5年ぶりという。

 背景には原油価格の急落があるが、函館地方石油業協同組合の和田善助理事長は「市民に節約志向が根付いて値下げをしても需要が回復しない。需要減少の要因は他にも考えられるが、分からないだけに価格を下げて客を呼び込もうする現象が起こっているのでは」と分析。「どこまで値下げが続くか底値は見えない」と話す。  さらに石油元売り各社が10、11月に相次いで週ごとに卸価格を決める新しい仕切り価格体系を導入したことも一因だ。一部のGSでは週初めに新たな価格で販売できるように、値下げをしてでも週末に在庫を出し切ろうとする動きも見られる。別のあるGS業者は「元売りよりも小売りの方が値下げを先行しているから決して楽ではない。しかも価格を下げたからといって客足が増えたという実感がまったくない」と嘆く。

 同組合によると、渡島、桧山管内で組合に加盟するGSはピーク時の1987年に241カ所あったが、11月現在は162カ所まで減少。経営難や経営合理化などで統廃合され、今後も石油元売り会社の経営統合でさらに再編は進むとみられる。和田理事長は「“GSの過疎化”が進行し、宅配できる業者がなくなると、隣町へ行かないとガソリンや灯油が買えない地域も出てくるのでは」と高齢者が多い過疎地の供給不安も懸念している。



◎木古内町国保病院改築工事/積算額や条件に違い、落札業者を無効に

 【木古内】2010年5月にオープン予定の木古内町国保病院の改築工事公募型指名競争入札(11月28日執行)で、入札額と積算額などに相当の違いがあったとして、町が落札した特定建設工事共同企業体(JV)の入札を「書類不備」で無効にしていたことが11日分かった。これを受け、入札参加者のうち、このJVの次に入札額が低かった参加者が、10日以上過ぎた12月9日付で落札JVとなる事態が生じた。一部町議からは「対応が遅すぎる。不透明な部分が多い」と疑問の声が出ている。

 関係者によると、役場内で行われた同病院の機械設備工事の入札では、落札JVの入札額と、落札後に提出を求めた積算額や条件などに相当の開きがあったとみられる。こうした形での「落札無効」は極めて珍しいという。

 町としては「初めてのケースだった」(担当職員)ため、精査に時間を要し、1日に当該業者から事情聴取して無効を伝えたという。ただ、新たな落札JVを決めるまでに、さらに日数を要したため、対応の遅さが指摘される状況にもなった。落札が無効になったJVは東京都と町外の2業者で構成、新たな落札JVには町内の業者も含まれている。

 11日の定例町議会で、岩館俊幸議員は「(数字が)違っていたらなぜ早く対応を取らなかったのか」と指摘。大森伊佐緒町長は「その場ですぐに業者から事情を聴き、対応するべきだった」と不手際を認めた一方、「対処の遅れはあったものの、法令に基づいた対応で問題はない」とした。

 又地信也議員は「不透明な部分がずいぶんある。慎重に慎重にとしているが、どこに慎重さがあるのか感じられない。落札者が決定したらその場で積算額を確認するのが当然。行政側に手落ちがあるから疑問視される」と述べた。

 大森町長は「この案件を真摯(しんし)に受け止め、職員には徹底した事務の取り扱いを促したい」としている。(田中陽介)  



◎江差ウインドパワー、本社事務所を北洋銀に売却

 【江差】江差町で風力発電事業を行う第三セクター、江差ウインドパワー(森藤次雄社長)が、町内の本社事務所(中歌町64の1)を北洋銀行(札幌)に売却したことが11日までに分かった。町も町有地の事務所敷地(約190平方b)を売却したことを明らかにした。

 町内には北洋・札幌銀の合併に伴い、約200メートルの至近距離に北洋銀江差支店(中歌町9、旧北洋銀)と同江差西支店(姥神町57、旧札幌銀)があり、ともに老朽化が進み、店舗も手狭になっている。北洋銀は町有地と隣接する民有地も取得して店舗を新築し、両支店を統合する方針。近日中に事務所の解体に着手するという。

 同事務所は「いにしえ街道」を挟み、同江差支店の向かい。三セクが2001年度、本社業務や発電所の遠隔管理を行うとして自己資金で建設した。総工費は約3000万円。内部には事務スペースと写真パネルなどの展示ギャラリーがあり、通称「風の待合所」として、住民の作品発表などにも使われた。ただ、実際の業務は元山にある発電所敷地内の管理棟で行っており、建設直後から建物は遊休化していた。

 三セクでは事務所の賃貸を検討したが借り手が見つからず、住民からも利活用の要望がないため、用地取得を希望する北洋銀への売却を決めた。町有地の売却価格は三セクの借地権があるため、周辺地価より低い650万円。事務所の売却価格は、森藤社長が「明らかにする必要がない」として公表を拒否している。本社事務所の売却に伴い三セク本社は発電所管理事務所(泊町1114)に移転登記した。(松浦 純)


◎高見澤さん、来年8月に市内で大型イベント計画

 海の男たちで沸き返る港町のかつての活況を再び―。函館出身で東京在住の建設土木業高見澤さちよさん(36)が来年8月、函館市内の港を会場に、全国のヨットマンを集めたレースや野外ジャズなどの大型イベントの実施に向け、準備を進めている。函館開港150周年に合わせた計画で、巨大キャバレーテントの設置や歌手八代亜紀さんの来函も予定。函館、青森県大間の漁業関係者も巻き込み、音楽とショーで楽しい夜を演出する内容だ。高見澤さんは「北洋漁業が栄えた時代へのオマージュ(賛辞)として開催したい《と意気込んでいる。(新目七恵)

 高見澤さんは函館西高卒。高校生の時に西部地区や赤レンガ倉庫周辺などで多くの時間を過ごし、函館への愛着や思いを深めた。卒業後上京し、建築解体業の仕事をこなす傍ら、道南でジャズ関連のイベントなどを企画。昨年9月には、大門地区にあったキャバレー「未完成《の廃屋を中心となって手直しし、一夜限りの復活ショーを実現させた。

 未完成の企画準備で地元住民から昔の函館について話を聞くうち、大正から昭和初期に北洋漁業で成り立った街の経済や産業、繁華街の様子を知った。150周年の節目も重なり、今度は当時のにぎわいを再現することで「街を支えた漁業者の存在や歴史について再認識したい《と考え、1月ごろから準備を始めた。

 イベント吊は「青函帯《で、3日間の開催を計画。具体的には、道ヨットクラブ(HYC、札幌)の協力で道内外のヨットマンを集めたレース、八代亜紀さんや東京のプロジャズバンドによるジャズ演奏を計画。未完成で使った家具などを再利用してつくるキャバレー会場では、本格的なダンスショーなどを繰り広げ、当時の華やかさを体感してもらうという。

 青函交流の一環として、津軽海峡を挟む大間や函館市近郊の漁業者の参加も呼び掛け、会場には漁船や大漁旗も並べる考え。

 来年の節目に向けては、函館市でも記念事業実行委を発足させ各種活動に取り組んでいるが、高見澤さんは「市民レベルの機運はそれほど高まっていない《と指摘。「こうした市民の記念活動を取りまとめるリーダーシップを強く求めたいし、函館が一丸となるような動きを期待したい。この節目に函館の在り方を模索したい《と話している。

 イベントに関する問い合わせは高見澤さんTEL090・2052・0159。青函帯のホームページはhttp://www.seikantai.jp/。



◎函館市議会/病院改革プラン素案、財政試算との違い説明

 第4回函館市議会定例会は11日、一般質問を継続し5人が立った。来年度から7年間の市立病院改革プラン素案と、同5年間の中期財政試算で、一般会計から病院事業会計への繰出金の額が大きく違うことについて、市病院局の井上芳郎局長は「改革プランは現状の見込みから作成しており、一般会計からの繰入額は上限の最大値。収益の改善を図り、赤字圧縮に努めたい」述べ、理解を求めた。

 本間新氏(市民クラブ)、志賀谷隆氏(公明党)への答弁。

 病院事業会計には本年度、一般会計から19億6000万円を繰り入れている。改革プランの素案では、来年度からさらに年間6億―13億円を増額する。一方、財務部が作成した中期財政試算では、来年度からの一般会計からの新たな繰り出しは年間2億―5億円。井上局長は「差し引きで43億円違う」とした。

 本間氏は企業会計の独立採算制を挙げ、一般会計に依存しすぎている点などを指摘。井上局長は「改革プランは実効性のある計画策定が求められ、医師不足で休診中の科目の再開などは盛り込んでいない。収益の増加や委託料の見直し、経費節減などで43億円を圧縮したい」と述べた。

 志賀谷氏は、西尾正範市長が公式の場で改革プランについて「絵に描いたもち」と発言したことを指摘し、真意をただした。井上局長は「09年度から直ちに経営が良くなるようなプランは現実的ではない、との意味。私どもへの叱咤(しった)激励の気持ちも込められた発言」と述べた。

 このほか、日角邦夫氏(民主・市民ネット)、村井正幸氏(新生クラブ)、紺谷克孝氏(共産党)が質問した。(高柳 謙) 



◎江差町議会/支庁再編で4000万円程度減収予測

 【江差】濱谷一治江差町長は11日の第4回定例町議会で、道の支庁再編に伴う桧山支庁の組織縮小に伴い、2011年度以降には町税収入や地方交付税の削減で、4000万円程度の歳入減が見込まれるとの試算を明らかにした。(松浦 純)

 横山敬三氏(無所属)の一般質問に答えた。

 約300人の職員が勤務する桧山支庁では、4割程度に当たる120人程度の削減が見込まれている。この場合、町税は年間3200万円、地方交付税も年間800万円程度の減収が予測されるという。しかし、交付税は次回国勢調査(2010年度)に基づいて算定するほか、特別交付税による補てん措置もあるため、2009、10年度の減収は800万円程度にとどまる見込み。だが、補てん措置が切れる11年度以降は町税、地方交付税ともに大幅に減少するため、年間4000万円程度の歳入減が想定されるという。

 同町では、歳入に占める起債(借金)の償還に要した金額の割合を示す実質公債費比率が、07年度決算で27・6%に達し、新年度は財政健全化法に基づく早期健全化団体に指定される。濱谷町長は支庁再編が財政再建に及ぼす影響について「直接的な影響は大きくないが、購買力低下など地域の産業、経済に与える影響は決して軽視できない」と述べた。

 議事では、一般会計と6特別会計・1事業会計の07年度決算を認定。桧山7町が出資する「檜山ふるさと市町村圏基金」の取り崩しに向けた規約改正、福祉灯油の支給経費866万円などを盛り込んだ総額3450万円の一般会計補正予算案など10議案を可決、閉会した。本年度の一般会計総額は54億5505万円。