2008年12月16日(火)掲載

◎光の柱 天高く

 14日夕から夜にかけて、函館市内から津軽海峡方向の上空で、光の筋が縦に伸びて見える「光柱現象」が発生した。夜空に現れた幻想的なショーに気づいた人は「オーロラのようにきれい」と声を上げて見入っていた。

 光柱は空の高層部でできた六角形の結晶に、イカ釣り漁船のいさり火の光が反射してできる。晴れて気温が低く、海がおだやかなど、さまざまな条件が整った場合に現れる。国内では長崎、福井、富山など日本海側で観測されている。

 函館は13日、最高気温が氷点下0・1度で今冬初の真冬日となり、14日も夕方から氷点下になり冷え込んでいた。午後9時ごろからは雪となり、光柱は次第に薄くなっていった。(山崎純一)



◎19、20日に中島れんばい横丁

 函館市内の中島廉売で、空き店舗内を活用して屋台を並べる「中島れんばい横丁(仮称)」が19、20の両日を皮切りに、毎月第4金・土曜日に“開店”することになった。廉売で仕入れた地場の食材を中心に使ったメニューやアルコール類を提供する。廉売内に事務局を移転したNPO法人全国精神障がい者地域生活支援センターの能登正勝理事長(31)の発案で、実行委員会が主催する形だ。イベントを通じて廉売や地域社会の活性化を目指す。

 「障害者、健常者を問わず交流できる地域社会(コミュニティー)をつくるのが障害者にとってプラスになるはず」。こうした理念の下、能登理事長が廉売の資源でもあるその歴史や、地元の食材を利用したイベントを思い付いた。

 同法人の支援者らに呼び掛けて実行委を立ち上げ、廉売の「歳末セール」(18―20日)に合わせて12月からスタートさせることにした。共催する中島町商店街振興組合の二本柳秀樹理事長(57)は「若い人たちが中心となってやる今までにないイベント。たくさんの人が集まれば」と期待する。

 午後5時から同10時半までの営業で、廉売内にある広さ約83平方メートルの空き店舗(中島町26)を借り、店内に高さ190センチ、横幅180センチの屋台6台を並べる。道産黒豚を使った豚汁やガゴメコンブ(トロロコンブの仲間)入りイクラのミニ丼、おでん、焼き鳥などの食べ物、アルコール類などをすべて500円以下で提供する。

 19日は市内で活動している「マーキー」、20日は「りぼん」のミニライブもある。指定するタクシー会社に限り乗車代金の5%を実行委が負担する補助券(両日有効)を発行する。

 また1年契約(月会費3000円)を結び、廉売から食材を仕入れるなどの条件で新たな出店者も募集している。問い合わせは実行委(同法人内)TEL0138・51・0026。(宮木佳奈美)



◎道南の景況感 低水準…12月の日銀短観

 日銀函館支店(市川信幸支店長)は15日、12月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断指数DI(「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は全産業でマイナス24となった。前回調査(9月)から1ポイント改善したが、2005年3月調査(マイナス25)以来の低水準にとどまっている。

 産業別では、製造業が前回を18ポイント下回るマイナス15。このうち機械が国内外の景気後退に伴う需要の落ち込みで30ポイント悪化のマイナス20と、07年9月調査以来の大幅な下落幅となった。食料品も消費マインドの冷え込みが続き、15ポイント悪化のマイナス15だった。

 非製造業は前回から8ポイント改善のマイナス28となり、特に飲食・宿泊が42ポイント改善のマイナス25と急上昇。サミットや五輪開催に伴い前回調査までに落ち込んだ観光需要への反動や、企業の経費削減による経営効率化などが奏功したとみられる。このほか、建設も12ポイント改善のマイナス15、運輸も10ポイント改善のマイナス20と景況感の改善が目立った。

 最大の焦点である雇用の過剰感を示す雇用人員DIは全産業でプラス10。「過剰」と回答した企業が前回調査以降、増加に転じていて、企業の人件費の負担増を浮き彫りにした。新卒採用計画は、来年4月入社について前年度比で1割程度減少する見通し。

 調査は11月10日から12月12日までに実施。108社(製造業33社、非製造業75社)から回答を得た。(森健太郎)



◎市議会特別委設置へ…貿易センター不正経理問題

 函館市出資の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)の不正経理問題で、函館市議会の議会運営委員会(能川邦夫委員長)は15日、真相解明や市の対応などを調査する特別委員会を設置することで全5会派が大筋合意した。18日の議運で特別委の設置目的や調査事項、委員数などを決め、22日の本会議で正式決定する予定。

 特別委設置は公明党が9月定例市議会と今月2日の議運で求めたが、他の4会派は「所管している経済建設と総務の常任委員会の調査に委ねるべき」との姿勢だった。

 今定例会で複数の議員が一般質問で同問題を取り上げたこともあり、15日の議運では「早急に調査を進め、解決していくべき」との声が大勢を占めた。市民クラブは「設置をするのはやぶさかではないが、建設経済と総務常任委の賛成を求めるべき」とした。

 各会派から提出された調査項目は▽事件と市のかかわり▽派遣職員の内部告発▽プール金の管理の真相▽第三セクターと市との関係の在り方―などがあり、18日の議運で改めて調査項目を決める。

 一連の問題では、同社の元専務が領収書の改ざんや、無料で乗ったサハリン航空のチャーター便料金の支出を受けて裏金化していたことなどが明らかになっている。

 予算や決算などを除き、市の疑惑や不祥事に関する特別委員会の設置は、昨年9月の「有料老人ホーム問題調査特別委員会」以来となる。(高柳 謙)


◎「函館での経験あってこそ」西武入団 函大・坂田外野手激励会

 プロ野球埼玉西武ライオンズに入団した函大4年の坂田遼外野手(22、横浜創学館高)の激励会(函大硬式野球部球援会、同大同窓会など主催)が14日、函館市湯川町2の「花びしホテル」で開かれ、同大の野球部員やOB、職員ら約120人が参加した。坂田はプロとしての活躍を誓った。

 会場内に設置されたスクリーンに、10月のドラフトで同球団が4巡目に指名した映像が流れ、坂田は同部員の3人の肩車に乗り、真新しいライオンズのユニホーム姿で登場。母浩子さん(46)とともにステージ上で花束を受け取った。

 主催者を代表して球援会の松倉清治会長が「早く1軍に上がって、活躍することを願っている」とあいさつ。同大の溝田春夫学長と小笠原愈学長は「感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしい」とエールを送った。

 祝杯を上げ、参加者は坂田に激励の言葉を送り、最後に坂田に記念品が贈られた。坂田は「函館に来たからこそ今の自分がある。これまでの苦い経験や感謝の気持ち、楽しい思い出を忘れず頑張り、這い上がっていきたい」と力強く語った。

 坂田と同じ高校出身で、同部の松本一八前主将は「入学したときから上に行く選手だと思っていた。けがをせず、自分のバッティングを磨けば活躍できるはず」とし、浩子さんは「指名されたときはとてもうれしかった。少しでも長くプロにいて、夢を与える選手になってほしい」と話していた。同部の阪内俊喜監督は「今年の部の活躍そのものが評価されたようで、感謝の気持ちでいっぱい。坂田はみんながいて自分がいるということを忘れず、函大の名を背負ってプレーしてほしい」と期待を寄せていた。(小林省悟)



◎函水高10年ぶり最優秀賞…全国水産高等学校生徒研究発表大会

 函館水産高校(齋藤隆校長、生徒477人)海洋技術科3年の生徒3人の研究チームがこのほど、小樽市で開かれた「第17回全国水産高等学校生徒研究発表大会」(全国水産高校長協会主催)で最優秀賞に輝いた。同校が全国大会で最優秀賞に選ばれたのは10年ぶり3回目。メンバーの1人、吉江裕太君(18)は「1位に選ばれるとは思わなかったのでとてもうれしい」と喜んでいる。

 同大会は地域の自然や水産業にスポットを当てた研究成果を披露する場で、全国の水産高校などから地区大会で選ばれた8チームが参加。函水高のチームは11月に釧路管内厚岸町で開かれた道地区大会で1位に輝き、全国への切符を手にした。

 メンバーは吉江君と渡邊文也君(18)、越後俊哉君(18)で、テーマは「マナマコ生産の基礎研究」。7月から同校で、ウニだけを入れた水槽と、ウニとマナマコを入れた水槽を用意して水質調査などを実施。ウニだけの水槽はふんで汚れるが、マナマコも一緒だと汚れないことを突きとめたことや、海の泥の有機物などを餌とするマナマコがウニのふんだけでも成長を続けていることを発表した。大会では、地域の養殖漁業に貢献できる内容と、はきはきとした発表態度などが評価された。

 渡邊君は「来場者の顔を見て説明したのが最優秀賞に結びついたと思う」と説明。越後君は「観客が見やすいようにレーザーポイントをスクリーンに当てる練習を積んだのが良かった」と笑顔を見せていた。

 指導に当たった西川正一教諭(54)は「生徒にとって他校のチームの発表も勉強になったと思う」と話し、齋藤校長(55)は「生徒の研究が将来的に地域の水産業に貢献できれば」と話していた。(長内 健)



◎戦争 犠牲はいつも若者…ドキュメンタリー「アメリカばんざい」来年3月上映

 市民有志が来年3月22日に函館市内で上映を予定しているドキュメンタリー映画「アメリカばんざい crazy as usual」(2008年制作)の藤本幸久監督(54)=十勝管内新得町在住=が14、15の両日、試写会出席と作品のPRのため来函した。インタビュアーとして制作にかかわった札幌市在住のフリージャーナリスト影山あさ子さん(45)とともに、作品への思いなどを聞いた。(新目七恵)

 ―映画制作の動機は。

 藤本監督 05年の前作「Marines Go Home」で米軍基地の抗議活動を続ける住民を撮ったが、基地の中まで描けなかった。今度は、兵士になるアメリカの若者を見たいと思ったのが直接の動機だ。助監督時代の1980年代後半、戦時中のアフガニスタンを撮影する中で多くの一般市民が死ぬ様子を見た。戦争は若者が犠牲になる。日本を戦争ができる国にしようという動きもある今、まずはアメリカの戦争の現実を知ることが必要では、と考えた。

 ―作品に込めたメッセージは。

 藤本監督 戦争は生半可なものでなく、しかも若者個々の人生に大きな負の重荷を背負わせる。日本では「国際貢献」や「普通の国」などあいまいな言葉で憲法改正が提案されるかもしれないが、映画を通して戦争の現実を知り、日本の子どもたちに米兵と同じようなむごい経験をさせたいか、国の未来をちゃんと考えてほしい。

 ―取材で感じたことは。

 影山さん 帰還兵ホームレスの多さや、莫大な軍事予算の一方で、貧困層の若者が兵士に志願する仕組みなどを知り、これほどひどいと思わなかった。特に海兵隊の「ブートキャンプ(新兵訓練所)」では、前日電話で泣いていた青年が丸刈りにされ制服を着ると、翌日には誰だか見分けがつかなくなる。個性が奪われ、記号化するのだ。中には日本人の祖母や母を持つ若者もいて、非常に胸が痛んだし、大変なことだと感じた。

 ―最後に一言。

 藤本監督 若者の多くは「大学に行きたい」「医療保険が欲しい」「良い人生を送りたい」などの理由から、戦場で人を殺す兵士を志望する。今回の取材を基に「兵士になるのはどういうことか、軍隊はどんな存在か」をテーマにした続編を準備中で、来夏の公開を目指したい。