2008年12月18日(木)掲載

◎クリスマス商戦 真っ盛り

 クリスマスを間近に控え、函館市内のデパートや玩具店ではギフト商戦が真っ盛り。プレゼントの下見に訪れる客も目立ち始めた。世界的な景気悪化で個人消費の低迷が懸念される中、各店とも購買意欲をそそる品ぞろえに力を入れている。円高効果による割安感のアピールや、ホームパーティーに焦点を当てた商品展開で差別化を図るなど、客の取り込みに懸命だ。

 テーオーデパート(梁川町)内の輸入ブランド品店「ワールドインポートブティックEX(イーエックス)」では円高還元セールを実施し、一部商品を値下げした。「クリスマスシーズンとの相乗効果で売り上げアップにつながれば」と期待する。今年は女性向けにイタリアの高級ブランド「miumiu(ミュウミュウ)」の財布が人気という。

 ホームパーティーに欠かせない「食」に力を入れるのは丸井今井函館店(本町)。「不景気の時は食べ物が売れる傾向がある」(木村貴幸営業計画室長)と、地下食品売り場に特設コーナーを開設した。洋食や中華料理のオードブル、ワインなどをそろえる。

 一方、サンタクロースを心待ちにする子どもたちへのプレゼントを買い求める市民も多い。玩具専門店「トイザらす函館店」(石川町)では12月初旬から客足が増え、従来の売れ筋だった携帯型ゲーム機に代わって、今年はテレビ番組でおなじみの戦隊ヒーローのフィギュア(人形)が好調。「携帯型ゲーム機は多くの家庭に行き渡り、ニーズが落ち着いたのでは」という。

 各店とも今週末が販売のピークとみているが、「以前は5万円台だった予算が今年は2万円程度になった」と景気の影響を漏らす店もあり、買い物客の財布のひもは固くなっているようだ。(山田孝人)



◎非正規労働者削減、不安募る年の瀬

 「雇い止め」や「派遣切り」が社会問題化する中、電子部品製造大手の函館エヌ・デー・ケー(函館市鈴蘭丘町、土谷雅宏社長)が11月末で派遣従業員約150人の契約を打ち切るなど、道南でも雇用情勢の厳しさが顕著になりつつある。政府は雇用対策を検討しているが、国際的な金融不安による景気の悪化などで改善の見通しは立っていない。函館公共職業安定所(ハローワーク函館、函館市新川町)を訪れる元非正規労働者らからは「年内に就職したいが難しい」「派遣の繰り返しは嫌だ」など、生活の不安を訴える声が聞かれる。離職者にとっては厳しい年の瀬だ。(新目七恵)

 「求人雑誌も薄くなるなど不況を肌で感じる」。函館市在住の高橋祐一さん(30)は11月27日、約1年間派遣社員として働いた函館エヌ・デー・ケーを退職した。半導体の部品をラインに供給する仕事を1日3交代でこなし、妻(23)と5カ月の子を養ってきた。しかし、受注減による生産ラインの縮小に伴い、勤務時間が12時間から7時間に減った。退職理由は「収入減で家族が食べていけない」ため。ほぼ毎日ハローワークに通っている。

 以前に神奈川県でトレーラー運転手として働いた経験を生かしたいが、冬道の経験がないため面接で落とされる日が続く。雇用保険の申請をしているが、その先の収入のめどはない。「最悪、パート職でもいいからどうにかしたい」と漏らす。

 市内の桜庭和仁さん(33)は「正社員になりたいけれど、結局は派遣しかない…」と肩を落とした。2003年ごろ、1年ほど派遣社員として勤めた会社で、急に解雇を告げられた。その後、愛知県の大手自動車会社で期間従業員となるなど、半年や10カ月単位の仕事を転々とした。

 「もう派遣の繰り返しは嫌だ。一生働ける仕事に就きたい」と、実家のある函館で1カ月ほど求職活動を続けているが手応えはない。「国には定額給付金なんかじゃなく、ちゃんと働ける世の中にしてほしい」という。

 厚生労働省によると、11月28日現在、「雇い止め」などで職を失った道内の非正規労働者数は308人。同省は10日付で、労働局などに派遣契約の中途解除などに対する指導徹底を求めた。道も同日、本庁と全支庁で労働者向けの特別相談窓口を設置した。

 ハローワーク函館では「雇い止め」で社員寮を退去せざるを得なくなった派遣社員らを対象に、住宅確保の支援のための相談窓口を15日に開設。毎日数人が利用している。佐々木聰憲職業相談部長は「11月以降、事業主の都合による離職者が増え、雇用保険の受給手続きも増加傾向」と説明。「昨年から原油高や穀物相場の影響で管内の雇用状況が悪化しており、今後の見通しも不透明だ。今はきめ細かな相談で、職業の紹介、あっせん作業を地道に続けるしかない」と話している。



◎福島千軒 山中に謎の穴

 【福島】福島町千軒地区の町活性化センター「あずまーる」近くの山に、トンネル状の人工的な「謎の穴」が多数見つかり、地域の話題になっている。同町千軒418の笹島義弘さん(73)が発見し、郷土史研究家らが現地を視察したが正体は不明。笹島さんは「地域の人も誰も知らなかった不思議な穴。雪解けの来春にはまだまだ見つかるかもしれない。専門家に調査をしてもらいたい」と話す。「こんなに穴を掘るのは多くの人手を必要としたはずで、大事業として後世に伝わるはずだが、誰も知らないし資料もない。かなり古い時代に掘られたのではないか」と推察する関係者もいる。(田中陽介)

 場所は地域住民が「綱配川(つなはいがわ)の峰」と呼ぶ山の尾根付近。傾斜地に直径1メートルほどの入り口があり、ほぼ水平方向に掘った形跡が残っている。2、3メートル間隔できれいに穴は続き、4メートルの長い棒を中に差し込んでも空間があることから、相当の奥行きがあるとみられる。

 笹島さんは千軒で生まれ育ち、「森の名人」の愛称を持つ。多くの穴は雪解け後の今年6月上旬に見つけた。旧福島町立千軒小学校に通学する裏道で、子どもたちの自然観察林としても利用される場所。笹島さんも幼いころから良く散歩していたが、「前から2、3個あったのは分かっていたが、まさかこんなに出てくるとは思わなかった。驚いた。まだまだあるのでは」という。これまでに30個の穴を確認している。

 現場付近は江戸時代初めから砂金掘りで栄えた歴史があるが、知内町郷土資料館の高橋豊彦学芸員によると、砂金掘りの場合は垂直(すり鉢状)に穴を掘り進むことが多く、トンネル状のこの穴は砂金掘りの跡ではない確率が高いという。

 10月に笹島さんと現地を視察をした元松前町文化財担当で現松前城史料館長の久保泰さん(62)は「初めは砂金掘りの跡だと思って軽い気持ちだったが、実際に見てびっくりした」という。炭焼きも盛んだった場所だが、「炭焼き窯にしては規模が大きい。防空壕(ごう)でもなく、初めて見る穴。専門的に調査をしてもらわなければ分からない」と首をかしげる。

 現地を見た町民は、近くに松前藩時代に処刑場があったとされていることから、「ろう獄や留置場の跡ではないか。監視役ががけの下から上を見れば、すべて見渡せる」とし、「墓なら下に掘る。横に掘っているので何らかの理由で人間が入っていたのではないか」と推測している。



◎フェリー大間航路存続へ議会も連携

 青森県大間町議会の竹内弘議長と岩泉盛利副議長が17日、函館市議会の阿部善一議長と斉藤明男副議長を訪ね、来年12月末までの暫定運航が決まったフェリー航路「函館―大間便」の存続に向けた協力を要請した。阿部議長は「生活路線や災害時の避難路線として非常に重要。航路や両地域の交流の歴史は古く、函館市議会としても存続に向けて連携し、知恵を出し合っていきたい」と述べ、協力を約束した。

 東日本フェリー(函館市)から運航を引き継いだ子会社の道南自動車フェリー(同)が、青森県と大間町から上限で1億2000万円の財政支援を受け、1年間は運航する。国と青森県、道、大間町、函館市なども来月、「大間―函館航路存続と利用促進検討会(仮称)」を立ち上げる。

 竹内議長は、西尾正範市長が金沢満春町長とともに関係機関に存続を要望したことに謝意を伝え、「町議会としても函館市議会と連携し、運動に取り組みたい。1年間の暫定期間はあっという間で、その間に2010年以降の安定運航を考えないとならない。函館の医療機関に通院する住民にとっても大きな問題」と協力を要請した。

 阿部議長は「北海道新幹線は青森側の地元負担があって着工でき、大きな恩がある。大間町は旧戸井町とも長い交流があった」と述べ、私案として「フェリーを小型化するなど、効率的な輸送手段もあるのではないか」と述べた。斉藤副議長も「半島振興法の活用ができないか、さまざまな角度から検討したい」と前向きな姿勢を見せた。(高柳 謙)


◎函館市、来年度 循環バスの運行実験

 函館市は来年度、同市西部地区を循環する「新コミュニティバス(仮称・おでかけバス)」の運行実験に乗り出す。高齢者が多く居住しているのに加え、こう配の急な土地柄に配慮し、日常の買い物や通院、他の交通機関へのアクセスを確保するため、試験運行をしながら的確なニーズの把握に努め、事業の本格導入につなげたい考えだ。

 市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で17日に開かれた有識者5人の「西部地区フォローアップ委員会」(星野裕委員長)で事業案が示された。市が2006年度から5カ年で進める「都市再生整備計画」に基づき、来年度の新たな取り組みとして実施を目指す。

 事業案によると、運行コースは十字街から船見町の間を循環する全長約5・6キロ。ロードヒーティングが整備されている坂を上り下りしながら、停留所38カ所を設け、利便性を高めるために区間の距離は最大でも200メートルを想定する。コース上では一部で自由に乗降できる「デマンド方式」の導入も検討する。

 バスはリフト付きの13人乗りで、時間は午前9時―午後3時を中心とし、確保できるバス台数の関係で45―50分間隔、運賃は一律100円となる見通し。試験の実施時期は秋から冬にかけての2―3カ月間を予定し、利用者への聞き取り調査を基に本格導入に向けて協議する。

 委員からは「事業化に際し、ルートの見直しを含めて柔軟に対応すべき」「観光は二の次にして、住民の生活を支えられる路線にしてほしい」などの意見が出た。(浜田孝輔)



◎全国手作り封筒展 26日まで

 身近にある不用な紙を再利用した“世界でたった一つの封筒”を紹介する「全国手作り封筒の輪」(函館市、清田延子代表)の展示会が26日まで、函館市湯川町3のみちのく銀行湯川支店(福舘正美支店長)で開かれている。全国から清田さんの元に届いた手作り封筒約120点が並ぶ。

 カレンダーやチラシなど不用な紙を用い、その写真、イラストを生かす手作り封筒は、清田さんが函館から全国に広め、講師も務めている。1991年からこれまでに各地で70回以上展示会が開催され、同支店では6年前に続いて2回目となる。福舘支店長は「お客さまが待っている間に見て楽しんでもらっている」と話す。

 清田さんの活動を新聞や本で知り、封筒作りを始めた全国の人が作品を見てもらおうと手紙を入れて送ってくるという。その数は毎月100通に上り、年代も小学生から90代と幅広い。会場には定形郵便物(縦23・5センチ、横12センチ)サイズの封筒を展示。清田さんは「手作り封筒は定形サイズの中の芸術作品」とし、特に切手と封筒の絵や柄が互いに連動している作品を選んだという。

 封筒と切手を同じ絵にしたり、花柄の封筒にチョウが描かれた切手を張るなど、関連性を持たせて工夫した作品ばかり。封筒と切手を組み合わせて一つの風景を形成した絵画のような作品もある。清田さんは「心和む作品を見て自分でも作ってみたいと思ってもらえたら」と話している。午前9時―午後3時(平日のみ)。(宮木佳奈美)



◎未来大、台湾の学生とワークショップ

 公立はこだて未来大(函館市亀田中野町、中島秀之学長)と台湾国立交通大の学生らが15日から、市内でデザインのワークショップに取り組んでいる。参加者約50人は英語で交流しながら、新しいシステム設計手法の1つ「シナリオ法」を用い、観光に関する新しいシステムデザインの企画・開発に挑戦している。(新目七恵)

 シナリオ法は、人の行動パターンや経験を細かく「シナリオ」として書き出し、必要とされる機能や目的などを把握してデザインに生かす手法。ワークショップは学生らに新手法を体験させ、異文化理解を深めることなどが狙い。2004年から未来大が台湾の交通大と共催し、これまでに6回開催している。

 今回は両大の学生のほか、台湾国立雲林科学技術大の学生らも加わった。参加者は初日、5グループに分かれ市内各所を取材。朝市や西部地区などを歩き、台湾人学生は外国人観光客の視点で良い点や悪い点などをチェックした。

 2日目の16日は、市地域交流まちづくりセンター(末広町)でグループ別に前日の活動を分析。デジタルカメラなどで撮った写真や取材メモなどを基に、外国人客が観光をより楽しめるシステムのデザイン案を話し合った。

 参加者は最終日の19日、デザインした観光に役立つシステム案を発表する。

 中島廉売などを歩いたチームのリーダーで未来大4年生の木原良輔さん(22)は「外国人を苦手とする店員も案内できるようなものができれば」と話していた。同じチームで交通大修士2年生のウェン千慧(ウェン・チェイウェイ)さん(23)は「初めてのものばかりだった。店の人は親切で言葉が分からなくても何とか通じた」と話していた。