2008年12月22日(月)掲載

◎ゆず湯でゆったり…谷地頭温泉

 21日は1年で最も昼の時間が短い「冬至」。この日の函館市内は最高気温が平年に比べ1度ほど高かったが、低気圧の影響で日中は吹雪模用の荒れた一日となった。市内の温泉や公衆浴場では「ゆず湯」のサービスが行われ、市民らを季節の香りでもてなした。

 冬至にゆず湯に入ると一年中、風邪をひかないとの言い伝えがある。ゆずには血行を促進し、体を芯(しん)から温める効果があるとされる。

 市営谷地頭温泉(谷地頭町20)では早朝から計240個を3回に分けて入れた。浴場には甘酸っぱいゆずの香りがほんのりと漂い、気持ちよさそうに湯船につかる客の姿が見られた。

 市内の学校教諭東海林智也さん(35)は「香りが良く、普段より暖まった。身も心も癒やされますね」とご満悦の表情だった。同温泉では26日にも桂皮(けいひ)を入れたハーブ湯のサービスが行われるという。(森健太郎)



◎観光客数 前年比6.3%減…渡島管内08年度上期

 渡島支庁は、本年度上半期(4―9月)の管内観光客数と訪日外国人宿泊者数を発表した。観光客数は、前年同期比6・3%減の649万6800人で、原油高騰や北海道洞爺湖サミット開催の影響などにより、現行方式の調査を開始した1997年以降では最少となった。また訪日外国人宿泊者数は、毎年全体の半数近くを占める台湾からの観光客が大幅に減少したが、シンガポール、マレーシア、タイなど他の東南アジア各国からの増加により同0・9%増の4万3865人とわずかながら前年を上回った。

 観光客の内訳は、道外客310万7100人(同6・0%減)、道内客338万9700人(同6・7減)。日帰り客は435万2300人(同8・5%減)、宿泊客は214万4500人(同1・6%減)で、日帰り客の大幅な減少が目立つ。

 市別では、函館市が310万8500人(同3・5%減)。桜の開花が早まったため4月が好調だったが、5―9月の日帰り客が大きく落ち込んだ。北斗市は40万4700人(同14・6%減)で、観光農園や温泉施設での減少が影響した。

 町別では観光地点調査法の見直しにより知内町が同7・3%増の7万7700人となった以外、残り8町はいずれも減少した。七飯町は106万8600人(同8・5%減)、森町が50万500人(同3・4%減)、長万部町は40万600人(同8・6%減)、八雲町が29万8300人(同8・2%減)など。これらはサミット開催による周辺規制で、ツアーのルートが変更されたことが主な要因とみられる。また桜の名所で知られる松前町も40万2000人(同12・8%減)と大きく減少。これは5月1日の暫定税率復活によるガソリン値上げの影響で、乗用車による花見客が減少したためとみられる。

 訪日外国人宿泊者数は、台湾が1万7751人と全体の4割を占めてトップだが、前年同期比19・6%減と大幅な落ち込み。一方シンガポールが2320人(同3・45倍)、前年同期3人だったマレーシアが660人、タイが326人(同8・15倍)と東南アジア各国からの宿泊者が大きく増加しており、北海道観光の人気が広範囲に広がっていることをうかがわせる。

 このほか主な国・地域別では、韓国が9919人(同7・8%増)、香港が3127人(同26・3%減)、アメリカが1994人(同17・9%増)、中国が1247人(同20%減)となっている。(小川俊之)



◎回顧2008(1)…後期高齢者医療制度

 「後期高齢者の○歳です」――。4月以降、取材先で会った高齢者に年齢を確認した際、よく聞いた答えだ。75歳以上などを対象に4月1日から始動した「後期高齢者医療制度」が広く浸透した表れといえるが、当初の混乱ぶりを振り返ると、何とも皮肉な形で認識されたと思えてならない。

 同制度では今まで保険料負担のなかった人も所得に応じた負担が強いられ、一定の低所得者をのぞき年金から保険料が天引される。

 高齢者は年金が生活の支え。一番気になる保険料の負担がどうなるのか、十分な周知がなされず制度が始まった。先行きが不安になるのは当然で、多くの高齢者が反発し、不満を募らせた。

 函館市では、制度が始まってから、最初の保険料天引きが行われた同15日ごろまで、問い合わせや苦情が殺到し、担当職員が対応に追われた。保険料の誤徴収など全国各地の自治体で混乱に陥り、同制度は迷走した。あまりの不評ぶりに政府は長寿医療制度と言い換えたほどだ。

 そもそも国民的な議論はされたのか。実は私自身取材を始めるまで後期高齢者医療制度のことをよく知らなかった。

 2月上旬、函館社保協(函館地方社会保障推進協議会)主催のシンポジウムを取材した。道社保協の甲斐基男事務局長は「医療費抑制の観点で作らた制度」と指摘した。制度の対象者の男性がパネリストとして登場し「保険料の天引きは年金が減額されたのと同じ。家計に響く」と切実な思いを述べた。客席の対象者も「75歳を境いに前期、後期と分けるのは不愉快」。2カ月後の混乱を予期させるものだった。

 同制度が始動し、3週間経過したころ、何人かの対象者に取材した。前年度の国保の保険料よりも負担増となった男性は「出費はかさみがちで、負担が増えるとこの先、食費を削るしかない。パンの耳を食って餓えをしのいだ終戦直後を思い出すよ」。重苦しい空気が流れたのを今でも覚えている。

 制度が始まって8カ月が過ぎた。混乱は一応収まったかに見えるが、制度に対する不安や不信感は解消されたとは言えない。

 高齢者の怒りを買った同制度の取材を振り返り、もっと伝えるべきことがあったのではと反省する。弱い立場の人たちに寄り添う報道姿勢をもう一度見つめ直したい。(鈴木 潤)


◎最優秀に松崎さん…クリスマスファンタジー ツリー・フォトコン

 はこだてクリスマスファンタジーに合わせて行われた、第11回ツリー・フォトコンテスト(同実行委、函館新聞社主催)の審査が21日、金森洋物館内特設会場で行われた。最優秀賞に函館市本通1の松崎一朗さんの「Snow of Night」が選ばれたほか、特選など16点の入賞作が決まった。

 ファンタジー会場内のメーン・ツリーをテーマに作品を募り、全国から約100点の応募があった。審査は同実行委のメンバー6人と、会場を訪れた観光客ら約50人が1人3点を選び、ポイント制で順位が決定した。

 ツリーや会場の雰囲気を伝えようと、さまざまな角度から撮影された力作が寄せられた。最優秀の松崎さんの作品は降雪の中で輝くツリーを大きくとらえ、主題を引き出す構図が評価された。特選には同市人見町の小松英海さんの「聖夜のファンタジー」、同市西的場町の神垣慎一さんの「光景」が選ばれた。

 表彰式は25日午後7時40分から赤レンガ倉庫群内のメーン会場で行われる。応募作品は金森洋物館内に来年のファンタジー開催まで展示される予定。このほかの入賞者は次の通り(敬称略)。

 ▽準特選=松本伊代、永井修、柳谷友明▽入選=千葉悟、千葉明美、小田拓生、小松英海、池田大、佐野弘子、甲斐幸士、田中美旭、松崎一朗、岩山優光(山崎純一)