2008年12月23日(火)掲載

◎デコレーション 丁寧に…Xマスケーキ作りで大忙し

 クリスマスを控え、函館市内や近郊の菓子店、菓子製造工場でケーキ作りがピークを迎えている。五島軒上磯第1工場(北斗市追分)では、従業員50人が作業に追われている。

 道南最大規模の同工場では1日約4000個、クリスマスイブまでに約1万3000個を製造する。飾り付けなどの仕上げ作業で、工場は23日深夜までフル稼働する。従業員はスポンジに生クリームを塗り、真っ赤なイチゴやかわいらしいサンタクロースの菓子をあしらうなど、各工程を分担して次々と華やかなケーキを完成させていく。

 定番の「生クリーム」(直径18センチ、3570円)が一番人気で、このほか生チョコ、レアチーズなど全8種類をそろえる。3000―4000円台のケーキが売れ筋だが、今年は約20人分の「スペシャルクリスマスA」(縦30センチ、横36センチ、1万500円)も売れ行きが伸びているという。全体の80%は予約注文分だが、各直営店でも販売する。

 石塚啓二第1工場長(62)は「クリスマスは別格の忙しさ。チームワークで乗り切り、皆さんにおいしいケーキを届けたい」と話す。(山田孝人)



◎来年度の就活 全力サポート…景気低迷で学校側、強い危機感

 企業の内定取り消しや非正規労働者の削減など急速に雇用情勢が厳しさを増す中、来年度に本格的な就職活動を控える大学3年生や高校2年生から影響を心配する声が出始めている。函館市内では就職戦線の悪化を見据え、資料配付や進路別学習の強化などの対策に乗り出す大学、高校も出てきた。各校とも危機感をばねに、学生の意識を引き締め、就職活動支援につなげたいとしている。

 文部科学省などの発表によると、来春卒業予定の就職を希望する高校生の就職内定率(10月末時点)は、本道が38・8%と沖縄県に次いで低い。来春大卒予定者も本道・東北地区は60・3%と最下位(10月1日時点)。雇用状況の厳しさから学生らに不安が広がっている。

 システムエンジニアを希望する道教大函館校3年の男子学生(23)は「内定が取れるか不安いっぱい。『楽だった』という先輩が正直うらやましい」と漏らす。公務員志望の函館商業高2年の男子生徒(17)も「厳しいと思うので、もっと勉強したい」とする。

 「第3次就職氷河期到来の予感」と銘打ち、道教大函館校(杉浦清志副学長)の就職支援センターは12月上旬、年4回作成している「はこだて就活短信」の緊急対策号を発行、就職への意識向上などを呼び掛けた。同校にとって来年度は教員養成課程がなくなり、人間地域科学課程の学生が最終年度を迎える大事な年。学年、就職希望別の8つの進路開発講座を用意し、11月には初の業界研究会を開いた。

 同センターのキャリアオーガナイザーの岩船寛さんは「学生はすでに『真剣モード』。大学も必死の取り組みを進めている」と説明。「景況回復には数年掛かると見られ、学生には常識力や大人の立ち居振る舞いなど『総合的人間力』が求められる」とする。

 函館大は札幌圏の企業面接セミナーに参加する3年生向けの貸し切りバスツアーや就職ガイダンスを継続。干場勝キャリア開発課長(49)は「状況に合わせてきめ細かい指導を心掛けたい」とし、北大水産学部の担当者も「就職ガイダンスや企業セミナーを充実させたい」と話す。

 高校も生徒の就職活動に力を入れ、函館西高は2年生の進路別学習を強化し、年明けには職業観の育成を目的とした講習を初めて行う方針。3年生の就職希望者の7割が現時点で内定を受けている函館商業高も、進路指導室担当教諭は「現2年生の求人があるかは不透明」と危機感を募らせる。「できるだけ早く手を打ち、保護者も一緒に考える機会を増やすことが大事だ」と説明。来年3月には外部講師を招いた2年生向け就職ガイダンスを初めて企画する。(新目七恵)



◎回顧2008(2)…新人記者 奮闘中

 報道部記者として入社し約3カ月が過ぎた。これまで町会や教育、文化・芸術などの分野を取材した。短期間だが充実した日々が続いている。

 子どもたちにもちつきの楽しさを伝えようと懸命に企画を練る町会関係者、ベルマークの収集に熱心に取り組むPTAの母親たち…。この仕事に就かなければ、かかわることがなかったさまざまな人との出会いはいつも新鮮だ。無知な自分にとっては勉強になることばかり。取材で苦労することは多いが、そうした出会いが自分を支えてくれている気がする。

 11月、函館市西部地区の保育園から大学までの7教育機関と7町会が参加する「第2回西部地区教育芸術祭」(同芸術祭推進協議会主催、会長・信夫恵美子函館西中校長)の告知記事を書くことになった。この芸術祭は、芸術や文化活動を通して子どもたちの豊かな感性をはぐくみ、地域住民との交流を深めることなどを目的に昨年初めて開催された。イベントの内容に強い関心を抱きながら、函館西中に信夫校長を訪ねた。

 「市内では珍しい大規模な行事。みんな張り切って練習しています」。同地区は函館の歴史・文化の発祥の地だが、急速に高齢化が進んでいる。そんな地域を盛り上げようと意気込む信夫校長の表情は真剣そのもの。同校の生徒が熱心に合唱を練習している様子も取材し、このイベントに寄せる信夫校長の熱意がひしひしと伝わってきた。「当日はどんな感じになるのだろう」。そんな疑問に、信夫校長は「百聞は一見にしかずだよ」と一言。

 芸術祭の初日は舞台発表だった。函館弥生、函館西の両小学校による元気な合唱でスタート。函館西中が合唱で澄んだ歌声を響かせ、函館西高吹奏楽局は愉快な振り付けで会場を沸かせた。学校と地域住民が一体となって音楽の世界に浸っている。そんな光景に深い感動を覚え、思わず大勢の聴衆に交じって手をたたいていた。地元住民から「何回もやってほしい。素晴らしい芸術祭だ」との声も聞かれ、地域に強く受け入れられていることも知った。

 「この芸術祭が全市的なイベントに発展し、函館が元気な街になれば」と話していた信夫校長の言葉が強く心に残っている。多くの町に共通する人口減少、少子高齢化といった課題は函館も抱えているが、こうしたイベントは明るい材料になるはず。

 この芸術祭に限らず、地域が元気になる話題をどんどん読者に紹介できる、そんな地域に根づいた記者になりたい。(長内 健)


◎11人で特別委設置…貿易センター不正経理問題

 函館市議会の第4回定例会は22日、市出資の第三セクター「函館国際貿易センター」の不正経理問題や市の対応を調査する特別委員会(委員11人)の設置に合意。一般会計補正予算や追加議案3件を含む議案96件をいずれも原案通り可決し閉会した。

 函館どつくへ売却する予定の旧ドック跡地を市が市土地開発公社から買い戻す議案について、本間新氏(市民クラブ)が反対討論した。本間氏は「どつくを敵視するわけではない」と断った上で、市と同社で結んだ仮契約や議案提出の手続き、今後の見通しについて疑問を指摘。跡地売却後、クレーン解体費用を市が負担することから、同社が解体作業をするのではなく、厳しい経済情勢を踏まえ、中小企業の共同経営体で行うべき、などと求めた。議案は賛成多数で可決されたが、民主・市民ネットの一部の議員が本間氏に同調した。

 このほか「市債権の管理に関する条例」を賛成多数で可決。市税や保育料などの滞納金の徴収強化を図る債権回収対策室の設置を受け、滞納金に年利14・6%の延滞金を課すことを盛り込んだ。紺谷克孝氏(共産党)が、担税力のある滞納者に課すことは理解できなくもないが、生活困窮者に対しては反対である、と討論した。

 意見書は「インターネットを利用した選挙運動の解禁を求める」「大失業の危険から雇用と暮らしを守る緊急対策を求める」など7件を可決した。(高柳 謙)


◎「減額すべき」厳しい意見…函館市報酬審議会 2回目の会合

 函館市長と副市長の給料、退職金、議員報酬の諮問を受けた市特別職報酬等審議会(会長・松本栄一函館商工会議所副会頭)は22日、市役所会議室で2回目の会合を開いた。非常に厳しい経済・雇用情勢から「特別職も議員も減額すべき」とする意見が多かった。現状維持を主張する委員の中にも、職務への奮起や自発的な減額を求める意見があり、厳しい指摘が相次いだ。

 市長の給料は月額113万円、副市長は同89万円、議員報酬は同51万円。1997年に引き上げて以来、据え置きで、市長は10%、副市長は8%を自主的にカット。議員も昨年4月から政務調査費を月額2万円減らし、今年4月からは会議出席1日5000円の費用弁償を廃止し、交通費の実費支給としている。

 一般職を含め、給与体系全体の中で見直しを求める声もあり、議員報酬も、現状維持であれば定数を削減し、報酬額全体を下げるべきとする主張があった。これらに対し委員からは「一般職や議員定数削減は本審議会で議論する立場にはない」「何らかの形で答申に盛り込むべき」などの声があった。

 退職金についても「市長が1期4年で2700万円と非常に高額なことは、ほとんどの市民は知らない」「行財政改革を進める姿勢として市長らは自ら給料減額の幅を広げるべき」などの意見があった。世界同時不況や民間の厳しさを視座にした意見がほとんどで、減額幅を明記すべきと主張する委員もいた。

 松本会長は「前回は据え置きの答申だったが、今回は一歩踏み込んだ内容の答申となるようだ」と整理した。次回は来年1月16日に開き、答申案をまとめる。(高柳 謙)


◎“まちの御意見番”村川甚一郎さん100歳…地域で「紀寿」祝う

 【江差】江差町尾山町で“先生”と住民に慕われ、このほど100歳となった村川甚一郎さんの「紀寿」を祝う住民手づくりの祝賀会が22日、町内のぬくもり温泉保養センターで開かれた。教師を退職後も“まちの御意見番”として活躍する村川さんの長寿、健康を地域を挙げて喜び合った。

 祝賀会は尾山町内会(増永信勝会長)と尾山長寿会(赤石重徳会長)が主催。村川さんを“先生”と慕う住民や親族ら20人が出席した。

 村川さんは1908(明治41)年12月20日生まれ。尾山町で農業を営んでいた父岩吉さんと母ハツさんの二男として育った。29(昭和4)年に旭川師範学校(現道教育大旭川校)を卒業し、乙部村突符学校(現・乙部町立栄浜小)に赴任した。村川さんは「両親の反対を押し切り教師を目指した」という。当時はまだ江差線の開業前。「江差から小さな船で小樽を目指した。そこから汽車で旭川に向かった」と、“荒海”に乗り出した若き日々を懐かしむ。

 乙部を振り出しに「へき地教育」に力を注いだ。今金、熊石、奥尻、厚沢部の小規模校で勤務。上ノ国町の河北小中学校で退職を迎えた。「小さな学校だからこそ、教育を充実させることが父のモットー。学校にピアノを入れるために頑張ったと聞いた」と語るのは札幌に住む長女の典子さん(73)。「夜遅くまで村の人たちが父を訪ねてきた。先生は何でも相談できる存在。父も生活を二の次にして教育に打ち込んでいた」。学校、保護者、住民が一つに結ばれていた古き良き時代を典子さんが振り返る。

 退職後、村川さんは生まれ故郷の尾山町に住まいを構え、両親から引き継いだ土地で畑作業にいそしんだ。増永会長は「95歳まで元気に農作業をされていた。先生の意見は誰もが納得する重みがある。まさにまちの御意見番です」と語り、今も頭の上がらない様子だ。

 背筋をピンと伸ばし、礼服姿で祝賀会に臨んだ村川さん。「百歳の実感はないね」と笑顔で答えながら、大好きな日本酒が注がれた杯を傾けた。典子さんは「父のパワーを受けて皆さんもいつまでもお元気で」とあいさつ。長寿を祝う住民に囲まれながら、かくしゃくとした様子の父親を温かいまなざしで見つめていた。(松浦 純)


◎人気の「マル獄」シリーズも…きょうから五稜郭タワーで刑務作業展

 矯正協会刑務作業協力事業部の刑務作業展示会が23、24の両日、五稜郭タワーアトリウム(函館市五稜郭町43)で開かれる。全国各地の刑務作業製品約180種類、約2200点を展示、販売する。函館少年刑務所オリジナルの大人気商品「マル獄」シリーズは生産数が少なく、インターネットオークションへの出品目的の購入が相次いでいるため数量限定で販売する。

 「マル獄」シリーズからは、きんちゃく袋や小袋、前掛けなどが並ぶほか、月形刑務所(空知管内月形町)の三輪車型プランターなど、道内製品を中心に展示。クリスマスに合わせて、名古屋刑務所のステンドグラスや奈良刑務所の積み木や木馬など、木製玩具も取りそろえた。

 このほか、函館少年刑務所の矯正教育行政を広報する展示や、国際協力機構(JICA)による海外での活動状況のパネル展も同時開催する。両日とも午前9時から午後5時まで。問い合わせは函館少年刑務所TEL0138・52・5500。(今井正一)