2008年12月25日(水)掲載

◎ウド出荷始まる

 【北斗】ビニールハウスで育った一足早い早春の味、ウドの収穫が北斗市内で始まった。同市内のウド栽培農家は8戸で、このうち同市追分の秋庭真人さん(29)方ではビニールハウス4棟で育成している。

 11月初旬に植えた根株を17―20度に保った土の中で、1カ月半掛けて30―50センチに成長させた。収穫作業は例年よりやや遅い21日からで、妻の里美さん(30)や地域住民が取り組んでいる。地面からニョッキリと5センチほど芽を出したウドを、傷つけないように手で株ごと取り出し、根を包丁で切り取って手早く箱に詰める。秋庭さん方では1日に50箱を出荷する。

 ハウス栽培のウドはてんぷらや酢みそあえがおいしく、サラダなどにもできる。卸値は1箱(2キロ入り)で平年並みの1500円前後という。秋庭さんは「自生するものと比べ、アクが少なく食べやすい。取れ立てのウドを味わって」と話している。収穫は2月下旬ごろまで続き、主に札幌市に出荷される。(山田孝人)



◎タクシー運賃 値上げ手続き中断、最大手が申請取り下げ

 北海道運輸局が渡島、桧山管内(函館地区)で進めていたタクシー運賃値上げの審査手続きが中断したことが24日分かった。函館市内の大手タクシー会社が申請を取り下げ、審査に必要な管内の法人車両数(1132台)の7割を下回ったため。手続きの中断は10月の十勝管内(帯広地区)に次いで道内2例目となり、運賃改定をめぐる駆け引きが激しさを増している。(森健太郎)

 申請を取り下げたのは管内の法人車両数の約3割、350台を保有する道南最大手の相互交通(函館市昭和2)。同社は「値上げを申請しなかった社が3割近くに上るため、このままでは二重運賃になる恐れがある。景気の悪化で売り上げが落ち込む中、過当競争を避けて自助努力を続けることにした」としている。

 函館地区での運賃改定は8月から10月末までに計33社・824台が申請し、台数ベースで審査開始の規定を超える72・8%に上った。各社は燃料費の高騰や乗務員の待遇改善などを理由に、現行の初乗り運賃の上限530円(小型車)を610―850円に引き上げることや、運賃が加算される距離の短縮を求めていた。

 同運輸局は11月から値上げを認可するかどうかの審査に入ったが、同社の取り下げで申請率が総車両数の42・7%まで下がったため、12月12日付で手続きを一時中断した。今後3カ月以内に申請率が再び7割を超えれば手続きを再開するが、超えない場合は申請が却下される。

 今回、値上げ申請を見送った会社には客離れを懸念する声が根強い。ある業界関係者は「各社とも値上げしたいのはやまやまだが、競合で全体の足並みがそろわない。運賃を値上げしたからといって業績や乗務員の待遇が好転するとも思えない」と話している。



◎回顧2008(4)…北斗市、七飯、森、鹿部町を取材して

 秀峰・駒ケ岳を中心に据えた北斗市、七飯町、森町、鹿部町を取材エリアに、内浦湾と津軽海峡に面する1市3町の地域の多彩な話題を伝えている。担当する自治体は人口約5000人から約5万人までさまざまだが、そうした規模にかかわらず、市民や町民が「まち」を支える姿をいつも目にしてきた。

 人口が最も多い北斗市は、旧大野町と旧上磯町が合併し2006年2月に誕生した新しい自治体だ。「町」としての地域力を保ちながら、市内随所で「市」への移行を積極的に取り入れている。

 北斗市議会は今年、「議会改革等に関する調査特別委員会」を立ち上げ、費用弁償や議員定数、一般質問の在り方などを調査、検討し、「町議会」から「市議会」への移行を進めた。「わたしは町議会しか知らない。だが、市議会にならなくては」―。ある議員の言葉が胸に残った。

 市に移行しても依然として市主催のイベント、行事への住民参加率は高く、町会活動の積極性も目を引いた。町会加入率は平均70%超。市内全86町会で構成する町会連合会、市内を10ブロックに分け各ブロックに市職員を配置する地区協議会の存在は市民と市役所、各機関を近づける一因となっているようだ。本年度、町会連合会は警察庁から「地域安全安心ステーション」のモデル事業の指定を受け、市民一人ひとりが地域の安全・安心の一端を担う活動に力を入れた。

 一方、人口約3万人の七飯町では町民自らの企画で、町を盛り上げようとする姿に出合った。ヒット曲「千の風になって」を訳詩・作曲した作家新井満さんが、大沼の別荘で同曲を作ったというエピソードに端を発し、昨年末に発足した「千の風プロジェクト」の活動は今年、急速に国内外に知られることになった。大沼国定公園内に設置した歌碑には観光客が絶えず訪れている。「曲による町おこし」は来年も続くだろう。

 森町が発注した施設建設の官製談合事件に伴い、前町長が逮捕、起訴され、町の再起をかけた町長選は注目を集めた。国の三位一体改革後、地域分権化が進み、「協働のまちづくり」の必要性が叫ばれている。選挙では町民との対話と、「町の良さを引き出す」ことを強調した佐藤克男氏が初当選を果たした。

 「まち」に学ぶ地域力―。それは住民と行政との近さ、そして、官に頼るだけではなく、住民自らが「まちを豊かにしたい」と願う心なのかもしれない。取材を通じて地域に寄り添いながら、そんなことを考えた。(笠原郁実)


◎道新幹線事業費337億円の来年度予算が政府決定

 24日の閣議で決定した2009年度一般会計予算の政府案で、北海道新幹線の新函館―新青森間の事業費は財務省原案通り337億円(08年度比89%増)となった。08年度の178億円から159億円の大幅アップとなり、道や地元自治体は「2015年度の開業に向けて十分に手応えのある内容」と評価する。

 来年度の整備新幹線5路線の総事業費は3539億円(同15%増)。調整費として道新幹線(札幌―長万部)など未着工3区間の事業費9億円が盛り込まれたが、09年12月末までに政府が着工を認可することが予算執行の条件となっている。総事業費の内訳は、国による公共事業費が706億円、地方負担分が1180億円、既設新幹線のJRへの譲渡収入が1653億円。

 05年度に着工した新函館―新青森間は05年度30億円、06年度60億円、07年度100億円、08年度178億円と事業費が伸び、工事も順調に進んでいる。函館市の西尾正範市長は来年度の事業費について「15年度の開業に向け粛々(しゅくしゅく)と工事が進むことを期待したい。これまではトンネル工事が中心だったが、車両基地や橋りょう工事が進めば、市民の目にも新幹線事業が見えてくる。(国土交通省試算による)予算総額4700億円の15%の達成率となり、開業が遅れることはないと思っている」と話す。

 渡島支庁の新幹線推進室では「工事の進行に支障のない十分な事業費が確保できたと考えている。他地域の例を見ると、開業予定3、4年前に事業費のピークを迎えると思われるので、来年度以降はさらに多くの予算を獲得できるように政府に働き掛けていきたい」としている。(小川俊之)


◎11月の道南 有効求人倍率0・44倍

 函館公共職業安定所は24日、11月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢を発表した。仕事を求めている人1人に対する求人数を示す有効求人倍率は前年同月を0・10ポイント下回る0・44倍と、17カ月連続の前年割れとなった。道南でも派遣社員の「雇い止め」が相次ぐなど雇用環境は悪化の一途をたどり、同職安は情勢を「厳しさが増しつつある」と3カ月ぶりに下方修正した。

 今年に入り有効求人倍率が0・45倍を下回ったのは暫定税率復活直後の5月に続き2回目。前年を0・10ポイント下回ったのは1999年2月以来で、拓銀が経営破たん後の水準まで低迷している。同職安は「事業主都合で離職した人の求職が増えているため」と分析している。

 企業の有効求人数は前年同月比16・4%減の4065人と17カ月連続の前年割れとなる一方、有効求職者は同2・3%増の9269人と3カ月連続で増加。雇用の先行指標となる新規求人倍率も同0・25ポイント減の0・69倍となり、8カ月連続で前年を下回った。

 新規求人のうち、正社員求人は同23・7%減の526人と8カ月連続で前年を割り込み、非正規も同21・7%減の859人と2カ月ぶりに減少に転じた。同職安は「求人の質、量ともに低下している。企業は求人を出すよりも現状の人員削減の傾向が目立つ」と懸念する。

 産業別では飲食店・宿泊業が新規出店効果で同35・1%増だったが、消費の低迷でサービス業や製造業などの求人数が急激に落ち込んでいる。同職安は「世界的な景気後退で派遣社員の離職が11月末から相次いだため、今後はさらに数字が悪化することも予想される」としている。(森健太郎)


◎知内出身のサブちゃん今年も紅白出場 脇本町長ら町民が応援

 【知内】知内町出身の演歌歌手、北島三郎さん(72)が今年も31日夜に行われるNHK紅白歌合戦に出場する。当日歌う曲目は地元漁師らに人気の「北の漁場」に決定した。出場歌手の中の最高齢で、出場回数も45回目と最多。地元の大スターとして町民の応援にも力が入る。小、中学校で2年先輩だった脇本哲也町長は「北島さんの力ある歌声で全国に元気を与えてほしい。今年もテレビの前で家族と一緒にその勇姿を見たい。楽しみにしている」と、演歌界の大御所に古里からエールを送っている。(田中陽介)

 北島さんは1936年に知内村(現知内町)で生まれ、地元中学を卒業後、函館西高校に進学。毎朝早く列車で通ったという。

 高校時代にNHKのど自慢に出場するなど、美声の持ち主として認められ、歌手を目指して上京。62年6月に「ブンガチャ節」でデビューした。同年12月に「なみだ船」で第4回日本レコード大賞・新人賞を受賞。86年には「北の漁場」が第28回同大賞・最優秀歌唱賞に選ばれた。時代劇などにも出演し、“サブちゃん”の愛称で幅広い芸能活動を展開している。

 91年8月に道民栄誉賞、92年2月には知内町民栄誉賞が授与された。昨年10月1日に町公民館で行われた町制施行40周年記念式典にも駆け付け、祝辞を述べて会場を盛り上げた。

 紅白歌合戦会場の東京渋谷のNHKホールは、今夏の改修まで座席などに知内産の木材が使われていた経緯があり、町としても紅白歌合戦は縁深い。北島さんは同町の公式ホームページに「毎年8月のお盆に故郷に帰ると、子どものころ、海や川で泳いだこと、森にカブト虫を探しに行ったこと、秋サケの遡上(そじょう)を見に知内川に出かけたこと、冬手づくりスキーで朝から夕方まで遊んだことなどが思い浮かび、『自然豊かな知内町』を痛感する次第です」との思いを寄せている。

 北島さんと小、中学校時代に同じクラスだった町重内の構口忠栄さん(72)は「毎年たいしたもんだ。三郎の頑張る姿を見て、自分も勇気づけられている。72歳といっても50歳ぐらい若い気持ちで頑張ってもらいたい」とし、毎年紅白歌合戦を楽しみにしているという知内高校2年の遠藤栞さん(17)は「初出場のミスターチルドレン(ミスチル)が大好きなので、サブちゃんがあこがれのミスチルと共演すると思うとうれしい。晴れ舞台をしっかり見たい」と期待を寄せている。


◎寺田さんが自作の夜景ポストカードをプレゼント

 函館市堀川町で時計店を経営する時計修理一級技能士の寺田昭吉さん(66)がこのほど、撮りためてきた函館山からの夜景写真を使ったポストカードを作成した。寺田さんが所属する市民団体「日本一美しい函館100万ドル夜景愛好会」(王未来代表)の活動に連動しており、「函館夜景の美しさのPRに利用してもらえればうれしい」と期待している。(小川俊之)

 函館観光の魅力をアピールすることの必要性を痛感している寺田さんは、今年1月に同愛好会が発足すると早速会員になった。自らの写真撮影の趣味をPR活動に生かせないかと考え、これまで取りためたものと新たに撮影した作品の中から、特に自信のある函館山からの夜景の写真をピックアップし、「100万ドルの夜景」のロゴを入れたポストカードを作成することを考えた。

 12月13日に函館山山頂展望台のイベントホール・クレモナで開かれた同会メンバーによる初のサミットで、試作のポストカードを紹介。寺田さんは「このカードを使って友人などに便りを出すことで函館の夜景のアピールにつながってくれれば」と話す。

 寺田さんは今回、函館夜景のポストカードを5枚1組で10人にプレゼントする。締め切りは30日。希望者は郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記し、はがきで申し込む。あて先は〒040―0025 函館市堀川町10の9「寺田時計店」まで。