2008年12月26日(金)掲載

◎家内安全 来年は良い年に 店彩る縁起物やしめ飾り 歳の市始まる

 正月用の縁起物やしめ飾りを販売する「歳(とし)の市」が25日、函館市内で始まった。市歳の市商業組合(柴田任弘組合長)に加盟する9店が松風町(大門地区)、中島町(中島廉売)、弁天町(大黒通り)、湯川町の4カ所で露店を構え、華やかなしめ飾りやまゆ玉などで店頭を彩っている。

 組合員には農家も多く、商品は手作り。車や玄関用などさまざまな大きさのしめ飾り、タイや大黒様、恵比寿様をにぎやかに飾り付けた神棚用の「ごぼう〆(じめ)」などを並べる。60年前から毎年、中島廉売に店を出す丸山重美さん(86)に「売れ筋は1000円の玄関用しめ飾り。市販品よりも安い」と自信を見せる。

 松風町に出店する柴田組合長(68)は「厄(やく)を払う意味があるので日本古来の風習を守り、質の良いものを出したい」とし、「景気が良くなり、病気もせずに皆さんが幸せになれるよう気持ちを込めて売ります」と話す。客足のピークは28日ごろで、31日まで販売する。 (宮木佳奈美)



◎大野川に1万円札371枚/北斗市が保管 落とし主捜す

 【北斗】北斗市内を流れる大野川でこのほど、1万円札371枚が沈んでいるのが発見された。回収した現金を保管している同市は「このご時世に…」と首をかしげるばかり。同市は本庁舎や支所など市内4カ所に、事実関係を記した紙を掲示して告知し、落とし主を捜している。

 同市によると、1日午前10時50分ごろ、市内在住の女性が河口から約800メートル上流で、同本庁舎東側に位置する上有川橋付近で、1万円札が沈んでいるのを見つけて通報。その後、河川管理者の函館土現が上流に向かって調べた。

 4日間の調査で、約4キロ上流の千代田橋付近から河口の500メートル上流までの間に現金が散乱しているのを確認した。約100枚が千代田橋の下で集中的に発見されており、同市や同土現は千代田橋から落とされたとみている。一部は札が塊で見つかり、連番になっていた。

 拾得物は通常、管轄の警察署が保管するが、水難救護法によって、漂着物や沈殿物は市町村が管理することになっている。市は3日から告示し、落とし主を捜しているが、これまで名乗り出た人はいないという。

 告示後、来年6月2日までの半年間で落とし主が現れない場合、回収した現金は市が取得することになる。



◎函館市が緊急雇用対策 来月から臨時職員50人採用

 経済・雇用情勢の悪化を受け、函館市の西尾正範市長は25日、来年1月から総額5000万円規模の緊急雇用対策を実施すると発表した。臨時職員50人程度を採用するほか、冬季就労対策で雇用を増やし、事業主都合による失職者を対象に市営住宅を一定程度確保する。市長は「地域で何ができるかを議会とよく相談し、予備費で緊急対策を実施したい」と述べた。 (高柳 謙)

 臨時職員の採用と冬季就労対策がそれぞれ約2000万円、市営住宅の改修などに約1000万円を予定し、関係部局で準備を進める。

 いずれも1月中旬から実施する予定で、臨時職員採用は3月末まで。通常の臨時職員と同じ待遇で、函館公共職業安定所を通して募集する。福祉灯油の助成業務や遺跡から発掘された出土品、図書館の郷土資料整理などに従事してもらう。

 冬季就労対策も1月中旬から3月末までの予定で、当初予算で計上している1500万円に上積みして実施する形となる。人数は未定だが、道路の側溝清掃や歩道の除雪、港内区域の清掃、じん芥収集などの業務を想定している。

 市営住宅も一定程度を確保する。市内外で派遣社員が解雇される事態が相次いでいるが、元派遣職員に限定せず、事業主都合で失職し、函館職安で求職活動をしている住宅困窮者を優先する考え。居住期間は最長で1年間程度。家賃の軽減も検討する。

 道によると、道内自治体が単独費用で緊急雇用対策の実施を決めたのは、確認している例で釧路管内標茶町がある。失業率が悪化した1999年度から5年ほど、国が都道府県に交付金を出して基金を積み、市町村とともに臨時雇用対策をした例がある。

 西尾市長は「新年度予算でも検討するが、国の二次補正との関係を見て、場合によっては2月議会での補正予算計上もあるかもしれない。経済と雇用対策に力を入れたい」と話している。


◎光の舞台 名残惜しく クリスマスファンタジー閉幕

 函館市末広町の赤レンガ倉庫群で1日から、華やかな催しが繰り広げられてきた「2008はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が25日、閉幕した。ファイナルセレモニーでは25日間にわたって輝き続けたメーンツリーの電飾が静かに消え、詰め掛けた市民や観光客が名残惜しそうに見守った。

 午後6時から行われた最後の点灯式は、今年から同ファンタジーの公式キャラクターとなった「ニッキー」やトナカイの「ファンファン」の着ぐるみが登場。続くダンスステージでは道教大函館校モダンダンス部のダンスパフォーマンス、アクターズスタジオ函館校の生徒によるボーカルステージなどが行われ、最後の盛り上がりを見せた。

 会場には家族連れやカップルが大勢訪れ、メーンツリーをバックに記念写真を撮影したり、スープバーのスープで体を温めながら、光に彩られた舞台を満喫していた。

 午後8時からファイナルセレモニーが始まり、ツリーの輝きをバックに、ゴスペルグループの清らかな歌声が会場に響いた。再び「ニッキー」らキャラクターが登場し、観客に向って「また来年も会いましょう」と呼び掛けた後、会場を毎日照らし続けたツリーの約5万個の電飾が徐々に消灯し、盛大に花火が打ち上げられた。

 東京から来た山田丈夫さん(41)、佳織さん(39)夫妻は「毎回、ファイナルセレモニーに参加している。いつ見ても感動する」と、閉幕後も余韻に浸っていた。 (鈴木 潤)


◎記者回顧/裁判を取材して

 「たった一握りのことで人を殺してしまうあんたの貧しい心がとっても憎い。人を殺して我が身は助かろうなんて大きな誤りだ」―。なまりのある口調には、まな娘を卑劣な凶行で失った怒りと悲しみが入り交じっていた。傍聴席には嗚咽(おえつ)だけが響く。込み上げる涙を抑えながら、必死でノートにペンを走らせた。殴り書きの文字にあの時の法廷の空気が残る。

 事件は1月末、せたな町の小さな小学校で起きた。20万円余の学校経費を着服していた福士昌被告(22)が使い込みを隠ぺいするため、校長の殺害を計画し、その際に邪魔(じゃま)になるとして同僚の臨時職員の女性(当時24)を殺害した。8月に開かれた公判で、殺人や殺人予備罪などに問われた同被告に対し、函館地裁は懲役26年(求刑・無期懲役)を言い渡した(検察、弁護側双方が札幌高裁に控訴中)。

 裁判を取材する限り、殺された女性に落ち度はないと思えた。犯行状況も聞くに堪えない残忍なものだった。冒頭の女性の実父の言葉に、心を揺さぶられる思いがした。

 もう一つ、忘れることのできない裁判がある。八雲町内の調剤薬局を舞台にした業務上横領事件で、函館地裁は被告となった女性(29)に無罪を言い渡した。刑事裁判で有罪判決となる確率は99%を超えると言われている中、無罪判決の瞬間を目の当たりにできたのは非常に希有(けう)な体験かもしれない。公判中、検察官の質問に対し、毅然(きぜん)とした口調で答えた女性の姿も際立ったが、「接見時に、彼女の目を見てC?゜(えんざい)を確信した」と語った中村勉弁護士の言葉も印象的だった。

 10月に開かれた裁判員制度のフォーラムで、函館弁護士会の前田健三会長は「法廷ではマスコミの報道で知らされていない側面も出てくる」と述べた。刑事裁判の法廷で被告人席に座る理由はさまざまだが、犯行に至る背景や動機、生活環境などがつぶさに明らかになる。時間を見つけてさまざまな裁判を傍聴したが、陳腐な言葉ではあるが、法廷には“人間ドラマ”が詰まっていると感じた。

 年明けからいくつかの注目裁判が続く。2月に予定されている森町の前町長、湊美喜夫被告(80)の初公判も関心が集まるだろう。5月からは、重大事件に関する裁判員裁判が開かれることになる。事件・事故の報道も、読者に予断を与えない「正確な記事」を書くよう心掛けなくてはならないと考えている。(今井正一)


◎函館焼きの魅力知って 陶芸家の高村さん、1月に展示会と陶芸教室開催

 函館開港と同じ年に函館で焼き物「箱館焼」が誕生、来年150周年を迎える。道内で初めて陶芸文化が生まれた函館での焼き物の発展を願い、現代の「函館焼」作りに励む函館市美原の陶芸家高村智さん(53)の展示会、陶芸教室(JR北海道函館支社主催)が1月16日からJR函館駅2階イカすホールで開かれる。高村さんは「自由に触れてもらい、函館焼がどんなものか見てもらいたい」と話している。(宮木佳奈美)

 高村さんによると、箱館奉行所による地場産業の育成・振興の一環で、岐阜県の陶工ら総勢46人の職人が市内谷地頭町で開窯。1859(安政6)年に焼き物の製造に成功し、道内の陶芸文化の幕開けとなった。

 当時は「谷地頭焼」、後に「箱館焼」と呼ばれ、その多くが磁器だった。茶わんや湯飲みなどがあり、絵付けではアイヌ民族などが描かれた。しかし、良質な原料を本州から取り寄せて製造していたため採算が合わず、3年ほどで途絶えてしまったという。現在、市内では市立函館博物館(青柳町)に24点収蔵されている。

 「箱館焼がもし途絶えなかったら、函館は窯業のまちになっていたかもしれない」と思いをはせ、高村さんは伝統を守りながら近代風にアレンジした「函館焼」を制作する。当時のように磁器を取り入れながら自身の感性で現代風にし、磁器、陶器を単独で作るだけでなく、磁器と陶器の原料を混ぜた半磁器も手掛け、磁器の丈夫さを生かしつつ陶器の味わいを引き出す。市内の旅館や札幌のホテルなどの業務用にも制作し、「函館焼」を多くの人に広めている。

 1月16―21日の展示会には近作の陶器、磁器、半磁器50点を並べ、それぞれの魅力や表現方法を知ってもらう。陶芸教室は16―18日の3日間で小学4年生以上が対象。午後1時半―午後3時。制作テーマは自由。各日定員15人。材料費2000円。申し込みは9日まで。問い合わせは同社TEL0138・23・3359(27日―4日を除く平日午前9時―午後5時)。


◎支庁再編…高橋知事が会談要請の書簡

 【札幌】来年4月の実施が危ぶまれている道の支庁再編をめぐり、高橋はるみ知事は24日、道町村会(会長・寺島光一郎乙部町長)など地方4団体の会長に対し、「率直に話し合う場をできるだけ早期に設けたい」とする書簡を送り、トップ会談への参画を求めた。(松浦 純)

 書簡は道町村会、道町村議会議 長会、道市長会、道市議会議長会にあてて送られた。この中で、高橋知事は「6月の第2回定例道議会で総合振興局設置条例が議決された。道として条例の施行に力を尽くしたい」とし、改めて支庁再編への意欲を強調。支庁廃止地域への財政支援策などを盛り込んだ「地域振興条例(仮称)」の来年4月施行にも理解を求めた一方、「振興局となる地域からは不安や懸念の声がある。真摯(しんし)に受け止め謙虚に反省したい」として道の対応を陳謝した。

 さらに、高橋知事は廃止対象支庁からの業務集約など、再編の進め方について「経済・雇用、開発体制といった緊急課題と併せて十分に意見を伺い、率直に話し合う場をできるだけ早期に設けたい」とし、4団体にトップ会談に応じるよう求めている。会談の日時や方法については明記されていない。

 道町村会の寺島会長は「振興条例の懇話会に道町村会の委員(北良治空知管内奈井江町長)が参加して意見を述べている。再編計画の見直しが必要とする道町村会の主張は変わらない。5支庁だけを支庁出張所とする再編には反対。現在の経済情勢下で再編を押し進めれば、地方の町村にはさらなる打撃となる」とし、今後は理事会などの場で、直接会談に応じるかどうか協議する方針を示している。