2008年12月27日(土)掲載

◎ツバの収穫作業ピーク

 【北斗】北斗市内の農家で、雑煮などの正月料理に使われるミツバの出荷作業がピークを迎えている。同市市渡の安田秀昭さん(61)方のビニールハウスでは、22日から収穫と出荷を始め、家族やパートの主婦ら18人が作業に追われている。

 270平方メートルのビニールハウス3棟で栽培されたミツバは高さ約40センチ。包丁で刈り取り、水洗いした後、50グラムや100グラムごとに束ね、1キロ入りの箱に詰めている。安田さん方では作業を終える28日までに約2400箱出荷する予定だ。今年のミツバは順調に生育し、安田さんの長男秀幸さん(30)は「早く出荷し、各家庭の食卓に届けようと皆で頑張っている」と話す。

 新函館農協大野基幹支店の小山内康弘主査は「農家の皆さんはほぼ農薬を使わず、手間暇かけて育ててきた。北斗のミツバは柔らかく、みずみずしいのでぜひ食べてみて」と話している。ミツバは函館市内を中心に出荷される。(長内 健)



◎貿易センター不正経理問題、会社が元専務を告訴

 函館市の第三セクター「函館国際貿易センター」(社長・谷沢広副市長)は26日までに、領収書改ざんや旅費を不正受給した元専務(70)を詐欺、業務上横領罪などで函館西署に告訴、同署は告訴状を受理した。谷沢社長は同日、今回の問題の解決と会社の体制立て直しにめどがつき次第、社長を退任する意向を表明した。

 告訴は有印私文書変造と同行使、詐欺、業務上横領罪。7月に問題が表面化後、元専務が不正に受け取った全額を返済し、社会的制裁を受けているとして、同社は刑事告訴をしない考えを示していた。しかし、調査を進める中で使途に「私的流用があった」(谷沢社長)ことが判明、11月初旬から同署に相談し、25日に告訴状を提出した。

 これまでの同社の発表では、元専務による領収書改ざんは23件、実出費との差額は8万7000円。チャーター便に無料で搭乗したにもかかわらず、出張旅費を架空請求した分は元専務を含む5人で28件、141万3700円に上る。谷沢社長は「一日も早く事実関係が明確になってほしい。関係者に心から謝罪するとともに、二度とこうした問題が起こらないよう経理のチェック機能を確立し、事業推進に向けて信頼回復に努めていきたい」とし、「次の会社の体制を整えた上で、けじめとして責任を取りたい」と述べた。(浜田孝輔)



◎新函館農協、組合員25人分の情報漏えい

 新函館農協(畠山良一組合長、組合員3300人)の組合員25人分の名前と金銭貸借などを含んだ内部情報が、外部に漏えいしていたことが26日までに分かった。漏れたのは2004年度の決算監査に対する回答書として、05年3月に作成された文書。同農協は内部に設置した調査委員会で経緯を調べるとともに、26日から情報が漏れた組合員に対して謝罪している。

 同農協によると、回答書の写しとみられる文書が2月、ある組合員宅の郵便受けに投かんされており、12月5日になってこの組合員が農協に問い合わせた結果、本物と判明した。同農協はその後、顧問弁護士らに対応を相談し、19日の理事会に報告した。

 文書はA4判12枚。決算監査に伴う監事からの指摘と、これに対する理事側の回答で構成される。個人名や取引金額なども記載されていることから、25日の緊急理事会で25人の対象者に対して謝罪することを決め、調査委員会を立ち上げた。この文書は当時の理事と監事、会議の出席職員が持ち帰っており、同農協は「守秘義務違反に当たる」として追及する考え。

 同農協では、個人情報保護法が施行された05年4月以降、個人情報を含む文書を会議後にすべて回収していることから、施行以前の同様の書類に対し、今後可能な限り回収する。組合員に対しては年内に文書で事情を報告し、調査委員会の調査結果も判明し次第伝えるとしている。(小泉まや)


◎回顧2008(6)…新人記者2カ月

 報道部記者となり2カ月が経過した。10月半ばまで東京のスポーツ新聞社で編集補助をしていた。記者と実際に触れ合う中で、「自分も現場に出たい」と思うようになった。7月末に本社の記者募集を知り、勇んで応募した。高知県出身で見知らぬ土地に不安もあったが、「新聞記者になりたい」という気持ちが勝った。

 取材先では話を聞きながらメモをとり、写真も撮影する慌しさに四苦八苦しているが、取材相手の温かい言葉に支えられている。「ストーブを持っていない」と雑談で漏らすと、家電店のチラシを持ってきてお薦めの機種を教えてくれたり、初めて体験する冬道の運転の仕方、歩き方まで指南してくれたり…。とにかく助けられている。

 11月15日には明治維新後、函館を新天地にしようとした故郷の英雄、坂本龍馬のイベントを取材した。この日は龍馬が土佐で生まれた誕生日であり、京都で凶刃に倒れた命日でもある。同じ土佐出身者として、龍馬が果たせなかった函館入りを実現し、この地で龍馬をしのぶイベントの取材をしていることが何とも不思議でならなかった。会場に流れるなじみ深いよさこい節を聞きながら、「この街には縁がある」と、妙に勇気づけられたことを憶えている。

 日吉町在宅福祉委員会主催の独居老人を対象とした食事会も忘れられない。この仕事に就いて初めての取材だった。会場では福祉委員が参加者に「体の具合は?」「困ったことは?」と声を掛けていた。この委員も決して若くはないが、「私も体がしんどい時もあるが、まだ動けるうちは、人を助けたい」との言葉が印象的だった。

 その時、参加していたお年寄りの女性から「あんたは新人さん? 練習でいいから写真撮ってよ」と呼び止められた。カメラに初めて電源を入れ、記者生活で最初のシャッターを押した。おばあちゃんたちの笑顔が輝く一枚。紙面には使えなかったが、見ているだけで、こちらも楽しくなるような写真だった。

 「独居老人」という言葉から何となく暗い先入観を持って取材に向かったが、目の当たりにしたのは地域で生き生きと交流し、明るく過ごしている姿だった。地域の絆(きずな)の強さを感じ、元気をもらったような気がした。

 少しでも明るい話題を読者に伝えたいと思う。初めての取材で撮ったあの「笑顔の一枚」は、記者としての自分の原点だ。出会いを大切にしながら、函館の街をこれからも走り続けたい。(山田孝人)


◎銀支店11月の景況判断「厳しさが増している」

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は26日、11月の道南地方の金融経済動向を発表した。管内の景況判断を「弱い動き」から引き下げ、「厳しさが増している」と7カ月ぶりに下方修正した。雇用環境の厳しさや株価の下落に伴い消費マインドが悪化し、生産面でも電子部品を中心に操業度を引き下げる動きが拡大しており、急速な景気後退の波が道南にも押し寄せている。(森健太郎)

 項目別では個人消費、観光、生産、雇用の4項目について判断を引き下げた。市川支店長は「電子部品製造を中心とする生産面が冷え込み、企業の景況感もさらに悪化を見込む傾向にある」と分析。世界経済が今後も減速、後退する可能性が高く、当面は厳しい状況が続くとして表現を強めた。

 個人消費は「低調な動き」から「弱まっている」へ悪化。主要小売店10社の売上高は、平均気温が高めでコートなど冬物衣料の不振が響き、前年同期比8・0%減と下げ幅も拡大している。新車登録台数は新型車が好調な軽乗用車は同3・5%増と3カ月連続で前年を上回ったものの、普通・小型車は4カ月連続の前年割れで同19・8%減と大きく落ち込んだ。

 観光は「弱い動きが広がっている」から「厳しい状況にある」に悪化。函館空港乗降客数が国内便が14・6%減、国際便が38・1%減と急激に落ち込んでいて、主要ホテル20社の宿泊客数や五稜郭タワー利用客とともに2けた台の減少幅を見せ、いずれも7カ月連続の前年割れとなった。

 生産は電子部品について「頭打ち」から「需要減少を映じて操業度を引き下げている」と一段引き下げた。特に携帯電話や自動車向けの受注が減少する電子部品(半導体、水晶デバイス)の低操業が主因。雇用も11月の有効求人倍率が0・44倍と17カ月連続の前年割れとなり、98年4月―99年9月の18カ月連続前年割れのワースト記録に次ぐ低水準で、今後も一層の悪化が懸念される。


◎チョコでイラク医療支援、NGO発足

 函館市八幡町18でフリースペース「小春日和」を主宰する大野友莉さん(26)ら市民有志がこのほど、NGO「世界の子どもアート展」の会(仮称)を発足させた。世界各地の子どものアート作品などを通じ、そこに込められた思いや願いを伝えるのが狙い。活動第1弾として、イラク医療支援のための「チョコ募金」キャンペーンを小春日和で実施中で、協力店舗なども募っている。(新目七恵)

 同会はベトナムの「子どもの家」を支える会・JASSはこだての川人弘隆代表、青いぽすとライターの野村保子さんら6人が参加し、大野さんが代表を務める。

 チョコ募金は、NGO団体JIM―NET(日本イラク医療支援ネットワーク、長野)の活動に函館地区として初めて協力する形だ。活動は4年目で、今年は全国で7万個のチョコレート販売を目標としている。札幌では市民有志のボランティア団体「イラク・チョコ募金の会」が中心に実施。函館では3月末までに300個を計画している。

 募金額は1口500円で、募金者にはアーモンドチョコレート(5個入り)がプレゼントされる。募金額のうち400円は白血病患者の一日の薬代になる。

 イラクでは1990年代以降、戦争で使用した劣化ウラン弾が原因と見られる白血病やがんで多くの子どもたちが苦しんでいる。チョコレートのパッケージは、病と闘うイラクの子どもらが描いた絵を基に関係者がデザインした。全4種類で、マスクをする男の子や水で手を洗う女の子など、子どもらの現状や願いが伝わる内容だ。同店では関連CDや書籍を販売するほか、チョコレートを食べるイラクの子どもを撮影した写真も展示している。

 大野代表は「イラクの子どもたちとも愛を分かち合って」と協力を呼び掛けている。

 同店の年末の営業時間やチョコ募金についての問い合わせは小春日和TEL0138・83・7721。専用ホームページはhttp://www.8space.info/


◎函館市まちづくり3カ年計画、ハード事業相次ぎ着工

 函館市は26日、来年度から3年間の事業や施策の指針となる「まちづくり3カ年計画」を公表した。2009年度は旧ロシア領事館、市公民館、旧市立図書館の復元や改修に向けての耐震診断や、国際水産・海洋都市構想の推進機構設立などを盛り込んだ。本年度まで設計段階の縄文文化交流センター、恵山・椴法華地区の統合保育園、戸井地区の消防庁舎などの建設が相次いで始まる。

 市の新総合計画(07―16年度)に基づき、具体的な事業や施策を盛り込んだ計画で、今後の予算編成の基本となる。市長部局のほか、水道局と交通局などを含めた3年間の事業費は、国費や民間資金を含め534億円で、うち市の単独費は350億円。

 旧領事館(船見町)の復元整備費は概算で3億円以上。ロシア側が費用を負担する動きがあるが、西尾正範市長は「具体的な内容は今後の協議、検討事項」としている。西部地区の市公民館、旧図書館本館と併せ、市民から活用の要望が寄せられている。

 ハード事業では、生涯学習や広域観光の拠点となる南茅部地区の縄文文化交流センターのほか、現在の日ノ浜会館を建て替える恵山コミュニティーセンター、椴法華中学校への共同給食調理場の建設、整備などが始まる。

 福祉関係の懸案で、関係者との合意形成を図っている市立障害児・者施設の3園(青柳学園、あおば学園、ともえ学園)の統合施設は来年度から設計に入り、3年間で整備する予定。西小・弥生小の統合校舎整備も設計に着手し、市交通局は来年度、2台目の超低床電車を導入する。神山・陣川地区に10年度から2カ年で児童館を整備することも盛り込んだ。

 ソフト事業は、西尾市長の公約の「知恵の予算」、子ども医療助成などを継続。自治基本条例の制定や市立小中学校再編計画の策定、妊産婦健診事業の充実、函館ブランドの確立、中小企業振興基本条例の制定などを進める。

 まちづくり3カ年計画は毎年、策定していく。(高柳 謙)