2008年12月4日(木)掲載

◎市民以外の火葬料を2倍…函館市 市議会に議案提出

 函館市は来年度から、市民以外の火葬場使用料をこれまでの2倍とする方針を決めた。現在は市民であるないにかかわらず大人(12歳以上)は1件につき1万4000円だが、2万8000円に。多くの自治体が住民と住民以外で料金に差を付けていることから見直す。4日に開会する第4回定例市議会に関係議案を提案し、可決されれば来年4月から適用する。

 同市の火葬場は函館市斎場(船見町)と戸井斎場(館町)、椴法華斎場(絵紙山町)、南茅部斎場(尾札部町)の4カ所。現在の使用料になったのは1995年度で、12歳以上の大人が1万4000円、12歳未満が8500円、死産児が4000円、上肢や下肢など身体の一部が2500円、胎盤など出産時の排出物が1000円。すべての利用者が一律だ。

 使用料改定は、道内の自治体のほとんどが住民以外の使用の場合、料金に差を付けている現状から、函館でも「周辺自治体との不均衡をなくす」(市社会課)ことを目的に実施する。すでに差を設けている自治体では、住民の料金に対して住民以外は1・5―6倍としており、平均は2倍であることから、函館ではこの平均値を採用。胎盤など出産時の排出物を除いたすべての利用を2倍とする。

 使用料は市の戸籍住民課が火葬許可証を発行する時に支払うが、この作業は多くの場合葬儀会社が代行することが多く、市民か否かの確認はこの時に市が行うため、市民の新たな作業負担はない。函館市の火葬件数(大人)の平均は年間約3000件。うち市民以外の利用は主に北斗市や七飯町の住民などで、函館市斎場だけで05年度は185件、06年度は170件、07年度は150件あった。市社会課は、今回の改正で年間約225万円の使用料増収を見込んでいる。(小泉まや)



◎小6は低い傾向 中3は同程度…学力テストの結果 函館市教委が発表

 函館市教委は3日までに、文部科学省が4月に実施した全国学力・学習状況調査(学力テスト)の結果概要を発表した。小学6年生は全国の平均正答率に比べ低い傾向、中学3年生はほぼ同程度だった。小山みゆき教育指導課長は「基礎・基本の知識や技能を習得する取り組みが不十分。授業改善や、家庭と連携した学習習慣につながる活動が必要」としている。

 正答率そのものの公表は昨年同様、「過度な競争や序列化を招く」(小山課長)として見送った。市内の対象となる児童数は2139人、生徒数は2113人。全国の平均正答率との差が3%以内の場合は「同程度」、3・1―5・0%は「ほぼ同程度」、5・1%以上は「改善が必要、課題がある」と分類した。

 調査結果では、小学生の国語A(知識)とB(活用)、算数A、Bすべてが「改善が必要」だった。中学生は、国語A(知識)が「同程度」、国語B(応用)と数学Aは「ほぼ同程度」、数学Bは「改善が必要」となった。

 生活習慣や学習環境に関するアンケート結果では、両学年ともに「朝食を毎日食べる」「いじめはどんな理由があってもいけない」などを肯定する回答が高かった一方、自宅での予習・復習や地域の歴史・自然への関心がある子どもは低い傾向だった。

 小山課長は「各学校で学力向上の取り組みを進めていると思うが、成果に結び付いていないのが課題」と説明。無回答率も全国に比べ高い点を挙げ、「根気強さや挑戦する姿勢をいろいろな場面で働き掛ける必要もある」とした。

 市教委では今後、今回の調査結果を分析する。昨年度独自に小学5年と中学1年対象に行った学力検査の結果を踏まえ、来年2月には課題解決の方策を示す報告書をまとめ、各校に配布する予定。(新目七恵)



◎極東大市立化「困難」…懇話会で意見一致

 ロシア極東大函館校の支援の在り方を検討する3回目の懇話会(山崎文雄座長)が3日、函館市役所で開かれた。西尾正範市長が意欲を見せている同校の市立化について、新たな財政負担を伴うことなどから困難であるという意見でほぼ一致。卒業後の学生がロシアのスペシャリストとして活躍し、評価されるよう、授業の内容をロシアビジネスなどに特化すべきとの意見が大勢を占めた。

 市は現在、同校に年間3000万円の補助金支援と職員1人を派遣している。市立化した場合、新たに年間2500―5000万円の財政負担が増える試算がある。また、現在はロシア人の校長を日本人にしなければならない点も指摘されている。

 同日の懇話会では、専修学校の函館校が一般の大学と競う必要はなく、問題は学生が何を学ぶかである、との指摘があった。「学生は少なくても卒業後にしっかり活躍すれば評価が上がり、結果として学生も集まる」との意見で、高い語学力を修め、ロシア貿易に対応できるエキスパートを養成していくカリキュラムに変えていくべきだ、との声が寄せられた。

 ロシアが極東地域の開発に重点を置き、11月にはラブロフ外相が函館を訪れ、ロシア語圏以外では初めてのロシアセンターを同校に開所したことなどから、同校の役割は非常に大きく存続は必要であるとの意見は一致。「市長が率先して大学のPRや各方面からの支援を求めるべき」との意見もあった。

 事務局の市企画部は「さまざまな意見があり、結論を一つに収斂(しゅうれん)することはできないが、本年度内に懇話会から市長に提言してもらいたい」としている。(高柳 謙)



◎企画【映画の街に】中/手作りの現場 上映作品3本の船出
 「(映画祭は)自分たちで作った“運動会”って感じ。体動かしたからね」―。生まれ育った函館市元町で「カフェやまじょう」を経営する実行委員メンバーの太田誠一さん(56)は、1995年の第1回映画祭を思い返す。

 すべて手作りだった。チラシ作製やチケット販売、会場運営まで、少ないメンバーで手探りで進めた。「映写機は協力団体から借りて、スタッフがロープウエーで函館山山頂の会場まで運んだよ」。上映作品はたった3本。ゲストも監督3人のみ。2日間の開催期間中、2本ずつの組み合わせを各日3、4回上映した。来場者数は延べ365人。「ささやかな船出だったな」と笑う。

 市内松風町でソウルバー「g(ジー)」を経営する高橋裕さん(55)も初回から参加する1人だ。同年3月の映画祭初日を「どれだけの客が来るか、ワクワク、ドキドキだった」と振り返る。

 上映3作品の1つ「草の上の仕事」は篠原哲雄監督の劇場デビュー作。篠原監督は森田芳光監督の映画「キッチン」(89年)の助監督だった。「キッチン」は函館で撮影され、太田さんが地元のロケコーディネーターの仕事を本格的に始めるきっかけとなった作品。「出会いが、次の出会いを生んだんだ」と太田さんはいう。

 篠原さんは翌96年、歌手の山崎まさよしさん主役の「月とキャベツ」で注目を集め、邦画界を代表する気鋭監督に成長。02年にはシナリオ大賞入賞作の映画化作品「オー・ド・ヴィ」の監督も務めるなど映画祭と深くかかわり、今回も参加する予定だ。

 太田さんは「草の上の仕事」を「短い映画だが人間の情念や希望、絶望が詰まっている。カメラワークなど当時から独自の映画手腕が光っていた」と評する。高橋さんも「張り詰めた緊張感に引き込まれた」と話す。

 あれから14年―。太田さんは「函館は映画に愛された街。映画人と交流し、映画を発信することで街の文化の深まりにつながれば」と熱い思いを語る。

 映画好きが、映画ファンのために開く映画祭。わずか3本から始まった映画祭は今、上映作品が20数本までに“成長”した。(新目七恵)



◎1000円で15日間利用OK…函バス 格安定期券販売開始
 環境に優しいバスの利用促進を図る「バスにのろう!キャンペーン《(10―24日)に合わせ、主催する函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は3日から、1枚1000円で期間中の15日間有効なバス定期券「Eco Pass(エコパス)《の販売を開始した。

 人口減やマイカーの普及でバスの利用が伸び悩む中、通勤、通学でバスを利用してもらうことで二酸化炭素の排出削減につなげようと、函館バスが初めて企画。同社によると、これほど格安な期間限定のバス定期券は道内でも珍しいという。

 購入時に発着のバス停を指定し、10日から24日までの約2週間利用できる。通常の定期券と同様に本人限定で、途中での乗降はできない。自動車運転免許を返紊した人は、証明書を提示すれば定期券の発行が無料になるサービスもある。使用範囲は旧函館市内を中心とする特区内限定。

 函館バスの各営業所のほか、JR函館駅前案内所、公立はこだて未来大などで24日まで購入できる。同社バス事業部は「この機会にバスの使い勝手の良さを多くの市民に知ってもらい、日常的に利用してもらえるきっかけになれば《と話している。問い合わせは函館バス函館営業所TEL0138・51・3137。(森健太郎)



◎88万人 大幅減少…09年度桧山管内上期 観光客入り込み状況
 【江差】桧山支庁は2日、本年度上期(4―9月)の管内観光客入り込み状況(速報値)を発表した。入り込み総数は88万3400人で、前年対比は11・2%減、実数でも11万1800人と大幅に減少した。同支庁は「観光客の大半はマイカーで管内入りしている。燃油価格高騰によりドライブ客を直撃した影響が大きい」と分析。数年来の低落傾向に歯止めが掛からないことから、積極的な情報発信や、観光施設の魅力を磨くことに向けた取り組みが必要と指摘している。

 町別では、江差町38万300人(前年同期比8・4%減)、上ノ国町6万2600人(同18・8%減)、乙部町10万6400人(同19・8%減)、奥尻町3万4000人(同7・1%減)、今金町3万3300人(同7・2%減)、せたな町18万1600人(同15・%減)と軒並み減少。管内7町で増加したのは厚沢部町8万5200人(同2・5%増)だけだった。

 江差町は、主要観光施設が軒並み不振で、7月の「かもめ島まつり」や9月の「江差追分全国大会」も客数が低迷した。上ノ国町は「道の駅もんじゅ」や温泉施設などの客数が大幅に減少したほか、8月の野外コンサートの開催を見送ったことも響いた。乙部町も「道の駅ルート229元和台」の利用客が2割程度減少した。

 奥尻町は、北海道南西沖地震15周年を契機に新聞、テレビ、雑誌でのPRが増え、6、9月には客数が増加したものの、北海道洞爺湖サミットの影響もあり、7、8月には入り込みが低迷し、上期全体ではここ数年間の減少傾向に歯止めが掛からなかった。

 今金・せたな両町も、主要観光施設が全体的に不振だったほか、天候不順や施設のリニューアル工事などの影響が大きかった。

 一方、厚沢部町では、地場産メークインによる“巨大コロッケ作り”などが話題を呼んでいる「あっさぶふるさと夏まつり」(7月)が好調だったほか、町内の温泉施設も堅調な入り込みを確保したことで、管内では唯一の増加となった。(松浦 純)