2008年12月6日(土)掲載

◎しめ縄づくり最盛期迎える

 函館市赤川町の園芸店「花夢(かむ)ショップオオミ」(近江ヒデ社長)で正月に飾る「しめ縄」づくりが最盛期を迎え、従業員らが作業に追われている。

 敷地内で育てたスゲを6月に刈り取り、9月ごろから作業が本格化した。縄を締め上げるのは近江社長(70)の兄で、秋田県で農家を営む佐藤重男さん(73)。45年にわたって毎年製作しているベテランで、1カ月前からしめ縄づくりのため函館に滞在する。

 車用、玄関用、神棚用の3種類があり、佐藤さんが作った縄にアルバイトの女性たちがタイなどの縁起物を飾り付ける。近江社長は「来年は皆が健康で、良い年になるよう願いを込めて作っています」と話している。

 12月中旬ごろまでに約1万個を作る予定。車用は600円から、玄関・神棚用は1000円から。道南のホームセンターなどで販売する。(宮木佳奈美)



◎イルミナシオン映画祭開幕

 多彩な映画人を招き、函館ロケ作品など26本の映画を上映する「函館港イルミナシオン映画祭2008」(実行委主催)が5日、函館山山頂展望台のクレモナホールで開幕した。初日は中国映画「胡同(フートン)の理髪師」(06年、ハスチョロー監督)など3本の長編映画が上映され、会場は多くの市民や映画ファンらの熱気に包まれた。同映画祭は7日まで3日間の日程で行われる。

 開会式に先がけて上映された1959年の邦画「ギターを持った渡り鳥」(斎藤武市監督)は函館ロケということもあり、大勢の市民らが駆けつけ、懐かしい街の映像に見入っていた。亡き父が市民エキストラでスクリーンに映ったという函館市内の小坂美智子さん(61)は「約年50年ぶりにスクリーンで再び見て父を思い出して涙が出た。とにかく全部が懐かしい」と感激した様子だった。

 続く「胡同の理髪師」の上映では、「キネマ旬報」元編集長で実行委顧問の植草信和さん(59)が「(主人公の)チンさんの魅力が映画を支えている。その日一日を健康d暮らせれば幸せというチンさんの人生に共感した声が多い」と作品の魅力を語った。

 この日は開会式に続いてシナリオ大賞表彰式が行われ、グランプリ(函館市長賞)に輝いた東京のフリーライター大山淳子さん(47)が受賞の喜びを語った。夜にはゲストの監督らも参加したパーティーも開かれ、参加者は映画浸りの一日を楽しんだ。(新目七恵



◎驚きと戸惑い 複雑な思い…「裁判員」候補者2人に聞く

 来年5月21日に始まる「裁判員制度」の候補者名簿への記載を通知する書類が発送されて1週間―。函館地裁管内(渡島、桧山と後志の一部21市町村)でも有権者41万6000人余から選ばれた1500人の対象者に、最高裁判所からの封書が届いている。同地裁には5日までに31件の問い合わせが寄せらた。大半が辞退理由にかかわる質問だったという。実際に書類が届いた市民に話を聞くと、驚きと戸惑いの言葉が返ってきた。

 函館市内の自営業の男性(38)には、11月29日に通知が届いた。新聞やテレビなどで書類の発送は知っていたが、「自分に来るとは思わなかったので、全員に届くものだったかなと思った。変な運を使ってしまったね」と話す。同封されていた調査票を読み、夏場に仕事が忙しくなる時期があるので、7、8月は参加が難しいとマークシートに記入し返送したという。

 最高裁では約7割の公判が3日以内に終了すると想定しているが、家族と少人数で家業を営んでいるため、可能であれば、休みたくはないのが本音だ。男性は「仕事は3日くらいならどうにかなると思う。ただ調査票を見ても、そう簡単には辞退できない、辞退させたくないという感じが伝わった」と話す。

 裁判員となっても、氏名や住所は公開されることはないが不安はぬぐえない。「被告人の前に顔を出さなくてはならないことが不安。函館は狭い街だし、仕事柄、知人も多い。知っている人が法廷にいたら嫌だね」という。

 まだ名簿に記載されたという段階で、実際に呼び出し状が届くのは来年7月以降の見込み。「最初にこうして選ばれたのだから参加したい気持ちもあるけれど、できるなら選ばれたくはない」としながらも、「でも義務だから仕方がない」と思いは複雑だ。

 渡島管内に住む専業主婦の女性(56)は「大きい封筒を見て、どうしてわたしなんだろうと、ただただびっくりです」とし、「裁判員制度は自分とは関係のない遠い場所の話のように思っていた」という。女性は人を裁くことに不安や責任を感じると言い、「来年、大きな事件が起きなければいい。できることなら夫を推薦したい」とこぼした。会社員の夫(56)は「ただ、選挙権があるというだけで選んでもいいのだろうか。辞退できる人の範囲は改善できるのではないか。普通の主婦には裁判は厳しいと思う」と話していた。(今井正一)



◎西桔梗で不審火相次ぐ…今年13件 注意呼び掛け

 函館市西桔梗町周辺で放火とみられる不審火が相次いでいる。4日午後9時すぎにも同町252の空き地で火災があり、消防車が出動し、火は燃え広がることなく消し止められた。周辺では今年すでに13件の不審火が発生し、このうち9件が9月以降に集中している。午後7時以降の時間帯に多いことから、市消防本部では夜間の警戒巡回を強化するとともに、周辺住民にも注意を呼び掛けている。

 現場は、西ききょう温泉(西桔梗町444)を中心にした半径約320メートル以内の範囲。同地区では1、3、4、7月に各1件、9月、10月が各2件、11月4件と12月の1件の火災が発生。昨年一年間でも5件の不審火が確認されている。

 現場周辺は住宅地から少し離れているが、資材置き場や倉庫などが点在し、雑草が茂っている空き地が多いのが特徴。いずれも建物への被害はないが、火の気のない通り沿いで発生していることや、古タイヤ、ごみ類、枯れ草などが焼けているといった共通点は多い。ほとんどが発生後すぐに消し止められているが、4月には枯れ草に燃え移ったため、約1600平方メートルを焼失したという。

 4日の現場には、焼け跡から塩化ビニール管などのごみが確認された。同本部予防課は「外部から燃えやすいごみなどを持ってきて、火を付けている可能性がある。放火の疑いが強い」とする。

 同本部は発生が相次いだ10月以降、現場周辺の巡回を強化し、不法投棄されたごみは発見次第、市環境部と連携して撤去している。周辺町会にも青色回転灯を付けた車両の巡回を依頼。同課は当面パトロールを継続するとともに、住民には不審者への注意も求めている。(今井正一)



◎新副会頭に木村氏…商工会議所

 函館商工会議所(高野洋蔵会頭)は5日までに、空席となっていた4人目の副会頭に函館空港ビルデング社長の木村孝男氏(67)を新たに選任した。ホテル函館ロイヤル(函館市大森町)で開かれた臨時議員総会で高野会頭が緊急提案し、満場一致で承認された。

 木村氏は函館東高を卒業後、1961年に旧銭亀沢村(66年に函館市と合併)役場入り。市の水産物地方卸売市場長や土木部次長、農林水産部長などを歴任し、助役に就いた2002年2月から函館空港ビルデングの非常勤取締役を兼任。助役退任後の06年5月に同社専務となり、昨年8月から現職。

 総会では高野会頭が正副会頭の業務が多忙なことに加え、厳しい経済情勢の下、体制強化を図ることで難局を乗り切ろうと、それまで常議員を務めていた木村氏を推挙。行政経験から幅広い分野に精通し、豊富な知識を生かした今後の手腕が期待されている。任期は10年10月末まで。

 木村氏は「来年の函館開港150周年や、7年後の北海道新幹線新函館駅開業を控え、地域振興に向けた計画の具現化が求められている。会頭を補佐し、3人の副会頭の指導を仰ぎながら、官民一体となって地域活性化に貢献したい《と抱負を語った。

 同会議所の副会頭は昨年1月から、エスイーシー社長の沼崎弥太郎氏、森川組社長の森川基嗣氏、ホンダカーズ南北海道社長の松本栄一氏の3人体制だった。定款では副会頭の定数は4人となっている。(森健太郎)



◎サハリン写真展で“始動”…ロシアセンター

 極東大函館校(函館市元町14)に併設する形で11月4日に開所したロシアセンターで5日、サハリン写真展(在札幌サハリン州代表部主催)のオープニングセレモニーが開かれた。10月に着任した在札幌ロシア総領事館のサプリン・ワシーリー総領事や、同代表部のクトヴォイ・アンドレイ代表らが出席してテープカットし、同センター開所後初の市民向け行事が始まった。12日まで。

 サハリンの自然や漁業、民族、石油・天然ガスプロジェクトなどを収めた写真約30点と、サハリンの小中学生による水彩画6点を展示。サプリン総領事は「ラブロフ外相が出席して開所したロシアセンターには、日ロ関係が函館から始まったという重要な意味がある。多くの市民や観光客にロシアを知ってもらいたい」とあいさつし、工藤寿樹副市長も「ロシアとの交流に一層力を入れていきたい」と述べた。

 クトヴォイ代表は、いずれの作品もサハリン美術館に所蔵している写真で、開催に当たって函館市や函館日ロ親善協会の協力を得たことに謝意を伝えた。漁の様子やイクラを製造する風景など、日本に近い光景があり、関係者が足を止めて見入っていた。

 サプリン総領事は同日、市内のレストランで開かれたロシアセンター開設記念講演会(函館日ロ親善協会主催)で講演。北方領土問題について「メドベージェフ大統領も解決したいと思っている。信頼できる友人関係やさまざまな分野、経済面などで協力・依存する関係を築けば、領土問題は解決する日が来る。人の行き来は次の時代を築いていく」と述べ、ロシアと深い友好関係を持つ函館の重要性を指摘した。(高柳 謙)



◎派遣従業員70人削減…ルネサス北日本 半導体需要の冷え込みで

 【七飯】半導体製造大手のルネサス北日本セミコンダクタ函館工場(七飯町中島145、長沢幸一社長)が今年に入り、11月末までの累計で約70人の派遣従業員を削減したことが、5日までに分かった。急激な需要の冷え込みによる生産体制の見直しに伴うもので、世界的な景気後退の波が地方の雇用環境にも及んでいる。

 同工場では1月から11月末までの間、人材派遣会社との契約期間が満了した派遣従業員計約120人のうち、約50人を12月1日付で直接雇用の期間従業員に切り替えたが、残る約70人とは有期雇用契約を延長せず、段階的に削減を進めたという。

 同工場には現在も約130人の派遣従業員がいる。同社の親会社ルネサステクノロジ(東京)は「今後の受注動向によっては(子会社も含め)さらに雇用調整を進める可能性もある」としている。同社によると、海外市場を中心とする急激な半導体需要の冷え込みで、生産体制の縮小を余儀なくされているという。

 ルネサス北日本セミコンダクタは2002年10月に設立され、03年4月に日立製作所と三菱電機の半導体部門が統合して社名を変更。函館工場は携帯電話や自動車、パソコン向けなどの半導体の汎用マイコンの生産拠点の一つ。2007年3月期のルネサスグループの連結売上高は約9505億円。 (森健太郎)