2008年1月16日(水)掲載

◎冬型の気圧配置 寒さいつまで…
 15日の函館市内は冬型の気圧配置となり、一時晴れ間が広がったものの、すぐに雪に変わり、日中の最高気温も氷点下2・9度という寒い一日となった。

 同市末広町の二十間坂では、日差しを受けながら、雪の積もった坂の歩道を慎重に歩く市民の姿が見られた。同市元町の主婦(65)は「天気が良いうちに出掛けているが、寒いのは変らない。足元も悪く冬の買い物は大変」と話していた。

 函館海洋気象台によると、16日以降も冬型の気圧配置は続き、道南では17日まで最低気温が氷点下10度になる見込み。

 気象台の速報値によると、昨年11月から今月14日までの各地の総降雪量はほぼ平年並みのところが多い。函館は153センチ(平年169センチ)で平年比91%、福島町千軒は309センチ(同302センチ)で同比102%。一方、江差は65センチ(同135センチ)で同比48%と少なくなっている。(山崎純一)



◎「限界集落」渡島に30…函館「6」八雲「12」
 65歳以上の高齢者が地区住民の半数を超える「限界集落(高齢化率50%以上)」が、渡島管内の集落636のうち30に上ることが、函館新聞社の調べで分かった。八雲町は12、函館市は6を数え、中には過疎・高齢化のため伝統行事が消滅したり、田畑が荒廃するなどの影響が出ている地区もある。全国では「集落消滅」などの危機感から、38都道府県146自治体が協議会を設立するなど、集落の再生を目指す動きも活発化している。(新目七恵)

 限界集落数は、自治体の住民基本台帳や人口、世帯、年齢別統計表などをもとに集計した。国交省では、集落を「一定の土地に数戸以上の社会的まとまりが形成された住民生活の基本的な地域単位や市町村行政の行政区の基本単位」と定義している。今回は国の集計方法と同様、函館市の場合は「町」、松前町の場合は「地区」など自治体ごとの各集計の区別に沿ってまとめた。

 結果は、2市6町で限界集落があり、最も多かった八雲町では行政区162のうち12が該当した。函館市6、北斗市4と続き、福島町は3、長万部町は2だった。また、限界集落に近い「高齢化率45%以上50%未満」の集落も管内に33あった。

 函館市紅葉町では住民12人中、65歳以上は6人と半数を占める。町会は隣町の亀尾町と合同で運営しており、同町に住む下田政雄さん(87)は「以前は地区の祭りがあったが、今は老人ばかりでやらなくなり、集まる機会もほとんどない」と話す。同町に商店はなく、空き家は数軒そのままになっていて、荒れた田畑もあるという。

 高齢化率53%、49%の千軒1、2の2地区を束ねる福島町の千軒町内会の三浦勇会長(71)は「2003年に小学校が閉校して以来、子供も減り、子供みこしもなくなった。除雪などは町内会の会員同士ボランティアで支え合っている」と話している。同町町民課福祉グループの石岡大志主査は「限界集落だけでなく高齢化した地区に対しては、冠婚葬祭の運営を町内会担当の職員が援助したり、町の福祉委員が高齢者宅を訪問するなどして複合的に対応している」と説明している。


◎吹雪の中 海中で神事…寒中みそぎ祭り閉幕
 【木古内】木古内町の佐女川神社(野村豊秋宮司)に1831(天保2)年から伝わる「寒中みそぎ祭り」は15日、若者4人の行修者が海に飛び込んでご神体を清める「海中みそぎ」が行われ、無事すべての神事が終わり、3日間の祭りは幕を閉じた。

 4人は地域の豊漁や豊作、安全などを祈願するため、13日夜から同神社境内にこもり、水ごり(鍛錬)を繰り返し、身を清めてこの日を迎えた。町内のみそぎ浜には町内外から約500人が駆け付け、午前11時50分ごろに行修者が登場すると、「頑張れよ!」「最後のひと踏ん張りだ」と声援を送った。

 実行委によると、海中みそぎが行われた時刻の木古内町の気温は氷点下5度、海水は4度。時折、吹雪に見舞われたが、行修者のりりしい姿と大勢の観客で会場は熱気に包まれた。

 みそぎ広場では地元チームらによるYOSAKOIソーラン踊りなども披露され、まちが誇る神事と各種イベントの共演が続いた。町内出身で札幌から駆け付けた札幌光塩短大2年の東出浩果さん(20)は「古里の活気ある様子を見ることができてうれしい。歴史あるみそぎを今後も継承していかなければならないと強く思った」と話していた。(田中陽介)


◎灯油また最高値更新…1月の石油製品価格
 函館市は15日までに、1月の石油製品小売価格調査の結果をまとめた。各製品とも依然として高値で推移し、家庭用灯油(1リットル、ホームタンク用)平均価格は、2カ月連続で調査開始以来の最高値を更新する103・19円に達した。ガソリン(レギュラー1リットル)の平均価格は4カ月ぶりにわずかに値下がりしたが、2カ月続きで155円台となった。

 まとめによると、家庭用灯油の平均価格は前月に比べ0・1円値上がりした。昨年11月、12月と2カ月連続で7・84円、12・05円と急騰したのに比べると落ち着いた感があるが、1982年の調査開始以来の最高値となった。最高価格、最低価格は前月と同じ110円、98円。

 ガソリンの平均価格は前月よりも0・15円安の155・64円。最高価格は前月と同じ158円、最低価格は同2円安の148円だった。

 軽油(1リットル)の平均価格は、調査開始以来の最高値だった前月と変わらず136・21円。最高価格は前月と変わらず138円で、最低価格は同2円安の130円。

 重油(1リットル)の平均価格は、前月よりも0・19円高の97・34円。最高価格は前月と同じ102円だったが、最低価格は2円高の84円。

 プロパンガスの平均価格は5立方メートル、10立方メートルとも2カ月連続で1993年の調査開始以来の最高値を更新。5立方メートルの平均価格が前月比36・75高の5271・55円。最高価格は前月比210円高の6084円、最低価格は同168円高の4683円。一方、10立方メートルは同57・75円高の8524円。最高価格は前月と変わらず1万0154円だったが、最低価格は85円高の7540円。

 調査は卸と小売を兼ねる13店、小売販売のみの17店で11日に実施した。(鈴木 潤)


◎犯人の情報乏しく 中央署が情報提供呼び掛け…相次ぐコンビニ強盗
 函館市内の美原・赤川地区で昨年末から年初にかけ、コンビニエンスストアが狙われる強盗事件が相次いで発生した。いずれも客足の少ない深夜から未明の時間帯の犯行で、犯人は現金を奪ったまま現在も逃走を続けている。函館中央署は現場付近の聞き込みを中心に警戒を強めているが、有力な手掛かりが乏しく、あらためて広く情報提供を呼び掛けている。

 昨年12月19日午前1時40分ごろ、同市美原3の「セイコーマート函館美原店」で、男が店員に刃物を突き付け、レジにあった売上金など約8万6000円を強奪。今年1月4日午前4時10分ごろには、同市赤川1の「ローソン函館赤川1丁目店」で、客を装った男がレジの店員に刃物を突き付け、現金約4万円を奪って逃走した。

 防犯カメラに映った男の特徴や店員の証言などから、同一犯の可能性は薄いが、被害に遭った店はいずれも郊外の住宅街に所在。同署は「(両店は当時)店頭に店員が1人しかおらず、夜間に客の出入りが少なくなる店舗」と分析し、犯人は土地勘のある人物との見方を強めている。

 「セイコーマート―」に押し入った男は30歳前後で、身長約170センチ。白いパーカにベージュのズボン姿で、口元を赤いスカーフで隠していた。「ローソン―」の男は18―25歳ぐらいで、身長約170センチのやせ形。胸元に赤いロゴ入りの黒のパーカ、水色のジーパン姿で、黒のニット帽や茶色のサングラスを着用、白いスニーカーを履いていた。

 同署は「犯人は何食わぬ顔で現場近くに潜んでいる可能性もある。似顔絵などを見て心当たりがあったり、不審な人を見かけたら情報を寄せてほしい」と話している。連絡先は同署TEL0138・54・0110。


◎「IT人材育成プロジェクト」成果着実
 【乙部】乙部町が昨年4月にスタートした「IT人材育成プロジェクト」が今春で2年目を迎える。町内でのIT(情報技術)技術者の養成研修を通じて、IT企業の誘致や若者の雇用開拓を進める町独自の取り組みだ。本年度は卒業生の就職先となる複数のIT企業が町内進出を決め、第1期生17人の大半が誘致企業への就職が内定するなど成果を上げている。町は4月から研修を始める第2期生の募集を開始、道内外からの幅広い応募を呼び掛けている。

 「ITおとべ塾」の愛称を持つ研修事業は、町やIT企業で組織する「町地域雇用創造協議会」(中川眞一郎代表)を中心にスタート。前期は、Uターン希望の町内出身者を中心とする14人が受講。実技を中心にプログラム開発に必要な基礎研修を行い、基本情報技術者の資格取得を目指した。10月からの後期研修は、技術者に求められる実践力を身に着けようと、前期研修生13人と新入生4人の計17人が参加した。

 前・後期を通じて、農漁業体験、陶芸などの芸術研修、住民交流といった独自の人格形成プログラムにも取り組んできた。「ライブドア事件をはじめ、IT業界の光と影を目の当たりにする中で、技術力と優れた人格を兼ね備えた技術者の養成が必要」(町企画室)として、地域の有識者や住民の協力を得ながら研修を進めている。ユニークな取り組みが評価され、昨年10月には厚労省の地域雇用創造推進事業に採択された。

 町は新年度も研修事業を継続。25日まで第2期研修生16人程度を募集している。4月からの前期研修はIT企業・グローバル・コミュニケーションズ(函館)の有料研修として実施。受講料は1カ月7万3500円。10月からの後期研修は、厚労省の委託事業として実施するため受講料は不要となる。町は町内での就職を条件に人材育成研修奨励金を交付して研修生を支援する。学歴、IT経験、性別は問わない。問い合わせは町企画室TEL0139・62・2311へ。(松浦 純)