2008年1月17日(木)掲載

◎お菓子食べて験担ぎ…スーパーなど受験生応援コーナー人気
 大学入試センター試験が19、20両日に迫り、いよいよ本格的な受験シーズンに突入する。市内近郊の商店などでは語呂合わせで験を担ぐ菓子などを集めた特設コーナーを設けるなど、受験生応援用の商品が並べられている。

 スーパー魚長大野店(北斗市本郷47)では8日から、売り場の一角に神社の鳥居をモチーフにした看板を立て、「合格祈願」「がんばれ受験生」などのロゴ入り包装の商品が山積みされている。

 「コアラは寝てても木から落ちない」のキャッチフレーズで人気のチョコレート菓子「コアラのマーチ」(ロッテ)や、スナック菓子「キャラメルコーン」(東ハト)のシリーズ「カナエルコーン」(=願い事をかなえてくれる)など15種類を用意。ことしは米菓子類も登場し、亀田製菓の「柿の種」シリーズの「受験に勝ちの種」なども並ぶ。

 4、5年前から季節の催事として定着しており、2月末までコーナーを設置する予定。同店は「ほとんどのお客さんがコーナーの前で足を止めていく。年々種類が増え、普段から人気のある商品が多いので主婦の購入も目立つ」と話している。

 ツルハドラッグ白鳥店(函館市白鳥町21)では、特設コーナーこそ設けていないが、この時期には「カロリーメイト」(大塚食品)や「ウィダー in ゼリー」(森永製菓)など携帯栄養補助食品がよく売れるという。同店では「食生活が不規則になりやすい中でも、少しでも栄養バランスに気を配りたいという気持ちの表れではないか」と分析。また、風邪薬については「薬によっては眠気を誘う種類などもあるので、薬剤師に相談して症状にあったものを選んでほしい」と話している。(小川俊之、宮木佳奈美)


◎開業効果 最大限に…函館市が「構想」素案
 2015年度予定の北海道新幹線新函館―新青森開業を見据え、函館市は「新幹線で未来を創(つく)るまちづくり構想」の素案を策定した。開業効果を最大限に引き出すための方向性や考えられる施策をまとめた内容。方向性として「観光の振興」「まちの賑(にぎ)わいの創出」「企業の育成・誘致」「交通網の充実」を示した。本年度中の成案化を目指している。

 構想案策定に当たり、新幹線開業に伴う展望や課題を整理。開業により函館―東京間は約4時間10分で結ばれ、現在のJR利用より2時間近く短縮される。観光客や交流人口の増大で地域経済への大きな波及効果が見込まれるが、一方で大都市圏へ企業の支店などが流出する「ストロー現象」が懸念されている。

 北斗市に設置される新函館駅と現函館駅との鉄道アクセスの整備、道路ネットワークの整備など、開業までに解決しなければならない課題もある。

 これらを踏まえて4つの方向性を示し、ソフト・ハード両面で施策を並べた。「観光の充実」では、各種情報を総合的に提供するインターネットのサイト構築、滞在型観光の促進、会議や大会などコンベンション機能の充実などがある。

 「まちの賑わいの創出」では、函館駅前・大門地区などで魅力ある商店街づくりやにぎわいのあるまちづくりを進める。「企業の育成・誘致」では、函館の地域ブランド確立、地元食材を生かした「食」の魅力向上、水産資源を活用した新たな産業創出などを盛り込んだ。

 「交通網の充実」では、JRから経営分離される並行在来線(五稜郭―木古内)の代替機能確保のほか、新駅と現駅のアクセス強化、バス交通網の充実、新幹線と飛行機の連携による相乗効果、誰もが利用しやすい交通体系の整備などを進める。

 市新幹線対策室は「近隣自治体とはもちろん、函館商工会議所が中心となった官民連携組織『北海道新幹線開業はこだて活性化協議会』とも連携しながら構想を進めていきたい」と話している。(高柳 謙)


◎07年は3339人減少…函館市人口
 函館市がまとめた2007年12月末の住民基本台帳によると、市の人口は前年同期比3339人減の29万140人となった。06年の3559人に続いて2年連続の大幅な減少で、29万人割れが目前に迫っている。要因の7割が市外への転出によるもので、雇用確保や産業振興、子育て支援など、減少の進行を少しでも食い止める抜本的対策が急務になっている。

 転出入の差でみる社会動態は、転入者が1万582人(前年同期1万686人)、転出者が1万3003人(同1万3178人)で、計2421人(同2492人)の減少。2年連続で2000人を超える「社会減」となっている。06年と比べると、北斗、七飯の近隣2市町間での移動より、道内では札幌、道外では首都圏や愛知県などへの転出が目立ち、就労機会を求めての転出と推測される。

 一方、出生数と死亡数で算出する自然動態は、出生が1945人(同1947人)、死亡が3116人(同3233人)で計1171人(1286人)の減少。3年連続で1000人以上が減った。抹消された住民票の回復など、その他の増減は253人の増だった。

 年齢階級別では、年少人口(0―14歳)が前年同期と比べ813人減少し3万2953人(構成比11・4%)、65歳以上の老年人口は1547人増えて7万2888人(同25・1%)。西部地区や旧4町村地区など一部地区では3人に1人が高齢者となっており、少子高齢化が進行している。また、生産年齢人口(15―64歳)は、4073人減の18万4299人(同63・5%)で、転出先の傾向を裏付ける形となった。

 市の人口は04年12月の合併当時と比較し、わずか3年余りで、約9500人が減少したことになる。全国平均と比較しても速いペースで進行する高齢化や、生産年齢人口流出による地域経済活動の低迷など、多大な影響を与えている。西尾正範市長は、地道な企業誘致活動を推進する姿勢を打ち出しているが、人口流出を食い止める明るい材料や特効薬的な対策は見あたらないのが現状。市企画部は「減少幅を抑える対策が課題。企業誘致や子育て支援などの少子化対策に努めたい」と話している。(今井正一)


◎開発支援 なお意欲…青年海外協力隊の高津光さん
 青年海外協力隊の一員としてモロッコ・ティゲドゥイン村で土木技術の支援、指導を行った高津光さん(27)=函館市山の手町=がこのほど、任務を終えて帰国した。16日には、函館市教委の多賀谷智教育長に帰国報告し、「今後も海外の開発支援に携わっていきたい」と飛躍を誓った。

 高津さんが青年海外協力隊の仕事に関心を持ったのは中学生の時。教科書を通して協力隊を知り「自分も体験してみたい」と思ったという。

 函館高専を卒業後の2001年4月、愛知県豊橋市の設計コンサルタント会社に就職。同高専OBで、協力隊の活動経験もある社長の理解、協力もあって、青年海外協力隊に応募し、2005年11月から昨年12月までの約2年間、モロッコ・ディゲドイン村に滞在した。

 同村は、アトラス山脈のふもとにあり、村内山間部は約120の集落が分散。市街地は電気、水道、電話が整備されているが、その他の農村地帯は未整備のまま。

 会社で設計、測量の技術を身に付けた高津さんは村役場の技術課に配属され、道路や上下水道、橋などの整備を進めていくため、村の技術者や地域住民らに設計、施工に関する技術、ノウハウを指導した。

 多賀谷教育長と懇談した高津さんは現地での活動や生活を振り返り、「現地の人たちは、家族のように受け入れてくれた。モロッコという国が好きになって帰国できたことがよかった」と語った。

 滞在中、乾燥地帯で水の確保に苦慮する状況を目の当たりにし、開発支援活動への意欲も増した。また、技術、設備が未熟の地で、設計など一から手掛けてきたことによって「指導を通し自分の知識不足を感じた。もっと勉強しなければ」とも。帰国後、会社を退職した。

 乾燥地開発の土木技術を学ぶため鳥取大への進学を目指しており、これから東京の会社で仕事をしながら受験勉強する。(鈴木 潤)


◎本番さながら裁判員模擬裁判…裁判員制度 導入控え函館地裁
 一般市民も刑事裁判の審理に加わる裁判員制度が2009年5月までに始まるのを前に、裁判員を選ぶ選任手続きから事件の審理までを行う模擬裁判が16日、函館地裁で始まった。本番を想定した一連の流れを、実際の手続きに即した形で行う同地裁初の試み。函館市や近郊の企業、団体から協力を得て作成した名簿から無作為に裁判員を選任し、18日の判決に向けて3日間連続で審理が行われる。(森健太郎)

 同地裁は計62の法人、団体などの協力を得て、約700人分の候補者名簿を独自に作成。昨年12月上旬に、抽選で選ばれた60人に呼び出し状を郵送していた。このうち、「70歳以上の高齢」「学生で授業を休めない」「家族の介護で離れられない」などとした24人の事前辞退を認め、会社員や無職、漁業者など20代から70代までの男女35人に絞り込んだ。

 審理されたのは、無職の男が借りたレンタカーを返すように迫ったレンタカー会社の男性社員が男に刺殺された事件。弁護側が「犯行当時の精神状態が心神喪失状態だった」と無罪を主張し、被告の刑事責任能力の有無が争点となった。

 午前9時半から、裁判官や検察官、弁護人らによる面接での選任手続きが始まり、裁判長が「審理に参加することに支障はありませんか」などと個別に質問して公正性や諸事情を確認。「急な出張で代替要員がいない」「会長という立場で新年恒例会に出席しなければならない」などの申し出があった4人の辞退を認めた後、コンピューター抽選で裁判員6人を決めた。

 今回、辞退が認められた看護専門学校の女性教員(44)は「裁判参加に学校の了承は得ているが、国家試験を目前に控えた3年生の担任としては、この時期に3日間も拘束されるのはつらい」と真情を吐露。無職の男性(70)は「法律の知識がないのに人を裁くことに重責を感じる。今回は選ばれなかったが、これを機に新聞などで報じられる事件の見方が変わると思う」と話していた。

 午後からは、検察、弁護側双方の冒頭陳述が行われ、選ばれた裁判員6人は熱心にメモを取りながら緊張した面持ちで審理に臨んでいた。2日目の17日には被告人質問や証人質問が行われる予定。