2008年1月18日(金)掲載

◎けあらし 燃えるように
 強い寒気に覆われた17日、本道は厳しく冷え込んだ。日本気象協会北海道支社によると、旭川市江丹別町で氷点下33・3度を記録したほか、道南の最低気温は厚沢部町鶉で同16・2度、北斗同15・4度、森同13・2度、今金同12・2度、木古内同11・8度。函館は16日深夜から氷点下10度を下回り同11・3度を記録。2006年2月3―5日以来、連日の氷点下10度以下となった。

 函館市銭亀沢、戸井方面では早朝、陸で冷やされた空気が海岸に流れ、海面上に霧が発生するけあらし(蒸気霧)が発生した。けあらしは本道などで使われる方言で、水面の水蒸気がモヤとなって沸き立つ。津軽海峡に立ち込めた霧は朝日に照らされ、赤く燃えるように広がっていた。

 函館海洋気象台によると、道南の向こう1週間は冬型の気圧配置が多くなり、冷え込みは数日続くという。(山崎純一)


◎地方に配慮した改革を…支庁再編で地域意見交換会
 【江差】桧山支庁の統廃合を盛り込んだ支庁制度改革をめぐり、道は17日、道内の支庁廃止予定地域で初めての意見交換会を江差町文化会館で開いた。改革担当の嵐田昇副知事が支庁再編への理解を求めたが、多くの参加者から「桧山支庁の廃止は地方切り捨てだ」と厳しい意見が相次いだ。0ァ40ィ(松浦 純)

 江差町を中心に桧山管内の住民約400人が参加した。道側は嵐田副知事、亀谷敏則桧山支庁長、道企画振興部の川城邦彦地域主権局長が出席した。

 意見交換で、打越東亜夫江差町議会議長は「改革は大都市への一極集中を招く。町内から行政機関が次々と引き揚げ、過疎を生み出している」と批判。町内の大門利雄さんは「経済効率を優先した改革に疑問を感じる」と述べた。嵐田副知事は「財政再建のための改革ではない。子孫の時代を見据えて改革を進めることが現代人の責務。人口減少が続く中、広域でできる仕事は集約する。地域から切り離すことができない住民サービスは道の責務としてやる」と述べた。

 飯田隆一江差商工会長は「拙速な議論を避けるべきという道議会全会派の意向を押し切ってでも定例道議会に条例案を提案するのか」とただしたのに対し、嵐田副知事は「2月に行われる道議会の集中審議次第」と述べ、支庁設置条例改正案などの提案時期については明言を避けた。

 また、檜山支庁存続を求める住民団体代表の辻正勝会長は「支庁再編には全道と檜山の将来を描くグランドデザインが無い」と強調。過疎に苦しむ地方に配慮した慎重な改革を求める高橋はるみ知事あての要請書を嵐田副知事に手渡した。

 道は1月中に根室、留萌両市と日高管内浦河町で、同様の意見交換会を開催。道議会が2月8日に予定している支庁再編をめぐる集中審議で住民の意見を報告する方針だ。


◎縄文文化交流センターを国宝がある「道の駅」に/市長が要望書提出へ
 函館市は、市内臼尻町に建設予定の縄文文化交流センターを「道の駅」として利用するため、指定に向けた要望活動を行う。22日に西尾正範市長が建設予定地に接する国道278号の道路管理者の函館開発建設部(市内大川町)を訪れ、要望書を大寺伸幸部長に手渡す。同センターは著保内野(ちょぼないの)遺跡で出土した「中空土偶」をはじめとする発掘資料を展示することにしており、指定が実現すれば、国内唯一の「国宝を見ることのできる道の駅」として、全国にPRできそうだ。

 道の駅はドライブなどで道路を利用する人の休憩や、地域情報の発信場所などとして全国に整備され、市内には「なとわ・えさん」(日ノ浜町)がある。指定登録は沿線自治体の構想や計画を基に、道路管理者と協定を結んだ上で整備計画を策定。25台分以上の駐車場を確保することや、24時間利用可能なトイレの整備など一定の要件を満たせば、指定を得ることができるという。

 同センターの建設予定地は現在、国道278号のバイパスとして整備が進められている尾札部道路(尾札部―大船間14・8キロ)沿いで、道の駅に指定されることで、整備促進の効果も期待される。施設整備の効率化や国道からの円滑な誘導を促すなど、集客効果を高める狙いもある。

 市土木部は「国宝がある道の駅として、道路利用者にも地域の文化を知ってもらえるチャンスになり、地域振興につながる」と話している。

 同センターは新年度に基本設計と実施設計を終え、2009年5月の着工、10年10月の開館を予定している。(今井正一)


◎バスロケーションシステム・冬期間にアクセス数が大幅増加
 函館バス(寺坂伊佐夫社長)が昨年3月下旬に導入した、函館市内の路線バスの運行情報をインターネット上で検索できるサービス「バスロケーションシステム」へのアクセス数が、冬期間に入って大幅に増加している。降雪や積雪で路面状況が悪化し、バスは定刻通りの運行が困難。同サービスを利用することで、到着予定時刻をリアルタイムで確認でき、乗客にとってはイライラ解消にもつながっているようだ。(浜田孝輔)

 同サービスは、携帯電話とパソコンで専用サイトにアクセスすると利用できる仕組み。画面上で、乗・降車の停留所を入力するか、50音で停留所を検索すると、バスの出発時間だけでなく、バスに搭載したGPS(衛星利用測位システム)などで到着予定時刻も把握できる。

 利用端末では、携帯電話が全体の約7割を占めており、携帯電話の高い普及率と手軽さを裏付ける結果に。同社は「到着する時刻が分かるので、バス停で寒い思いをして待たなくても良くなったという声もある」としており、同サービスの利便性を実証する形となっている。

 昨年11、12月に雪模様だった日は、アクセス数が約7000件と、夏季好天時の2倍以上に達した。頻繁に利用されている時間は、通勤・通学時の朝が最も多く、学生・生徒の下校時に当たる午後3時―同4時、会社員などの帰宅時の同6時ごろにも集中している。

 このままのペースで行くと、導入以来のアクセス総数が2月中にも100万件を突破する勢い。同社は「冬道はどうしてもバスに遅れを生じてしまうので、100%とは言わないまでも、利用者の満足を得ていると感じる。冬を越して新たな要望が出てくるかもしれないが、それに出来るだけ応えられるよう公共交通機関としての役目を果たしていきたい」と話している。

 なお、同サービスの利用に際して、パソコンの場合のアドレスは、http://hakobus.jp 携帯電話はhttp://hakobus.jp/m


◎私的諮問機関「まちづくり懇談会」発足
 函館市の西尾正範市長は17日、今後の市政運営や施策の立案などの参考にするため、外部からの意見を求める私的諮問機関「まちづくり懇談会」を発足させた。会議メンバーは市内の大学教授ら学識経験者や、企業経営者ら12人で構成。この日の初会合で、西尾市長は「函館には人材を含め、マイナスをプラスにしていく力がある。街をどのようにしていくかシナリオはないので、率直な意見や提言をいただきたい」とあいさつした。

 メンバーは市企画部が第一線で活躍している市民を中心に無報酬で依頼し、幅広い分野から選んだ。年に3、4回の会合を開き、産業振興や教育などテーマを設けて意見を交わす。施策に反映させるため、必要に応じて市の幹部職員や他の有識者らを交える方針。

 自己紹介を兼ねたあいさつでは、それぞれ函館への思いやこれまでの取り組みを語った。未来大の岩田州夫教授は「函館に来て8年になるが、もう少し華やぎがあってもいい。人口の減る速度を落とすことも可能なはずだ」とし、日本全国を転勤してきた野村証券函館支店の柴崎章吾支店長も「函館はいい街だが、他の街と比べると、お得感がない」と述べるなど、早速忌憚(きたん)のない意見が出された。

 会合は非公開で、事務局によると、この日は市内高校生の大学進学率などについて意見を交わした。次回会合は4月ごろを予定し、函館を元気にするアイデアを持ち寄り、議論する。

  このほかのメンバーは次の通り。(敬称略)

 漆嵜照政(メデック社長)小笠原勇人(テーオー小笠原専務)河内孝善(湯の川プリンスホテル常務)小岩眞智子(元小学校校長)古閑信二(東日本フェリー社長)外山茂樹(函館大妻学園理事長)服部誠弘(日銀函館支店長)林洋一(函館電子社長)美馬のゆり(未来大教授)山内一男(建築企画山内事務所社長)(今井正一)