2008年1月19日(土)掲載

◎道南の小中学校、きょうから始業式
 函館市内など道南の多くの小中学校で18日、3学期の始業式が行われた。このうち各中学校では、高校受験を間近に控えた3年生が緊張の表情で、休み中に書いた受験の願書持参した。

 函館亀田中学校(佐藤良一校長、生徒693人)では、始業式後の学級活動の時間に願書を集めた。3年4組を担任する山田好一教諭は収入証紙を張っているか、受験する科の記入、中学校名などを確認するように指示し、最後は一人一人の願書を丁寧に見て記載漏れがないかなどを確認。「試験が迫ってきて焦りが出てくると思うが、これまでの努力に自信を持って空回りせず、体調管理にも気を配って」と呼び掛けた。

 函館中部高校を第一志望にした同組の千葉奈津美さん(15)は、「冬休み中頑張って勉強してきたが、今はとても緊張していて不安。もっと勉強して試験に備えたい」と話していた。

 2008年度の公立高校の願書受け付け期間は21―24日。一般入学学力検査は3月5日に行われる。(小泉まや)


◎縦貫道期成会や函館市「道路建設の財源必要」/暫定税率維持求める
 3月末で失効する揮発油税や軽油引取税の暫定税率の存廃をめぐり、国会の攻防が始まる。ガソリンや軽油価格の高騰で世論が二分されている中、北海道縦貫自動車道建設促進道南地方期成会や函館市は、道南で遅れている道路整備の促進や道路の維持補修、除雪など市民生活を守る財源確保の観点から、道路特定財源や暫定税率の維持を国などに求めている。

 暫定税率の廃止を望む住民の声は大きい。道南では、議会が揮発油税や軽油引取税の引き下げを求める意見書を可決したところもある。

 函館地区トラック協会は、1993年に新たに上乗せされた軽油引取税の7円80銭分の撤廃を国に要請している。ただ「すべての暫定税率を廃止すると道路整備や補修、除雪などの費用となる道路特定財源が大幅に失われる恐れがある。軽油が安くなるのは歓迎だが、特定財源維持という問題があり、全廃には安易に賛成できない」と話す。

 道路特定財源の一部は地方税として国から配分されている。道の調査によると、2005年度は函館市に約13億5000万円、北斗市に約3億3000万円、道南全体で約34億8000万円が配分された。

 これらの財源は道路整備のほか、除雪やロードヒーティング、道路の維持管理に充てられている。特定財源の半分弱が暫定税率分といわれており、全廃されると函館市の場合、6億5000万円ほどの歳入がなくなることになる。

 こうしたことから函館市の西尾正範市長は昨年11月、国土交通省に道路事業の中期的な計画策定と、向こう10年間の道路整備にかかる財源の確保を図るため、暫定税率を延長するよう求めた。函館市議会も昨年12月の第4回定例市議会で道路整備の促進を求める意見書を全会一致で可決した。

 また道縦貫自動車道、高規格幹線道路函館・江差自動車道、函館広域幹線道路の建設促進を求める3期成会(いずれも会長・西尾市長)は昨年12月、国や関係省庁へ、道路整備の推進と必要な道路財源の安定的な確保を要望した。

 道縦貫自動車道の期成会は道南の首長のほか、函館商工会議所や渡島・檜山の商工会連合会、漁協・農協の組合長会などで組織しており、道南の自治体や経済界、産業界が一体となった要望とも言える。

 各期成会事務局を務める函館市新外環状道路整備推進室は「ガソリンなどの高騰は確かに痛いが、除雪や維持管理など市民の生活路線を守り、100年を左右する道路事業を推進するためにも特定財源は欠かせない。今後も関係機関と連携していきたい」と話している。(高柳 謙)

 ◆暫定税率 道路の維持・整備に使途を限定した道路特定財源のうち、揮発油税や軽油引取税などの税率を本来より高く設定し、財源確保をしている。ガソリンの揮発油税は本則の2倍の48円60銭、軽油引取税は本則の2・14倍の32円10銭。揮発油税と地方道路税の暫定税率を廃止するとガソリンは1?当たり25円10銭安くなる。3月末に適用期限が切れる。


◎連合が函館市予算へ要請書
 函館地区連合の渡部正一郎会長らは18日、函館市役所を訪れ、2008年度の函館市予算、政策に関する要請書を西尾正範市長に手渡した。長引く管内の景気低迷を背景に、雇用機会の拡大や労働条件水準の改善などを求め、渡部会長は「市の財政も厳しく、単独で実施する限界も承知しているが、特に雇用問題に力をいれてほしい」と述べた。

 要請項目は、重要政策課題は、市民自治推進や石油製品価格高騰への対策など、6分野20項目。主要政策課題は、雇用問題を中心に、一次産業振興や医療福祉の充実、教育など、11分野49項目。労働対策として、季節労働者の通年雇用化や、若年者の就業機会の増加、厚生労働基準の確立などを求めた。

 西尾市長は、労働政策、産業政策、社会政策は一体で取り組む必要があるとし、正規雇用の枠を1人でも増やすよう、経済界とも連携して、企業に働きかける姿勢を示した。その上で「力を入れるために労働政策室をつくった。就業規則を守っている企業がどの程度あるのか。規則の統一モデルがあってもいい。良い人材がいなければ会社の将来もないといった機運を盛り上げて行かなくてはならない」とした。

 渡部会長は、派遣労働者の問題など、連合としても実態把握に努めるとし、「行政と互いに役割を分担して、連携してやらせてもらいたい」と話した。(今井正一)


◎道南オンブズマン/旧検疫所活用めぐり市を提訴
 函館市船見町の旧函館検疫所台町措置場の活用をめぐり、同市が公募で選定した札幌市のNPO法人(特定非営利活動法人)との賃貸借契約を解除し、同法人の理事(当時)で埼玉県内の会社役員男性と新たに結んだ活用契約は違法であるとして、道南市民オンブズマン代表で同市日吉町3の大河内憲司さんら8人が18日、西尾正範市長を相手取り、男性に検疫所の明け渡しを請求するよう求める住民訴訟を函館地裁に起こした。

 訴状などによると、市は、2005年12月、同法人と活用契約を結び、06年6月に軽食喫茶とバーチャルスタジオを兼ねた施設のオープンを予定していた。男性は同法人の理事として、開設資金を提供していたが、男性と同法人理事長との間で意見が分かれ、オープンが遅れた。

 市は、同年9月に検疫所の貸付要項を使用者を「公募する」から「原則公募する」と改正。開設の遅れを理由に同法人と同22日に契約を解除し、新たな公募をせずに、同25日に男性と新たな契約を結んだ。

 男性は、当初の公募以前から検疫所周辺の土地を取得しており、大河内代表は「男性と契約を結ぶことを前々から決めていた」と指摘。同法人の理事であり共同責任を負う立場の男性と契約することは、合理性を欠き公序良俗に反するとし、契約が無効である以上、市民共有財産である検疫所の明け渡しを市に請求するよう求めた。

 訴訟を受け、西尾市長は同日「訴状が届き次第対応したい」とコメントした。(今井正一)


◎模擬裁判評議/責任能力判断「難しい」
 2009年5月までに始まる裁判員制度に向け、16日から始まった裁判員6人らによる模擬裁判の判決公判が18日、函館地裁で開かれた。殺人罪に問われた精神疾患の男について、約5時間にわたる評議を経て、「犯行時は心神耗弱状態で、責任能力はあった」と判断、懲役5年(求刑・懲役10年)の実刑が言い渡された。判決後、裁判員からは「医学的なことは難しい」との声も聞かれ、責任能力の判断の難しさが浮かび上がった。

 裁かれたのは、男がレンタカー会社の男性を刺殺したという想定の事件。男は統合失調症を患い、捜査段階の簡易鑑定と起訴後の本鑑定では責任能力の有無が二分していた。17、18両日に検察、弁護側双方の被告人質問や証人尋問などで審理が進められ、この日は有罪か無罪、さらに量刑などを決める評議が行われた。

 午前10時から、法廷とは別室で評議が始まり、事実関係や精神疾患への理解を深めながら議論。争点となった責任能力について、「被告の妄想に基づく行動が正常といえるのか」との意見に対し、「逃走や証拠隠滅など犯行後の行動に合理性も感じられる」、「『カッとなって刺した』という被告の供述は病気以前に短気だったからでは」などと責任能力を認める意見が大勢を占めた。

 量刑については、「病気がなければ無期懲役」「執行猶予を付け、治療に専念すべき」との声も。無記名の投票でも懲役15―3年までの間で意見が割れたが、同種事件の判例や裁判官の意見を踏まえながら、最終的には裁判官ら計9人のうち8人が同5―6年の範囲で落ち着いた。

 閉廷後、裁判員として参加した男性会社役員(68)は「病気の専門用語が分かりづらかった。もっと時間をかけて話し合う時間が欲しい」と注文。また、別の女性会社員は「人を裁くプレッシャーが大きく、長い3日間だった。自分の感情抜きに加害者の事情を公平に判断するのが難しかった」と心身ともに疲れた様子で話した。(森健太郎)


◎支庁廃止反対 共闘呼び掛け/江差町議会
 【江差】桧山支庁統廃合に反対している江差町議会は18日、支庁廃止が予定されている日高管内浦河町、根室・留萌の両市に議員団を派遣、3市町議会に対して、粘り強い存続運動を展開するよう、共闘を呼び掛ける方針を決めた。

 18日に開かれた議員協議会で、全会一致で議員団派遣を決めた。町を通じて、派遣先の市町議会との会談日程などの調整を進めている。

 江差町では17日、道の嵐田昇副知事が出席して、支庁再編に関する意見交換会が開かれた。同じく支庁廃止対象の浦河町(日高支庁)では21日、留萌市(留萌支庁)は22日、根室市(根室支庁)でも24日に同様の意見交換会が開かれる予定だ。

 江差町議会は、意見交換会の開催に合わせて、12人の町議を3グループに分けて3市町に派遣。3市町議会の正副議長らと会談して、存続運動に関する情報交換を行うほか意見交換会にも出席して、存続運動のヤマ場に向けて共闘を呼び掛ける方針。 

 町議会では、2月4日に行われる、道議会道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会の支庁再編をめぐる集中審議と、道が支庁再編の関連条例提案を目指す、第1回定例道議会(2月末開会予定)が、支庁存続運動の最終的なヤマ場になるとみて、危機感を共有する4市町議会の共闘を通じて、道議会などに支庁存続を訴える考えだ。

 町議の1人は「17日の意見交換会では、道の強硬姿勢が浮き彫りになった。地方の切り捨てにつながる拙速な支庁再編は認めない。同じく支庁存続運動を展開する3市町議会に、結束して存続運動を貫き通すよう呼び掛けたい」と話している。

 一方、桧山支庁管内町村議会議長会(会長・若狭大四郎上ノ国町議会議長)は18日、江差町役場で臨時総会を開き、管内7町の町議会議長が、桧山支庁の担当職員と支庁再編をめぐり意見交換した。会議では「17日の意見交換会では(支庁再編に)賛成意見が無かったのではないか」「農水産業を担当する課が無くなるのは問題」「渡島支庁に統合されることで行政や企業の負担が大きくなる」など、批判的な意見が相次いだ。(松浦 純)