2008年1月22日(火)掲載

◎きれいな氷のレンガ…大寒 函館で氷点下12・4度
 21日は二十四節気の一つ「大寒」。一年で寒さが最も厳しくなるころとされ、函館海洋気象台によると、函館市美原のこの日朝の最低気温は氷点下12・4度で、この冬一番の冷え込みを記録、まさに暦を感じさせる日となった。函館では、大寒の日にその年の冬の最低気温を更新したのは2002年1月20日の同9・6度以来。また、函館の1月中旬(11―20日)の平均気温は同5・8度で、例年(同2・9度)より低く、同期では01年の同7・2度以来の低さとなった。

 七飯町の大沼国定公園内では、2月2、3の両日開かれる「第42回大沼函館雪と氷の祭典」(実行委主催)で使用する氷の切り出し作業が始まった。縦横60センチ、厚さ30センチ、重さ約100キロの氷が次々に運ばれた。

 作業は、会場の公園広場から約200メートル離れた大沼湖東大島付近で、実行委スタッフ約20人が行った。氷面上に縦横60センチの溝を引き、溝に沿って3人がかりで電動のこぎりを動かし切断。水面に浮かせ、氷ばさみで引き上げ、クレーンやブルドーザーを使い、会場へ運んだ。

 氷は主に会場に設営されるジャンボ滑り台に使われ、そのほか氷像やアイスキャンドルにも利用される。今冬は昨年12月中旬から冷え込みが厳しく、雪などが入らない、透明な氷ができたという。作業に当たったスタッフは「寒い冬らしいきれいな氷ができた。あとは来場者が喜ぶ遊具や作品を完成させ、祭りを盛り上げていきたい」と話していた。26日ごろまでに約3000個の氷を切り出す予定。(山崎純一)


◎道運輸局が函館でボランティア養成事業…来月16日にセミナー
 道運輸局は2008年度、函館市をモデル地区とし、高齢者や障害者など移動が不便な人に対して公共交通機関などの施設利用を手伝う「バリアフリーボランティア」の養成事業などに取り組む。北海道新幹線の開業など将来的な観光客増を見込み、道内で唯一、同市が選ばれた。同運輸局は「施設面のバリアフリー化だけでなく、人の支援の輪を広げて『心のバリアフリー』推進を目指したい」(交通環境部消費者行政情報課)と話している。

 国交省では05年度から、さまざまな障害を互いに理解し合う「心のバリアフリー」社会の実現に向け各種施策を推進しており、同事業もその一環として全国の各運輸局で実施している。これまで道運輸局でも、関係者を招いたアドバイザー会議やバリアフリー教室などを行ってきたが、多様なボランティアニーズに対応するため、今回は同市や市内の福祉関連団体と連携し、本格的な市民ボランティア養成に取り組む。

 バリアフリーボランティアとは、荷物を持った人や子供連れなどの手荷物の運搬、移動の介助などを行うボランティア活動を指す。同運輸局によると、今後募集する市民ボランティアに市内の旅客施設で活動してもらうほか、高齢者や障害者などを対象にした旅行ツアーに対応できる地元ガイド「トラベルサポーター」の養成を行う計画だ。

 事業の機運を盛り上げようと、2月16日には函館市内のあいよる21(若松町33)で事業説明会とトラベルサポーターの養成入門講座を併せた1日セミナーを行う。各専門分野の実践者らを講師に、旅行サポートのマナーや高齢者の特性など、ボランティアに必要な基礎知識を学ぶ内容で、定員は20人程度を予定。時間は午前9時半から午後6時半。受講料は無料。

 申し込み、問い合わせは道運輸局交通環境部消費者行政情報課(TEL011・290・2725)か社団法人道開発技術センター企画部地域政策研究室(TEL011・271・3022)。応募締め切りは2月8日。(新目七恵)


◎乙部のタラコ 海を渡る…来月、中東の食品見本市に出品
 【乙部】新たな乙部ブランドの確立に向けて、乙部町商工会(三上岩雄会長)を中心に開発したタラコの新商品「玉粒(たまつぶ)」が、2月にアラブ首長国連邦(UAE)の第2の都市・ドバイで開かれる大規模な食品見本市「ガルフード食品フェア」に出品されることが決まった。同商工会は、町内産水産物の販路開拓や高付加価値化につながるとして、成果に期待を寄せている。(松浦 純)

 タラコの出品は、建設コンサルタント会社のドーコン(札幌)を中心とする研究グループが進める道産農水産物の輸出拡大に向けた市場調査の一環。道東海大、公立はこだて未来大のほか、冷凍輸送技術の開発に携わる企業でつくるグループは、農水省の補助を受けて、船舶での輸送技術開発や輸出先での市場調査を進めている。

 乙部特産のタラコやイカの新商品開発や地域活性化を目指して、同商工会が立ち上げた「地域資源有効活用促進活性化検討委員会」の委員長を務める馬渕悟・道東海大教授を通じて、中東でタラコの販路開拓の可能性を探ることになった。

 検討委は本年度、高品質を誇るスケトウダラの卵を使った新商品「玉粒」を開発。虎杖浜(胆振管内白老町)など、ライバルとなる道内産タラコと高級感や健康志向で徹底した差別化を図るため、価格も120グラムで1500円と高めに設定。町内の漁業者が守り通した伝統製法を生かしたもので、同商工会の敦賀正春事務局長は「添加物や着色料を一切使わない最高品質のタラコになった。国内外での評価に期待している」としている。2月に東京で開かれる全国規模の食品見本市にも出品する。

 ドバイは中東を代表する貿易拠点で、オイルマネーを背景に高級リゾート地として発展している。中東や欧米の富裕層が数多く滞在している現地では、すしや刺し身などの日本食ブームが盛り上がりを見せ、道産食材の新たな輸出先として注目されている。ドバイでの評価を通じて、イスラム圏特有の宗教的理由による食物の規制や食品のし好を把握、どのような道産食材が輸出品目にふさわしいか調査する方針という。


◎漁網に絡まったオットセイ保護…イカ釣りの男性が発見
 21日午前9時35分ごろ、函館山の大鼻岬沖合約10キロの津軽海峡で、海面で漁網に絡まって漂流するオットセイを、プレジャーボートでイカ釣りに向かっていた函館市内の水産会社社長の男性(44)が見つけた。男性は函館海上保安部などに通報した上で、オットセイを保護した。同海保によると、道南海域でオットセイが保護されるのは珍しいという。

 オットセイは体長約60センチの雌で生後数カ月とみられる。首に漁網やロープが複雑に絡まった状態で見つかったが、目立ったけがはなかった。同市弁天町の市振興マリーナに運ばれ、函館西署員や同海保職員ら6人が「キーッ」と威嚇するように叫ぶオットセイを押さえながら、はさみなどを使って漁網を取り除いた。

 発見した男性は会社の釣り仲間とイカ釣りに向かう途中で、船を近づけると逃げようとしたため、イカ釣り用の仕掛けをオットセイの首に絡まる網に引っ掛け、たも網で救い出した。

 オットセイの捕獲については法律で禁止されているが、水産庁の通達で、漁網などに掛かったオットセイについては一時保護して海に放すことが認められている。今回は約4時間後に同署の警備艇で沖まで運び放された。

 同市本通の福原釣具店によると、道南では福島沖から津軽海峡にかけ、1年を通じてオットセイが現れることがあるという。中には船釣りを楽しむ人たちの前に突然顔を出したり、釣った魚に食いついてきたりすることもあるという。


◎個性豊かな青函圏に 民間事業の取り組み紹介…青函ツインシティ推進協
 本年度の青森・函館ツインシティ推進協議会(会長・西尾正範函館市長)が21日、函館市若松町の函館ハーバービューホテルで開かれた。両市から行政や民間の関係者約40人が出席。西尾市長は「ことしは提携を結び19年目、青函トンネル開業が20周年に当たる。手を携え、来るべき新幹線時代に個性豊かな青函圏を構築していく必要がある」と述べ、高速交通網の発展や両地域の縄文文化を核とした交流促進など、さらなる発展に期待を寄せた。

 同協議会は1989年3月に両市が提携した「ツインシティ(双子都市)」に基づく交流促進を目的に発足。1年ごとに両市が交互に会議を開催している。

 会議では、09年度に予定している提携20周年イベントと、14年度の25周年イベントがそれぞれ、東北新幹線新青森開業、北海道新幹線新函館開業の前年に当たることから、プレイベントと位置付けることを提言。全国に青函両地域を発信する契機とすることを確認した。

 青函ブランド構築検討小委員会からは「食」や「観光」、「歴史・文化」を柱にした新たな商品構築に向けた取り組みが報告された。この中で、両市の縄文遺跡の活用や、津軽海峡を売りにした共通のイメージ構築などが提言された。交流事業3カ年計画では、両地域間の民間事業などの取り組み状況が示された。

 このほか、JR北海道函館支社の小笠原憲生支社長から、青函トンネル開業20周年の関連事業や東日本フェリーの古閑信二社長から、青森側の新フェリーターミナル計画概要が報告された。(今井正一)


◎市民スタッフ足りない… 函館開港150周年
 2009年の函館開港150周年記念事業に参画する市民スタッフの応募の出足が鈍い。2月から月3回程度、ワーキンググループの会合が開かれ、市民スタッフは記念事業の計画策定作業などに携わる。事務局の市港湾空港部に問い合わせはあるが、実際の応募には結びついておらず、同部管理課では「事業が具体化していないので参加しにくいのかも知れないが、堅苦しく考えず、一緒に参加してどんどんアイデアを出してほしい」と呼び掛けている。

 実行委は昨年11月、64の団体・機関の代表者らと顧問11人で発足。ワーキンググループの初会合は今月31日に予定し、公募のスタッフは来月の会合から参加する。会合では、本年度内に基本計画と6月をめどに実施計画を策定する予定で、秋に計画しているプレイベントの実施運営にも携わる。

 公募しているのは、記念事業の記録写真撮影やホームページ更新などに携わる「メモリー(記録)チーム」、基本計画や実施計画の策定作業を行う企画担当と、広報担当を担う「プランニング(企画)チーム」、プレイベントの運営計画策定と、運営全般を担う「オペレーション(運営)チーム」の3部門。

 それぞれ、市内在住の高校生以上が対象(18歳未満は保護者の同意が必要)で、応募用紙に必要事項を記入し申し込む。市のホームページ(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/)の港湾空港部のページでも応募方法を紹介している。

 締め切りは31日。問い合わせは同課TEL0138・21・3493。(今井正一)