2008年1月23日(水)掲載

◎東日本フェリー・高速船2隻目は「ナッチャンWorld」
 東日本フェリー(函館市港町3、古閑伸二社長)は22日、函館国際ホテル(同市大手町5)で来賓ら約250人を招いた新年互礼会を開き、今春に函館―青森間で就航を予定している2隻目の高速船の概要を発表した。船名は「ナッチャンWorld(ワールド)」で、船体には「パレード」をテーマに、恐竜や動物などのイラストが描かれている。4、5月の大型連休前後からは、昨年9月に就航した同型の高速船「ナッチャンRera(レラ)」との2隻体制で、さらなる顧客獲得を狙う。

 同社が新たに導入するのは、「ナッチャンRera」と同じ、オーストラリア・インキャット社製の波浪貫通型双胴船。大きさは、全長112メートル、幅30・5メートル、総トン数1万トンで、最大で人員800人、普通乗用車350台の計約1500トンを搭載でき、満積時には最高時速約67キロで同区間を約2時間で結ぶ。

 船体のデザインは、同社が昨年11月に全国の小学生以下を対象に作品を公募。京都市在住のイラストレーター山岡敏和氏が、寄せられた538点の中から18人の作品を選び出し、トータルコーディネートした。船名は、子どもたちを中心にすっかり浸透した愛称の「ナッチャン」を継承し、世界を意味する「World」を組み合わせた。

 また、船内で「ナッチャンRera」と異なる点は、エグゼクティブクラスがシートタイプではなく、2―4人が横になって足を伸ばせるブースタイプになっているほか、ラウンジにマッサージチェアが設けられる。

 新年互礼会の会場には大型のスクリーンが設けられ、新船のイメージ図が映し出されると、出席者からは大きな拍手が沸き起こった。来賓を代表して、西尾正範函館市長が「地域振興のための交通手段を最大限に生かせるよう、全面的にバックアップしていきたい」とエールを送った。

 古閑社長は「地域の人に愛され、支援される会社を目指し社員一同で頑張っており、地域発展に貢献できるよう尽くしていきたい」とあいさつし、出席者にさらなる協力を呼び掛けた。なお、「ナッチャンWorld」は4月中のしゅん工、函館入港を予定している。(浜田孝輔)


◎函館子ども歌舞伎20周年、11月に特別公演
 今年創立20周年を迎える函館子ども歌舞伎(市川団四郎さん主宰)は節目を祝い、後援会(小玉陽造会長)とともに記念事業を実施することを決めた。21日夜に開かれた第1回記念事業推進委員会で委員長を務めることになった小玉会長が事業内容を報告。初舞台から今日までの歩みを振り返り、市民の誇りとなった伝統芸能を後世に残そうと、記念誌発行や小中学生を招待する特別公演などを計画している。

 1989年2月に開かれた「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」で子どもだけによる歌舞伎「絵本太功記十段目」を上演したのを機に、「1回の公演だけで終わるのはもったいない」と市民有志が同年11月、「函館子ども歌舞伎を育てる会」(後援会に発展)を設立し、支援している。90年12月に函館子ども歌舞伎として旗揚げ公演を実施。93年から自主公演をほぼ2年ごとに開催しているほか、全国各地から出演依頼を受けて公演している。

 記念事業の実施に向け、函館子ども歌舞伎と後援会でつくる「推進委員会」を発足。初会合では創立当初から後援会会長を務める小玉委員長が事業の日程や趣旨などを説明し、委員の了承を得た。

 記念事業では11月29、30日の2日間にわたる特別公演を市民会館大ホールで開催する。1日目は小中学生に伝統芸能への理解を深めてもらおうと、歌舞伎を分かりやすく手ほどきする入門編。2日目はことしで8回目となる自主公演に加え、卒業生らによる公演も実施する。

 また、各公演を中心とした写真と関連記事をまとめた記念誌や子どもたちの成長ぶりを収録したビデオを編集し、来年3月に開く記念祝賀会で関係者に配布する。

 小玉委員長は「函館はいろいろな伝統文化が盛んなまち。難しいといわれる歌舞伎を子どもが演じる歴史を作った。函館市民の誇り『函館子ども歌舞伎』を次世代に伝えてきたい」と意欲を見せている。(宮木佳奈美)


◎函新杯アイスホッケー開幕
 第11回函館新聞社杯アイスホッケー函館リーグ(函館アイスホッケー協会、函館新聞社主催)が22日、函館市民スケート場で開幕した。8チームが約1カ月にわたり寒さを吹き飛ばす熱戦を繰り広げる。

 試合に先立ち行われた開会式では、各チームの選手60人が参加し、今シーズンの健闘を誓い合ったほか、函館新聞社の小笠原金哉社長があいさつし、大会のフェースオフを務めた。

 開幕カードとなった函館フューチャーズ―ポイントゲッターズ戦では、体と体がぶつかり合う激しい戦いが見られ、リンクは選手たちの声が響いていた。

 試合は総当たりで行われ、2月23に全日程を終える予定で、その間計28試合が行われる。(小林省悟)


◎北斗死体遺棄初公判 2被告強盗目的を否認
 北斗市内の山林で昨年6月、函館市花園町、無職畠山征司さん(当時61)の遺体が見つかった事件で、強盗致死と死体遺棄の罪に問われた札幌市南区川沿3の2、暴力団員で無職竹中博文被告(35)と、住所不定、無職遠見良太被告(24)の初公判が22日、函館地裁(柴山智裁判長)で開かれた。両被告は強盗致死罪について「暴行は金品を強奪する目的ではなく、これまでのけじめをつけるヤキ入れのつもりだった」と起訴事実を一部否認した。

 この事件は、昨年11月と12月の2回の公判前整理手続きで、強盗致死罪などで起訴された暴力団関係者4人の強盗目的の有無と、傷害行為の共謀性に争点が絞り込まれていた。

 検察側は冒頭陳述で、「竹中被告らが犯行前日、遠見被告への借金を激しい暴行を加えて取り立てようと話し合った。犯行直後に奪ったキャッシュカードの残高を照会するなど、終始金品を奪い取る意図があった」として強盗罪の成立を指摘。

 一方、弁護側は死体遺棄罪を認めた上で、強盗致死罪について「暴力団組織のような複雑な人間関係の中でのいじめ的な『ヤキ入れ』行為であり、金を奪うための暴行ではなかった」とし、傷害致死罪の適用を主張した。

 起訴状などによると、両被告は06年8月22日午前、ともに強盗致死や死体遺棄罪などで起訴された暴力団関係者の男2人と共謀し、金を奪う目的で、北斗市七重浜の竹中被告のアパートに畠山さんを連れ込み、集団で殴るけるの暴行を繰り返した上、キャッシュカード2枚を奪い、外傷性ショックで死亡させた。その後、同市向野の山林に遺体をトラックなどで運び、山中に埋めた。


◎西尾市長、縄文文化交流センターの「道の駅」指定求め函館開建部長に要望書
 函館市の西尾正範市長は22日、同市大川町の函館開発建設部を訪れ、2010年の開設を目指している縄文文化交流センター(臼尻町)を「道の駅」として指定するよう求める要望書を大寺伸幸部長に手渡した。西尾市長は「広域観光の面でも期待ができる。国の協力で(施設の)付加価値を高めるため、ご指導ご支援を頂きたい」と話し、大寺部長も市との連携協力を約束した。

 同センターは、同開建が国道278号のバイパスとして整備中の尾札部道路沿いに建設を予定し、道内唯一の国宝「中空土偶」をはじめとした市内の縄文遺跡で出土した資料などを展示する。道の駅は、道路利用者の休憩場所や地域情報発信場所として全国に整備され、同センターが指定されると、国内初の「国宝がある『道の駅』」となる。

 大寺部長は「昨年、中空土偶を見たが、個人的にも縄文文化に興味がある。右折レーンを設置し施設に入りやすいよう道路を整備するなど、最大限の協力をさせてもらいます」と答えた。

 今後、市は新年度に策定する同センターの基本設計と実施設計の中に、道の駅として利用するため、駐車場やトイレ整備などの諸条件を盛り込む。正式な指定登録は、施設のオープン後となるが、市と開建間で整備に向けた合意が進めば、尾札部道路整備の一環として、同センターの駐車場や、道路標識設置などを整備の一部を開建側の協力を得ることができる。(今井正一)


◎老人ホーム特別委、市の行政指導が論点に
 函館市議会の有料老人ホーム問題調査特別委員会(黒島宇吉郎委員長)が22日、開かれた。一連の福祉施設建設問題をめぐり、市が当初から適切な行政指導をしたかが論点の一つとなり、岡田芳樹福祉部長は「問題となったH社は2005年11月4日に福祉部へ1回相談に訪れただけで、06年1月下旬には道に市との事前協議書を提出した。事業者に話をする機会がなく、都市建設部にも相談がなかった。もっと綿密に相談してほしかった」と答えた。

 石井満氏(民主・市民ネット)、出村勝彦氏(新生クラブ)への答弁。石井氏は「相談に来なければ責任がないという考えでは問題がある」と指摘した。一方、小野沢猛史氏(市民クラブ)は、入手した資料などから「H社の主張の肝心な部分は事実無根。市が道に提出した意見書からも、市の一貫した対応が見られる」とした。

 高橋佳大氏(共産党)は06年7月20日に市長室で行われた会談について「前市長が認められない施設建設の再検討を指示したと受け止めたのか」と質問。岡田部長は「命令形ではなかった。指示とも投げかけとも取れる内容だった」と述べた。市長選前の議会で市の統一見解は「再検討の指示はなかった」だった。

 瀬尾保雄氏(公明党)は、当時の西尾正範助役が福祉部次長に内部メモの作成を命じ、退職後にメモを持ち出した行為の是非を質問。小柏忠久総務部長は「法的に要保護性のあるものを持ち出したら罰則があるが、この文書に要保護性はないと考える」と答えた。

 道の指針に基づき福祉部が整理した、市街化調整区域内への老人ホーム建設を認めないとする指針について、福島恭二氏(民主・市民ネット)は「行政手続条例に定められた公表をしておらず、手順、手続きを踏んでいない」と指摘。藤田光行政改革課長と岡田部長は、指針の公表は複数の者に対し行政指導をする場合とされていることから、「今回は単発的なケース。部内の意思統一が図られ、一貫している」と述べ、問題がない考えを示した。

 同特別委は23日も開き、引き続き質疑を継続する。(高柳 謙)