2008年1月26日(土)掲載

◎企画 冬の光(1)朝日で輝く氷の湖面…白鳥台セバット
 凍結した湖面を朝日が照らす。静けさが漂う光景だ。それもつかの間、近くで目を覚ましたオオハクチョウたちが飛来し、騒々しさに包まれる。

 七飯町大沼国定公園にある白鳥台セバットは日中、水の流れでほとんど凍結しないが、氷点下15度を下回る夜になると薄く氷が張る。このため、越冬する冬鳥たちは沼に流れ込む川の下流に移動し、翌朝、餌を求めてここに戻る。

 荘厳に輝く氷は、朝のうちに姿を消す。

 冷たく澄んだ空気を照らす冬の光は、穏やかで景色を優しく鮮明に映し出してくれる。陽光や人工の光が織り成す冬の光景を5回にわたり紹介する。(山崎純一)



◎函病 未収金対策に躍起…法的手段で回収強化へ
 市立函館病院の診療費などの未収金問題で、函館市病院局は未収金発生の防止に向けた取り組みを進めている。昨年4月から診療時間外の外来救急患者からも医療費を即日徴収しているほか、入院予定者には事前に想定される概算額を説明、支払いに対する意識付けを徹底している。本年度内には簡易裁判所を通じた支払いの督促の申し立てを実施する予定で、累積した債権の回収体制の強化にも乗り出す。(今井正一)

 同病院の未収金問題は2006年度の市の包括外部監査で指摘され、同年度末で累積額は約6億8000万円となっている。監査では入院診療費の即日徴収や、未収患者の管理、未収金残高にかかわる資料作成などを改善事項として挙げている。

 本年度から実施している主な改善点として、退院患者への請求書は即日発行とし、土、日曜などに退院予定の患者に対しては、退院前の金曜日に概算額の請求書を交付している。退院当日の発行率は、監査で指摘された37%から約80%と大幅に改善された。残りの2割は退院時期が定まらない小児科患者や死亡した患者で、後日、請求書を発行している。

 昨年12月からは診療費を入金し、病棟で確認書に記入しなければ退院できない仕組みを導入。当日、都合で支払いができない患者に対しても、納付相談を行った上で、誓約書の記入を義務づけた。この対応で、未収理由が不明の患者を減らし、後日、請求する際の確認作業も円滑になっている。

 また、債権回収のための法的措置に向けて準備も進めている。簡裁の書記官名で、未納者に支払いの督促書面を送付する制度。税金と違い、対象者の支払い能力を調査する権限は病院側にはないが、滞納に対する意識改革や、今後の未収金発生への抑止効果を期待している。

 同病院の未収金の内訳をみると、少額の事例が多いことから、同局医事課は「未収金を発生させない工夫を講じているので、今後は圧縮されていくはず」と話している。


◎西尾市長 初の本格予算…査定スタート
 函館市の2008年度予算編成の市長査定が25日、始まった。昨年4月の選挙で初当選した西尾正範市長による初の本格予算となり、公約実現に向けた事業がどの程度盛り込まれるかが焦点。市長査定は31日まで5日間の予定で、予算案は2月12日ごろ発表される見通し。

 査定に当たり西尾市長は「子育て支援や教育環境整備、保健・医療・福祉などが基本となる。小さな施策でも積み上げることで民生の安定を図りたい。普通建設事業も一定の額を確保し、地元企業に発注することで景気浮揚や雇用安定につなげたい」と語った。

 乳幼児医療助成の小学校6年生までの拡充が、公約通り新規に盛り込まれる見込み。当選後の6月補正予算で実現した、市立校長の裁量で創意ある学校づくりを進める「知恵の予算」は継続される。

 建設事業では継続事業の縄文文化交流センター整備のほか、新規事業で養護老人ホーム清和荘の移転新築、恵山と椴法華地区の2保育園の統合園となる大澗保育園、恵山地区コミュニティーセンター整備などが検討課題となっている。

 25日は市役所会議室で午前10時から査定を開始。工藤寿樹、谷沢広両副市長や関係部長も同席し、財務部幹部から歳入・歳出の見通しなどの説明を受けた。(高柳 謙)


◎6カ月連続マイナス…12月の道南 有効求人倍率
 函館公共職業安定所は25日、昨年12月の渡島・桧山管内の雇用情勢を発表した。求職者1人に対する求人数を示す有効求人倍率は前年同月比0・03ポイント減の0・53倍。前年比のマイナスは2003年4―9月以来となる6カ月連続を記録した。半面、先行指標となる新規求人倍率は、新規求人数の増加と新規求職者数の減少に伴い、同0・15ポイント増の0・99倍と3カ月ぶりに前年同月を上回った。

 月間有効求人数は、新規や繰越求人の動向から、同4・9%減の4434人。新規求人数は同7・9%増の1669人で、新規求職者数は29歳以下の若年者を中心に全年齢層で数字を下げ、全体では同9・2%減の1680人だった。

 新規求人を産業別でみると、建設業が97人、運輸業が58人と、ともに同25人の減少。しかし、製造業が同96人増の250人と大きく伸びたのをはじめ、医療・福祉が同33人増の349人、卸売・小売業が同24人増の309人、サービス業が同21人増の287人と好調さが目立った。

 新規求人に占める常用パート求人の割合は30・9%で、同0・1ポイントの低下。離職者は同167人減の1015人で、内訳は事業主都合(リストラ)が同50人減の473人、自己都合が同133人減の515人などだった。(浜田孝輔)


◎「愛」テーマに「三線」奏でる…29日に環境考えるイベント 函館出身・堀内さん出演
 地元の音楽家らが共演し、「愛」をテーマに地球環境や自然の大切さなどを考えるイベント「ONE(ワン) vol・2」(実行委主催)が29日午後8時から、函館市戸倉町30のNyahbinghi(ナイアビンギ)で行われる。函館出身で、現在は沖縄県那覇市で沖縄の楽器「三線」を勉強中の堀内加奈子さん(30)も出演、三線の包み込むような独特の音色を披露する。

 アースデイ函館実行委とNPO(民間非営利団体)おしゃまんべ夢倶楽部が協力。オーストラリア先住民(アボリジニ)のマーキー・ジョモラさん(千葉県在住)がゲスト出演し、ユーカリの木を使用した木管楽器「イダキ」で同民族の伝統音楽を奏でる。

 堀内さんは三線奏者の大城美佐子さんに2001年から師事し、現地の方言をはじめ、奏法や伝統曲を習得し、弾き語りを繰り広げている。堀内さんは「温かい三線の音色をぜひ聞いてほしい」と話している。

 このほか、函館市内で活躍するアルトサックス奏者の大矢内愛史さんやギター奏者の磯部昌孝さんら計8組の奏者もステージに立ち、さまざまなパフォーマンスで来場者を楽しませる。会場には生活用品などの手づくり小物を販売するフリーマーケットやスープカレー、駄菓子などの屋台も並ぶ。

 チケットは前売り2000円、当日は2500円でともに1ドリンク付き。函館市末広町14の「そばだいにんぐCOCOLO(こころ)」など市内12カ所で取り扱い中。実行委の藤田智子さんは「音楽を通じて自然や人のつながりを感じ、テーマの『愛』について考え、優しい心をはぐくんでもらえる機会になってくれれば」と来場を呼び掛けている。問い合わせは藤田さんTEL090・3391・9078。(田中陽介、小橋優子)


◎企画 原油高の影響(1)右肩上がりの灯油代、最高値更新のガソリン…節約、節約にため息ばかり
 例年より寒い冬とはいえ、暖房器具の設定温度をいつもより2度低くし、高齢の母が出掛けると、さらに2度下げて節約に努める。それでも過去最高の燃料代―。函館市東川町の主婦佐々木宏美さん(41)は「まだ寒さは続く。家計の負担がどれだけ増えるか、春からどの出費を抑えるか、今は考えたくない気持ち」とため息をつく。

 冬はほとんど家の中で過ごす母、夫、子供2人と暮らす。昨年11月から今月23日までに約1310リットルの灯油を買った。節約しても、昨冬に比べて約370リットル多い。この冬の負担増は計り知れない。

 函館消費者協会(米田イツ会長)の石油価格調査結果によると、ホームタンク用灯油(1リットル当たり)は04年4―12月の平均価格42・98円に対し、05年度が年間平均70・28円、06年度は同79・57円と急騰。本年度は昨年4月の71・5円から右肩上がりに上昇し続け、同11月には1982年4月以来の最高値更新となり、1月現在は100・2円と04年度の2倍以上に跳ね上がった。

 レギュラーガソリン(フルサービス1リットル当たり)も同様で、04年度は80―100円台で推移していたが、05年度は年間平均130・25円、06年度が同136・67円と高騰。本年度は昨年8月から140円台を突破し、同11月には1985年5月以来の最高値を更新。12、1月は150円台の高値が続いている。

 原油高の背景には、経済発展が著しい中国やインドの需要拡大、不安定な中東情勢などがある。函館地方石油業協同組合の和田善助理事長は「いつまで原油高が続くか先行きは不透明。燃料費を節約する動きから、オール電化住宅や天然ガスなどへの転換が進むのでは」とみている。

 生活のため、市民はあらゆる面で工夫しなければならない。佐々木さんは「ガソリン代を軽減するため、昨年秋からセルフ給油にした」と話す。高校生の子どもを学校まで送迎するのに車を使用せざるを得ないからだ。同市美原に妻と2人で住む会田将さん(71)は「高齢者にとって灯油の節約はきつい。石油製品の釣り道具も値上がりしたから、好きな釣りも控えなくては」と話す。原油高が生活に与える影響は広がるばかりだ。(宮木佳奈美、山崎純一)

 原油値上がりに伴い、ガソリン、灯油価格が高騰している。厳寒期を迎えた道南では、産業界はもちろん、一般家庭も原油高の直撃を受け、“大寒波”にさらされているのが実情だ。各方面の現状や抱える問題、対策や工夫などを探ってみた。