2008年1月27日(日)掲載

◎企画 冬の光(2)田んぼ 雪肌輝き陰影際立つ
 雪で真っ白に覆われた田園地帯。北斗市内の田んぼでは、稲叢(いなむら)が雪の帽子をかぶり、あちこちで小山をなしている。日が当たるとまぶしい限りだが、帽子に遮られた陰影は濃く、銀世界の中のコントラストが見事だ。

 積もっている雪の表面は平たんではなく起伏があり、陽光は雪肌を輝かせ、陰影を際立たせて雪の質感を見せてくれる。

 雪解けまで美しい光景が続くのは、稲作地帯ならではだ。


◎障害児学童保育所の開設へ来月ボランティア研修会
 障害児の余暇活動を支援する函館市内のNPO法人(特定非営利活動法人)「みんなのさぽーたーわっとな」(山口照美代表)は障害児を対象とした学童保育所の開設準備を進めている。指導員の補助や児童の送迎などに協力できるサポーターを募り、受け入れ態勢を整え、4月のオープンを目指す。2月9日には市教委と共催でボランティア希望者を対象に研修会を開き、協力を呼び掛ける。

 「わっとな」は障害者が地域で自立できる場を少しずつ広げていくことを目的に、保護者らが中心となって06年5月から活動をスタート。07年8月にNPO法人化した。同市宇賀浦町の事務所内にあるフリースペース「すきっぷ」での一時預かり、市内近郊の公園やプールなどで遊びを通じ、余暇活動のサポートや託児を担う「ちゃれんじ」などの活動を続けている。

 本「障害のある子に安心できる場所で豊かな時間を過ごしてほしい」との思いから、放課後の活動拠点となる学童保育所の設立を目指していた。市内の学童保育所は公営4カ所、市の委託を受けた民間29カ所などがあり、夫婦共働きなどで放課後に保護者がいない児童を受け入れている。

 しかし共働きの増加に伴って年々学童保育へのニーズが高まり、施設の狭あい化や指導員不足などの問題で、障害児を受け入れられる施設は少ない。同法人が新設する学童保育所の名称は「らるご」。イタリア語で「豊かにゆっくり」を意味する。家族の就労をサポートしながら、子どもが1つの場所で落ち着いて放課後を過ごせる機会を提供していく。

 研修会は午前10時から正午まで市総合保健センター(五稜郭町23)で開催。参加無料。道発達障害者支援センター「あおいそら」の岩田昌子さんが講演し、発達障害や集団生活の中での子どもたちへのかかわり方などに理解を深める。また現在、支援にかかわるサポーターとの意見交換、活動紹介のビデオ上映を予定している。

 山口代表は「ボランティアに資格は問わないので、活動は1時間でも結構です。関心のある方はぜひ参加してください」と呼び掛けている。

 問い合わせは同法人TEL090・9433・7001。 (宮木佳奈美)


◎渡島広域市町村圏振興協、第5次計画の策定進む
 渡島管内11市町で構成する渡島広域市町村圏振興協議会(会長・西尾正範函館市長)の第5次長期計画の策定作業が進んでいる。2008年度から10年間の計画で、道と協議しながら作成作業を進めている。このほど函館市内のホテルで各市町の民間代表による懇談会を開き、素案に対する意見を出し合った。新幹線時代に対応した交通アクセス整備や広域観光など、寄せられた意見を計画案に反映し、年度内の策定を目指している。

 同協議会事務局の函館市地域振興室によると、長期計画は序論、基本構想、基本計画で構成し、素案で基本構想の将来像を「新幹線とともに輝ける未来へ〜人々が躍動し魅力あふれる渡島〜」とした。

 この将来像を受けて▽新幹線の開業を最大限に生かした地域づくり▽地域の個性を生かした活力と創造性に満ちた産業の振興―など5つの目標を掲げ、目標ごとに施策の大綱を並べた。基本計画では主な施策を体系的に記す方針。

 このほど開いた第5次渡島広域市町村圏計画懇談会は、各市町の産業界代表が委員となり、素案に対する意見を述べた。水産、農業、観光、国際交流、町内会、保健・医療・福祉など各分野の代表がそろい、七飯町の北海道大沼国際交流協会理事、山川俊郎さんが座長を務めた。

 北海道新幹線とともに発展していく渡島の将来像を踏まえ、委員からは▽交通アクセスの整備▽並行在来線の問題解消▽青函交流の推進▽広域観光をはじめとする各種産業の振興―などの意見が提出された。

 これらの意見を可能な限り反映させ、道と協議しながら計画案の策定作業を進めている。道は道内20の広域行政圏で同様の長期計画策定を求めており、道南では渡島と檜山広域行政組合が振興計画を策定する。

 同振興協議会事務局は「各市町の長期計画と整合性を図り、今年度内をめどに協議会で成案化を目指す。長期計画策定を受けて、具体的な3年間の実施計画を08年度から、毎年ローリングしながら作っていく」と話している。 (高柳 謙)


◎函水産高生、ハワイに向け実習船出航
 函館水産高校(平沖道治校長、生徒470人)の実習船「北鳳丸」(ほくほうまる、664トン)が26日、ハワイに向け函館港から出航した。毎年恒例の航海実習。函館市海岸町のふ頭で壮行式が行われ、教員や生徒、保護者らが実習生を激励した。

 実習するのは、海洋技術科海技コースと機関工学科機関コースの2年生合わせて38人。航海、機器取り扱い、マグロはえ縄漁、漁獲物処理、生物資源調査、海洋観測などの実習を行う。教員と乗組員合わせて約30人が同行する。

 出港・壮行式で平沖校長は「成長して帰ってくる姿を楽しみにしている」と激励。見送る生徒の代表として生徒会副会長の渡辺文也君(2年)が「健康で安全な航海となることを祈っています」とあいさつし、実習生代表の角谷拓洋君(同)は「船酔いを乗り越えて元気に帰ってきます」と応えた。

 実習船は宮城県沖まで南下したのち太平洋をハワイに向かい、日本時間の20日にホノルルに入港する。帰りは静岡県に立ち寄り、3月10日に帰港する予定。 (小泉まや)


◎企画 原油高の影響(2)
 クリーニング店なども深刻…値上げしたいが嘆く業界

 一般家庭の家計を直撃している原油高は、産業界にも深刻な影響を与えている。

 「うちの業界が一番響いているのではないか」と話すのは道クリーニング生活衛生同業組合函館支部の阿部全宏支部長(ファッションクリーニングあべ社長=函館市千代台町6)。洗剤やドライクリーニングの溶剤、衣服を掛けるハンガー、包装にいたるまで、石油製品に依存しているからだ。「道南で廃業した同業者がいるとはまだ聞いていないが、札幌あたりではうわさに聞く。少しずつ料金に転嫁して踏みとどまるしかない」。これまで値上げは高級品にとどめていたが、別の品目でも考えざるを得ない状況に追い込まれているという。

 石油製品を直接取り扱う燃料販売店の悩みは複雑だ。仕入れ値が上昇すれば小売値も上がるのは当然だが、消費者の買い控えが影響し、ここ最近ではむしろ値段が下がる逆転現象が起きている。

 道南石油(同市大町9)では「消費者は1円でも安いところに流れるので、どこかの店が値段を下げたら追従せざるを得ない。結果的に業界全体が共倒れするのが怖い」と嘆く。ただ、国会の焦点になっているガソリンの暫定税率存廃については「突然廃止されても混乱が生じるだけ。根本的な対策を政府に望みたい」と訴える。

 一次産業にも影響は広がる。集魚灯に大量の燃料を消費するイカ漁では、漁の時間や回数を減らすなどして対応。函館市漁協は「今のところ水揚げ量にはそれほど響いていないが、イカの価格が安いのでやりくりが大変」。

 農業はハウス栽培や農業機械などに大量の燃料を消費し、酪農では餌となる穀物の価格も上昇した。新函館農協は「卸値を引き上げると安い外国産商品に消費者が流れるのでそれもできない」。現在、同農協が販売する燃料価格の一部を組合が負担することを検討している。

 独自の工夫を重ねているところもある。テーオースイミングスクール(同海岸町10)では、これまでオープン3時間前から稼動していたボイラーを、2時間前からに短縮した。同スクールでは「研究の結果、設定温度に達する最短時間を割り出すことができた。これからもコスト削減のために細かい努力を重ねていきたい」と話す。各業界での知恵を絞った生き残り合戦は、今後ますます激しさを増しそうだ。 (小泉まや、小川俊之)