2008年1月28日(月)掲載

◎企画 冬の光(3)函館山 濃淡…まるで水墨画
 冬は低い位置から陽光が差し込むおかけで、函館山(334メートル)は午後になると後ろから日を受けて木々が浮かび上がり、曇りや弱い雪の日は水墨画のような濃淡を見せる。

 雪が降った日、山肌にカメラを向けると、それまで弱かった日差しが一瞬強くなり、函館山ロープウェイが光に溶け込むように見えた。

 めまぐるしく変わる天気、日の光が生んだ偶然の光景だ。


◎乙部タラコ新商品開発へ出身者が札幌などで市場調査
 【札幌、乙部】新たな乙部ブランドの創出に向けて、町内特産のタラコやスルメイカを活用した新商品開発を進める乙部町商工会(三上岩雄会長)は、札幌や東京在住の乙部出身者でつくる同郷会を通じて、新商品の市場調査を行うユニークな取り組みを進めている。26日に札幌で開かれた「さっぽろ乙部会」(渡辺鶴雄会長)では、完成したばかりの最高級タラコ「玉粒(たまつぶ)」のPRを兼ねた試食会とアンケート調査を行い、会場を訪れた大勢の会員から高く評価された。

 「玉粒」は、漁業者や加工業者でつくる「浜のたらこ伝承会」が、最高品質のタラコを着色料や添加物を一切使わず、塩だけで漬け込んだ。2月に東京で開かれる食品バイヤー対象の展示会「ニッポンいいもの再発見!2008」に出品するほか、アラブ首長国連邦(UAE)の第2の都市で、経済成長が著しいドバイで開かれる大規模な食品見本市「ガルフード食品フェア」に出展して国際デビューする予定だ。

 さっぽろ乙部会の総会は26日、市内のホテル・ノースシティ開かれ、札幌圏に住む100人近い会員をはじめ、町内からは寺島光一郎町長、阿部一町議会議長が参加した。会場では、商工会の敦賀正春事務局長らが、旧交を温め合う会員を対象に試食を勧め、アンケートを行った。完成したばかりの「玉粒」を一般の人に披露するのは初めて。アンケートは味覚、量、価格、パッケージなど8項目。協力してくれた会員には試供品1箱をプレゼントした。

 タラコに深いこだわり持つ会員は「とてもおいしい」「土産品に最適。空港や駅で買いたい」「塩分が低いので安心」「自信を持って良い味だ」と高く評価。敦賀局長は「予想以上の好感触。健康志向も受け入れられた」と笑顔を見せた。商工会は、アンケート結果を商品の改良や企画開発に生かす。

 商工会は昨年度から、故郷に愛着を持つ乙部出身者が集まる同郷会が、新たなビジネスチャンスになるとして着目。会員に故郷の味覚を楽しんでもらうだけでなく、商品PRを通じて、ビジネスや贈答品にも地場産品を活用してもらうおうと、会場での物産展をスタートした。本年度は、タラコやイカの新商品開発が本格化していることから、新たに市場調査を進める好機ととらえ、昨年11月に開かれた「東京おとべ会」でも、イカ加工品の試食会を開き、商品開発の資料として活用している。

 さっぽろ乙部会の渡辺会長も「乙部ブランドが世界に広がり、乙部に住む若者たちが農漁業の分野で幅広く活躍できるようお手伝いしたい」と語り、商工会の取り組みを全面的に歓迎している。 (松浦 純)


◎中央自動車学校「冬道講習会」
 函館中央自動車学校(函館市西桔梗515、木村喜一郎校長)は27日、冬道の危険性を学ぶ「冬道講習会」を開いた。同校を卒業した初心者ドライバー約60人が実際に雪道で車を走行させ、冬道での安全運転への理解を深めた。

 同講習会は、約20年前から毎年1回実施している。参加者は、同校の教習車を使い、敷地内の教習コースで急ハンドルや急ブレーキなどを体験。北斗市七重浜4の会社員西川紗代さん(19)は「急ブレーキをかけても車がすべり止まらなかった。もし、車がいたら事故になっていたはず」と冬道の恐ろしさを振り返っていた。

 このほか、学科教習も行われ、雪道でのブレーキのかけ方など冬道の走行に必要な知識を学んだ。終了後には理解度を確認するテストも行われ、参加者は真剣な表情で問題に取り組んでいた。

 昨年8月に免許を取得したばかりだという北斗市本町297の専門学校生竹内由美さん(19)は「通学のためにいつも車を使っている。講習で学んだことを心掛け実践していきたい」と話していた。 (水沼幸三)


◎函館ジュニア・ドリーム・オーケストラ定期演奏会
 函館市内近郊の小中高校生で構成する「函館ジュニア・ドリーム・オーケストラ」(原子英二団長)の第8回定期演奏会が27日、函館市民会館大ホールで開かれた。友情出演となる青森ジュニアオーケストラのメンバーも加わった大編成で、ベートーベンの交響曲第5番「運命」など全4曲を熱演した。

 同オーケストラは、音楽活動を通して青少年の健全育成を目指すとともに、函館圏の演奏団体の後継者育成と底辺拡大を目的に2000年10月に設立。バイオリン初心者教室や定期演奏会など多彩な活動を展開している。03年からは、青森ジュニアオーケストラとの交流もスタートし、双方の定期演奏会への友情出演などで親睦を深めている。

 この日のステージは2部構成で、第1部はバイオリン初心者教室のメンバー5人による「ぶんぶんの主題による3つの変奏曲」で幕開け。一般メンバーによる弦楽合奏をバックに、子どもたちが一生懸命に演奏する姿に大きな拍手が送られた、続いてフルメンバーがそろい「スターウォーズ」と「パイレーツ・オブ・カリビアン」の華やかな映画音楽が会場を包み込んだ。後半の第2部はベートーベンの「運命」全曲に挑戦。有名な「運命の動機」を中心に展開される緻密な難曲を、若さいっぱいにパワフルに演奏。会場からの拍手は鳴り止まなかった。 (小川俊之)


◎企画 原油高の影響(3)灯油盗難相次ぐ…広がる不安 自衛策徹底
 原油価格高騰の余波なのか、函館市内でも灯油やガソリンが狙われている―。函館中央と函館西両署の調べでは、灯油やガソリンなどの盗難事件が今シーズンだけで少なくとも103件発生、計約5500リットル分に上る被害届が出された。一度に250リットルの灯油が抜き取られる被害もあり、両署は警戒を強めて本格捜査に乗り出すとともに、「所有者も自衛策の徹底を」と警鐘を鳴らす。

 函館市内では昨年9月以降、漁港に係留中の漁船からガソリンなど燃料の盗難が62件起きている。函館中央署は今月上旬までに、市内の川pヤ漁港に停泊中の漁船からガソリン入りの燃料タンクを盗んだとして、15歳の少年を含む男3人を窃盗容疑で逮捕。調べに対し、男らは「ガソリンを買う金がなかった」と話し、これまでに二十数件の犯行を自供した。

 一方で、玄関先や無施錠の物置などからポリタンクが持ち去られたケース(24件)や、自宅や事業所に備え付けの屋外ホームタンクから抜き取られる事例(12件、未遂を含む)など、備蓄した灯油が狙われる被害も目立つ。

 市内入舟町では昨年10月下旬と同11月中旬、水産会社に設置してある屋外タンクの給油管が切断される手荒な手口の被害が2件続き、合わせて約350リットルが盗まれた。1件当たりの被害量も平均約250リットルと少なくないことから、両署は個人用途以外に転売目的の計画的犯行の可能性もあるとみて調べている。

 横行する「灯油ドロ」対策として、市内のホームセンターでは灯油の盗難防止グッズの売れ行きが好調だ。ジャンボイエロー港店(同市港町3)では昨年11月からタンクのキャップに取り付ける施錠カバー(販売価格2480―5480円)を販売中。長谷川康春店長(53)は「これまで取り扱っていなかったが、今冬は店頭に並ぶとすぐに売り切れるほどの品薄状態が続く」と話す。

 ドリームサンワドー上磯店(北斗市七重浜7)では、「ニュースを見て不安に思った」という主婦らからの問い合わせが1日3―4件あるほか、実際に被害に遭った客の来店も。売り場担当の畠山一美さん(27)は「現在も商品を発注しているが、メーカーも生産が追いつかない様子。タンクによってサイズが合わないことがあるので注意してほしい」とアドバイスしている。 (森健太郎、水沼幸三)


◎第1回函館イカマイスター認定試験に181人挑戦
 函館市の魚に制定されているイカについての知識を問う、ご当地検定「第1回函館イカマイスター認定試験」が27日、北大函館キャンパス(同市港町3)で開かれた。高校生から年配者までの181人が受験し、イカの生態や調理法などに関する難問に頭をひねらせた。

同市内の漁協や水産加工団体などで構成する、函館水産物マイスター養成協議会(藤原厚会長)の主催で、食育の推進や地域の活性化・観光振興などを目的にした初の取り組み。同試験に先駆けては有識者の協力で公式テキストを作成し、受験資格となる今月12―14日に開いた養成講習会には186人の申し込みがあり、イカを題材にした講義や調理実習を受けた。

 同試験で出題されたのは、100問ですべて択一式。イカの仲間の心臓の数や、血液の呼吸色素、高鮮度を保持する処理・流通方法を問うものをはじめ、中には、「イカ踊りに振付けられている4つのイカ料理は?」といった、函館ならではのユニークな問題もあった。

 合格点は100点満点の70点以上で、2月1日に受験者本人に結果を通知。合格者には、認定書を発行する。また、同17日には不合格だった人を対象に、追試験が行われる。

 受験した男性会社員(20)=同市東山1=は「イカを取り扱う仕事に携わっているので、会社の勧めもあって受けた。講習では生態について知らないこともあった。仕事する上で役立った」と話し、試験については、「もっとテキストを良く読んでいればよかった」と、顔をしかめていた。(浜田孝輔)