2008年1月30日(水)掲載

◎企画 冬の光(5)夜明け前…海のよう 青く染まる
 冬の夜明け前、街はブルーに染まり、空気の冷たさを感じさせる。

 青くなるのは、日が低く日陰が多いため。函館市豊川町ではこの時期、西本願寺函館別院の鐘がなるころ、各家の屋根の雪は青く、津軽海峡に溶け込むような色合いを見せる。

 数分後には日が昇る津軽海峡付近が赤くなり、街の青みも少しずつ消え、雪は白銀になる。 (山崎純一)


◎函館市、40歳代男性の4割肥満
 市立函館保健所はこのほど、老人保健法に基づく2006年度基本健康診査の受診状況をまとめた。男性が女性に比べてBMI(体格指数)25以上を指す肥満者の割合が高く、特に40代男性の肥満者の割合が約4割に達していることが分析の結果で分かった。肥満は生活習慣病につながる危険因子とされ、市は健康づくりの計画「健康はこだて21」でも40代の肥満防止を改善項目の重要課題に掲げており、働き盛りの40代男性に対する啓発のあり方が今後の課題になっている。(鈴木 潤)

 同健康診査は40歳以上を対象に自治体ごとに行っている。06年度は5万8540人の対象者のうち、1万3373人(男性4447人、女性8926人)が受診した。

 受診者の総数に対する肥満者の数は、男性が1441人(32・4%)、女性が2092人(23・4%)となっている。

 年齢別肥満状況をみると、男性の肥満者の割合は40代が43・5%(受診者359、肥満者156人)と最も高く、50代34・6%(同549人、同190人)、60代32・3%(同1671人、同539人)、70代31・3%(同1592人、同498人)、80歳以上21・0%(同276人、同58人)と続く。

 女性の肥満者は70代が28・4%(同2117人、同601人)と多く、80代25・9%(同309人、同80人)、60代24・7%(同3125人、同773人)、50代20・0%(同2294人、同459人)、40代16・4%(同1081人、同177人)の順で、年齢が高くなるにつれて肥満の割合も高くなる傾向が分かった。

 このほか、同保健所によると、中性脂肪が150以上の脂質異常症の割合も肥満症と同様の傾向で、40代男性の41・9%が該当者となっている。同異常症の割合は70代まで各年代とも男性が女性より高い数値となっている。

 肥満者の70%以上が高血糖、高血圧、脂質異常症のどれかに該当していることも判明した。


◎打楽器の世界、3月30日に最終公演
 函館圏の打楽器音楽の発展を目的に毎年開かれている演奏会「打楽器の世界」(実行委など主催)が、3月30日の公演を最後に幕を下ろす。1999年から始まり、今年で10回目。奏者同士の交流やアンサンブルの機会が増えるなど、すそ野を広げてきた。市川須磨子実行委員長は「10年の集大成として多くの人と共に楽しいステージを作りたい」と話し、一般公募のフリーステージに出演する個人・団体の参加を呼び掛けている。(宮木佳奈美)

 木琴や鉄琴、太鼓、カスタネット、シンバルなど、打楽器の種類は多く、音色もさまざま。オーケストラや吹奏楽では旋律を持つ楽器の引き立て役だが、打楽器だけの同演奏会では皆が主役になる。市内でマリンバ教室を主宰する市川さんが声を掛け、吹奏楽団関係者らでつくる実行委と市文化・スポーツ振興財団が共催している。

 第2回以降は「打楽器経験者にも演奏の機会を」と、学校単位や個人、少人数グループでも参加できる一般公募の「フリーステージ」を設けた。学校の部活動などで打楽器の演奏経験があっても、卒業と同時にやめてしまうことが多く、個人レベルで続けるのは難しいからだ。

 市川さんは「所属団体の垣根を越えて集い、打楽器だけで演奏会を開く先駆的な取り組み。奏者が互いに刺激し合い、いい交流の機会になった」と振り返る。これまでに打楽器の楽曲が増えるなど、アンサンブルができる環境が整ってきたという。「函館の打楽器音楽が発展し、目標を達成できた。ここでひと区切りつけ、方向性を変えて新たなことを始めたい」と話している。

 「打楽器の世界Final」は市芸術ホール(五稜郭町37)で午後2時開演。フリーステージの参加申し込みは2月15日までで、参加費は1グループまたは1人5000円。グループはアンサンブルでの参加となり、主な楽器は主催者が用意する。個人は楽譜が読める中学生以上で、3月2、9、16、23日の講習への参加が条件。スティック、マレットは持参。主催者側とアンサンブルを編成する。小学生の参加は相談に応じる。

 問い合わせは実行委(市川さん)TEL0138・51・6005、percussion@marimba−hakodate.com


◎たこ焼き屋「蝦夷っ子」、本町市場にあす移転オープン
 鮮魚や野菜、精肉など多彩な店舗が並び、威勢のいい声が飛び交う函館本町市場(同市本町31)に31日、たこ焼き屋「蝦夷っ子」(二本柳晃店長)がオープンする。同店は昨年末まで27年間、中島廉売(同市中島町23)の露店として人気を集めてきたが、顧客の減少が続く中、心機一転、同市場に移転することにした。二本柳店長は「市民に親しまれるたこ焼き屋『蝦夷っ子』であり続けたい」と張り切っている。(小橋優子)

 90年初頭のバブル期には一日にたこ焼き1000個を売り上げていたが、近年ではスーパーなどに足を運ぶ客が増えた影響で、一日平均300個まで減少した。たこ焼き機に必要なプロパンガスや小麦粉など原材料の値上げも厳しさに拍車を掛け、頭を抱える日々が続いていた。

 そんな中、今月初めに新店舗募集の同市場に足を運んだ際、その店舗が電車道路沿いの好条件であることを確認。「通行人や車が多く、市民の目につきやすい。こんなに恵まれた販売場所はない」と、長年の露店販売生活から一転、市場内への移店を決意した。

 店は全て二本柳店長の手づくり。20年以上にわたり、露店で使用した黄色の看板「たこ焼・蝦夷っ子」も“健在”で、道路沿いに面しているため、ひときわ目立つ。たこ焼きに使うのは津軽海峡や噴火湾近海で獲れる「ヤナギダコ」で、「『水ダコ』よりも小さいが、うまみが凝縮していて最適」と話す。カツオやマヨネーズ、紅しょうがのトッピングは自由で、6個入り(270円)、10個入り(450円)、15個入り(600円)がある。60個以上は1個30円で販売するという。

 営業時間は午前10時から午後6時(日曜、祭日は休み)。電話での予約受け付け可。予約や問い合わせは二本柳店長TEL090・2872・0141。


◎函高専で1日、初の企業説明会
 函館高専の取り組みを支援する同高専地域連携協議会(漆嵜照政会長)は2月1日午前11時から午後5時まで、函館市戸倉町14の同校第1体育館で初の企業説明会を開く。参加企業は17社で、このほど会員に加わった自動車部品製造のデンソーエレクトロニクス(千歳市)も参加。同会は「地元企業を知り、情報を得る機会にしてほしい」とし、幅広い参加を呼び掛けている。

 同会は昨年6月に発足し、会員は函館を中心に法人85社、個人80人。研究費の補助や研究奨励金支給、学校行事の支援、講師派遣、インターンシップ(就業体験)受け入れなどを実施している。

 支援を受ける高専側からも「地域産業の発展に貢献したい」との意向があり、企業説明会の開催が決まった。同高専が学内で企業説明会を開くのも初めてで、高専の学生や教職員のほか、卒業生や一般市民など幅広く対象とした。

 参加企業がブースを設け、採用担当者や幹部が個別相談を随時行うほか、午後1時と同3時に全体説明をする。会員となったデンソーエレクトロニクスはデンソー(愛知県)の関連会社で、来春、千歳に新工場を稼動させる予定。

 高専卒業者のUターンや転職希望者も多いことから、同会は「広く参加してもらうことで地元企業の情報収集や進路の参考になる。優秀な人材となる学生に、会員企業を広く理解してもらうメリットもある」と連携効果を期待している。

 同会は組織や活動の充実に向け、引き続き会員を募集している。問い合わせはメデック(漆嵜さん)TEL0138・52・9775、エルフィン(川島さん)TEL同48・0082。 (高柳 謙)


◎東本願寺函館別院住職
 大谷演慧さん死去

 東本願寺函館別院(函館市元町16)住職で、真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の門首代行を務めた大谷演慧(えんねい)さんが28日午後7時58分、肺炎のため京都市内の病院で亡くなった。93歳。自宅は京都市下京区東玉水町の東本願寺別邸、枳殻邸(きこくてい)。葬儀は宗派葬として2月12日午前11時から東本願寺で。喪主は養子の大谷佳人(よしひと)さん。

 1914年、京都市生まれ。大谷光暢前門首のいとこで、父は宗務総長や参議院議員などを務めた函館別院前住職、大谷瑩潤(えいじゅん)さん。宗祖・親鸞の血脈を受け継ぐ連枝(れんし)として、宗門の法務や儀式を担当した。

 瑩潤さんに代わり72年2月から函館別院住職。宗門の内紛状態が続き、現在の大谷暢顕門首が後継に決まる93年4月から96年7月までの間、門首代行を務めた。函館には別院の法務で年に数回訪れていたが、昨年秋に体調を崩し入院生活を送っていた。

 函館別院の梨谷哲榮輪番によると、昨年10月に函館別院の重要文化財指定が内定した際には「喜ばしい。ええこっちゃ」と話していた。超軽量動力機(マイクロライト)のファンとしても知られ、80歳を過ぎても自ら操縦し空を駆けていた。