2008年1月4日(金)掲載

◎ワカサギ釣り氷上にぎわう…蓴菜沼
 【七飯】沼の凍結が早く、例年より約10日営業を早めた七飯町の蓴菜(じゅんさい)沼の氷上ワカサギ釣りは、今年始めて正月三が日も営業、3日も家族連れを中心に賑わいをみせた。

 大沼漁協(宮崎司組合長)が2000年から営業している。例年は1月4日からスタートするが、今期は12月中旬に厳しく冷え込み、氷の厚さが20センチを超え、同25日から営業を始めた。

 1月に入り元日の来場者は31人だったが、2日は約130人、3日は午後2時半までで200人を超えた。同漁協では「通常はピーク時で250―300人、正月中にこんなに多く来てもらえるとは」と驚く。

 ワカサギも体長8センチ程度が順調に釣れており、子供たちの歓声がこだまする。町内のスキー場を訪れていた札幌市の高橋邦仁さん(31)、亜矢美ちゃん(5)親子は約1時間半で70匹の釣果。「思ったよりたくさん釣れスキーと同じくらいに楽しい」と声をそろえていた。(山崎純一)


◎企画 臨海研 進む技術開発(1)…海藻の海中林で浜を豊かに 共和コンクリート工業
 「目指すは海中林づくり。海の中に有用な海藻の林を作り、漁業者とともに新たな産業に育て上げることです」―。共和コンクリート工業海藻技術研究所(アルガテックKyowa)の五十川茂所長(51)は、地道な研究の積み重ねから将来像を語る。アワビが持つ酵素を利用した多糖成分の分析など、研究テーマは専門性が高いが、地元の海藻を、地元で増やして生かすというのが理念だ。

 本社はコンクリートブロック製造販売の国内大手企業。護岸ブロックの製造販売から始まり、道路の擁壁や土留め、消波ブロック、藻場造成礁の開発などへ事業を拡大してきた。

 タコやイカ、エビ、ハタハタなどの各種魚礁ブロックを作ったが、魚礁に海藻が茂らなければ魚は集まらない。どうすれば海藻が茂るか、茂った海藻をどのように有効利用するか、ガゴメのような有用な海藻はないか、そのためには海藻の成分に関する研究も必要となる。

 そうした中で函館市の国際水産・海洋都市構想を知り、函館に北大水産学部や豊かな人脈があることに着目。同構想に賛同する民間研究所の進出第1号として2003年6月、弁天町に海藻技術研究所を開設した。北大の研究室を借りていたが、市が臨海研究所を整備。「タイミングがばっちりだった」と五十川所長は語る。

 臨海研究所での主な研究は、海藻の成分分析、藻場の造成、海藻の多糖成分をオリゴ糖に分解する技術開発などだ。健康に良い粘性多糖類のフコイダンを含むガゴメに代表される有用な海藻の発掘は、成分分析から始めなければならない。浜で厄介者の海藻が、実は有効利用できる大きな可能性を持っているかもしれない。

 その海藻を増やし、活用する研究が、藻場の造成と海藻の多糖成分の分析だ。海藻技術研究所は、アワビが持つ酵素「マンナナーゼ」に着目。「マンナナーゼは海藻などに含まれる多糖類のマンナンを切り、オリゴ糖に分解できる。オリゴ糖は低カロリーで摂取すると整腸作用がある。そうした海藻の有用成分を将来的に活用し、自在に扱うような技術の確立を目指しています」と主任研究員の福田覚さん(33)は説明する。

 海藻を増やすと魚が集まり、海が豊かになる。また、二酸化炭素を吸収し光合成に関係するのは、陸上の植物だけではない。海藻にも、光合成によって酸素を作りだす働きがあるため、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぐことにも一役買いそうだ。

 陸上ではサトウキビなどから環境に優しい燃料のバイオエタノールを作る時代。「ずっと先のことですが、海藻からもエタノール燃料を作ることが可能となるかもしれません」と福田さんは夢を語る。

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 水産・海洋に特化した研究室を提供している函館市臨海研究所で、入居企業の研究が進んでいる。入居6企業の取り組みや成果、展望を紹介する。(高柳 謙)



◎車上荒らし 見逃さない…木幡さんが通報、逮捕に貢献
 主婦は見ていた―。車上狙いの犯人逮捕に協力したとして、函館西署(井下正晴署長)はこのほど、函館市内の主婦木幡秀子さん(55)に感謝状を贈った。木幡さんは同様のお手柄で12月7日に同署で感謝状が贈呈されたばかり。同署は「ひと月に2度も感謝状を受けるケースは聞いたことがない」と称賛している。

 24日午後3時半ごろ、自宅で炊事していた木幡さんは、隣接する函館市内のパチンコ店駐車場を歩き回る不審な男を目撃。台所の小窓からは男が軽乗用車に特殊な器具を差し込んで鍵を開け、車内を物色し始めるのが見えた。

 「前にも見たことがある男だ」。木幡さんはすぐに泥棒と確信して110番通報。男の人相、着衣などを電話口で伝えた。即座に警察官が現場に駆け付けて事情を聴き、男は窃盗未遂の疑いで緊急逮捕された。

 「間違ってもいいから不審に思ったことは通報した方がいい」。木幡さんは知人の警察官から以前聞いたこの言葉が脳裏をよぎった。「後で通報しておけば良かったとモヤモヤが残るのが嫌だった。当たり前のことをしただけで、何より犯人が捕まってほっとしている」と振り返る。

 木幡さんは6、7年前、自家用車の車載オーディオなどが盗まれた被害者の一人。「盗まれた人の腹立つ気持ちはよく分かる」と話す一方、「それにもしてもこんな身近で犯罪が多発しているなんて」とため息を漏らした。

 木幡さんは11月10日にも同じ駐車場で別の車上狙い犯を目撃。迅速な通報で余罪300件を自供した窃盗常習犯の逮捕に貢献した。井下署長は「犯罪は検挙に勝る抑止はない。木幡さんのような日常生活の中での地域の警戒心が警察の力になる」と褒めたたえていた。

 同署管内では今年に入り、スーパーやコンビニ、パチンコ店駐車場などでの車上荒らしが、11月末現在で114件発生。同署は「警察に被害届が出されていないケースも多く、実際の発生件数はそれ以上」と話し、市民に注意を呼び掛けている。(森健太郎)


◎正月3が日 天候に恵まれ各所に笑顔
 函館・道南地方の正月三が日は、日中おおむね穏やかな天候に恵まれ、神社にはたくさんの初詣で客が訪れたほか、積雪に恵まれたスキー場やゲームセンターなどは子どもたちの笑顔がはじけた。観光スポットも大勢の人が訪れ飲食店もにぎわいをみせた。おせち料理に飽きた人たちが外食に出掛けるなど、飲食業も大忙しだった。

 ■神社

 道南で最も多くの初詣で客が訪れる函館八幡宮(函館市谷地頭町2)は、三が日の人出が例年並みの4万5000人。1日は午前2時半ごろまで参道に行列ができたが、「天気が良かった2日の日中に参拝客が集中した」という。2日には函館剣道連盟居合道部会が同神社で7年ぶりに居合形などを披露し、多くの人が見物していた。函館護国神社(同市青柳町9)でも、「参拝客は数えてはいないが日中に訪れる人が目立った」。縁起物では干支(えと)の土鈴が人気を集め、150体を完売した。江差姥神大神宮(江差町姥神)は1日の3000人をピークに、3日間の人出は例年並みの約4000人。日中は絶え間なく参拝客が訪れていたという。

 ■観光施設

 展望台から初日の出を見てもらおうと、五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)は1日午前6時から営業し200人が訪れた。3日間の来場者は、リニューアル後初めての正月を迎えた昨年よりも減少したが、1、2日は1日当たり2000人以上。ことしは付近にある公営駐車場が営業したため、「例年に比べ個人客が増えた」という。函館山ロープウェイの人出はほぼ例年並みに推移。日中一時的に雪が降った1日に比べ2日が好調で、昨年を上回る5200人以上が搭乗し、多くの人が昼夜の景色を楽しんだ。

 ■スキー場・娯楽施設

 運営会社がグランドレジャー(東京、鈴木一正社長)に替わり、初めての年始を迎えた函館七飯スノーパーク(七飯町大沼)には、3日間で約4000人が来場。特に2日以降が多く、ゴンドラ乗り場では最長30分待ちの長い列ができた。小学生以下のリフト代を無料としたことから子どもを連れた家族連れが多く、新設した「スノーボードのジャンプ台」も人気を集めた。

 ゲームセンターには2日以降、お年玉をもらった子どもたちが押しかけた。セガワールド函館(函館市美原1イトーヨーカドー函館店内)は2日、通路を歩くのが困難になるほど混雑。同店は「子どもたちは皆ほくほくとした笑顔。買い物に合わせて来店し家族で楽しんでいきます」。

 ■飲食

 回転すしの函太郎五稜郭公園店(同市五稜郭町)は2日の営業初日から3日にかけての営業時間いっぱい、空席を待つ客で込み合った。多いときには1時間半待ちも。「家族連れが多く、祖父や祖母を含めた大人数で来店するグループが目立ちます」と同店。ラッキーピエロベイエリア本店(同市末広町)は6―7割が観光客。そのほか帰省客も多く訪れた。「材料を多めに用意したため、なんとか売り切れは防げた」と同店。宅配ピザも好調。ピザテン・フォーを運営するオーディンフーズ(同市柏木町)によると、「3日までの売り上げは昨年の4―5割増」。数年前から年末年始を無休にしたことが定着して注文が増えたとみている。(宮木佳奈美、小泉まや)


◎道内契約数100万突破…道総合通信局 ブロードバンド普及状況
 道総合通信局(札幌、浅見洋局長)はこのほど、2007年9月末現在の道内のブロードバンド(高速大容量通信)サービスの普及状況をまとめた。契約数は100万9328件と100万件を突破。世帯普及率も38・8%と対前年同期比3・9ポイント増で、着実に普及していることが分かった。

 サービスの種類別内訳では、FTTH(通信事業者の基地局から各家庭までを光ファイバーで結ぶ手法)の契約数が39万4970件で、対前年同月比50・2%の増加率と大きな伸びを示す一方、DSL(通常の電話回線を用いて通信する手法)は53万6823件で同4・5%減だった。CATV(テレビの有線放送サービス)は7万5393件、FWA(無線によるデータ通信サービス)は2142件。

 サービスが提供されていない自治体は宗谷管内礼文町と後志管内島牧町の2町村。全国の契約数は2776万3087件で世帯普及率は53・7%だった。