2008年1月7日(月)掲載

◎企画 臨海研 進む技術開発(4)…化粧品の自社製造目指す バイオクリエイト
 2004年5月に函館市内の道水、マルキチ食品、中山薬品商会の3社有志が共同出資し、ガゴメに含まれる粘性多糖類フコイダンを活用した商品開発を進めてきた。健康食品のガゴメサプリ、化粧品のローションとモイスチャークリーム、黒酢を商品化し、今後は「化粧品の製造に力を入れ、将来は自社工場で製造・販売するのが目標」と、情報企画室の渡辺伸一さん(41)は力を込める。

 これまで自前の研究室を持たなかったので、化粧品開発は製品のイメージや使用する素材の案を示し、本州の会社に試作品を作ってもらい、改善点を伝えては作り直す作業が続いていた。

 「添加物を限りなく使用しないこと」が同社のこだわりで、世に送り出した2品は「敏感肌で、どんな化粧品でも刺激が強すぎたが、初めて自分に合う商品に出会えた」と、全国の利用者に好評という。ただ、流通から販売までの基盤が弱く、自信のある商品でも、なかなか消費者に知れ渡っていないのが課題。

 臨海研究所は「自分たちの考えに忠実な商品を試作の段階からできる施設」(渡辺さん)で、迷わず応募し、入居が決まった。昨年7月に化粧品製造販売業の資格を取得したが、本格的な製造はできないという。そこで化粧品製造業の資格取得に向けた準備を進めている。

 国内大手化粧品メーカーの元技術開発部長を月に1、2回招き、技術指導を受けている。渡辺さんは「化粧品開発のスペシャリストで心強い。商品の目標は化学物質や自然なものでない素材を使わないオーガニックの化粧品」と語る。

 例えばバラのエキスを素材に使用するにしても、農薬や化学肥料などを使用したバラはオーガニックではない。「“自然派化粧品”などとうたっている商品があるが、化学的な素材に自然の素材を入れると“自然派”になるなど、実際はイメージと違う場合がある。私たちが目指すのは本当に自然の素材だけで作る化粧品」という。

 研究所に入居し、さまざまな素材を調合した試作品作りができるようになった。色やにおい、手触りなどを確かめ、安全・安心な成分で、保存料を使用しない化粧品ができないか、日夜研究を続ける。保存料を使用しないということは、日持ちがしないということ。最近は天然のエキスで保存効果がある素材があることが、一部で確認されたという。そうしたエキスや素材を使っての新商品開発を進めている。

 ガゴメのフコイダンも素材の一つだ。「商品開発でフコイダンの需要を安定化し、浜が元気になって会社も発展する。1次産業から3次産業まで地域経済の振興に貢献していくことが、最終的な目標」―。地元企業としての社会的使命も忘れない。 (高柳 謙)


◎企画 子年に思う(3)
 ヘラブナ釣り 難しいから楽しい…鮒宿「巨べら屋」経営、藤原黄門さん(71)

 
 七飯町の大沼、小沼のヘラブナは低い水温で越冬するため、顔つきはたくましく、美しい体で、引きが強い。そんな相手との戦いを楽しもうと大沼に移住し8年目を迎える。「干支(えと)をもうひと回り分だけ、仲間と共にヘラブナ釣りを楽しみたい」と正月から糸を垂らす。

 横浜生まれ。中学3年の時に親せきがいる森町を訪れ、大沼を見た。「雄大な駒ケ岳と大きな湖に生まれて初めて感動した」と振り返る。その中で40センチのヘラブナを釣った。この“ビギナーズラック”が人生に大きな影響を与えた。

 東京の大学卒業後、家電メーカーに就職。勤務15年目で脱サラ。40歳を迎えるころ、仲間とたこ焼き、たい焼きを中心としたファストフード店を経営。大ヒット曲「およげ!たいやきくん」のおかげもあり大繁盛。店を全国展開し、本道にも進出した。「ヘラブナを釣れるところに店を構えた」と笑顔を見せる。

 56歳で会社を売り、「全国のフナの顔を見比べたい」と各地を回って定住の地を探した。2000年4月、「心のふるさと」大沼での生活を始めた。半年後、釣り具販売を兼ねる民宿「鮒宿・巨べら屋」を開業、大沼のヘラブナ情報を全国に発信する。経営は楽ではない。「赤字でも、集まる人との付き合い、語らいは財産」という。

 自身の記録は1995年に釣った52?。「ヘラブナは気難しく、水温、天気に合った餌を考えるなど頭を使う。難しいから楽しい」。昨年春、仲間と釣り方を考えようと、「大沼50上(ごじゅっかみ)巨べら会」を立ち上げた。「釣りは皆で楽しむものだから情報公開は大切」と説く。

 ヘラブナやワカサギにも大きな影響を与える大沼の水質改善を訴え、「7回目の干支を迎える時、きれいな大沼であってほしいね」と話した。 (山崎純一)


◎大町の2棟ライトアップ開始
 函館市はこのほど、2006年度に策定した夜景グレードアップ計画に基づき、「函館市臨海研究所」(大町13)と「旧喫茶JOE」(同9)の2棟のライトアップを開始した。ともに市の景観形成指定建築物で、西部地区の新たな夜景スポットとして注目を集めている。

 臨海研究所は1926(大正15)年に建築された旧函館西警察署庁舎を解体し、建設当初の外観を引き継いだ新しい施設として昨年4月に再整備された。市の国際水産・海洋都市構想の研究拠点として活用されている。外壁面や屋上の塔屋部分など計24台の照明を取り付け、建物の外観が幻想的に浮かび上がる。

 旧喫茶JOEは1885(明治18)年建築。洋風のれんが造り2階建てで、1階部分の3連アーチ窓が当時の函館の“ハイカラ”な気風を感じさせる。喫茶店などとして利用されてきた。外壁面に2台の照明を設置した。

 整備費は2棟で計1585万円で、電気代(試算)は臨海研究所が月額8443円、旧喫茶JOEが同1627円(所有者が半額相当負担)。日没から午後10時まで点灯される。市観光課では引き続き同計画に基づき、既存施設のライトアップを進め、来年度は太刀川家(弁天町15)など4棟を整備する方針。 (今井正一)


◎函館市消防出初め式、はしご乗りや放水訓練…
 新年恒例の函館市消防出初め式が6日、函館市民会館(湯川町1)で開かれた。市消防本部職員や消防団員ら約1100人が参加。一糸乱れぬ分列行進やはしご乗り、放水訓練などを通じ、会場を訪れた約300人の市民とともに火災や災害のない平穏な一年を祈った。

  はしご乗りを披露したのは市消防団「町火消し」のメンバー約80人。高さ約6メートルのはしごの上で、両足で全身を支えながら、両手を大きく広げるなどさまざまな妙技を繰り広げ、市民から盛んな拍手が送られた。放水訓練では少年消防クラブの佐藤恵輔君(11)=函館北星小5年=の「訓練開始」の号令で、消防車9台が一斉に放水した。

  一方、屋内式典では、市内で燃えにくい素材の寝具やカーテンなどを扱う函館防炎推進協会の稲荷康広会長に感謝状、長年にわたり同消防団で活躍してきた消防団員2016人に対し、西尾正範市長から表彰状が贈られた。小西克男消防長は「市民の信頼に応えるため努力と精進を重ねたい」と決意を述べた。 (水沼幸三)


◎函館市「健康はこだて21」見直し
 函館市は市民の健康づくり計画「健康はこだて21」の内容の見直しを進めている。30代と40代の男性の肥満者割合など、中間評価(2006年度実施)で悪化した項目について目標値の修正、今後の対策を練る考え。6月ごろには改訂版を示す方針で、市立函館保健所健康づくり推進室は「市民が主体的に健康づくりに取り組み、地域と行政、企業などが一体で支援する体制につなげていきたい」としている。

 同計画は当初、2002年―10年度までの9カ年だったが、国の定める医療費適正化計画に合わせてこのほど、12年度まで延長するこにした。同計画はさまざまな統計や市民アンケート(01年実施)の結果を分析し、0―14歳、15―39歳、40―64歳、65歳以上の4つの年代ごとに健康指標を設け、具体的な目標値を定めている。06年度の中間評価で計画を見直すことが決まっていた。

 市民アンケートや統計値をもとに行った中間評価では、30代と40代の男性の肥満割合が計画策定前のアンケート結果よりも悪化。50代男性や60代女性は改善されているものの、目標値には及ばず、朝食を欠食する子どもの割合も幼児、小学1・2年、小学3・4年、10代女性で悪化。40―64歳の歯科検診受診者の割合や、65歳以上の血糖値異常の割合も増え、目標値の修正と改善策が必要となった。

 見直しでは、特定健診、特定健康指導の実施率、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者・予備群の減少目標も定める。

 見直し作業は同推進室と健康はこだて21推進協議会(大村和久会長)で行っており、今後、同協議会の専門部会でさらに具体的に検討する。 (鈴木 潤)


◎きょう「七草」、スーパーにパック詰め並ぶ
 きょう7日は「七草」。春の七草を粥(かゆ)にして食べると万病を取り除くという言い伝えがある。函館市内のスーパーや小売店の野菜売り場には特設コーナーが設けられ、パック詰めされた「春の七草」が並び、6日には買い物客が次々と買い求める姿が見られた。

 函館市鍛冶2のコープさっぽろ鍛冶店(小山薫店長)では3―4人分用の七草のセットを398円で販売。同店でパック詰めを購入した同市陣川の能戸久納さん(76)は「正月明けは毎年必ず七草粥を食べるのが恒例になっている。これを食べると正月ののんびりした気分が吹き飛んで、気持ちが引き締まる」と話す。

 同店野菜売り場の伊東浩紀マネージャーは「春の七草の売り上げは6日がピーク。パック詰めを80セット仕入れたが、人気が高いので売り切れる勢い。フリーズドライタイプでお湯を注いで簡単に食べることができるお茶漬けタイプも売れ行きがいい」と話していた。 (小川俊之)