2008年2月1日(金)掲載

◎晴れ間が広がり青と白のコントラスト見事
 31日の函館は朝から晴れ間が広がり、青空と雪化粧した函館山がきれいなコントラストを描いた。日中も晴れたり曇ったりしたが、冬の穏やかな日差しが多く差し込んだ一日となった。

 天気は恵まれたものの気温は低く、函館海洋気象台によると、函館の日中の最高気温は氷点下2・6度までしか上がらず、26日以来5日ぶりの真冬日。1月の真冬日は計16日となり、平年の13・8日を上回った。最低気温はすべて氷点下だった。

 同気象台によると1日も真冬日になるが、2日以降は零度を上回る見込みという。 (山崎純一)


◎せたな島歌小、女性職員刺され死亡、同僚21歳男逮捕
 【せたな】31日午前8時5分ごろ、せたな町瀬棚区島歌193、町立島歌小学校(伊藤良美校長、児童14人)の1階ボイラー室内で、同町瀬棚区島歌、同校臨時職員田村亜衣子さん(24)が胸から血を流して倒れているのを教頭(45)が見つけ、110番通報した。田村さんの胸などには少なくとも2カ所以上刃物で刺されたような傷跡があった。せたな署は殺人事件と断定し、任意で事情を聴いていた同町瀬棚区本町、同校臨時職員の福士昌容疑者(21)が犯行を認めたため、殺人の疑いで逮捕した。男の自家用車内からは血痕が見つかり、調べに対し「凶器は海に捨てた」などと話しているという。

 調べによると、田村さんの姿が見えないことを不審に思った教頭が校内を捜したところ、午前8時ごろ、2階建て校舎1階東側のボイラー室で、田村さんが血まみれであおむけに倒れているのを見つけたという。当時校舎内に児童はいなかった。田村さんは同日午前7時ごろ車で出勤しており、同署はこの1時間の間に殺害されたとみて、1日にも遺体を司法解剖し、詳しい死因を調べる方針。

 せたな消防署によると、田村さんは右胸や左脇腹の刺し傷のほか、後頭部にも殴られたようなあとがあった。目立った着衣の乱れはなかった。救急隊の到着時にはまだ体温はあったという。

 町教委によると、同校の教職員は校長以下計7人。このほか田村さんが2006年4月から臨時の公務補として働いていたという。田村さんは同校の鍵を持っていて、通常午前7時から同20分までの間に一番早く出勤、ボイラーの操作や校内の清掃などを担当していた。

 同校ではこの日、近隣の小学校と合同のスキー教室があり、児童らは同日午前8時ごろ、学校からバスで今金町ピリカスキー場に向かった。同容疑者は途中からバスに乗り込み、児童を引率していたという。


◎せたな島歌小女性職員殺害、祖父母ら悲痛な声
 【せたな】いつも病院や買い物に送ってくれた。本当に優しい子だったのに―。せたな町立島歌小の校舎内で31日に起きた女性職員殺害事件。殺害された田村亜衣子さんの祖母ウラさん(86)は悲痛な声を上げた。

 田村さんは3人きょうだいの末っ子。2002年3月、町内の瀬棚商業高校を卒業後、家業の民宿を手伝ったり、町内で清掃などの仕事をしていた。06年4月からは臨時公務補として、母校の島歌小に勤務。毎日、午前7時ごろに出勤して、教職員が全員そろうまでの間に、校舎の除雪や職員室などの掃除をきっちりと終えていた。同11時ごろには帰宅して民宿を手伝ったりもしていた。

 母、祖父母、姉親子の6人暮らし。漁業の傍ら民宿を営む父は、漁が無い冬は埼玉県に出稼ぎに行っている。この日、通院先で悲報を知ったウラさんは「小さいころからわがままも言わず物静かな子だった。まだまだ若くて将来もあるのに…」と言葉を詰まらせた。

 祖父の金重さん(93)も「人の嫌がる仕事も黙々とこなす生真面目な孫だ。知らせを聞いた時は交通事故かと思った。まさか学校で事件に巻き込まれるとは。本当にかわいそうだ」と漏らした。

 住民の多くは「物静かな優しい女の子だった」と口をそろえる。田村さんを良く知る地区の自治会役員(73)も「口数も少なく、派手な服を好むことも無かった。事件に巻き込まれるような理由は何も無いはず。まったく理解できない」と、不安そうな表情で、現場検証が続く学校を見つめた。

 海にせり出す絶壁と、日本海に挟まれた島歌地区は、20戸ほどの民家が肩を寄せ合う小さな漁村。住民の大半が高齢者だ。夏にはなじみの釣り客が、田村さんの自宅をはじめ、3軒の民宿を訪れるが、観光名所や土産物店も無い地区は、冬には厳しい風雪にさらされ、人影もまばらになるさみしい場所だ。

 凶行の舞台になった島歌小学校は4学級の小規模校。1年生と特別支援学級以外は2学年ごとの複式学級。島歌地区から通学するのは、1年生の姉の子供を入れても2人だけ。ほかの子供たちは近隣の漁村から通学してくる。教職員の多くも町の総合支所や商店街がある市街地から通勤している。

 近所の男性(70)は「普段は本当に静かな漁村。朝食時に救急車のサイレンが響いたので驚いた。知らせを聞いた家族と学校に駆け付けると、亜衣子さんが倒れていた。救急隊員が必死に心肺蘇生(そせい)をしていた。こんな小さな集落の学校でなぜこんな事件が」と憤りを隠さない。


◎函館市、5日から後期高齢者医療制度の住民説明会
 函館市は5日から24日まで、市民会館など市内8カ所で、今年4月から実施する後期高齢者医療制度の住民説明会を開く。同制度は、国の医療制度改革に伴い新設される保険制度で、加入対象者は75歳以上の高齢者と65―74歳で寝たきりなどの障害がある人。市市民部は「制度の概要、しくみを理解してほしい」と対象者の参加を呼びかけている。

 同制度は道内全180市町村が加入する道後期高齢者医療広域連合が運営する。被保険者の資格管理、医療給付に関わる審査・支払いは同連合で行うが、被保険者証などの引き渡しや保険料の徴収、医療給付に関わる申請、届け出の受け付けなどは市町村が対応する。

 通院、治療にかかった際に窓口で払う医療費は、従来の老人保健制度と同じ原則1割負担のまま。保険料は、年間50万円を上限に所得などに応じて個々に算定される。被扶養者として保険料を払っていなかった人も保険料を払うことになるが、資格取得した日から2年間、軽減措置がある。

 函館市の同制度移行の対象者は約3万6000人で、うち75歳以上が約3万人となっている。

 説明会の開催日時、場所は次の通り(5日の市民会館は午前10時から、その他は午後2時から)。

 ▽5日=市民会館▽7日=恵山支所▽8日=椴法華総合センター▽13日=亀田福祉センター▽15日=南茅部公民館▽20日=市水道局▽22日=戸井生涯学習センター▽24日=総合福祉センター

 問い合わせは市民部医療助成課TEL0138・21・3185。 (鈴木 潤)


◎道南からもユビキタス特区に選定
 総務省は31日までに、ICT(情報通信技術)の国際競争力強化を図るため創設した「ユビキタス特区」の対象事業として全国の22件を決定した。道南では日立国際電気など民間業者5社の提案した、函館、北斗両市が対象区域のワイヤレスブロードバンド事業が選ばれた。同特区では今後、新サービスの開発や実証実験の可能な環境を整備するため、電波利用の優遇などが行われる。

 ユビキタスとは、いつでも、どこでも、だれでもコンピューター機能を利用できる環境を指す。同特区は昨年5月に同省が策定した「ICT国際競争力強化プログラム」に基づき創設。今回は同9、10月に寄せられた188件の中から、第一次決定として国の予算支援を予定する事業に7(道内1)、支援のない事業に15(道内3)を選定。今後、3月をめどに第二次決定を行う予定。

 函館、北斗での事業は、VHF帯(テレビ放送や気象通信などに使用される超短波)を使った公共・公益分野における移動通信システムのブロードバンド(高速大容量通信)化の実証。国からの予算支援はないが、特区に選ばれたことで事業の電波利用のため行う実験局の免許申請が通常より迅速に行えるなどのメリットがある。

 同省は「2011年に終了するアナログ放送で一部使用していたVHF帯を公共業務で使うのは国の審議会でも方針に掲げられており、消防や災害など公共面でのニーズに対応した事業として採用した」(情報通信政策局情報通信政策課)と説明している。 (新目七恵)


◎上ノ国の特養施設でノロウィルス集団感染2人死亡
 【上ノ国】桧山管内上ノ国町勝山24の特別養護老人ホーム「かみのくに荘」(大島司施設長、入所者50人)で入所者など32人が感染性胃腸炎・ノロウイルスに集団感染し、うち2人が死亡したことが31日までに分かった。死亡者のうち、89歳の男性がノロウイルスによる死亡と施設嘱託医に診断された。道によると、道内でノロウイルスが死因と医師に診断された事例は初めて。

 道保健福祉部保健医療局健康推進課や同施設によると、20―29日にかけて施設入所者21人と職員11人が下痢やおう吐などの症状を訴え、そのうち25人が医療機関や施設内で手当てを受けた。23日には98歳の男性が脳梗塞による急性心不全、25日には89歳の男性が感染性胃腸炎による急性心不全でそれぞれ死亡した。

 24日に同施設から江差保健所に通報があり、死亡した89歳の男性を含む発症者6人の便を検査した結果、ノロウイルスを確認した。死亡した2人を除く発症者30人の症状は回復している。感染経路については現在調査中。江差保健所は同施設に手洗い、うがいなど再発防止策を指導した。

 大島施設長は「誠に申し訳なく残念。今後とも厳重な再発防止に努めたい」と話している。

 江差保健所管内でのノロウィルスの報告は、昨年1月、介護保険施設での75人の集団感染以来。全国的にはノロウイルスの感染で体力が低下した子供や高齢者が持病を悪化させたり、吐いた物をのどに詰まらせて窒息して死亡するケースなどが相次いでいる。

 ノロウイルス 急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種。海水や河川水などに分布し、感染力は強く人の手や吐いた物などから感染するほか食中毒の原因にもなる。潜伏期間は通常24―48時間で症状は下痢、腹痛など。予防法は手洗いや消毒、加熱処理などがある。11月ころから発生件数が増え始め、12―1月がピーク。31日現在の本年の道内の発生件数は20件、529人。