2008年2月13日(水)掲載

◎一般会計1224億円 緊縮型…函館市08年度予算案
 函館市は12日、2008年度予算案を発表した。西尾正範市長就任後、初の本格的な予算編成で、一般会計の総額は1224億1000万円。昨年は市長選を控え、当初予算案が骨格編成だったため、政策予算を盛り込んだ6月補正後との比較では1・5%減の緊縮型となった。公約通り、子育て支援や教育、人材育成に重点を置いた編成で、雇用や産業振興に関する予算も細かく盛り込んだ。27日開会予定の第1回定例市議会に提出する。

 特別会計と企業会計を合わせた総額は2495億3100万円で、同全会計の総額は同9・8%減となった。

 一般会計の歳入では市税が同1・2%減の340億3800万円。ホテル建設などで固定資産税や法人市民税などは堅調だが、納税者1人当たりの平均所得が減少し、個人住民税が落ち込むとみている。

 普通交付税は313億5300万円。本年度当初よりも4・2%の減額となったが、これは本年度の交付税決定額が当初見込みより約14億円減少したため。新年度は本年度の決定額とほぼ同じ0・1%増を見込んだ。交付税の不足分を起債(借金)で賄える臨時財政対策債は本年度当初比6%減の23億6800万円とした。

 歳出は人件費が6月補正後比2・6%減の243億7300万円。行財政改革による職員や給与削減で6億4500万円を削減した。扶助費は同0・1%増の303億5700万円で前年並み。

 事業費は昭和小学校の改築や市立函館高校の整備など大規模な建設工事がひと段落し、設計中心の経費となったことから、同11・2%減の93億8000万円となった。借金返済に当たる公債費は同4・9%増の144億100万円。

 主な事業は、市長が公約に掲げた乳幼児医療費の助成拡大に1億7000万円を計上。昨年の市長就任後に予算化した、学校長の裁量で特色ある授業を行う「知恵の予算」を継続し、5640万円計上した。

 ハード事業では、2010年オープン予定の縄文文化交流センター建設の基本・実施設計などの費用5048万円、函館西・弥生小の統合に向けた校舎の基本設計などに1800万円、恵山コミュニティー建設に向けた実施設計委託料などがある。

 首都圏での企業誘致を強化するため企業誘致推進員の配置費用に577万7000円、ブランド品のPRを目的とした観光ポータブルサイトの整備費に1000万円なども盛り込んだ。(鈴木 潤)


◎財源不足は37億円…基金、起債でしのぐ
 一般会計予算案の財源不足は37億8300万円となった。昨年11月に公表した中期財政試算より3億円圧縮できたが、不足分は基金の取り崩しと起債(借金)の発行で賄った。新年度の行財政改革効果額は16億5000万円。行革が全くなければ財源不足は54億3300円に達した計算で、今後も間断のない行革の推進が求められている。

 財源不足は土地開発基金7億円を取り崩し、退職手当債と行政改革推進債30億8300万円を発行することで埋め合わせた。財源調整に充てる財政調整・減債・土地開発基金は2008年度末で約7億7000万円しか残らない見通し。

 全国の地方が共通に抱えている課題だが、市の財源不足は、地方交付税の大幅な削減が要因。市は2004―07年度の4年間で50億円減らされた。「職員費に換算すると800人分になる。もし本年度の交付税が14億円も見込みを下回らなければ、財源不足は23億円で済んだ」と西尾市長は嘆いた。

 新年度予算案の普通交付税は本年度の実績並みを見込んだが、結果は不透明。不測の事態に備え、行財政改革をさらに進め、効果額を上積みしておくことが必要だ。

 市債発行残高は一般会計で本年度末見込みより約3億5000万円減らし、08年度末で1391億円となる予定。

 金利の高い政府系資金の起債を、金利の安い民間資金を借りて返済する借換債を発行し、一般会計は27年度までに6800万円の金利を抑えた。企業会計では水道と下水道事業で20年度までに10億8000万円の金利を軽減した。後年次の金利負担を軽減したことも特徴となっている。(高柳 謙)


◎北斗市、支払督促申し立て…給食費滞納
 【北斗】学校給食費滞納が全国的に問題になる中、北斗市は12日、学校給食費の滞納者で納付能力があると思われる2005年度、06年度の滞納者2世帯を対象に、函館簡裁に「支払督促」を申し立てた。2世帯(小学生1人、中学生1人)の両年度と本年度1月末までの滞納総額は19万8100円で、市は「強い態度で臨みたい」としている。渡島管内で学校給食費滞納に伴う法的措置は初めて。

 07年当初で、05、06の両年度の滞納繰り越しは1463万円(284世帯)と市内約3600世帯の1割弱に上り、市は督促や催告、個別訪問などを続けてきた。このうち、142世帯が滞納分を納付、残り142世帯のうち115世帯も分割による納付を約束した。その後、督促や個別訪問などに応じない6世帯については昨年11月8日付で支払督促予告を発送。以後も納付に応じなかった2世帯に対し、今回申し立てに踏み切った。

 市収納課は「規範意識の低下、払わなくてもよいという考えが未納や滞納の原因と思われる。額は少ないが、公平感を保つためには大事なこと」としている。

 道内では留萌市が02、03年度の計12件について同様に申し立てている。また、道学校給食研究協議会は公立小中学校長や学校給食センター長らで組織する学校給食費未納対策専門委員会を設置。昨年7月には道教委に対し、法的措置も含む方策などをまとめた報告書を提出している。


◎金田氏2年ぶり地元支持者前に
 民主党道8区の金田誠一衆院議員は11日、函館国際ホテルで開かれた逢坂誠二衆院議員の新春の集いに出席し、一昨年1月の脳こうそく発症以来、約2年ぶりに地元支持者の前に姿を見せた。車いすに乗った金田氏は支持者らの励まし受け、笑顔で応じていた。

 金田氏は2006年1月、脳こうそくで入院。退院後はリハビリ生活を送りながら国会活動を続けていたが、昨年10月に健康上の理由から、今期限りでの政界引退を表明した。地元入りするのは、昨年11月の故・柳沢勝氏の告別式以来。

 集会の壇上で、金田氏の秘書を務める島昌之氏が「一昨年の病気発症以来、多くの励ましを頂きながら国会活動を続けてまいりましたが、今期限りで引退することにしました。15年前の初当選から、お支えいただきました多くの皆さまに御礼と感謝を申し上げます」とメッセージを代読。金田氏は8区を託す逢坂氏を激励し、力強い握手を交わした。 (今井正一)


◎起訴事実 大筋認める…高校生集団暴行死 16歳少年初公判
 函館市内の公園で昨年8月、同市内の私立高3年佐藤智也君(当時18)が少年7人に集団暴行を受けて死亡した事件で、傷害致死罪などで起訴された少年4人のうち、当時15歳で事件当日まで被害者と面識がなかった元高校生の少年(16)の初公判が12日、函館地裁(柴山智裁判長)であった。少年は「間違いないです」と起訴事実を大筋で認めた。犯行当時15歳の少年の刑事裁判は道内初で、残る3人の公判も順次開かれる。

 検察側は冒頭陳述で「少年は被害者を引きずり、顔を何度も足でけり上げた。暴行後も『意識を取り戻して警察に名前を出されたらまずいよね。死んでくれたら助かる』などと話していた」と指摘。動機について少年は「自分の強さを見せつけるチャンスと思い、痛めつけて楽しみたかった」と供述していたことも明らかにした。

 一方、弁護側は「被告は第1現場で暴行を加えておらず、第2現場の暴行も人を死に至らしめるほどではなかった。検察官送致(逆送)されたのは家裁が事実認定を誤った」とし、保護処分となったほかの少年3人と同様の処遇を求めた。

 起訴状によると、少年らは共謀して昨年8月26日夜、富岡中央公園(富岡町1)で佐藤君の顔や背中を金属バッドなどで数十回殴打した上、移動した昭和公園(昭和町)で代わるがわる佐藤君に殴るけるの暴行を加え、翌27日未明、頭部打撲による外傷性脳浮腫で死亡させた。

 函館家裁は昨年10月、傷害致死の非行事実で送致された加害少年7人のうち、当時15歳から18歳までの4人を検察官送致(逆送)とし、残る15、16歳の高校1年(当時)の少年3人を少年院送致とする保護処分の決定を下していた。


◎宮本邸、大真協会支部が受賞…歴風文化賞・保存建築物
 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、落合治彦会長)はこのほど、2007年度の「歴風文化賞」を発表した。本年度は「保存建築物」に函館市本町の宮本寿一邸など2件のほか、同市内の建築物の計4件、同市松影町などを通る通称「桜が丘通り」(市道柏木16号、同人見9号)の1風景が受賞した。表彰式は22日午後6時半から同市末広町の五島軒本店で開かれる。

 同賞は1983年度から始まり、本年度で25回目。建造物の貴重性、持ち主の保存に対する努力をたたえ、郷土文化に寄与し、後世に引き継ぐ風景を残そうと、毎年、函館や近郊を対象に表彰している。本年度は昨年11月から審査が始まり、同会の約15人が審議して決めた。

 宮本邸は商業施設が多い本町地区にあり、昭和初期以前に建築された木造2階建て専用住宅。玄関右側の2階部分には上下式の窓など洋風要素がある一方、1階部分は出窓など和風の要素もあり、和洋折衷の姿がほぼ創建時の姿で保存されている。

 「保存建築物」には大真協会函館支部(杉並町)も選ばれた。昭和初期以前に木造平屋建て専用住宅として建てられ、外壁や屋根の飾りなど細部に気を配った外観で、室内の欄干、建具、蔵なども創建当時のままの美しさが残る。宮本邸とともに、市東部地区における昭和初期以前の郊外住宅の歴史を知る上で貴重な建築物として選ばれた。

 「再生保存建築物」には沼崎弥太郎邸(松陰町)が選出された。1934年に木造2階建て専用住宅として建築され、2006年に創建当時の姿が再建された。正面は創建時の意匠とほぼ同じで、室内は建具、床の間などが創建時のままの姿で保存されている。

 「特別賞」には割烹旅館若松(湯川町)が選ばれた。昭和初期以前に木造2階建ての旅館として建築され、入母屋(いりもや)瓦ぶきの重厚な玄関など、創建時の姿が忠実に伝えられており、昭和前期の温泉宿の雰囲気を上品に醸し出している。

 「原風景」の通称「桜が丘通り」は、市電柏木町電停近くの電車通りから南に延びており、昭和初期に地域住民がサクラ(ソメイヨシノ)を植え、春には市民に憩いを与える桜並木となる。(山崎純一)