2008年2月14日(木)掲載

◎「傾聴ボランティア」知って…北海道メンタル評議会が19、20日に養成講習会
 お年寄りらの話にじっと耳を傾け、その思いを受け止める「傾聴ボランティア」。核家族・高齢化の進展で孤独死や老老介護などの問題が深刻さを増す中、こうした“聴き役”の役割が大きくなっている。一般的にはまだあまり知られていないが、函館市内でも「北海道メンタル評議会」(北向昭二理事長)が傾聴活動に取り組んでいる。19、20日にはボランティアを養成する研修会を開催し、活動の普及を目指す。

 同会副理事長の弘田義江さん(64)は、全国で相次ぐ独居老人の自殺に心を痛めていた。ある日、傾聴ボランティアの訪問を待つ高齢者の姿をテレビで見て、その必要性を感じたのが活動を始めるきっかけだった。

 同会は2005年4月に発足。函館市総合福祉センター(若松町)などで悩みを抱える人たちの話を聞き、自力で前進できるようサポートする「心のケア」活動を展開し、2年前から新たに傾聴ボランティアの部会を設けた。地域包括支援センターから依頼された高齢者の自宅や病院、福祉施設と契約して定期的に訪問している。

 弘田さんは、活動を始めて最初に依頼を受けた60代の女性宅の訪問を続けている。女性は入院中の父親、認知症の母親(ともに90代)の面倒をみており、女性が父親の病院へ行っている間、母親の話し相手になる。「函館大火や駒ケ岳の噴火の様子などを鮮明に話してくれる」という。

 同じ話が繰り返されても、そのたびに初めて聞いたように相づちを打ち何度でも聞く。「介護の息抜きに」と、弘田さんは今、女性に対する傾聴も行っている。

 病院を担当する同会理事の東舘麻知子さん(47)は相手が一言も話さなくても、言葉が理解できず意思疎通が難しくても、ベッドの傍らでうなずき、ほほ笑みかける。「それでも『あなたのそばにいますよ』と相手に伝えるのが傾聴なんです」と話す。傾聴では相手に質問やアドバイスをしたり、自分の意見を言ったりしてはいけないと考えている。

 函館市内のある老人福祉施設では月2回、傾聴ボランティアを依頼している。同会理事の永野萬里子さん(62)が訪ねると、利用者は若いころの思い出話を始める。何度も永野さんの手を握り、感謝の言葉を口にすることも。施設関係者は「誰かがそばにいる安心感が生まれ、昔話をすることでとても充実した表情を見せる。もっと活動日を増やしてもらえたら」と話す。

 同会の傾聴ボランティアは現在32人いるが、まだまだ足りない。訪問できる範囲は旧函館市内、北斗市の一部に限られる。「ボランティア養成に力を入れ、寂しい思いで亡くなるお年寄りをなくしたい」と弘田さん。将来的には終末期の患者や被災者にも対象を広げるつもりだ。 (宮木佳奈美)


◎ロ大統領訪問に期待 きょう全権大使へ要請…西尾市長
 ロシア大統領府のサフォーノフ・オレグ極東連邦管区大統領全権代表ら一行6人が14日、函館市の西尾正範市長を訪問する。西尾市長は7月の北海道洞爺湖サミットに合わせたロシア大統領の訪問を期待。サフォーノフ全権大使に訪問を要請する。

 サフォーノフ全権大使らは、日本の教育制度の視察を目的に函館入り。15日にロシア極東大函館校で開かれるロシアの祭り「マースレニッツア」で行われる弁論大会などを視察する予定。本国から全権大使をはじめ、同全権代表部のワシーリエワ・ナタリヤ副代表ら5人と、在札幌ロシア総領事館のシェフチュク・レオニード総領事が同行する。

 市はこれまで、サミット参加国の中でロシアとフランスの首脳や政府関係者の訪問を要請している。箱館開港後、ロシアは日本初の領事館を函館に開設したほか、市内にはハリストス正教会やロシア総領事館函館事務所、極東大函館校などがあり友好関係も深い。

 西尾市長は13日、「全権大使一行の訪問を喜ばしく思い、極東大函館校をはじめロシアゆかりの地を訪問いただき、函館とロシアの交流への理解を深めてもらいたい。ロシアの大統領の来函が実現できるよう、今後も要請活動に鋭意、努力したい」との談話を発表した。

 3月のロシア大統領選挙では、引退するプーチン大統領から事実上の後継指名を受けた第1副首相の当選が確実視されている。(高柳 謙)


◎ガゴメ製品40品紹介…16日から東京で「大学ブランド食品」物産展
 全国の大学が開発した「大学ブランド食品」を一堂に集めた国内初の物産展「大学は美味しい!!」が16―20日、東京都内の百貨店「新宿高島屋」で開かれる。全国の国公立、私立大・大学院24校が参加。函館からは、北大大学院水産科学研究院が産学連携で取り組む研究事業で開発したガゴメコンブの関連製品約40品目を出品する。同大学院の安井肇准教授は「ガゴメは本道や函館の優れた環境がつくった選ばれた食材。より深く知ってもらえる機会になる」と話している。

 大学ブランド食品は道内出身のフリーライター、佐々木ゆりさんが執筆し、小学館の情報誌「DIME」誌上で2006年4月から08年の1号まで連載で紹介された。各大学の研究の裏側や研究者の思いなどを紹介し、人気を集めた。今回、東京農大の渡辺俊弘教授を委員長とする実行委が、誌面で紹介した食品を集める物産展を企画。研究成果を発信する機会として研究者らが賛同し、高島屋からも会場の提供を受けるなど協力を得た。

 同誌の松元浩一編集長は「食についての情報があふれ、安全への関心が高まるのに反比例し、食の偽装問題など消費者ニーズとの乖離(かいり)が起きている。こうした問題を考えるため、大学の研究から生まれた商品を集め、『食の学園祭』としたい」と話す。

 物産展には本道から鹿児島までが参加。愛媛大「愛媛大学の安心米」と大学名を打った商品や、奈良女子大は地場の大和野菜を使ったアイスクリーム、北里大獣医学部(青森)は八雲町で育てた「北里八雲牛」を使ったビーフカレーなどを販売する。

 北大大学院水産科学研究院のガゴメ関連製品は、同誌で紹介されたガゴメ入りの「函館カレーパン」(日糧製パン函館事業所)をはじめ、「がごめ昆布キャラメル」(道南食品)や「ネバネバがごめ入り昆布」(マルキチ食品)、「ガゴメコンブめん」(カネジン)、化粧品など約10社の40品目。16、17の両日は梶原昆布店(豊川町)がおぼろ昆布削りを実演する予定だ。

 安井准教授は「函館には、持続的で付加価値の高い産品を生み出す流れがある。物産展は北海道の良いものを使った商品をストレートに表現できる機会。地域の研究で生まれた商品を、こだわりを持って食べてほしい」と話している。なお、小学館からは、同連載をまとめたDIME増刊「大学は美味しい!」が発売されている。780円。物産展に関する問い合わせは高島屋TEL03・5361・1662。 (今井正一)


◎函館巴LCが「男の料理会結成」
 函館巴ライオンズクラブ(小林伊佐夫会長)に所属する男性メンバー16人がこのほど、60歳以上を対象にした「巴 男の料理会」(野口等会長)を立ち上げた。妻や外食に頼る生活を改め、材料の買い出しから学び、健康増進を心掛け、“自立した老後”を送ろうというのが狙い。3月26日午後6時から、市総合福祉センター(同市若松町)で1回目の会を開催する。同料理会では入会希望者も募っている。

 同料理会は、高齢者の健康維持と地域社会の生活、文化、福祉の向上に積極的に奉仕するのが目的。事務局を務める山岸克良さんは「これまで当たり前のように妻に料理を任せていたため、ほとんどのメンバーは全く料理ができない」とした上で、「60歳を超え、老後について考えはじめたときに、妻がいなくては食事の準備もできず、生活がままならないような男性が続出してしまう」と、発足の背景を語る。

 料理会は、3、5、7、9、11月の計5回開く計画で、元国際ホテルの料理長、伊藤眞悟さんが講師を務める。メニューの考案はもちろん、材料の買い出しから調理まで、伊藤さんの指導で技術の習得に励む。料理実習後には参加者全員で講評し合う。

 食事の用意や健康管理を長年続けてくれている妻への感謝の気持ちを込めて、実習1年後にはそれぞれの妻を招いた「試食会」も実施する予定だ。山岸さんは「妻たちから1年間の評価を受け、料理の腕前が合格に達した後には、社会奉仕の一環として老人施設や福祉施設などを訪問したい。自立を目指す熱い志を持ったメンバーで、“男の手料理”を提供したい」と張り切っている。

 会費は1万円で、60歳以上が対象。入会希望者は山岸さんTEL0138・57・0427へ。 (小橋優子)


◎10月18日から23日間…オンパクの概要決定
 はこだて湯の川オンパク実行委員会は13日、2008年の「第4回はこだて湯の川オンパク(はこだて湯の川温泉泊覧会)」の実施概要を発表した。ことしは10月18日から11月9日までの23日間に約70のプログラムを用意。春秋2回から1回開催に集約し、開催期間も過去3回の16日間から1週間延長した。刈田眞司委員長は「年1回の開催にすることで、より中身の濃いプログラムをまとめ、多くの参加者に対応できるようにしたい」と話している。

 オンパクは湯の川温泉街の活性化や再発見を目的に、大分県別府市のオンパク実施のノウハウを取り入れて06年10月に開催。昨年は春と秋の2回開いた。過去3回の参加者数は約8400人を数える。

 事務局が過去の傾向を検証した結果、手ごろな値段で食事を楽しめるメニューや香雪園の紅葉めぐりなどの散策系、旅館のおかみが出演する温泉地ならではの催しなどが人気を集めた。また、開催期間が短く、同一時間帯に複数プログラムが重なることから、期間延長を求める声が高まっていた。一方、カルチャー講座などは振るわないため、「人気、不人気の傾向を基に、プログラムを整理し、さらに付加価値を付けるなど、中身の充実を図りたい」としている。

 オンパク期間外の新たな取り組みとして、昨年実施した湯の川温泉街周辺の飲食店などを巡る「ゆのぶら」を7月4日から1週間開催。各旅館・ホテルには「ゆのぶらマップ」を常設配置し、地域商店街の活性化につなげる。すでにポータルサイト「函館タイケン観光案内所」でも受け付けている「いつでもオンパク」のメニューを、宿泊客を対象に翌日に提供できる体制を今春までに整える。このほか、毎月1回程度、季節感をテーマとした「マンスリーオンパク」を展開する予定。

 刈田委員長は「旅行会社などからも、オンパクの取り組みへの関心が高い。湯の川の競争力を高めていきたい」と話している。(今井正一)


◎真冬に逆戻り。きょう警戒呼び掛け
 道南地方は13日、急速に発達した低気圧の影響で風雪や高波の荒れた天候になった。函館市の日中の最高気温は氷点下5・1度(平年0・8度)までしか上がらず、今シーズンの最低を記録。函館海洋気象台によると、悪天候は14日昼ごろまで続く見込みで、交通障害などへの警戒を呼び掛けている。

 函館市内では13日午前中から、断続的に降雪と突風による地吹雪状態となり、昼間からライトを点灯して走る車も目立った。この日行われた公立高校の推薦入試には大きな影響はなかったが、14日は函館市内の私立8高校が一般入試を予定。各校とも予定通り実施の方向だが、交通機関に大幅な遅れが生じた場合には、試験開始時間を遅らせるなどの対応も検討している。

 同気象台は13日午後、渡島西部と檜山地方に暴風雪・波浪警報などを発令。13日夜から14日昼前にかけての最大風速は渡島西部と桧山が陸上で20メートル、海上で23メートル、渡島東部・北部が陸上で17メートル、海上で20メートル。波も渡島西部と桧山で6メートル、渡島東部・北部で4メートルを予想。降雪量は14日明け方までに15センチと見ている。(小川俊之)