2008年2月21日(木)掲載

◎「マル獄」ブランド人気じわり きょうから長崎屋で作業製品展示即売会
 函館少年刑務所(中村正春所長、函館市金堀町6)が独自に企画、開発した「マル獄」印の作業製品が若者を中心にひそかに注目を集めている。2006年に誕生した初代「刑務所の前掛け」(1260円)を筆頭に年々関連商品も増え始め、全国各地の刑務所などで受刑者が作る「刑務所作業製品」の中でも屈指の人気ぶりだ。21日から長崎屋函館店(同市美原1)で開かれる展示即売会では“マル獄ブランド”の新商品もお目見えし、同刑務所は広く来場を呼び掛けている。

 「マル獄シリーズ」は同刑務所の法務技官・川村成昭さん(48)が同年、職員がイベントなどで着用する前掛けのデザインとして考案。当初は企業や官公庁からの受注が減る閑散期に、受刑者の作業量を確保する目的もあった。同10月の矯正展で20枚を試作販売したところ、若い女性らから「かわいい」「おしゃれ」などと人気を博し、昨年2月から本格的に販売を始めた。

 濃紺の綿地に、昭和の雰囲気漂う「獄」の白い字体をプリント。周囲には前身の函館徒刑場の開設を表す「創業明治弐年」や、「PRISON(刑務所)」などの文字があしらわれ、斬新で遊び心に富んだデザインに仕上げた。昨年6月の「全国矯正展」(東京・法務省など主催)では、最高賞に次ぐ法務事務次官賞も受賞している。

 函館では、昨年の展示即売会後に人気に火が付き、全国放送のテレビ番組などでも取り上げられるほど。「これまでに約5000枚が売れた函館初の大ヒット商品。生地の裁断、縫製、梱包(こんぽう)に最低3―4日間を要し、1日100枚が限度のため現在は生産が追いつかない状態」と川村さんはうれしい悲鳴を上げる。

 今回は、新たにポケットが付いた前掛けをはじめ、裏地に和柄を使い、小物を入れるのに便利な「小袋」(580円)、折りたたんで収納でき、エコバッグになる「御袋(おふくろ)」(1980円)など計6種類を用意。川村さんは「これまで刑務所製品は年配者向けの商品が多かった。マル獄シリーズが若い世代にもファッション感覚で受け入れられ、受刑者の更生への理解を深めるきっかけになれば」と期待を寄せている。

 刑務所作業製品展示即売会(21―26日/午前10時―午後9時、24日のみ午前9時―午後9時、最終日は午後6時まで)

 全国の刑務所などの受刑者が職業訓練の一環で作った製品を一堂に集め、展示・販売する。矯正協会刑務作業協力事業部(本部・東京)など主催。今回はたんすや書棚など大型家具のほか、みそ、しょうゆ、せっけんなどの日用雑貨品まで約200種類、1300点が並ぶ。「マル獄シリーズ」は展示即売会後も、同刑務所向かいの展示即売場で購入できる。営業時間は午前9時―午後4時(土日、祝日は休み)。問い合わせは同刑務所TEL0138・52・5500。



◎木古内の江差線 JRまたレール破断
 【木古内】20日午前7時5分ごろ、木古内町大平62のJR江差線・札苅―木古内駅間で、列車の運行管理システムが異常を感知し、レールの一部が破断しているのが見つかった。補修作業のため上磯―木古内駅間が約2時間にわたって不通となり、後続の列車に運休や遅れなど影響が出た。レールの破断は道南では初めてで、昨年12月に千歳線で同様の破断が2件発生したのを受け、JR北海道が道内のレールを緊急点検したばかり。

 JR北海道函館支社によると、破断したのは木古内駅から約2キロ函館よりの地点で、レールに最大で約20ミリのすき間ができた。このため、実際に列車が運行していないのにこの区間の信号機が赤のままとなるトラブルが起きたという。

 同支社の職員が破損個所を添え木で固定するなど応急処置を取り、同9時5分ごろ、運転を再開。この影響で函館午前7時発八戸行きの特急「スーパー白鳥10号」など8本が最大約1時間半遅れ、約400人に影響が出た。

 同社は、車輪のスリップなどで生じたレール内部の傷に荷重が掛かったのが原因とみて調べている。今回破断したレールは1985年1月に設置され、同社の係員が8日ごとに目視での点検を実施。12日の点検では異常なかったという。昨年12月に千歳線で発生した線路の破断トラブル発生後、同社が緊急点検した約3900個所に、今回の地点は含まれていなかった。


◎函館地域の二次救急体制、4月以降の「輪番制」まとまらず。25日に最終結論
 函館市を含む2市7町の夜間二次救急体制に、4月以降「空白日」が生じる可能性が浮上している。夜間二次救急は現在市内9病院が輪番制で受け入れているが、このうち2病院が医師不足を理由に当番回数の削減を決定。このほど、函館市医師会(山英昭会長)はこれにより生じた空白日を埋めるため、他病院の当番回数を増やす代替案を提示。25日に開く市医師会院長会で最終決定を目指す。

 函館地区の夜間救急体制は、函館市が設置し市医師会が運営する「函館市夜間急病センター」(函館市白鳥町13)による一次救急と、9病院が毎日内科、外科、整形外科、小児科の4科を持ち回りで担当する二次救急の体制を維持してきた。

 輪番体制については通常2、3カ月前までにスケジュールを決定しており、この時期までずれこむのは異例。市医師会事務局では「最低でも1月前までに決定してもらわないと準備が間に合わない。25日には必ず結論を出してほしい」と話す。

 また市医師会では、夜間急病患者が二次救急に集中し各病院の負担を増加させている現状をふまえ、市夜間急病センターの積極的な利用をうながしている。同センターには午後8時から午前零時まで内科、小児科、外科の専門医が常駐しており、さらに詳しい診療を必要とすると判断された場合は速やかに二次救急先へ移送される。同センターでは「掛かりつけの病院があっても、まずはセンターに足を運んでほしい」と呼びかけている。(小川俊之)


◎アドバイザー充実目指す…移住促進で函館市
 函館市は新年度、定住希望者の気軽な相談や質問に答える「移住アドバイザー」を正式な組織として立ち上げ、地域の受け入れ態勢を強化する。移住者や市民がアドバイザーとなり、実際に移住した人が円滑に地域に溶け込んでいけるようサポートしていく方針。

 現在の移住アドバイザーは2組4人。その1組の中村圭佑さん(71)、知恵子さん(66)夫妻は2001年4月に関東から移住した。町会や地域の行事などに積極的に参加しながら友人・知人を作った経験を持つ。夫妻は「移り住む夫婦のどちらかが函館出身者の場合が多く、妻か夫のどちらかは函館を知らない。そうした人が新たな地で孤独にならないよう支えていくことが必要」と意義を語る。

 市と北海道コンシェルジュは昨年9月、本年度1回目の移住者交流会を開催。約50人が参加し、情報交換などで盛り上がった。一方で参加者から「なかなか気心が通じる友人ができない」との声もあり、交流会の定期的な開催や定住者が自然に集まるような場づくりを求める意見があった。

 こうした声を受け、市とコンシェルジュは今月上旬に開いた2回目の移住者交流会で、参加者にアドバイザー就任を要請した。行政主導で開いている移住者交流会も、自然な形でアドバイザーや移住者が集まって開けるようにしたい考えだ。

 移住アドバイザーは移住者だけでなく、一般市民も対象にしている。移住してきた市民が気軽に頼れるサポーター的存在で、市の定住促進事業を市民の側からも支える。

 市企画部は「多種多様な市民で支援組織をつくることで、親身になったアドバイスや支援ができる。移住者や希望者のちょっとした不安や疑問の解消にもつながる」とメリットを話している。(高柳 謙)