2008年2月24日(日)掲載

◎商業科が45年の歴史に幕…木古内高 閉科式
 【木古内】木古内高校(平賀文彦校長、生徒71人)で23日、商業科閉科式が行われた。同科最後の卒業生は6人。生徒と教職員、来賓含め約200人が出席し、45年にわたる商業科の歴史を振り返りながら別れを惜しんだ。

 同校体育館で行われた閉科式には全校生徒と教職員、卒業生の父母らに加え、同科の卒業生や旧職員、歴代のPTA会長なども出席。平賀校長は「小子化の影響などで生徒数が減り、歴史ある商業科が姿を消すことはとても残念。最後の卒業生としての誇りを持って社会で活躍してほしい」と式辞を述べた。

 続いて来賓を代表し、同校普通科OBの大森伊佐緒木古内町長が「今日は閉科を惜しむように大粒の雨が涙のように降り注いでいる。これまで商業科を守り育ててくれた教職員および地域の皆さんには心からお礼を申し上げたい」あいさつ。

 最後に卒業生を代表して、中山花乃子さんが壇上に立ち「商業科では多くの資格を習得することができ、自分自身にとっても大事な成長の場となった。またさまざまな職業体験をすることができ、進路を決めるために大変役立った。商業科がなくなってしまうことは残念だが、ここで学んだ貴重な経験は一生忘れない」と話すと、会場からは大きな拍手が贈られた。

 同校は1951年に町立の定時制普通科として開校、53年に全日制課程が設置認可された。商業科は62年に設置認可され、63年に一期生が入学。66年には普通科、商業科それぞれ2間口まで拡大したが、以後は小子化などの影響で生徒数が減少を続け、2005年に商業科の生徒募集が停止された。同科のこれまでの卒業生は、本年度の3年生6人を含め2668人。(小川俊之)


◎企画(2) 緊縮型の中で 函館市新年度予算案 ソフト事業…医療助成拡大など前進
 西尾正範市長が、少子化対策として重視する子育てや教育への支援。地方交付税の減額などで、既存事業の縮小、廃止も検討しなければならない状況だったが、公約実現に向けた新規事業は可能な限り盛り込まれた。西尾市長は「限られた予算の中で考えられえるメニューは予算付けできたのでは」と総括した。

 目玉は子供の医療費助成拡大だ。保険適用にかかる医療費の自己負担分を1割とし、残りを市が賄う制度で、対象を就学前の乳幼児から小学校卒業まで拡大する。拡大分は1万597人分の約1億7000万円で、総額で4億9045万円を計上した。

 教育面でも私学助成を拡大した。私立幼稚園就園に対する奨励費の優遇措置を拡充。私立学校の1人当たりの助成を2万円から2万1000円に、私立専修学校の1人当たりの助成を5000円から7000円にそれぞれ引き上げた。3つの助成を合わせると約3億8000万円に上る。市立校長の裁量で特色ある教育をする「知恵の予算」も本年度並みの5640万円を計上した。

 限られた財源の中で、公約に掲げた施策を予算計上したが、もう一つの目玉であった保育料の軽減措置までは財源確保ができず、次年度以降に見送られることになった。市民税や地方交付税の大幅な増収が見込めない状況は次年度以降も続くとみられ、ソフト事業の支援、拡充策が重荷になることも懸念される。

 とはいえ、公約である子育て支援に関する新規事業は多い。児童館を子育て支援やコミュニティーの場として再編する「ひろば館事業」に101万円を計上し、市子ども未来室は「子ども同士の交流、健全育成を図るという本来の児童館の役割を維持しながら、施策を検討していきたい」としている。

 このほか、子育て支援に携わる各団体のネットワーク化を図り支援を構築する子育て支援ネットワーク事業に100万円、市で認定した子育てアドバイザーの活用推進費に15万5000円、同アドバイザーが生後4カ月までの乳児のいる家庭を訪問するこんにちは赤ちゃん事業に25万円などを計上。地域の人材活用、交流の促進を進め、子育て支援につなげていく。

 「小さな施策でも積み上げることで、民生の安定を図りたい」と西尾市長が語ったように、受け皿として幅広いメニューがそろっているが、市民にとって利用しやすい運営を心掛けていくことが大事だ。

 厳しい財政状況で、利用者が見込みより少ないということになれば、事業の縮小、廃止という結果となり、支援を求める市民の不利益につながりかねない。いかに利用され、支援へとつなげていくかが事業の成否を握っている。(鈴木 潤)


◎「食」で新たな江差ブランドを…推進協議会が発足
 【江差】新たな地域ブランド品の創出を目指す「江差食のブランド推進協議会」がこのほど発足した。町内産農水産物・加工食品の商品化や道内外の販路拡大を中核に、新たな“江差ブランド”の創出を目指すのが目的で、6月をめどに主力となる商品の選定や販売戦略の検討を進める方針だ。

 推進協は、江差商工会、ひやま漁協、新函館農協、江差消費者協会、町飲食店組合、江差旅館組合など9団体で組織。会長に打越東亜夫江差観光コンベンション協会長、副会長に歴まち商店街協同組合の室谷元男理事長、中央商店街協同組合の小路政信理事長が就任した。

 町内にある伝統的な郷土食をはじめ、水産加工業者や飲食店が自主開発を進めている新商品を対象に、新たな“江差ブランド”の軸になる商品選定を進める。

 選定された商品は、町内の飲食店や宿泊施設の食事メニューなどとして住民や観光客に提供するほか、土産物として販売。町や檜山支庁などの支援も得て、道内外で開かれる物産展への出品を通じた販路拡大を進める考えだ。

 商品の候補としては、水産加工業者や飲食店が自主開発した、カマボコやチマキなどの食品、地域伝統の米菓子「こうれん」などがリストアップされている。また、江差沖で水揚げされるスルメイカを活用した商品開発も検討するという。町産業振興課は「商品生産にに伴う新規起業や町外からの企業誘致などの効果にも期待している」としている。

 21日には、檜山地域人材開発センターで開かれた「地域ブランドづくりセミナー」(同支庁主催)に、推進協メンバーが参加。江差らしさを前面に打ち出したブランド商品の創出について意見を交わした。(松浦 純)


◎早期返還へ一層運動を…北方領土を考える集い
 「日ロ交流と北方領土を考える集い」(北方領土復帰期成同盟渡島地方支部主催)が23日、函館市元町14の市国際交流プラザで開かれた。渡島管内で北方領土の返還運動に携わる団体の関係者ら約70人が出席。発表や弁論などを通し、北方領土の早期返還運動に取り組む姿勢を改めて確認した。

 日ロ両国の交流により相互理解を図り、次の世代を担う若者に北方領土問題についての関心を深めてもらおうと、初めて実施した。

 「北方領土を考える高校生弁論大会」で最優秀賞の外務大臣賞を受賞した函館白百合学園高校2年の丸山友梨さん(17)が北方領土についての思いをつづった弁論を発表。根室市から高校進学のため来函したという丸山さんは「函館は根室に比べ北方領土に対する関心が薄い。クラスメートの中にも北方領土の問題について知らない仲間がいる」と指摘。さらに、若い世代がこの問題に目を向けるため、ビザなし交流に参加することを提案し、「これまでまったく関心がなかった人でも真剣に考えざるを得なくなる」と延べた。

 のほか、北方四島のビザなし交流などに参加したロシア極東大函館校の学生らの成果報告も行われた。出席者はメモを取ったり、時折うなずいたりと真剣な表情で若い世代の意見に耳を傾けていた。

 主催した期成同盟渡島地方支部の村上幸輝支部長は「ロシアでは東アジアの存在感が年々高まっており、両国の戦略的な協力関係が重要となる。地道な運動の中で『日本固有の領土』という意思を内外に示し、国民世論を盛り上げていくことも大切」と話していた。(水沼幸三)


◎大人になっても理科は面白い…渡辺教諭が実験教室
 本紙で毎週土曜日掲載の「Let’s Try(レッツトライ)理科実験」でおなじみ、市立函館高校の渡辺儀輝教諭が主宰する「大人のためのおもしろ理科実験」が23日、同市赤川町17の喫茶店「en(えん)」で行われた。

 これまで児童の夏休みなどを利用し、親子向けの理科実験教室を開催。同喫茶店で開かれていた子ども向け理科実験教室を偶然見かけた女性から、「ぜひ大人向けの教室も開催してほしい」と要望を受け、初めて企画した。

 渡辺教諭が「家庭にある身近なものを使った理科実験なので、楽しい時間を過ごしてほしい」とあいさつした後、実験開始。「7色の実験」では、紫キャベツを数分間湯に浸し、完成した紫色の溶液を7本のビーカーに分けた。酸性の漂白剤やアルカリ性の家庭用洗剤をビーカーに入れると、酸は赤色に、アルカリは青色に変色した。

 口にくわえたストローに息を吹きながら徐々に先端をはさみで切り落とす「うずまき管の仕組み」では、ストローの長さによって吹く息の音の高さが変わっていった。

 このほか、近視と遠視に使われる凹凸レンズの仕組みを追究しようと虫めがねを使った「目とめがねの関係」など、日常で起きているさまざまな現象の謎を解き明かした。実験を依頼した70代の主婦は「昔は教科書を使った説明のみで実験はなかった。簡単にできる実験が多く楽しかった。高齢者でも気軽に参加できるし、脳の活性化にもつながります」と話していた。(小橋優子)