2008年2月27日(水)掲載

◎北大大学院水産科学研がマリンガーデンのポスター作製
 北大大学院水産科学研究院はこのほど、函館近海の様子をイラストにしたポスターを作製した。イラストにはガゴメコンブを中心とした海藻類やゴッコ(ホテイウオ)、マイカ(スルメイカ)などが描かれ、豊かな海産資源に恵まれた「マリンガーデン」がつくられている。同大の安井肇准教授(52)は「函館の海は地域の宝物。ここでしか見ることのできない生物の組み合わせがあることを知ってほしい」と話している。

 函館近郊では文部科学省の都市エリア事業など、産学官連携で水産資源を利用した研究に取り組んでいる。ポスターには同大や函館地域産業振興財団、市臨海研究所などのホームページアドレスを掲載し、海洋研究都市をPRしている。

 イラストに描かれているガゴメコンブは、成長の違いで幅広のものやカニが食べている様子が描かれている。抗肥満効果が高い「フコキサンチン」を多量に含む機能性海藻で「第2のガゴメ」として注目が集まっているウガノモクは、ハタハタが産卵している様子を表し、海の生態系のサイクルを表現。このほか、マコンブやタコ、ウニなどが多彩に描かれている。

 マリンガーデンシステムの構築をテーマに研究を進める安井准教授は「海の環境が破壊されても修復できるよう、より豊かで持続的に活用できる環境をつくりたい。函館から安全で安心な良いものを生み出すシステムを築き、クリーンな産業を構築する仕掛け作りができれば」と話している。

 ポスターのほか、包装紙などとして使用できる風呂敷も作製し、このほど東京で開かれた大学ブランドの物産展などで利用した。(今井正一)


◎函館市が観光ポータルサイト開設へ
 函館市は2008年度予算に、インターネット上で函館の観光情報を発信する「観光ポータルサイト」開設関係経費として1000万円を計上した。観光名所やイベント情報だけではなく、観光客が求めるグルメ情報など、従来の行政が踏み込めなかった民間店舗の情報についても掲載する。4月に観光業界関係者らで運営委員会を設置し、内容や方向性を検討する方針で、12月公開を目指す考えだ。

 サイトの開設は、昨年設置した産業政策検討会議でも、若手職員からの提案事項として採択され、以前から観光課で検討していた事項と合わせて予算化された。

 毎年、市にはサクラの開花時期や観光シーズンに観光客からの問い合わせが多数寄せられているが、宿泊先や「旬の食材を使った飲食店はどこか」といった照会に対し、行政機関として対応に苦慮する面があった。今後は、サイトの掲載内容を基に情報提供できるようになる。

 札幌市が02年に開設した観光ポータルサイト「ようこそさっぽろ」では、例えば、ラーメン店の所在地や営業時間などの基本情報に加え、来店者の感想として、「ここのスープは全部飲める」などの「口コミ情報」も掲載。函館のサイトでもこうした手法を取り入れる方針。また、市内だけではなく、道南や青森の観光情報も組み入れ、広域化する観光スタイルにも対応するほか、外国人客向けに、英語、ロシア語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)で表示する。

 ただ、ある程度の公平性や公序良俗を考え、運営委で内容を検討して情報を精査。サイトに寄せられた情報で指摘された改善点も、函館観光全体のレベルアップに反映させる材料とする。運営委ではこうした検討と見直しを繰り返し、10年度までの3カ年でサイトの全体像を確立する。

 初年度は、公立はこだて未来大学にシステム開発を委託。サイト開設後の管理運営主体は民間から公募する。同課は「観光客や市民に広くPRして、多くの人に喜ばれるサイトにしたい」としている。(今井正一)


◎西旭岡町の市有地に移転…清和荘民営化
 函館市はこのほど、養護老人ホーム函館市清和荘(湯川1)の移転改築・民営化の構想案をまとめた。移転先は西旭岡町の市有地(旧市立函館病院分院跡地)を予定。施設の移管先の社会福祉法人が改築する民設民営で2009年度から整備に着手する。新年度には法人の公募を行い、移管先も決める方針。

 同養護老人ホームは1951(昭和26)年、入所定員80人の「養老施設函館市養老院」として湯川町に開設され、63年に現在の名称に改め、74年に現在地に移転し改築。入所定員も150人に増員したが、現在は老朽化が進み、部屋も多床室が多く、入所者のプライバシー保護が課題となっていた。

 市はアウトソーシング推進計画に基づき、移転改築を含めた民営化を検討。04年度から調理業務の委託化や寮母の嘱託、臨時職員化を進め、コスト削減も進めてきた。

 構想案では、建物は鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積5740平方メートル。新施設の定員を120人とし、国、道の整備方針に沿って全室個室・ユニット化する。設計管理や建設工事などの建設費を14億1655万円と見込み、移管先の法人が建設主体となる。市は建設時の補助金や用地購入、旧施設解体、債務負担補助などに約8億8848万円を負う。

 市福祉部によると、民営化で20年間にわたり、毎年1013万円の債務負担補助を移管先の法人に支出するものの、年間で約1億1000万円の効果額を見込んでいる。同部は「民営化により効率的な事業運営や質の高いサービスが期待される」としている。(鈴木 潤)


◎一般会計0・6%減85億円…七飯町予算案
 【七飯】七飯町(中宮安一町長)は26日、2008年度予算案を発表した。一般会計の総額は本年度当初よりも0・6%減の85億円。新たに加えた後期高齢者医療特別会計など6特別会計、水道事業会計を含めた総額は同13・4%減の163億442万円となる緊縮型となった。3月6日に開会予定の町議会定例会に提案する。

 昨年制定され、09年度から始まる自治体財政健全化法による連結決算施行を視野に編成。一般会計の歳入は、町税が固定資産税の増額、滞納繰り越し分の徴収強化による増収を見込み、前年度より4・1%増の26億4119万円。地方交付税は本年度最終予算額よりも1億9607万円低い26億5000万円と大幅な減少を見込んだ。借金に当たる町債は6億1630万円で、財源不足を補うため3億5700万円を基金から繰り入れる。基金の残高は08年度末で20億7961万円の見通し。

 主な事業は道新幹線の整備促進として、町内に建設が予定される新幹線車両基地造成工事に伴う町道付け替え事業の受託費2567万円、新駅と周辺の関連施設整備に対する基金「新幹線事業推進基金」を創設し、初年度積立額を2000万円とした。北海道洞爺湖サミット(7月開催)開催に合わせ大沼環境保全対策湖沼浄化事業に100万円、ワイン用新種リンゴ「ほおずり」の商品化を目指す取り組みに10万円、観光PRビデオの制作に163万円なども盛り込んだ。(笠原郁実)


◎「安全な地域社会目指す」…道警函本 大江新本部長が着任会見
 25日付で着任した道警函館方面本部の大江宜信本部長(58)=警視長=が26日、同本部で記者会見し、「函館方面管内9署1000余名の警察職員の総力を挙げ、安全で安心できる地域社会の実現を目指したい」と抱負を語った。警察庁人事で道警函本の新本部長が就任するのは35年ぶり。

 大江本部長は京都府出身。1969年に京都府警入り。大阪府警本部警備部外事課長、内閣事務官(内閣官房内閣情報調査室)、秋田県警本部警務部長、兵庫県警本部警備部長など主に警備畑を歩み、前任は警察庁長官官房人事課監察官。

 7月に開かれる北海道洞爺湖サミットについて「函館は洞爺湖に近く、北海道の玄関口。テロの発生を想定した実戦的な訓練を行い、関係団体と連携しながら諸対策に取り組みたい」と強調。重点課題に2006年12月に発生したタクシー運転手強盗殺人事件の早期解決や、交通死亡事故の抑止対策の強化などを挙げた。

 初の道内勤務となった函館の印象については「北海道の開拓の先駆けであり、文化と伝統にはぐくまれた風光明美な町」と述べ、「マイカーで名所旧跡や温泉を巡り、函館の風に触れてみたい。もちろん事故には留意する」と締めくくった。(森健太郎)


◎江差追分の「芽」咲かせよう…2月に初の子供発表会
 【江差】「民謡の王様」と称賛される江差追分を地元の子供たちに歌い継いでもらおうと、町内の学校や保育園では、後継者育成に向けた多彩な取り組みが行われている。こうした中、江差追分に情熱を傾ける若者や子供たちに発表の舞台を提供して、上達の励みにしてもらおうと、町が初めて主催する「こどもとヤングの江差追分・民謡発表会」が、3月2日午後1時から江差追分会館(中歌町193の3)で開かれることになった。

 発表会は、出場者全員による江差追分の合唱で始まり、昨年の第11回江差追分少年全国大会優勝者の福田光君(厚沢部町)が独唱を披露。続いて五勝手保育園の園児が江差追分の合唱、豊川保育園の子供たちはソーラン節の踊りを発表する。

 町内の追分道場「江差追分かもめ会」に所属する子供たちは「ソーラン節」「道南ナット節」の歌声、女子児童でつくる「Hamanasu(はまなす)会」のメンバーは町指定無形民俗文化財の「江差追分踊り」、尺八愛好家でつくる「竹廣会」の子供たちは尺八の演奏をそれぞれ披露。昨年の第45回記念江差追分全国大会で記念アトラクションに出場した川口美海ちゃん(3)、東美羽音ちゃん(4)らも発表する。

 町内では若年層の民謡離れや少子高齢化に伴う愛好家の減少が進み、「江差追分の本場としての地位が揺らぎかねない」との危機感も強いため、町や江差追分会(会長・濱谷一治町長)は、昨年度から後継者育成や全国大会などの魅力化対策を強化している。

 また、町教委も指導者を町内の小学校に派遣して、児童に江差追分の普及を図っているほか、道立江差高校でも選択授業に江差追分の科目を設けるなど、後継者育成に向けた取り組みが実を結び始めている。同会事務局は「保育園児から中学、高校生を対象にした普及促進事業で、子供たちの『追分の芽』は確実に成長している。発表会が芽を成長させる新たな舞台になれば」としている。発表会は入場無料。問い合わせは同会館TEL0139・52・5555。(松浦 純)