2008年2月28日(木)掲載

◎はこだてイルミネーションあすまで
 「光に包まれた愛の街・函館」をテーマに、函館市元町地区の坂をイルミネーションで輝かせた「2008はこだて冬フェスティバル・はこだてイルミネーション」は29日、最終日を迎える。函館市の基坂ではライトアップされた旧函館区公会堂に続く幻想的な雰囲気を惜しげに眺める観光客が見られた。

 暖冬だった昨年とは違い、今年は歩道が雪に覆われるなど、さまざまな色合いを見せて訪れた人を楽しませた。点灯は午後5時から同10時までで、基坂のほか、二十間坂、二十間坂通り、八幡坂、元町公園で光の供宴を繰り広げている。(山崎純一)


◎市議会定例会開会、西尾市長 市民参画の市政強調
 函館市議会の第1回定例会が27日開会し、西尾正範市長が市政執行方針、多賀谷智教育長が教育行政執行方針を述べた。西尾市長は主要施策を推進させるため、市民参画、市民主体のまちづくりに取り組むことを強調。「市民の心を自らの心とし、元気のあるまち・函館を築いていけるよう、市政運営に全力を尽くしていく」と決意を述べた。

 西尾市長は「開かれた明るい市役所づくり」「時代の危機感の共有」「殖産興業の心をはぐくむ」の3点を市政運営の基本姿勢に掲げ、「教育立市・人材育成都市の実現」「地域産業の振興と雇用環境の向上」の実現を目標とした。

 全国平均を上回る人口減少や少子高齢化、地方交付税の削減など、市が抱える課題解決に向け、「地域自らが創意工夫を凝らし、力を合わせて地域の特性を生かしたまちづくりを進め、可能性を広げていく必要がある」と述べた。

 主要施策は「心豊かな人と文化をはぐくむまち」「共に支えあい健やかに暮らせるまち」など5項目が基本。縄文文化交流センターの整備や、西・弥生小学校の統合校舎建設などのハード事業のほか、教育環境の向上に向け、校長の裁量で特色ある授業を進める「知恵の予算」継続や私学助成の拡大、子育て支援に向け、乳幼児医療助成の拡大などを進める。

 健康づくりや救急医療体制の整備も課題であるとし、病院事業の経営健全化に向けては「市立病院の医師・看護師を確保し、改革プランを策定する」とした。

 また、7月に開催される北海道洞爺湖サミットに合わせて、参加国関係者の来函実現に向けた取り組みを強化。サミットのテーマである「環境問題」の意識啓発として、函館版環境サミットを開催する考えを述べた。

 主要産業の観光振興や漁業振興に向けた施策を挙げ、北海道新幹線の早期開業に向けた取り組みも積極的に展開することで、活力とにぎわいのある函館の実現を図るとした。

 一方、多賀谷教育長は「市民1人1人がふるさとの歴史や文化を尊重し、自らを高める主体的な学習を進めていくことができるよう、家庭、学校、地域社会との連携・協力を一層深めた総合的な教育行政の推進に努める」と決意を述べた。

 主な施策は、昨年8月の学校教育審議会の答申を受けて「函館市立小・中学校の配置についての基本指針」の策定に取り組むほか、AED(自動体外除細動器)の全中学校配置、総合型地域スポーツクラブの育成、支援などを行う。小中学校で標準学力検査を引き続き実施し、「文部科学省による全国学力・学習状況調査も活用し、確かな学力向上の取り組みを進める」とした。(鈴木 潤)


◎支庁再編 修正案を特別委に報告
 【札幌、江差】道は27日の道議会道州制・地方分権改革等推進調査特別委員会に「新しい支庁の姿(案)」を報告した。同案は2009年度の新体制移行に向けて、早期の支庁再編関連条例案の道議会上程を目指す道側の最終案になるとみられ、江差町など4市町が進める支庁存続運動は新たな局面に入った。同案について4市町は、4割に及ぶ支庁職員の大幅削減や廃止後の地域振興策が明らかでないとして反発を強めている。

 同案は昨年11月に公表した「原案」を修正、成案化した。現行14支庁体制を、渡島支庁など大規模支庁を軸に9つの「総合振興局(仮称)」に再編、桧山支庁など5支庁を廃止、総合振興局の出先機関となる「振興局(同)」に格下げする内容に変更は無い。

 しかし、道議会や江差町など廃止対象の支庁所在地の反発から、同案では振興局に市町村合併や権限移譲、産業振興などの職員配置を明記。振興局では、企画調整、総務、税務、農林水産などの広域的業務を総合振興局に集約、職員定数を現行の6割程度に削減するが、地域への影響や道の財政負担、職員の異動を考慮して、3年間で段階的に実施するという。

 一方、支庁再編後は、総合振興局の職員が市町村に出向き、地域課題の把握に務めるほか、道が主催する会議、ヒアリング、検査などは、振興局で開催するなどの対応を講じる。

 また、道は知事をトップとする「地域づくり支援本部(同)」を設ける。本庁には部長級の地域づくり支援担当の参事監を配置。市町村振興の窓口となる「地域づくり支援局(同)」も新設。新年度からスタートする新総合計画に沿って、支庁廃止地域を含む総合的な地域振興策となる「政策展開方針(仮称)」を10月末までに策定する方針。

 集中審議では「政策展開方針を示した上で支庁再編を議論すべき」との意見も出たが、道側は、条例提案の時期については明言を避けた。同日は江差・日高管内浦河の両町、根室・留萌の両市から、首長、市町議、経済団体の代表ら約100人が審議を傍聴した。同案について江差町は「地方の懸念を理解しておらず評価に値しない。道の強硬姿勢があらためて浮き彫りになった」として、徹底抗戦の構えを崩していない。(松浦 純)


◎リフォーム詐欺容疑2人逮捕
 函館市内の住宅で必要のない補修工事を契約させ、工事代金をだまし取ったとして、道警函館方面本部生活安全課と函館中央署は27日、住宅リフォーム会社「キャッツ」(本社・東京都渋谷区)の元社員熊谷剛伸(34)=福島県郡山市開成5=と、同社社員奈良祐吾(32)=函館市川原町=の両容疑者を詐欺と特定商取引法(不実の告知)の疑いで逮捕した。

 調べによると、両容疑者は共謀の上、2005年4月下旬、同市亀田本町の男性(50)宅を訪問し、家屋補強工事の必要がないにもかかわらず「家の土台がずれている。このままだと家が傾くかもしれない」とうそを言ってクレジット契約を結ばせ、工事代金31万5000円をだまし取った疑い。

 同署などは昨年4月に被害男性からの告訴状を受け、同9―10月にかけ専門家に男性宅の鑑定を依頼。今年2月20日には、同社の東京本社や札幌、函館の両営業所計3カ所を家宅捜索し、押収した関係書類などを基に裏付け捜査を進めていた。

 同社は全国に40営業所(うち道内6カ所)がある住宅リフォームや害虫駆除業の大手。当時、熊谷容疑者はキャッツの元北海道第2グループ長で、奈良容疑者は同社の函館営業所長だったという。

 調べに対し、熊谷容疑者は「土台はずれていた。必要な工事だったので契約した」と否認しており、奈良容疑者は「うそを言って工事を契約した。会社の利益を優先してしまった」と容疑を認めているという。同署などは会社ぐるみの組織的な関与の疑いもあるとみて同社を特定商取引法の疑いで書類送検する方針。

 同社は「今回の事態を重く受け止め、事実関係の把握と情報収集に努めている」とコメントした。国民生活センター(東京)によると、同社のリフォームに関する相談件数は26日現在、統計の残る1998年から全国で約3000件に上るという。