2008年2月29日(金)掲載

◎函館市磨光小6年生が中空土偶モチーフの巨大版画を卒業制作
 函館市尾札部町の函館磨光小(加藤正男校長、児童146人)の6年生29人が、地元の著保内野(ちょほないの)遺跡で出土し、国宝に指定された「中空土偶」をモチーフした巨大版画を共同制作した。海や森など郷土の風土や縄文時代の人々の生活風景を盛り込み、特に土偶は模様の細部まで丁寧に表現した。広く地域住民に見てもらおうと、南茅部公民館(川汲1520)1階に展示されている。児童らは「皆で協力して仕上げた。楽しかった」と完成を喜んでいる。(新目七恵)

 同小では昨年も6年生が共同版画に取り組んでおり、今回は総合学習で取り上げた土偶にスポットを当て、卒業制作として取り組んだ。学校長の裁量で特色ある授業を行う函館市の独自事業「知恵の予算」を活用。昨年11月ごろから児童でアイデアを出し合って絵の構想を練り、全員で協力して約3週間掛けて彫り上げた。板2枚をつなぎ合わせた縦約180センチ、横約160センチの大きさで、版画を飾る木枠も同小職員の手作り。

 絵柄は、漁や狩りをする縄文人の姿、高床式倉庫など当時の風景を背景にデザイン。手前に大きな草や木を配置し、海が遠くに見えるように遠近感を工夫したほか、鳥やシカなど動物も盛り込んだ。

 中央に大きく配した土偶は全身の模様や顔の部分まで細かく再現し、迫力ある作品に仕上がっている。

 土偶の腹部を担当した佐藤匠君は「丸い模様が細かくて難しかった」、宇野隼斗君は「下半身の線の模様がいっぱいあって大変だった」と説明。堀野未来さんは「紙が大きくて刷るのが大変だった」、伊藤学美さんは「皆で協力すれば大きな版画でも何でもできるんだと思った」と振り返る。

 担任の水野団教諭は「児童全員が作業を分担し、一致団結した様子はすごかった」と話している。同公民館での展示は3月7日まで(土、日曜日は閉館)。同1、2日に市芸術ホール(市内五稜郭町37)で開かれる市児童生徒美術展にも、カラーと白黒で刷った同様の版画2点を出品する予定だ。


◎伝建指定「大野家所有建物」所有者が高齢化など理由に指定解除の意向/今後も潜在的課題か
 函館市の伝統的建造物(伝建)群保存地区内にある指定建築物「大野家所有建物」(元町31)の所有者が、老朽化や自身の高齢化などを理由に、維持管理の負担が大きいとして、市に解体撤去の方針を伝え、指定解除を求めている。市教委は28日の都市景観審議会(委員15人、会長・韮澤憲吉函館高専教授)で所有者の意向を報告し、保存計画の変更を諮問、委員とともに現地を視察した。市内に76件ある伝建指定物件はいずれも築70―100年を経過し、同様の事態が今後も起き得るだけに、保存の在り方や助成制度の見直しなどが課題として浮上しそうだ。(今井正一)

 元町や末広町などにまたがる同保存地区は、市が1988年に都市計画決定し、89年に文化財保護法に基づき、国が地区選定した。76件の建築物と、石垣など25件の環境物が指定されている。

 大野家所有建物は21(大正10)年建築の木造2階建て住宅。長く共同住宅として使用されてきた。外壁部分は大幅に改修されているが、屋根の軒蛇腹や持ち送り部分などの一部に、当時の面影を見ることができる。市教委によると、所有者からは2003年に建物や土地を処分したいと最初の相談があり、市は新たな所有者を探すなどしてきた。4年経過後も活用の見通しが立たないため、所有者は今回、3月10日にも解体する意向を示しているという。

 この日の審議会で、市教委の田原良信文化財課長は「空き家のままでは老朽化が一層進み、防災や防犯上からも危険。苦渋の決断だが、指定を解除し、建物の除去を許可したい」と報告、所有者の意向に沿う方向で検討していることを明らかにした。委員からは、他の所有者に影響を与える懸念から、今回の事例を契機に、保存のための制度設計を新たに図る必要性あるなどの意見が出された。

 次回は3月4日に審議会を開き、指定解除を含めた答申内容や、指定物件の今後の在り方を検討する予定。市教委の須田正晴生涯学習部長は「伝建制度も20年となり、維持補修の補助金なども含め、制度そのものの見直しの時期に来ている」と話している。


◎南かやべブロードバンド誘致の会が地域で加入呼び掛け
 函館市の南茅部地域でブロードバンド(高速大容量)によるインターネットが可能になるように、市民有志でつくる「南かやべブロードバンド誘致の会」(蛯谷英聡代表)が、NTTの光ファイバーを使ったインターネット接続サービス「Bフレッツ」の誘致活動に乗り出した。回線整備には一定数の利用者を確保する必要があり、同会は「情報格差」解消に向け、3月末まで700件を目標に加入を募って早期整備を目指す。

 南茅部支所管内では、2004年12月に市内局番25局の臼尻エリアのみ、高速通信サービスのADSLが開通。一方、市外局番63局の尾札部エリアではADSLも整備されていない。

 NTT東日本函館支店によると、道南では旧函館市内のほぼ全域、北斗市、七飯、森、鹿部、八雲、江差町の一部で「Bフレッツ」が利用できるが、旧4町村地域では未整備という。回線整備の条件は市外局番1局当たり350件、南茅部地域では700件の加入がめどとされるが、最終的に必要な加入数はNTTが算定する。

 同会は函館東商工会南茅部支所の青年部メンバーらで昨年5月に発足。漁協やPTAなどの協力を得て加入者を集めている。2月現在、同支所管内2511世帯のうち加入件数は150件と目標件数の2割にとどまる。

 蛯谷代表は「地域の医療、教育、産業振興を図る上で、情報の格差がないよう快適なブロードバンド環境が必要。1人でも多くの人に加入してもらえるよう全力を挙げたい」と話している。

 申し込みは同会事務局(函館東商工会南茅部支所)TEL0138・25・3407。 (宮木佳奈美)


◎鹿部町 新年度予算案発表 一般25億円、子ども医療費助成拡大など少子化対策に重点
 【鹿部】鹿部町(川村茂町長)は28日、2008年度予算案を発表した。一般会計の総額は本年度当初よりも4・0%増の24億9500万円。後期高齢者医療特別会計など5特別会計、水道事業会計を含めた総額は同7・2%減の37億5458万円となる。3月5日開会予定の町議会定例会に提案する。

 05年度からの歳出抑制を継続して編成。一般会計の歳入では町税が本年度当初より2・8%増の4億4005万円、地方交付税は同4・6%増の11億4000万円。財源不足を補うため1億5249万円を基金から繰り入れ、基金残高は08年度末で17億6500万円の見通し。

 歳出では少子化対策に重点を置き、対象者を小学校就学前から中学校卒業まで拡大する「子ども医療費助成」(1596万円)や妊婦1人当たりの健診費助成を2回から5回に拡大する「妊婦健診費等助成」(203万円)、「幼稚園預かり保育経費」(275万円)などを盛り込んだ。普通建設事業費は防衛省から継続受託する駒ケ岳演習場障害防止対策事業(1億5618万円)の大幅な事業費拡大で、本年度当初比13・0%増の3億9116万円となる。 (笠原郁実)


◎福島町 新年度予算案発表 一般29億円、3年連続で緊縮型
【福島】福島町(村田駿町長)は28日、2008年度予算案を発表した。一般会計は本年度当初比5・5%減の29億3640万円。官民一体で町財政を立て直す「町自立プラン」に基づき、3年連続の緊縮型編成となった。国保など4特別会計と水道事業会計を含めた総額は同17・17%減の44億9886万円。3月11日開会予定の町議会定例会に提案する。

 歳入の57・5%を占める地方交付税は同8・3%増の16億8975万円。町税は不景気と人口減などから同1・1%減の4億4251万円とし、1億円を財政調整基金から手当てする。

 歳出の23・8%を占める公債費は同2・9%増の6億9812万円。人件費は同プランを受け、議員定数削減や職員数の減少などから同5・4%減の7億2809万円とした。

 新規事業は、老朽化に伴う新・町営火葬場(町福島625)建設事業の地質調査と工事設計に800万円、釜谷川と月見川の両河川改修事業に1390万円を計上。継続事業は、65歳以上に肺炎球菌予防接種を無料で行うなど健康づくりに取り組む「ふくしま・いきいき健康増進プロジェクト事業」に640万円などを盛り込んだ。(田中陽介)


◎松前町 新年度予算案発表 物産振興施設の建設など一般42億円
 【松前】松前町(前田一男町長)は28日、2008年度予算案を発表した。4月の町長選を控え、政策的予算を除いた骨格予算編成で、一般会計は本年度当初比6・0%減の42億7740万円。4特別会計と2事業会計を含めた総額は同16・7%減の84億69万円。3月5日開会予定の町議会定例会に提案する。

 歳入の61・1%を占める地方交付税は同0・9%減の26億1523万円。町税は同0・2%減の6億655万円を見込む。歳出の20・3%を占める公債費は、元金利息償還の終了で同4・3%減の8億6948万円。職員給与費は財政健全化計画(98―11年度)に基づき、給料は特別職20%、一般職6―10%、期末勤勉手当は特別職18―25%、一般職2―12%の削減を図る。

 補正予算対応の新規事業は物産振興施設(町唐津)の建設事業に1億4100万円、建石地区コミュニティセンター屋根改修に450万円、清部保育所屋根改修に390万円などを計上。継続事業は産業基盤整備事業の町営牧場家畜し尿処理施設を整備する畜産環境整備負担金として753万円、豊岡と大磯の両地区公営住宅建設事業の実施設計に873万円などを盛り込んだ。(田中陽介)