2008年2月4日(月)掲載

◎「青少年の自立支援の拠点に」…ふくろうの家移転
 児童福祉施設などを退所した青少年の自立を支える、道内唯一の自立援助ホーム「ふくろうの家」が、函館市若松町から同市的場町に移転した。従来より広い民家を活用し、女子の受け入れ、情報発信や相談業務などの事業拡充を図る。高橋一正ホーム長は「道南における自立支援の拠点にしたい」と話している。

 同ホームはNPO法人(特定非営利活動法人)青少年の自立を支える道南の会(藤田俊二代表)が2005年、若松町にある築40年以上の民家を借りて開設。しかし建物が老朽化し、部屋数が少なく男子のみ5人までしか受け入れられない状況だった。

 新施設は木造2階建ての築27年の民家。建物面積は約287平方メートルで、部屋数は12室と、従来の2倍に増えた。公的助成を受けられる定員6人分の個室を確保し、通学や通勤に便利な場所を選んだ。改修工事を加え、子供たちとのコミュニケーションを図りやすくする対面キッチンに変えたほか、入居者の個人スペースは男女別に仕切り、風呂や洗面所、トイレなども別々に設け、女子の入居に備えた。

 このほか、空いている部屋をゲストルームや事務室兼相談室に利用する。新規入居や思春期問題の相談事業、茶話会の開催など地域交流事業にも乗り出す。社会福祉を学ぶ学生らと入居者の交流機会も設ける。

 同ホームには保護者の虐待や経済的事情などで親元で暮らせないおおむね15―20歳が共同生活する。家庭事情で家族の後ろ盾がないため、生活拠点がなく就労できない青少年に寄り添い、自立を支援している。

 まだ公的助成はなく、ボランティア協力や会員らの浄財など、多くの善意が運営を支えるが、改修工事費が当初の見積もりを上回り、財源に600万円の不足が生じているという。全道に自立支援の輪を広げるため、道南での事業定着を目指す同ホームは、寄付などの協力を広く市民に呼び掛けている。

 寄付の申し出など同ホームTEL0138・54・6844。(宮木佳奈美)


◎「鬼は外、福は内」…願いさまざま各所で豆まき
 季節を分ける「節分」の3日、函館市内の寺院や神社では1年の無病息災を祈る節分会(せつぶんえ)や節分祭が行われた。それぞれで豆まきがや厄払いが行われ、参詣者は商売繁盛や家内安全、受験合格などを祈った。 

 ◆500人が厄払い 1年の無事祈る…常住寺

 青柳町の日c」宗常住寺(鈴木日曦寛住職)では、節分会が行われ、檀家や地域住民ら約500人が参詣した。鈴木住職ら僧侶7人が経を唱え、参詣者の厄払いをしたほか、祈とうを申し込んだ約600人の名前を読み上げ、家内安泰や良縁成就、子どもの発育増進など、それぞれが託した願いを祈念した。

 鈴木住職は、寒さが厳しくなるにつれて燃料費が高くなる今の世相に触れながら「火のそばが一番寒いという言い伝えがあるが、それは寒さに背を向けているから。体を積極的に動かすことによって体が温められる。一寸先は見えない世の中だが、むしろ今の時代は世間に背を向けず積極的に生きることが大事」と法話を述べた。

 その後、豆まきが行われ、2手に分かれた参詣者は豆をまくことと、豆拾いをそれぞれ体験しながら1年間の無事を祈った。このほか、福引が行われたほか、参詣者にそうめんが振舞われた。(鈴木 潤)

 ◆豆やもちまく冷水荒行も…高穂神社

 上湯川町の高穂神社(澤口廣宮司)の節分祭では、氏子や地域住民らが豆まきや厄払いなどをして無病息災や家内安全を願った。

 豆まきには、約250人が参詣。澤口宮司や神社役員らに続き、厄年の人や今年の干支(えと)の子(ね)年生まれの人、船主らが順番に豆をまいて、厄を払った。豆のほかにもちがまかれ、参詣者は手を広げたり、「こっち、こっち」などと呼びかけるなどしながら、豆やもちを拾い集め、袋一杯にしていた。

 厄年の人をはじめ祈とうの申し込みをした約500人分の厄払い大祈祷(とう)が行われたほか、澤口宮司や¥ァX(ねぎ)ら6人が境内の湧き水を体にかける冷水荒行が行われた。

 澤口宮司は「皆さんがこの1年平穏で円満に暮らしていければ」と話していた。(鈴木 潤)

 ◆「開運」焼印のまんじゅうも…永全寺

 函館市昭和2の曹洞宗永全寺(齋藤隆明住職)で開かれた節分会では、檀家や近隣住民ら約200人が齋藤住職らの大般若経の転読に耳を傾けたほか、豆まきなどで1年の家内安全や無病息災などを祈った。

 今年は日曜日とあり、同寺が毎月1回実施している「子供座禅塾」に参加している小中学生も加わり、本堂はにぎわった。毎年節分会に参加しているという同市美原1の主婦金田幸子さん(63)は「札幌に住んでいる息子夫婦と2人の孫の健康などを祈ります」と真剣な表情で手を合わせていた。

 豆まきでは、齋藤住職や厄年の参加者らが升に入った豆や「開運」の文字が焼印されたまんじゅうなどをまいた。「鬼は外、福は内」の掛け声の中、一心不乱に豆などを拾い集める参加者の姿が見られた。

 まんじゅうの中には米5キロなどが当たるくじがあり、見事に幸運を引き当てた同市富岡町3の主婦山本倫子さん(64)は「家族の幸せを祈るため、10年ほど前から欠かさず参加している。今年は良い年になりそう」と顔をほころばせた。(水沼幸三)


◎人事評価の試行継続…職員削減の函館市
 新年度から5年間で職員650人の削減を計画している函館市は、職員個々の能力と士気の向上が課題となる。限られた人員で仕事をこなすため、仕事の大胆な見直しや発想の転換を進めるほか、職員研修の充実や勤務実績を給与に反映させるシステムの早期導入などを検討している。

 市は昨年度から、本人と上司による5段階評価による人事評価を実施している。係長職以下の職員の場合、まず職員個人が自己評価をする。次に所属の課長が面談を含め1次評価し、部次長が2次評価、部長が3次評価をする。より客観的な評価になるよう、複数で職員を見ている。

 そうした各部の人事評価を総務部で管理しているが、同部は「部局によっては全体的に評価が甘めだったり、逆に辛口だったりする偏りも見られる」と話す。市職員の仕事は多種多様で、一律の評価基準の作成は難しいが、同部は適正に勤務実績が評価されるよう、手法を補正していく。

 また、本年度から任意で、職員の経歴や資格、業務以外の市民活動やボランティア経験、働きたい部署などを記した「キャリア調書」を提出してもらい、人事評価や異動の参考としている。国の給与制度が改められ、人事評価を昇給に反映することができるようになったため、市も人事評価の補正やキャリア調書などを基に、できるだけ早期に反映させる考え。

 1人1人の能力向上や“脱皮”に向け、職員研修にも力を入れている。市には▽採用時や係長、課長昇格時など階層別の必修研修▽時代を担う職員を育成する各部局からの推薦研修▽キャリアアップに向け、職員が自発的に受講する研修―などがある。

 本年度は新規に、日本政策投資銀行の専門家を招いた政策立案研修やキャリア形成研修、会議や議論の運営技術などを高めるファシリテーター養成研修などを始め、職場の推薦や自らの志願で若手職員らが研修に励んでいる。

 市総務部は「これら人事評価の試行と職員研修の充実で、少人数で行政課題に対応していく体制づくりを進めていきたい」と話している。(高柳 謙)


◎追分、沖揚げ音頭など江差で郷土芸能祭り
 【江差】ニシン漁やヒノキの伐採で繁栄した、江差の風土にはぐくまれた多彩な郷土芸能が一堂に会する「江差郷土芸能祭」(江差観光コンベンション協会主催)が3日、町文化会館で開かれ、会場を訪れた大勢の観客が、情緒豊かな伝統芸能を楽しんだ。

 同祭は第22回江差たば風の祭典(実行委主催)の協賛事業。メーンイベントの「なべまつり」を訪れた観光客に、いずれも道の無形民俗文化財に指定されている、江差追分、江差五勝手鹿子舞(ししまい)、江差沖揚げ音頭、江差三下り、江差もちつきばやしの5つの芸能をはじめ、町指定無形民俗文化財の江差鮫(さめ)踊りなど9演目を披露。函館市から訪れた男性(63)は「江差には1町でこれほど多くの郷土芸能が伝わっていることに驚いた。あらためて江差の長い歴史や文化を実感した」と話していた。(松浦 純)


◎人、人、人…鍋堪能…なべまつり
 【江差】江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)主催の「第8回冬江差“美味百彩”なべまつり」は2日目の3日、約2500人がどっと繰り出し、地元産の海や山の幸をふんだんに使った鍋料理を楽しんだ。

 晴天に恵まれたこの日は、午前11時の開場とともに、住民や観光客が会場の旧生涯学習センター体育館を訪れ、お目当ての鍋料理を求めて、長蛇の列を作った。函館からのツアー客約200人もバスで会場を訪れ、正午すぎには大勢の人出でごった返した。

 会場では、本町地区の商店主でつくる山ノ上商盛会(三国幸吉会長)のメンバーと子供たちがもちつきを披露。つき上がったもちはお汁粉にして振る舞った。函館市から訪れた60代の女性は「もちつきを間近で見るのは50年ぶり。江差ではクジラ汁や三平汁などの鍋だけでなく、多くの伝統が生きていますね」と感心した様子で話していた。

 同協会によると2日間の来場者は3500人を超え、昨年を上回った。打越会長は「屋内開催は好評だった。町内を代表するイベントとして定着した。来年も好評を得られるよう運営や企画を検討したい」としている。(松浦 純)