2008年2月6日(水)掲載

◎危険物取扱者免許、館政さんが完全制覇
 【知内】知内高校(南和孝校長、生徒151人)3年、館政ななみさん(18)がこのほど、危険物取扱者免許の全類(計7種)を取得した。普通科に通う高校生が同免許を“完全制覇”するのは極めて異例。試験を主催する消防試験研究センター道支部(札幌)から表彰される予定で、南校長は「化学分野の知識を必要とする資格だけに、本人の努力のたまもの。後輩たちにも刺激を与えてくれた」と喜ぶ。館政さんは「資格を自信に頑張りたい」と張り切っている。(田中陽介)

 この資格は取り扱う危険物の種類で分類され、一定量以上の危険物を貯蔵する化学工場やガソリンスタンドなどで、取り扱いや定期点検業務などの際に必要となる。

 館政さんは中学時代から化学に興味を持ち、「関連する資格を取得して、自分の進路に生かしたい」と、高校1年の2学期に初めて「丙種」を受験し、合格した。

 1つ上のレベルの「乙種第4類」では不合格も経験し、合格までに1年間を要したが、昨年7月に1、6類、10月に2、5類、12月に3類を次々に取得した。

 受験対策は参考書や過去の問題を集中的にこなしたという。不明な点があると、担当の下川幸宏教諭らに積極的に質問するなどした。

 3年間の担任で理科専門の高杉登志雄教諭は「化学は2年生からの科目なので、1年のときの丙種合格はほぼ独学に近い。最後まであきらめずに努力したことがこの結果を生んだ」とし、佐々木光晴教頭も「普通科でも自分の努力次第で、工業系の知識を身につけることができるということを示してくれた」と目を細める。

 館政さんは「不合格の通知が来るたびに何度もくじけそうになったが、両親から『何回落ちても頑張りなさい』と励まされたことがやる気につながった」と話し、「同級生からも『本当に全部取ったの?』『よく頑張った。すごいね』と言ってもらえてうれしい」と笑顔を見せた。卒業後は札幌の専門学校に通い、公務員合格を目指すという。


◎市中央卸売市場を地方卸売市場に転換方針
 函館市は5日の市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)の委員協議会で、取扱数量の減少が続いている市中央卸売市場(西桔梗町589)を「地方卸売市場」に転換する方針を明らかにした。地方市場は国からの規制が少なく流通の自由度が増し、併せて市場運営コストを削減することで、市場関係者の経営基盤が強化できる。市は2008年度中に国などへの手続きを終え、09年度から移行したい考えだ。(今井正一)

 中央市場は、国の認可を受けた地方自治体だけが設置できるが、地方市場は自治体のほか、協同組合や民間事業者なども都道府県知事の許可を受けて開設ができる。地方市場は卸売市場法の規制が少なく、業者や開設者の事務負担軽減、市場外での卸売販売が可能などのメリットがある。

 市中央市場は1975年に開設。ピーク時には取扱量が約12万3000トン(87年度)、取扱金額は約215億円(93年度)あったが、供給圏人口の減少や大手量販店進出による市場外流通の拡大などの影響で、市場規模が年々縮小し、本年度は取扱量が約6万1500トン、金額が約136億円と見込まれている。

 農林水産省は04年に第8次卸売市場基本方針の中で、再編基準4項目を定め、そのうち3項目に該当する中央市場は地方市場へ転換するよう促した。ただ、釧路市中央市場では再編基準の該当は花き部だけだったが、06年4月に市場全体を地方市場としている。

 函館の場合、基準項目のうち該当するのは「取扱数量3年連続の減少、青果物の減少率9・9%以上」の1項目だが、今後も需要の増大や大幅な集荷力向上が見込めないことから、地方市場化の検討を開始。昨年9月には、卸売業者や仲卸業者組合など9団体でつくる「市場のあり方検討委員会」を設置し、販路拡大や特色ある市場づくり、システムの効率化を含めて市場再編策を議論している。

 この日、上戸慶一農林水産部長は「地方市場は、国の関与や開設区域内での市場外販売など規制が少なく、業者によるさまざまな商取引が可能となる」と説明。同時に、指定管理者制度の導入や、企業会計から特別会計への移行で市場運営費を圧縮して得た財源を市場使用料に充て、業者負担を軽減する考えを示した。

 今後の議会や検討委員会での意見を踏まえ、新体制の方向性を検討し、市は08年度中にも農水省や道への転換許可申請などの手続きを行う方針。


◎定住化サポートセンター開設3年、27組54人が函館移住
 首都圏などからの定住促進事業を進める函館市が、市役所内に市定住化サポートセンターを開設し、2日で3年が経過した。同センターを利用した移住者は3年間で27組54人に上り、着実に実績を上げている。友人や親類、同窓会などを通して定住事業を知り、相談に訪れた人が多いことから、市は口コミによるPR効果も大きいとみて、今後の戦略に生かす。

 27組の内訳は、関東15組、道内6組、東海2組、東北2組、九州1組、海外1組。同センターを通した実績で、実際にはこの何倍もの移住者がいるとみられる。市内のハウスメーカーは「分譲マンションの客層は首都圏などの退職者世代が多く、定年を迎え古里へ回帰する動きが出ている」と指摘する。

 定住事業を担当している市企画部によると、3年間で相談が562件あった。内訳は電話237件、来庁139件、電子メール131件で、この3つで全体の9割を占める。来庁しての相談は、観光や帰省などで訪れた際に立ち寄るケースが多いという。相談者は国内全域から外国まで幅広い。約5割が関東で、2割が道内。

 主な相談内容(重複あり)は、住宅情報が4割、市の取り組みが3割、民間企業の北海道コンシェルジュが仲介している体験移住「ちょっと暮らし」が2割強となっている。昨年度から始まった体験移住も堅調で、2006年度は23組52人、本年度は予約を含め25組56人となっている。

 全体的な傾向として、道内からの相談者は、雪が少ない函館の気候や都市機能など、道外からは旅行で訪れた好印象や空港に近い利便性などが評価されているという。定年後も働きたいと考えている人が多く、夫婦のどちらかが函館や近郊出身であるケースが多い。

 市の定住促進事業を知ったきっかけを聞いたところ、報道やホームページなどのほか、身内や友人の紹介、高校の同窓会などが多かった。同部は「親類や知人からの情報は信頼度が高く、PR力がある。定住促進パンフレットを市内の公共施設に置き、市民の協力を求めるほか、首都圏の同窓会などで配布する取り組みも強化したい」と話している。 (高柳 謙)


◎ロシア極東大函館校、就職希望の学生が全員内定
 ロシア極東国立総合大学函館校(イリイン・セルゲイ校長)の今春卒業する全学生の進路が決まり、就職希望者6人は例年より早い12月までに全員が内定を得た。ロシアの経済成長に伴い、交易でのロシア語需要の高まりが背景にあり、同校は「高い語学力を武器に、きめ細かな就職指導で学生の就業意欲が強まり、内定につながった」と喜んでいる。(宮木佳奈美)

 同校によると、好景気のロシアへ進出する日本企業が相次ぎ、東京や名古屋の貿易、物流関連の商社から求人が増加。ロシア語が堪能な即戦力となる人材が求められているという。

 同校では本年度から求人や企業の情報提供、就職相談の拠点となる「キャリアサポートセンター」を校内に整備し、就職支援を強化。小規模校の利点を生かした個別指導などが実を結び、昨年に引き続き希望者全員が就職を決めた。

 本年度の就職希望者は2年制の学生2人、4年制が4人。このうち4人(2年制1人、4年制3人)が函館市内の物流会社などに内定した。小笠原雅事務局長は「学んだことを生かせる就職先が少ない函館で、4人も内定したのは異例」と話す。

 ただ、ロシア語を話せる人材の需要が高まる一方、同校の学生数が求人より少ないのが悩み。小笠原事務局長は「今後もさらに高度な語学力と就職試験を勝ち抜く総合力の育成に力を入れたい」とし、高就職率を強みに学生確保につなげていきたい考えだ。


◎荒井さんが特別講座「ギフトのデザイン」
 本紙でコラム「暮らしのパレット」(毎週日曜掲載)を執筆する荒井三津子さんの特別講座「ギフトのデザイン」が4日夜、函館短大付設調理師専門学校で開かれた。実習を交え、すてきな贈り方や贈答文化、伝統について楽しく学んだ。

 荒井さんが主宰する花と料理の学校「エコール・ド・フルール函館教室・生活デザインコース」の特別講座。バレンタインデー(14日)を前に、「贈る・伝える―を考える」とのテーマで、荒井さんが贈答文化を解説した。

 荒井さんは「『贈る』とはコミュニケーションツールの一つで、農耕民族だった日本人にとっては必要だった」と紀元を探り、のしやふろしきなど「包む」という手間、白色に対する美意識などにも触れた。

 その後、市販されているチョコレートギフトに生花や果物、野菜などを加え、見た目も美しい贈り物に変える実習や、皿にケーキと果物、アイスクリームをセッティングする実習が行われ、参加者は楽しそうに取り組み、暮らしを楽しむエッセンスを学んだ。さらに、盛りつけたデザートを味わい、楽しいひとときを過ごした。

 参加した同校助手の細川麻理子さん(31)は「一手間かけると印象が全く変わる。手間の大切さを学んだ。学生たちにも伝えたい」と満足そうだった。

 荒井さんの年間講座は3月から月1回(第1週または第4週の木曜日夜間)2時間開講。1期(3カ月)ごとに受講生を受け付け、受講料は1期1万2000円(材料費、会場費別途)。問い合わせ、申し込みは011・521・7517。(笠原郁実)


◎道南期成会/新幹線の早期開業に向け要請へ
 北海道新幹線建設促進道南地方期成会(会長・高野洋蔵函館商工会議所会頭)は7日、新青森―新函館間の早期開業、札幌までの未着工区間の早期認可などを求める要請書を政府・与党の検討委員会メンバーや関係省庁に提出する。中央要請は本年度6回目。

 道新幹線の整備区間(新青森―札幌)のうち、新函館までは2015年度までの開業を目指して建設工事が進行中。新函館―札幌区間については、政府・与党が全国を含めた3路線3未着工区間の事業化に向け、3月末までに結論を出すよう財源確保の検討などを行っている。

 参加するのは管内自治体の首長ら同期成会メンバー約10人で、関係する国会議員らに対し、新函館―札幌間の早期着工や公共事業費の重点配分などによる建設財源の確保などを要請する。

 渡島支庁の鳴海正一地域振興部新幹線推進室長は「道、期成会として、1日も早い札幌延伸実現を望んでいることを政府・与党関係者に伝えたい」と話している。(新目七恵)