2008年3月1日(土)掲載

◎チンチン電車を走らせよう会がカラオケ電車で親ぼく会
 函館チンチン電車を走らせよう会(佐原幸子会長)は29日夜、カラオケ電車「アミューズメント・トラム」号を利用して親ぼく会を開いた。今年は1988年の発足から活動20年目を迎え、記念の「雪見電車」として貸し切り運行。心地よい揺れとともにビールやカラオケを楽しんだ。

 同会の会員は85人。函館市電や復元チンチン電車「箱館ハイカラ號」の応援団として活動を続けている。この日は28人と交通局の林英雄管理運輸部長が参加した。

 電車は、午後6時半に駒場車庫を出発し、函館どつく前間を往復。佐原会長は「おかげさまで会は20年を迎えた。もっとカラオケ電車も利用しましょう」とあいさつ。林部長の音頭で乾杯し、早速カラオケをスタートした。車内では、弁当やつまみなどを食べながら、カラオケや会話を楽しみ、電車の魅力を存分に味わっていた。

 佐原会長は「海と山の間を悠々と走る電車は本当に函館の街によく似合う。会員は皆、電車が大好きな人ばかり。人にも環境にも優しい電車をもっと利用してもらえれば」と話していた。(今井正一)


◎全商の検定 3種目以上1級合格者…函商高卒業生全道2位
 函館商業高校(三浦法久校長)の本年度卒業生が、全国商業高校協会(全商)主催の検定試験で、同校としては過去最高の76人が3種目以上1級合格者となった。学校別合格者数は全道では2位。さらに、小松智行君は、全道最多の7種目で1級を取得。三浦校長は「教員と生徒が一丸となって取り組んできた成果が現れてきた」と喜んでいる。

 全商の検定試験は(1)簿記実務(2)商業経済(3)ワープロ実務(4)珠算実務(5)電卓実務(6)情報処理(ビジネス情報部門)(7)同(プログラミング部門)(8)英語の8種類。高校卒業までに3種目以上を取得すると、全商から表彰を受ける。

 道内で本年度、3種目以上で1級を取得したのは543人。学校別の合格者数が最も多かったのは札幌東商業高の90人。函館商業は数年前から補習の充実や生徒の意識改革などに取り組んできた結果、2005年度卒業生の20人から、06年度は52人、本年度は76人と伸ばしてきた。種目別合格者数は7種目1人、5種目7人、4種目22人、3種目46人だった。卒業生は全日制が231人、定時制は13人。

 本年度の7種目合格は全道でも5人しかおらず、8種目は該当者なしだった。7種目合格した小松君は、小学校4年から珠算を習っていた強みを生かし、珠算実務1級を1年生で取得。着々と勉強を重ねては試験を受けてきた。特に熱中したのが情報処理プログラミング部門。「ひたすら突き詰めて勉強していたら1級の力がついていた。将来はプログラマーになりたい」と話す。校内に6種目以上の取得者がいないことに「ライバルがいなかったので、皆にもっと頑張ってほしかった」と振り返る。

 学校始まって以来の快挙に三浦校長は「わが校は専門高校(職業高校)として、地域に人材を輩出しなければならない使命を持っている。このいきおいを保ち、来年度以降も優秀な生徒を増やしたい」と意気込んでいる。(小泉まや)

 同校で5種目を取得した生徒は次の通り。(敬称略)

 伊藤伸悟、森本有紀、谷口勇太、田畑海、木村菜摘、溝井智美、内山香衣


◎若年、単身者ほど低く…函館市職員の町会加入率
 函館市職員の町会加入率が、若い世代や単身者ほど低いことが、市が実施したアンケートの結果であらためて分かった。回答のあった職員全体の加入率は78・3%で、50代は9割以上と高かった。職員の町会加入は西尾正範市長も重視しており、市は町会連合会と連携し、若い世代にも参加しやすい町会活動の在り方を探り、加入促進を図る。

 市全体の昨年4月の町会加入率は、世帯ベースで66・1%。加入率の低下が深刻化する中で、市職員が率先して加入することが求められていることから、市民部が実態を調査した。昨年10月、教育職を除く全職員3736人を対象に実施し、72・9%、2724人が回答した。

 年齢層でみた加入率は、51歳以上が93・6%と最も高く、年齢が下がるほど低下し、30歳以下は48・1%だった。世帯の状況をみると、家族がある世帯は8割から9割が加入していたが、単身者のおよそ3人に2人は未加入。

 持ち家がある回答者の9割以上は加入していたが、賃貸のアパートやマンションで暮らす職員は4人のうち3人が未加入で、居住形態で大きな差が見られた。

 町会活動に携わってみたいか、との質問で「思う」「誘われればやってもいい」は全回答者の5割弱で、「思わない」は5割ちょうどだった。

 活動したいと思わない職員に理由を3つまで挙げてもらったところ、「仕事以外のこのような活動は苦手」(496人)、「役員が高齢者ばかりで近寄りがたい」(273人)、「行事への参加者は高齢者が多い」(195人)が上位を占めた。

 活動の中心が高齢者となっている現状が、若年者が入会をためらう要因として考えられることが分かる。ただこれは、若年者の加入が少ないため、高齢者が活動を担わなければならないことの裏返しでもある。町会連合会の敦賀敬之会長は「市職員の加入率は決して低くはない」と断った上で、「市職員の知恵や考えは貴重で大切。若い人の意見を聞きながら町会を立て直していくためにも、少しでも多く加入してもらいたい」と願う。

 市の斎藤俊一市民部長も「多くの自治体が推進する『地域力の向上』や『市民協働』には、市民はもとより市職員が果たす力が大きい。任意の組織だが、地域の連帯や防災など果たす役割は大きく、重要性を再認識してもらうことで加入を増やしていきたい」と話している。(高柳 謙)


◎水試元場長を懲戒免職…スケトウ汚職で道
 道は29日、スケトウダラの漁獲枠をめぐる贈収賄事件で、収賄の罪で有罪の判決を受けた前道立函館水産試験場長の奥野英治被告(58)=函館水試参与=を同日付で懲戒免職処分としたほか、高橋はるみ知事の減給や幹部職員5人の処分を発表した。

 道によると、奥野被告は2005年、道漁業管理課長の立場を利用して森漁協(森町)のスケトウダラ漁獲枠に便宜を図り、その見返りなどとして同年4月27日、札幌市内の飲食店で森漁協組合長から現金120万円を受け取ったとして函館地検が収賄罪で起訴、19日に函館地裁で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 同日午前の記者会見で、高橋知事は道政責任者として自身の4月分の給与の20%の減額を発表したほか、元道水産林務部漁業管理課主幹2人を戒告、管理監督者として山本邦彦副知事、近藤光雄副知事を訓戒、武内良雄水産林務部長を訓告処分とした。

 高橋知事は「今後再発防止に向け、道庁内の規律厳正化に取り組みたい」と話した。


◎IT法廷完成 裁判員制度に向け函館地裁
  2009年に始まる裁判員制度に向け、函館地裁に大型ディスプレーなど情報技術(IT)機器を整備した法廷が完成し、29日に報道関係者らに公開された。一般市民から選ばれる裁判員に審理を分かりやすくする狙いで、今後は図表や画像を多用した“ビジュアル系”の公判が展開される。

 同地裁2階の第2号法廷の左右の壁に65インチの大型プラズマディスプレーが1台ずつ掲げられ、裁判官や裁判員が座る法壇と、検察官、弁護人の席にもそれぞれ15インチの液晶モニター計10台が設置された。

 ディスプレーやモニターの画面には、証拠写真や検察、弁護側双方の冒頭陳述などの要点が表示できる。このほか、被告や証人が座る証言台にはタッチパネル式の液晶画面が取り付けられ、事件現場の見取り図などに専用のペンで直接書き込み、その場で印刷もできる。

 2号法廷は裁判員制度に対応するため、06年に裁判官3人と裁判員6人が横一列に座れる円弧状の法壇を整備。本年度は全国の地裁(支部を含む)70法廷でIT機器の設置が進められている。同地裁は「裁判員らに視覚的に訴えることで審理が分かりやすくなり、公判が円滑に進められれば」と期待を寄せている。ィ(森健太郎)