2008年3月10日(月)掲載

◎春の陽気…函館9.7度
 9日の道南地方は前日に続き気温が上がり、函館海洋気象台によると、最高気温は函館市美原で9・7度、江差で9・6度、松前で9・4度、木古内で9・0度など、すべての地域で4月上旬の暖かさで、今年最高の気温を記録。春の陽気を感じさせる一日となった。

 函館市の五稜郭公園の雪はほとんど姿を消し、氷で覆われている堀は、橋の下で水面が見られるなど、冬の色合いが急速に薄れている。歩道は雪解けによる水たまりが多く、訪れた観光客らは、足元を気にしながら散策を楽しんでいた。

 晴天の中、中には日傘を差しながら歩く人も。京都から訪れた狩野幸弘さん(62)は「1週間ほど前の京都の暖かさで、良い日に来ることができました」と喜んでいた。同気象台は、10日の渡島地方の気温は10度まで上がると予想している。(山崎純一)


◎五稜郭―木古内 並行在来線の利用調査へ…北海道新幹線
 2015年度に予定されている北海道新幹線新函館―新青森開業で、JRから経営分離される江差線五稜郭―木古内間(37・8キロ)の将来の在り方を検討するため、地元沿線3市町と道は新年度、地元住民の利用状況調査を実施する。第三セクター方式による鉄道維持の場合とバス路線に転換した場合の需要や収支見通しを示す予定。

 函館市、北斗市、木古内町と道で組織する北海道道南地域並行在来線対策協議会(会長・高橋はるみ知事)が、約1200万円の予算で民間に調査を委託する方針。着工に当たり、地元沿線3市町は並行在来線の経営分離に同意しており、同協議会は着工直後の2005年7月に発足した。

 函館市新幹線対策室によると、調査で五稜郭―木古内間の利用動向を把握し、鉄路存続とバス転換した場合の利用者数や収支見込みを示す。住民がどのような形で利用しているか、乗降客がどのような目的でどの区間を利用したか―などの調査が想定されている。調査結果を踏まえ、開業の3―4年前までに方向性を決める方針。

 開業後の並行在来線の輸送形態について、函館市と木古内町は「現段階では方針を決めていない」が、北斗市は「鉄路の存続を基本として検討を進める」(企画課)との考えを示している。

 整備新幹線開業後の並行在来線は、全国的に地元自治体が第三セクター方式で鉄道路線を維持している。東北新幹線の開業により、旧JR東北本線の盛岡―目時間をIGRいわて銀河鉄道が、目時―八戸間を青い森鉄道が引き継いだ。ただ、経営分離される並行在来線は収益性が低い路線であるため、全国の三セク鉄道の経営状態は厳しい。

 五稜郭―木古内間の利用動向調査は1年かけて実施し、結果を基に協議会の中で将来の在り方を検討していく。(高柳 謙)


◎渡辺教諭(市立函館)が文部科学大臣優秀教員に
 市立函館高校の渡辺儀輝教諭(理科)=42歳=が、本年度の文部科学大臣優秀教員に選ばれた。渡辺教諭は、実験を多く取り入れた授業や、論文発表の実績、本紙に毎週土曜日掲載する「Let’s Try(レッツトライ)理科実験」など、学習指導の実践を評価された。道教委渡島教育局の忠嶋隆局長が7日、同校を訪れ、表彰状を伝達した。

 同表彰は、全国の国公立・私立学校の現職の教職員(経験10年以上で35歳以上)を対象にしており、本年度が2回目。2006年度の道教育実践表彰・教職員表彰の受賞者のなかから道教委が文部科学省に推薦した。今回、渡島管内からの受賞者は渡辺教諭のみ。道内では他に12教諭が選ばれた。

 渡辺教諭は1966年網走管内美幌町生まれ。旭川東高校を卒業し、北大大学院地球物理学専攻修了。南茅部高校などを経て現職。

 専門は物理。多彩な実験を工夫して授業の魅力を高めるとともに子どもから大人までを対象にした理科実験教室を開催している。さらに日本物理教育学会に所属して論文も発表している。

 表彰状を手渡した忠嶋局長は「理科教育が注目を集めている中、渡辺教諭の実践は素晴らしい。学校の授業はもちろん、今後も地域の興味を広げてほしい」と激励。同校の森武校長は、「教科だけでなくわが校の運営上なくてはならない存在。これまで通り自由に活動できるように応援したい」と話した。

 渡辺教諭は「評価は大変うれしく身に余る光栄。優秀教員の名に恥じないよう、今後も活発に教育活動を展開したい」と話し、「家族ぐるみで親しめるような理科実験教室続けたい」と喜びを語っている。(小泉まや)


◎後期高齢者医療制度撤回へ署名活動
 函館地方社会保障推進協議会(堀口信会長)の会員ら約20人が9日、函館市本町で、4月1日から75歳以上の高齢者などを対象に始まる後期高齢者医療制度の中止、撤回を求める街頭宣伝と署名活動を行った。

 同制度をめぐっては、民主、共産、社民、国民新の野党4党が制度の中止・撤回法案を国会に提出している。

 会員らは「75歳以上の高齢者を一般の医療保険から切り離して別立ての保険とするのは世界にも例がない。保険料は年金から天引きし、滞納者には資格証明書を発行する。高齢者の医療機会を奪う制度」と訴え、道行く市民に制度の中止・撤回を呼びかけた。(鈴木 潤)