2008年3月13日(木)掲載

◎クンシラン オレンジ鮮やか…熱帯植物園
 函館市営熱帯植物園(湯川町3)で、温室内のクンシランが見ごろを迎えた。鮮やかなオレンジ色の花が咲き乱れ、来園者の目を楽しませている。

 漢字で「君子蘭」と書く名前から、ランの仲間と思われがちだが、ヒガンバナ科の常緑多年草。園内には約300株が群生する。黄色い花や葉に模様が入った品種、「ダルマクンシラン」と呼ばれる葉が丸くて幅が広いものもわずかに混じっている。

 ことしも例年通り3月初旬から徐々に咲き始め、全体の3分の2が開花した。同園を管理・運営するNPO法人函館エコロジークラブの坂井正治さんは「大きな木のそばで陰となり、日焼けしないできれいに育った。家庭より半月ほど早く咲いたのでは」と話している。まだつぼみも残っており、4月末まで楽しめるという。(宮木佳奈美)


◎企画【医療連携 いま】(中)転院スムーズ 早期回復
 「患者が転院する前から治療方針をある程度確立することができ、患者の早期回復につなげることができる」――。

 高橋病院(函館市元町32)の理事長で、道南地域医療連携協議会の高橋肇理事はネットワークシステム「メディカ」のメリットを強調する。

 「メディカ」の本格始動を前に、市立函館病院(吉川修身院長)など函館市内7医療機関が同協議会の準備委員会を立ち上げ、システムの試行を重ねてきた。特に市立函館病院と高橋病院との間では、昨年4月から今年2月までの約8カ月間、350人ほどに対し同システムによる連携医療を行った。

 「急性期」病院の市立函館病院にとっては、重症で入院した患者をいかに早期に退院させ、リハビリテーションなど「回復期」の治療に移行するかが重要だ。一方、「亜急性期」から「回復期」「慢性期」と幅広い疾患に対応する高橋病院は現在、リハビリテーションを強化しており、高橋理事は「急性期から回復期にかけてタイムラグ(時間差)があってはならない。病院間の連携は大事」と語る。

 同システムの活用によって、患者も医師と一緒にパソコンの画面に映し出された診療情報を見ることができ、医師も治療の流れを即座に把握できる。また、診療情報がインターネットを通じて他の医療機関でも見られることから、標準化した医療提供につながるとの期待もある。

 また、地域医療連携を充実させるためには、診療所の果たす役割も欠かせない。北美原クリニック(函館市石川町350)理事長で、同協議会の岡田晋吾副理事長も「病院、診療所、訪問看護ステーションといった各施設の密な連携が必要」と話す。在宅医療や掛かり付け医の観点からも、同システム活用の重要性を説く。

 患者が専門的な治療を必要とする場合、診療所から専門医を紹介するケースは多い。外科でも医師によって得意分野があり、そうした部分は病院のホームページでは掲載されていない。医師にとってより的確な情報をシステムに盛り込むことで、患者を良質な医療に導くことが可能になる。まずは病院や医師に関わる情報の共有化が求められている。

 さらには、疾患ごとの治療法や投薬のアドバイスなど、教育的な機能としての期待も高く、診療所同士の連携で、在宅医療の「空白日」の対応も可能となる。

 「システムによる情報共有化によって、患者にとっても2人以上の掛かり付け医を持つことができる。有益な情報をいかに盛り込むことができるかで、システムの価値も高まるはず」。岡田副理事長はこう話す。


◎日新小・金澤君が金賞に…日本郵政コン「絵手紙部門」
 日本郵政の「第40回手紙作文コンクール」で、函館日新小3年の金澤幹(まさし)君(9)の作品が、絵手紙部門の金賞に輝いた。習っているそろばんを力強く描いた勢いのある作品で、約5万点中の上位48点に、小学生としては道内で唯一選ばれた。金澤君は「うれしい。これからもいろんな絵を描きたい」と喜んでいる。市内在住の神山照子さん(68)も同部門の銅賞に選ばれた。

 同コンクールは手紙文化の振興を図り、文章表現での交流を通じて心豊かな子供らの育成を目的に毎年開催。今回は昨年7―9月に募集し、絵手紙部門には全国から計4万8129点が寄せられた。最高賞の文部科学大臣賞、郵便事業株式会社賞に各4点、3位の金賞に40人、銀賞に80点、銅賞に120点が選ばれた。

 作品はそろばんを大きく描き、「段までいきたい」との文字を添えた。金澤君は3人兄弟の末っ子で、これまで兄の使い古したそろばんを使っていたが、壊れて新品を買ってもらったうれしさや期待を込めたという。

 近所の水戸教子さん(59)が主宰する「珠算・書道教室」に就学前から通っており、趣味で絵手紙を続ける水戸さんに勧められ、勉強の合間に挑戦した。今はそろばん3級の試験を目指して特訓中で、「新しいそろばんで段までいきたいなと思って書いた。家族もすごいねと喜んでくれた」と話す。

 神山さんは水戸さんが代表を務める絵手紙サークル「戸井きらきら星」のメンバー。銅賞の作品はニンジンの絵に「栄養満点」などとつづったもので、「(受賞は)信じられない。絵は苦手だけど、続けるうちに描く意欲も沸いてきたので、賞を励みに今後も頑張りたい」と笑顔で話す。

 日本郵政の絵手紙コンクールには03年から水戸さんが3度、同サークルメンバーも1度入選しており、今回のダブル受賞に、水戸さんは「とにかくびっくり。絵手紙は自分の思いが素直に表現できるのが魅力。今後も仲間づくりとして楽しみたい」と話している。(新目七恵)


◎主犯格らに3人に懲役5―10年…高3集団暴行死
 函館市内の私立高3年佐藤智也君(当時18)が昨年8月、中学時代の同級生ら7人から集団暴行を受けて死亡した事件で、起訴された少年4人のうち、傷害致死や強要などの罪に問われた、佐藤君の元同級生で主犯格とされる少年(18)と、最年長の無職少年(19)、犯行当時15歳の元高校生(16)の3被告に対する論告求刑公判が12日、函館地裁(柴山智裁判長)であった。

 検察側は論告で「長時間、多数回にわたり執拗(しつよう)に攻撃するなど、犯行は残忍で極めて悪質」として、主犯格の少年に懲役5年以上10年以下、無職少年に同5―9年、元高校生に同5―8年の不定期刑をそれぞれ言い渡し、結審した。判決は27日。一連の事件で起訴された4少年の審理はこの日で終了した。

 論告で検察側は「被害者を痛め付けて楽しみ、自己の力を誇示しようと考えた短絡的で自己中心的な動機に酌むべき事情は全くない」と指摘した上で、「人命軽視も甚だしく、人間性が感じられない」とした。

 主犯格の少年について、検察側は「無抵抗の被害者の顔を約5回強く踏み付けた暴行が致命傷となった可能性が高い」と強調。「一連の犯行の主導的な役割を果たしたことは明らかで、最も責任が重い」とした。弁護側は「傷害致死事件には計画性がなかった」などとして寛大な判決を求めた。

 主犯格の少年は、最後に用意した手紙を読み上げ、反省と後悔の念を述べる一方、「家族は『ずっと待ってる』、友達は『ずっと友達だ』と言ってくれた。今まで生きてきて良かったと心の底から思う。社会復帰したら強く正しく精いっぱい生きていきたい」と話した。


◎イカマイスターに168人…合格率92.8%
 函館市の「市の魚」に指定されているイカについての知識を問う「第1回函館イカマイスター認定試験」の結果が、このほどまとまった。受験した181人のうち、合格者は168人に上り、合格率は92・8%と高い値を示した。

 この試験は、同市内の漁協や水産加工団体などでつくる函館水産物マイスター養成協議会(藤原厚会長)が、イカの地域におけるブランド力強化や、食育の推進などを目的に初めて取り組んだ。1月中旬の3日間、イカの生態や調理法などに関する講習会を開き、規定の受講科目数を受験条件とした。

 1月下旬に行われた試験には男性141人、女性40人が挑戦。地域別では函館市が137人と最も多く、同市以外の道南が20人、道南以外の道内が13人、道外が11人だった。

 試験の出題数は100問で、合格ラインは70点以上。受験者の平均点は73・4点、最高点は97点で、114人が合格。また、2月上旬には、不合格者を対象に出題内容を変更した「追試」を実施し、受験者60人のうち54人が合格を果たした。合格者には近く「函館イカマイスター」を認定する賞状とカードを発送する予定。

 同協議会は「事前の講習会では、活発な質疑応答が交わされるなど、好評を得た。今後、試験の開催時期については、より多くの人に受験してもらえるよう、十分に検討を重ねていきたい」と話している。(浜田孝輔)