2008年3月14日(金)掲載

◎目指せアイドル!…熱帯植物園 イグアナのカブちゃん、ジュミちゃん
 函館市営熱帯植物園(湯川町3)の温室にこのほど、2匹の「グリーンイグアナ」がお目見えした。どっしりと迫力ある姿が来園者の注目を集めている。

 同園を管理・運営するNPO法人函館エコロジークラブが9日、北斗市の女性から譲り受けた。2匹のうち、体が緑色なのは「カブちゃん」、茶色いのが「ジュミちゃん」という名前で、いずれも年齢は推定7歳で、体長は90?もあるという。

 同法人によると、イグアナはトカゲの一種で、中南米などの熱帯雨林に生息する。中でもグリーンイグアナは歯がなく、植物の葉や花、果実を食べるのが特徴。鋭い爪を持ち、水槽のガラスをよじ登ろうとする姿に、訪れた子供たちは「すごーい」などと歓声を上げていた。

 同園では昨年11月にもイグアナを譲り受けて飼育していたが、寒さで死んでしまった。今回は温室内の窓際に水槽を設置し、3台の暖房器具で温度管理しながら飼育している。

 同法人植物園担当の坂井正治さんは「イグアナが植物園のアイドルになってくれれば」と期待している。(宮木佳奈美)


◎企画【医療連携 いま】(下)「人と人」結び付き 重要に
 「医療連携システムはあくまでツール(道具)。医者同士、医者と患者同士が顔なじみの関係を構築しなければ」―。道南地域医療連携協議会の下山則彦副理事長(市立函館病院副院長)はこう語る。

 医療連携ネットワークシステム「メディカ」は全国的にも例が少ない双方向型だ。大型病院を中核とする片方向型が一般的なだけに、メディカの活用は先駆的な取り組みとも言える。

 片方向型システムでは、中核の病院が患者を独占する“囲い込み”につながる傾向にあり、結局、患者の細かなニーズに応えることができなくなり、失敗するケースが多いという。

 だからこそ、下山副理事長は共通の認識に立った人対人の“真の連携”の重要性を強調する。

 システムを安定的、持続的に活用するためには、協議会の体制強化も必要だ。現在の任意団体から将来的にはNPO法人化し、地域医療の充実に貢献する公的機関としての組織の発展を目指している。さらに参加する医療機関を募り、医療情報を増やしていくことでシステムの利用価値を高めたい考えだ。

 システムを使った医療連携は道南の医療機関にとって前例のない取り組みだが、運営を軌道に乗せていくためにはさまざまな課題を解決していく必要がある。

 例えば、@協議会不参加の医療機関や福祉施設、訪問看護などとの間で情報が分断される可能性があるA患者の同意取得を前提とする中で、緊急時や認知症患者に対して同意が得られるのかB患者が同意範囲の制限を要求した場合どう対応するか―といった点が指摘されている。

 同協議会の理念はシステムを通して地域完結型の医療を構築し、患者の満足に結び付けること。地域に信頼されるシステム構築に向け、高橋肇理事(高橋病院理事長)は「医療技術の質の確保は必要条件。また、患者の状態が悪くなったとしても、地域全体で効率的に医療やケアを投入できる体制づくりも大事」と話す。岡田晋吾副理事長(北美原クリニック理事長)も「地域医療連携の良し悪しが、道南の医療の行く末を決めるということを、市民全員に認知してもらうことが大切」とする。

 医療機関同士が患者を奪い合う競争から、機能分化、役割分担する“共生の道”をどう切り開いていくか。メディカの真価が問われるのはこれからだ。(鈴木 潤)


◎旧江差南高を売却へ…道教委
 【江差】道教委は13日までに、2006年3月末に閉校した道立江差南高校(江差町豊川町62)の校舎、敷地の売却に向けて購入希望者の募集を開始した。

 敷地の総面積は3万3188平方メートル。校舎は1987年に建設され、鉄筋コンクリート4階建て(実習棟部分は63、68年建設)で、延べ床面積は1万166平方メートル。屋内体育館や格技場もある。夜間照明があるグラウンドは1万1218平方メートル。アスベストの使用部分はなく、ポリ塩化ビフェニール(PCB)は撤去済みという。

 道教委は校舎と敷地の概算評価額を約7億4000万円としている。売却方法は敷地と建物の一括が原則。社団法人、財団法人、学校法人、社会福祉法人などの公益法人、公的機関に優先して売却する。公益法人以外には一般競争入札による売却を予定。

 江差南高校は06年3月、道立江差高校(江差町)との再編統合に伴い閉校した。道教委は江差町に無償譲渡を打診。老朽化が著しい江差中学校の移転論も浮上したが、校舎改修や維持費に多額の経費を要することなどを理由に、町は昨年9月に受け入れを見送った。町は「道教委に地域の活力となるような利活用の方法を求めていきたい」としている。募集期間は6月30日まで。問い合わせは道教委施設課TEL011・204・5709へ。(松浦 純)


◎連載企画/「障害者に豊かな時間を」(上)放課後活動 充実の場に
 障害児を対象とした学童保育所の放課後児童クラブ「らるご」が4月、函館亀田小学校内に開設される見通しとなった。運営するのは障害児の保護者らでつくる函館市内のNPO法人(特定非営利活動法人)「みんなのさぽーたーわっとな(わっとな)」(山口照美代表)。市の来年度予算案に委託料などが計上され、発足当初からの願いだった障害児の余暇や保護者の就労支援の充実が前進する。「わっとな」の活動を振り返り、現状や関係者の思い、展望を3回にわたって報告する。

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 「障害がある子供たちの放課後や休日が豊かなものになれば」―。山口代表はこれから開設する学童保育所にそんな願いを込め、イタリア語で「豊かに、ゆっくり」という意味を持つ「らるご」と名付けた。

 山口代表の長男楽斗(がくと)君(7)は知的障害を伴う自閉症。「わっとな」立ち上げ前は、障害児の余暇活動の支援などを行う施設を利用していた。06年3月でその施設がサービスを終えることになり、利用者の親やボランティアが協力し、同様のサービスを継続しようと活動を始めた。

 「わっとな」は07年8月にNPO法人化し、市内宇賀浦町の事務所(現在は鍛治2に移転)での一時預かりを行うフリースペース「すきっぷ」、市内・近郊の公園やプールなどで遊び、充実した余暇を過ごす手助けをする「ちゃれんじ」の事業を続けている。

 足当初からの計画だった学童保育所の開設に向け、障害児の余暇の過ごし方について、市内の小中学校に通う障害児の保護者にアンケートを実施した。その結果から「障害のある子供たちの大半は家で家族と過ごしている」ことが、あらためて浮き彫りになった。「週1、2回でも子供を見てもらいたい」「いろいろな経験をさせてあげるためにも、学校以外でも安心して過ごせる場所があれば」などの声も多く寄せられた。山口代表は「一時預かりや学童保育へのニーズの高さが分かった」と話す。

 「学童保育所への入所が難しく、毎日工夫しながら子供を預けて働くお母さんの役に立ちたい」。山口代表の学童保育所開設に寄せる思いは強い。市教委生涯学習課も「今まで長時間の仕事に就けなかった保護者を支援する意義のある事業。新たな受け入れ態勢ができるのは心強い」と期待している。 (宮木佳奈美)

 放課後児童クラブ「らるご」

 知的障害や自閉症など発達障害のある小学生を対象にした学童保育所。平日の放課後から午後5時まで、土曜、長期休暇期間は午前8時半から午後5時まで児童を預かる。希望者は学校から学童保育所まで送迎する。定員は10人。入所やボランティアに関する問い合わせは、わっとな事務局TEL0138・86・6515へ。


◎5年間で退職806人採用156人…新行革計画案
 函館市の2008年度予算案を審査する市議会予算特別委員会(吉田崇仁委員長)が13日始まり、教育を除く総務常任委員会所管分を審議した。新年度から5カ年で職員650人を削減する新たな行財政改革で、市総務部は退職者と新規採用の予定人数を示した。5年間で806人の退職が見込まれ、採用を156人とすることで差し引き650人の削減とする。約3850人いる全職員を約3200人とすることを目指す。

 能登谷公氏(市民クラブ)への答弁。行政改革課によると、5年間で定年退職者が599人、定年を前に勇退する勧奨退職者と通常退職者を、過去の平均から年間40人程度とすることで、5年間に207人を見込んだ。

 職員の年齢構成に偏りが生じないよう可能な限り新規採用するが、それでも補充は5年間で156人にとどまる。小柏忠久総務部長は「650人の削減で各部局がどのぐらいの職員配置になるか、一定の推計を立てている。事務事業の見直しの中で実際の過不足に対応していく」と方針を述べた。

 能登谷氏は「職員を解雇して削減すると思っている市民が多い。退職者不補充とは、人口でいう“自然減”であることを周知すべき」と指摘。小柏部長も工夫して周知する考えを伝えた。

 また、消防本部も5年間の削減計画(全市650人に含まれる)を示した。定年退職者103人、採用を46人と見込むことで、現在より57人減員する内容。

 減員しても消防能力を落とさず市民の安全を確保するために、小西克男消防長は「5年間で的場支署と松陰出張所、古川出張所と戸井出張所、花園出張所と鍛治出張所の統合を予定している。署所の統合で署員をバランスよく配置したい」と述べた。(高柳 謙)


◎事業所数減も出荷額増…市の06年工業統計調査結果
 函館市は2006年12月31日現在で実施した工業統計調査結果をまとめた。市内の従業者数が4人以上の事業所数は380件で前年比16件(4・0%)減、従業者数は9348人で同227人(2・5%)増。製造品出荷額は1805億8488万円で、同26億814万円(1・5%)の増額となった。製造品出荷額は、05年3月の日本たばこ産業(JT)函館工場の閉鎖以来、2000年と比べ6割程度の水準が続いている。

 事業所数は、食料品製造業が同4件減の169件(構成比44・5%)と最も多く、印刷関連業が同2件減の37件(同9・7%)、金属製品製造業が同10件減の33件(同8・7%)と続いている。全体では一般機械器具など4業種で5件増加したが、8業種で21件減少した。

 従業員数は食料品が5161人で最も多く、電子部品・デバイスが899人、輸送用機械器具646人など。05年の統計調査では、30人以下の事業所数が全体の8割以上を占めた。

 出荷額は、食料品が907億920万円で大半を占め、輸送用機械器具が222億6213万円。JT撤退の影響を大きく受けている飲料・たばこ・飼料は35億4970万円で、前年と比べて約7億円増加した。

 北斗市、七飯町を含めた函館圏で見ると、函館と同様、事業所数は減少しているが、出荷額は圏域で約68億円増加している。(今井正一)