2008年3月16日(日)掲載

◎ロボット製作や景観デザイン…函館高専のものづくり展示会
 函館工業高等専門学校(長谷川淳校長、生徒1092人)が初めて企画した「ものづくり成果体験・展示会」が15日、同校で行われた。ロボット製作や景観デザイン作品、コンピュータープログラムなど、生徒が1年間取り組んだ研究成果約30点が並び、訪れた家族や中学生が興味深そうに見入っていた。

 各専門分野で学んだ生徒のアイデアや活動を広く知ってもらう目的で実施。専攻科と本科5科の生徒や教諭が参加した。

 会場には「イカロボット」の展示実演や「高層ビルの振動模型」「力学滑走台」などの模型展示、蛍光体の性質を見て学ぶ「光る物質〜蛍光体」など多彩な作品のほか、専用装置を使って電子を見る実験「電子を見る!」など体験ブースも多く、来場者の目を引いていた。

 密封した気体を外部から加熱・冷却し、作動させるエンジン「スターリングエンジン」の原理を模型で紹介した専攻科の澤谷直輝さん(21)は「楽しんで知識を持って帰ってほしい」と話していた。今春から同校に入学する原大地君(15)、高嶋洸希君(同)は「どの展示も実験的で面白い」「入学していろいろな実験に取り組みたい」と話し、共に訪れた渡邉和弥君(同)は「普通の勉強より面白そうだ」と話していた。(新目七恵)


◎企業誘致が本格化…首都圏に推進員、市長自らトップセールス
 企業誘致に向けた函館市の取り組みが新年度から始まる。4月から首都圏に企業誘致推進員1人を配置し、情報収集や誘致活動に力を入れるほか、西尾正範市長自らが誘致に向けたトップセールスをする考え。

 1次産業は農業や水産業、3次産業は観光関連の各種サービス業が基幹産業となっており、製造業を中心とする2次産業の振興が長く課題となっている。

 誘致を目指す企業は、水産海洋関連や情報関連産業、機械器具製造業など。公立はこだて未来大や函館高専などの卒業生が就職する場をつくるとともに、市内の既存業者を成長させ、取引を増やすようなメーカーの進出を期待している。

 道内では苫小牧市に続き千歳市で来春、自動車部品関連の製造大手が操業を予定している。西尾市長は「札幌に近く、交通アクセスや用地などが整備されている道央圏が優位で、地域間競争が一層激化している。しかし、本州企業が北海道に目を向けたチャンスでもある」と語る。

 4月から配置する誘致推進員は、首都圏に自宅があり、さまざまな企業に人脈を持つ民間企業出身者を予定している。函館へ立地の可能性のある企業の訪問や情報収集をする。3月末で市の東京事務所が廃止されるが、東京・秋葉原の未来大サテライトオフィス(事務所)を活用することも考えている。

 西尾市長は「これまで職員が上京して活動していた場合と比べ、企業の情報をいち早く入手し、誘致の打診など迅速な働きかけができる。推進員の人脈を生かした対象企業の発掘も期待でき、私も含め積極的な活動を展開したい」と話す。

 2月には北斗市、七飯町とともに「函館地域産業活性化協議会」を立ち上げ、函館圏が連携して企業誘致を進める体制も構築している。(高柳 謙)


◎夢助、洋楽さん初共演…はこだて寄席
 函館在往の落語家東家夢助さん(67)と三遊亭洋楽さん(49)の初の共演会「はこだて寄席」(実行委主催)が15日、函館市芸術ホールギャラリーで開かれた。夢助さんはサスペンス物語と、善人男の物語といった人情話を2つ、洋楽さんは幽霊を釣りに行く男のこっけい話を演じ、約200人の観客に伝統芸能の醍醐味(だいごみ)を楽しませた。

 夢助さん側で作る実行委が洋楽さんに声をかけ、初共演が実現。道南落語倶楽部の東家えい生さんの開口一番に続き、夢助さんが登場。一つ目の演目は「鰍沢(かじかざわ)」。一軒家に迷い込んだ旅人が、その家の女から殺されそうになる物語。独特の声でスリルある展開を演じ、観客を引き込んだ。

 続いて洋楽さんが高座に上がった。会場から「待ってました」の声を受けた洋楽さんは「野ざらし」を披露。釣りに出掛けた時に野ざらしになっていた人骨を供養すると、夜に若い女の幽霊が礼を言いに来たという話を聞いた男が、まねをしようと釣りに出掛けた話。男の仕草を愉快に演じ、観客を笑わせた。

 中入り後、再び夢助さんが出演し「井戸の茶碗」でトリを務めた。小判を巡る3人の男が正直な気持ちでぶつかり合う内容。鰍沢とは違った雰囲気の話し方で観客を魅了した。来場していた函館市湯川町の稲田明彦さん(61)は「聞き入ったり、笑ったり落語という芸術の奥深さを味わえた気分」、同市富岡町の荒木雅美さん(70)は「それぞれの個性を楽しめ、まさにプロの共演と感じた。年に1回は共演してほしい」と話していた。(山崎純一)


◎連載企画/「障害者に豊かな時間を」(下)支援のすき間埋めたい
 障害児を対象にした学童保育所「らるご」の開設準備を進める函館市内のNPO法人(特定非営利活動法人)「みんなのさぽーたーわっとな」(山口照美代表)は、将来的に学童保育所の機能だけではカバーできないサービスを市の「日中一時支援事業」の受託で補いたいと考えている。

  学童保育所が対象とするのは小学生だけで、基本的に受け入れは親が働いていることが入所条件になる。一方、日中一時支援事業は週に数回、数時間だけでも利用でき、中学・高校生でも受け入れられる。「週に1、2回だけ子供を見てもらいたいという保護者もいる」と山口代表はいう。さまざまなニーズに応えるのはもちろん、子供たちが小学校を卒業しても放課後を有意義に過ごせる場が必要とされる。

 函館市が日中一時支援事業を委託しているのは社会福祉法人の施設が主。公営も含め市内・近郊に10カ所あるが郊外が多く、車での送迎がないと通えなかったり、土曜日は利用できなかったりする。このため、わっとなは学童保育と日中一時支援の両事業の受託の可能性を模索している。

 ただNPO法人による運営は前例がなく、市福祉部は「緊急時の対応や安全面などの基準をクリアしなくてはならない。それを確認するのに時間はかかるが話し合いを重ね、受け入れ体制が整い次第、委託に向けて検討したい」と話す。山口代表は「中学、高校に行っても支援は必要になる。ゆくゆくは学童保育と日中一時支援事業を担い、現状のサービスのすき間を埋めたい」と力を込める。

 そのためにまず、学童保育所を軌道に乗せることから始める。4月の開設に向け、子供たちとかかわるボランティアを確保しなければならない。2月にはボランティア説明会を開催し、10人が協力を申し出たが、まだまだ足りない状況だ。山口さんは「特に資格は問わないので、ボランティアは1時間でもかまいません。子供が好きな方に協力していただきたい」と呼び掛けている。

 学童保育の入所やボランティアの希望に関する問い合わせはわっとな事務局TEL0138・86・6515へ。(宮木佳奈美)

 日中一時支援事業

 介護している家族が一時的に休息を取るとともに、障害者に日中の活動の場を提供する。社会参加するための日常的な訓練や支援も行う。障害者自立支援法に基づき、市町村が取り組む「地域生活事業」のうち、函館市が任意で実施している事業の一つ。


◎中村支部長の進退焦点…自民党8区支部 きょう拡大役員会議
 次期衆院選道8区の自民党新人候補で、党8区支部長を務める中村勉氏(48)の進退が急きょ注目されている。地元関係者によると、活動が十分浸透していないことから、支部長交代を求める声が出ている。16日に函館市内のホテルで8区支部の単位支部長らを集めた拡大役員会議を開き、中村支部長が何らかの決意表明をするとみられる。

 役員会議には自民党元幹事長の武部勤氏や党道連幹部が出席する動きがある。

 中村氏は武部氏とパイプを持ち、武部氏が幹事長時代の2006年9月、公募で8区支部長に選ばれた。しかし就任以来、いまだ連合後援会の設立に至っていない。

 複数の地元関係者によると、役員会議で中村支部長が退任する流れもあるという。一方で武部氏の周辺は「長く保守分裂状態が続く8区の政治的土壌に、中村氏が弱気になったこともある。武部氏が改めてカツを入れるのではないか」との見方もある。

 民主党は昨年11月、引退する金田誠一氏の後継に逢坂誠二氏(衆院比例道ブロック)の擁立を決めて以降、着々と臨戦態勢を構築している。こうした対比から「このままでは中村氏は逢坂氏に勝てない。自民党は勝てる駒を出さなければならない、という声が1カ月ほど前から頻繁に聞こえてきた」(函館経済界)との指摘もある。

 道連幹部も「8区の組織体制構築がはかばかしくないという声が寄せられ、懸念されているのは事実」と認める。このため、武部氏が地元で中村氏の活動状況などを把握し、中村氏の決意を聞いた上で、何らかの対応を決めるのではないか、との観測が流れている。

 ただ、1度も戦わずして候補が変わる事態となれば、自民党が負うダメージは大きい。単位支部長を集めた会議で、さまざまな疑念を払しょくし、自民党の大同団結を図ることも考えられる。 (高柳 謙)